外壁をどんなに高機能な外壁材で覆っても、外壁目地のコーキングが劣化していれば、劣化した目地から雨水や湿気が外壁内部に侵入し、土台や柱が腐ったりカビが生えたりして、家屋自体の耐久性が落ちる原因にもなるため、目地は外壁の他の部分と同じようにメンテナンスに十分に気を配る必要があります。
この記事では、外壁の目地の重要性や補修方法、業者に目地の補修工事を依頼するときの注意点などについてご紹介します。
■外壁における目地の役割と劣化のしくみ
日本の木造住宅の外壁の仕上げ方は、大きく分けると、
- 乾式工法…工場で生産した外壁材を現場へ搬入し張り付ける工法
- 湿式工法…材料を現場で練り合わせて外壁に塗り付ける工法(モルタル、タイル張りなど)
の2種類があり、乾式工法の住宅が七割を占めます。
そして乾式工法で使われる外壁材の中でも特に人気のある、
- 窯業系サイディングボード
- ALCパネル
などの外壁パネルを貼り付けていく方法で施工する場合、張り付けられた外壁パネル同士の間に「目地」と呼ばれるすき間が生じます。
壁・床にレンガやタイルなどを貼り付けるときに生じる建材同士の間のすき間も目地といいますが、この記事では外壁パネルの目地について解説します。
1.外壁にはなぜ目地があるか
セメントを主原料とする一般的な窯業系サイディングやALCパネルには、衝撃や歪みよって割れたり欠けたりしやすいという性質があります。
この性質によって外壁が破損してしまうのを防ぐため、外壁パネルを施工する際には、パネルに余計な負荷(衝撃や歪みなど)がかからないよう、外壁パネル同士の間に適度にすき間(目地)を空けて張り付けていく必要があるのです。
ただ、目地をそのまますき間が空いた状態にしておくと、雨水や湿気が外壁内部に入り込んで建物を劣化させてしまうため、外壁の保護力を保つためには、外壁パネル同士のすき間にコーキング材(シーリング材、シール、シーラントともいう)と呼ばれるゴム性の樹脂を注入して、目地を塞がなければなりません。
●目地にゴム性のコーキング材を使う理由
目地を埋めてすき間をふさぐコーキング材は、
- 温度や湿度の変化による膨張・収縮
- 地震や近くを通る自動車などによる振動
などの影響を長期的に受けます。
これらのダメージを吸収して緩和し、外壁を良い状態で保つために、ゴムのように柔軟で弾力があり、追従性の高い樹脂製のコーキング材を目地に充填する必要があるのです。
つまり、コーキング材は、ただすき間を埋めるだけでなく、外壁パネルに生じる様々な負荷を吸収する緩衝材という役割も果たしていますが、長期間にわたり紫外線にさらされると、ひび割れたり剥がれ落ちたりして保護力を失ってしまうため、コーキング材のメンテナンスは定期的に行わなければなりません。
●戸建て住宅の外壁はパネルが主流
乾式工法(外壁パネル)に属する外壁パネルによる施工は、湿式工法(モルタルなどの塗り壁)に比べると、
- 短時間で施工できる
- 仕上がりの質が職人の技術に左右されにくい
というメリットがあり、現在では戸建て住宅のほとんどがALCボードや窯業系サイディングなどの外壁パネルを採用しています。
大半の戸建て住宅の外壁には目地があるため、ほとんどの方にとって、目地の定期的な点検やメンテナンスは家を長持ちさせるために必要な習慣であると考えておきましょう。
2.目地が劣化してしまう理由
家屋全体は常に、
- 外気の温度差・湿度の変化による膨張・収縮
- 地震や近隣の交通による振動
などの影響にさらされています。
木材であれば耐衝撃性が高く、上記のようなダメージをある程度吸収できるのに対し、モルタル(湿式工法の家屋)は膨張・収縮・振動をほとんど吸収することができないため、外壁がモルタル仕上げであれば、蓄積したダメージが徐々にクラック(ひび割れ)などの形で表れ始めます。
ALCパネルや窯業系サイディングボードもモルタル壁と同様にセメントを主原料としているため、本来はモルタル壁のように家全体のわずかな変形や振動によるダメージを受けやすい外壁材です。
しかし、一定の面積で区切られて外壁に貼り付けられ、目地にクッションとなるゴム性のコーキング材が充填されているために、コーキング材の部分に衝撃が分散され、ALCパネルや窯業系サイディングが通常の膨張や振動でひび割れてしまうことはほとんどありません。
ただし、常に振動や変形の負荷を吸収している目地部分のコーキング材は劣化しやすく、年月が経つにつれてひび割れたり、剥がれたりしてきます。
さらに、外壁は日光・紫外線にも常にさらされているため、コーキング材には
- 紫外線による結合力の低下
- 高温による膨張
などの負荷がかかり、これらのダメージによってコーキング材には「痩せ」(目地に隙間ができるほど縮みきって元に戻らなくなること)と呼ばれる劣化症状が見られるようになります。
●コーキングの耐用年数
コーキング材は常に周囲からの負荷・ダメージにさらされており、剥がれ・ひび割れ・痩せなどの劣化症状で目地の下地が露出するほどにまで劣化が進行すれば、すぐにコーキングの補修を計画したほうが良いでしょう。
コーキング材メーカーは現在も改良を重ねており、昔に比べてコーキング材の耐久性は高まっていますが、劣化を完全に避けることはできず、コーキング材の耐用年数は長くて10年ほどであり、
- 日光に長時間当たる
- 寒暖差が激しい
など、条件の悪い場所にある目地であれば、5年程度で交換が必要になることもあります。
コーキング材の劣化現象が見られた場合は、外壁塗装駆け込み寺にご相談いただければコーキング補修が得意な地元優良業者が無料で診断させていただきます。
■目地のコーキングが劣化するとどうなる?
コーキング材は、緩衝材としての役割以外に、
- 外壁内部への水分の混入を防ぐ
- 外壁材の強度を保つ
という役割も果たしています。
外壁目地は外観的にはとても小さな部分ですが、コーキング材の果たす役割はどれも、外壁だけでなく家屋全体にとって重要なものですので、目地の点検や補修には十分に気を配る必要があるのです。
コーキング材の劣化が進むと、下記のような症状が見られるようになります。
1.目地の隙間から外壁内部に雨水がしみ込んでしまう
外壁材の下地には防水シートが張り巡らされており、外壁材の目地の奥の部分にも、「ハットジョイナー」と呼ばれるすき間をふさぐための部品が張り付けられているので、仮に目地のコーキング材が完全に剥がれ落ちてしまうことがあっても、すぐさま外壁内部に雨水が侵入し始めるわけではありません。
しかし、コーキング材の劣化が進行すれば外壁の防水性能は完全ではなくなり、外壁内部にも雨水が徐々に侵入し、柱や土台がカビたり腐敗したりしやすい状態になってしまいます。
2.外壁の強度が下がる
木造住宅の外壁は、柱に胴縁が打ちつけられ、その胴縁の上にさらにサイディングが打ちつけられるという構造になっており、サイディングボードは、釘で柱・胴縁にしっかり打ちつけられることによって十分な強度を保つことができます。
コーキングが劣化して雨水が外壁内部に侵入するようになると、侵入した水分でサイディングを打ちつけている釘が錆びてしまい、外壁の強度が低下してしまうことも考えられます。
釘が数本錆びたくらいであれば、外壁材がすぐに剥がれ落ちてしまうというようなことはありませんが、外壁材が柱から浮いたような状態になってしまい、外壁内部の雨水や湿気による損傷がさらに進行するということはあり得ます。
■外壁目地に使うコーキング材の種類
外壁目地に使用されるコーキング材にはいくつかの種類がありますが、どんなコーキング材を使用するかは、目地のコーキング材の上に塗装するかどうかで決まります。
1.外壁目地を塗装しない場合
外壁目地のコーキング材の上に塗装を行わない場合、「変成シリコン系コーキング材」が使用されます。
変成シリコン系コーキングは紫外線に強く、表面を塗装に守られていなくても十分な耐用年数を期待できますが、目地への密着力はやや低く、下記に紹介するウレタン系コーキングに比べて、剥がれが早い段階で生じてしまう、というデメリットがあります。
2.外壁目地を塗装する場合
目地のコーキング材の表面を塗装する場合には、紫外線には弱いものの、その他のメリットの大きい「ウレタン系ノンブリードコーキング」が使用されます。
表面を塗装することによって紫外線から保護された「ウレタン系ノンブリードコーキング」は、
- 目地に対する密着力が強い
- ブリード現象(目地の周りに黒い汚れが染み出す現象)が起きにくい
というメリットのみを発揮することができるのです。
■目地補修の流れ
コーキング工事(シーリング工事、シール工事)には
- 既存のコーキングの上から新しいコーキングをかぶせる「増し打ち工法」
- 既存のコーキングを完全に除去し、新たにコーキングを充填する「打ち替え(打ち直し)工法」
の2種類があります。
増し打ち工法では、時間がかからず、工事価格も安くなる反面、十分な耐用年数を発揮できないため、ほとんどの場合、外壁目地のコーキング補修工事は打ち替え工法で行われます。
コーキング補修の相場などはこちらのページの記事も合わせてご覧ください。
以下からは、打ち替えによる目地補修の手順について、画像とともに解説していきます。
1.カッターで目地の両端に切れ目を入れる
既存のコーキングを根こそぎ除去するため、まずはコーキング材の両端に深く切り込みを入れます。
2.ペンチ等で古いコーキング材を引き抜く
カッターでサイディングと古いコーキング材を可能な限り切り離したら、手やラジオペンチなどを使って古いコーキング材を引き剥がすように取り除いていきます。
3.目地内側に残った古いコーキング材を削ぎ落とす
古いコーキング材がうまく引き剥がれず、目地に残ってしまうこともあるので、もう一度カッターを上手に使って残りをそぎ落とすようにして取り除きます。
古いコーキングが目地に残った状態で新しいコーキング材を充填しても、コーキング材は目地にしっかり密着せず、施工後すぐにすき間が生じてしまうことがあるため、古いコーキングの除去はかなり丁寧に行わなければなりません。
4.目地の両脇にマスキングテープを貼って養生する
コーキング材は目地全体に充満させるように塗り込める必要がありますが、コーキング材があふれて目地の両脇にはみ出してしまうと、
- 外壁の美観を損ねる
- 紫外線を吸収する面積が増えて劣化しやすくなる
- 多方向から引っ張り力の負荷がかかって劣化しやすくなる
などの不具合が生じてしまいます。
目地の美観を保ち、コーキング材の耐久力を十分に発揮させるためには、画像にあるように目地の両脇にマスキングテープ(養生テープ)をすき間なく貼り、コーキングのはみ出しを防ぐ必要があるのです。
5.ボンドブレーカーが剥がれていたら貼り直す
目地に充填されているコーキング材の奥には、多くの場合、ハットジョイナーと呼ばれる細長い部品が設置されています。
このハットジョイナーが設置されていれば、目地にコーキング材が充填されていない状態であっても、ある程度、水が外壁内に侵入するのを防ぐことができます。
目地内の左右のパネルと奥のハットジョイナーの全てにコーキング材が接着している状態は「三面接着」という施工不良の一種であり、コーキング材を充填するときに業者が避けるべき状態なのです。
●三面接着が施工不良とされる理由
先述の通り、コーキング材は外壁同士の干渉を防ぐクッションのような役割を果たしており、目地の両端の外壁パネルへの負荷を肩代わりしています。
しかし、三面接着の状態だと、両端に加えて建物側の負荷もかかってしまうため、コーキング材は破断・ひび割れなどの破損が生じやすくなってしまうのです。
このようなダメージを防ぐためにも、コーキング材を施工する際は「目地奥に接着させず、両サイドのみに接着させる」という二面接着とする必要があるということを覚えておきましょう。
●三面接着を防ぐボンドブレーカーの大切さ
目地内でコーキング材を二面接着とするために、ハットジョイナーの目地の奥側の面に「ボンドブレーカー」と呼ばれるコーキング材を接着させないための絶縁テープを貼ることが重要です。
このボンドブレーカーをすべての目地の奥側の面に貼ることで、コーキング材が破損しにくい二面接着にすることができます。
ちなみに外壁リフォーム時に目地内で元のボンドブレーカーがしっかり残っているのであれば、新たにボンドブレーカーを張り直す必要はありません。
●ボンドブレーカーの代わりに「バックアップ材」が使われることもある
コーキング材を二面接着とするために、ボンドブレーカー以外にも「バックアップ材」と呼ばれる部品が使われることがあります。
バックアップ材とは、ポリエチレン製の細長いひも状の部品で、ボンドブレーカー同様、コーキング材が接着しない性質を持っています。
外壁材に厚みがあるために目地が深いという場合に、目地を底上げしてコーキング材を節約するという目的でバックアップ材が使われることもあります。
●ボンドブレーカーやバックアップ材の施工は、手抜き工事されやすい部分
コーキング材に十分な防水性と耐久性を発揮させるためには、手間と時間をかける必要がありますが、悪徳業者や手抜き業者は、コーキング材を充填すると隠れて見えなくなるボンドブレーカーやバックアップ材の施工工程で手抜き工事を行うことがあります。
コーキング補修工事を手抜きすることなくおこなっているかどうかを確認するためには、バックアップ材やボンドブレーカーを設置し終わった段階で確認させてもらうように依頼しておくとよいでしょう。
6.プライマーを目地に塗布する
目地にそのままコーキング材を充填してもしっかり密着せず剥がれやすくなってしまうため、コーキング材を充填する前に、目地とコーキング材を接着する役割を持つプライマーという塗料を塗布していきます。
プライマーとは接着剤のような役割を果たす液体で、下地材やコーキング材の種類に応じて、最適なプライマーの種類も異なります。
7.2液型の場合はコーキング材を攪拌する
コーキング材には
- 1液型…そのまま使用できる
- 2液型…硬化剤と混ぜ合わせて使用する
の2種類があり、2液型のコーキングを使用する際は、コーキング材を目地に注入する前に攪拌作業を行う必要があります。
1液型は目地に注入されると硬化が始まるのに対して、2液型は硬化剤と混ぜ合わせた時点で硬化が始まるため、硬化剤と攪拌した2液型コーキングはすぐに目地に充填して使い切らなければなりません。
また、攪拌する量が多過ぎて一度に使い切れない場合は、コーキング材が無駄になってしまいますし、逆に撹拌する量が少なければ何度も攪拌作業に時間を取られてしまうため、どちらの事態も防ぐために施工範囲に応じて攪拌する適量をしっかり見極める技術が必要です。
8.目地にコーキング材を注入する
目地にコーキング材を密着させるために、まずたっぷりとコーキング材を目地に注入し、その後、コーキング材が目地に充満するように上から押し込んでいきます。
コーキング材は分厚いほど耐久性も高くなるため、可能な限り多めに注入・充填します。
●作業しづらい場所があっても、全ての目地にコーキングを充填しなければならない
目地の周辺に雨どいや室外機などが設置されていると、それらの箇所のコーキング工事は職人にやや面倒ですが、妨げとなる器具や部材を一時的に取り外してでも、すべての目地にコーキングを充填しなければなりません。
すべての箇所にもれなくコーキング材を充填する作業は手間がかかるため、目地周辺の障害物の取り外しを省略し、手抜きを行う業者もいます。
コーキング作業後は、作業を行いにくい箇所も含めてすべての目地にコーキング材が施行されているか、可能な限り自分の目で確認するようにしましょう。
9.へら(バッカー)でコーキング材を押さえ込む
目地の隅々までコーキング材が行き届くよう、バッカーと呼ばれるヘラのような道具で目地をさらに押さえ込みます。
この作業により、目地のコーキングはより密で丈夫なものになります。
10.マスキングテープを剥がす
コーキングが固まる前に、素早くマスキングテープを剥がしていきます。
コーキングの硬化したあとにマスキングテープを剥がすと、コーキング材のフチがマスキングテープに引っ張られてしまい、きれいに押さえ込んだコーキング材の表面が乱れてしまいますので、マスキングテープはコーキング材が乾燥して硬化する前に剥がさなければなりません。
コーキング工事に慣れている業者は、上の画像のような要領で、役目を終えたマスキングテープをクルクルと巻き取るように手早く剥がすことができます。
■目地補修は早めに取り掛かろう
一度に外壁全面のコーキング補修工事を行うと、全体に仮設足場を設置しなければならず、工事金額も高額になります。
しかし、外壁目地のコーキング全体が劣化してしまう前に、部分的なコーキング補修工事を行なっておけば、工事費用を節約することが可能です。
1.目地がどんな場所にあるかによって劣化速度は異なる
目地が外壁のどんな場所にあるかによって、その目地内のコーキング材が紫外線や日光の影響をどれほど受けるかにも違いがあり、その違いが目地の劣化速度の差となって表れます。
例えば、同じ家屋の外壁でも
- 北側…一日を通して日光が当たりにくい
- 東側…紫外線の影響が少ない
- 南側…最も強い日光と紫外線にさらされる
- 西側…昼の日光の次に紫外線量が多いとされる夕方の日差しにさらされる
など、日の当たり方に違いがあり、少しの差が何年もの時間の中で大きな差となってコーキング材の劣化として表れるため、南側・西側は北側・東側と比べて劣化しやすい傾向があります。(※立地条件によっても異なります)
外壁の面ごとで劣化の差が大きい場合、劣化が進んでいる面だけコーキング補修工事を行えば、家全体のコーキング材補修に比べて補修費用を大きく節約できます。
足場を家屋全体に設置する必要がある屋根・外壁塗装リフォームの際に、コーキング材補修も合わせて全面的に打ち替えてしまうという方法があり、この方法は足場代の節約にはなりますが、目地の一部が劣化しているだけであれば、全面的なコーキング補修工事を行うのではなく、一部分のみのコーキング補修工事にした方が節約できます。
家の箇所によってコーキングの劣化に差があって、どのように補修するべきか判断できない場合、コーキング補修工事が得意な業者に相談してみるのも良い方法です。
2.目地補修は信頼できる業者に任せよう
目地の面積は外壁全体から見ればほんの数パーセントだけですし、コーキング材を除去して新しく充填するという作業内容も簡単に思えるかもしれません。
しかし、目地のコーキング材補修は、ここまでに説明したとおり、重要な意味合いがあるだけでなく、高い技術を要する工事なので、目地の点検・補修を依頼する業者は慎重に選ぶ必要があります。
●目地は外壁の広範囲に存在する
コーキングは外壁材同士の隙間だけでなく、
- 窓サッシや玄関など開口部周り
- ガス管・水道管などの配管周り
など、外壁の様々な箇所に使用されています。
そのため、比較的小さな戸建住宅であっても、目地とその他のコーキング使用箇所すべてを合計すると、コーキングが必要な部分の総延長は100メートルを超えることもあります。
それだけの長さを見落としなく点検し、適切なコーキング補修を行うというのは決して簡単な作業ではありません。
●部材の取り扱いに長けた業者を見つけよう
コーキング材にはそのまま使える1液型と硬化剤と混ぜて使う2液型があり、2液型には、
- 1液型より耐用年数が長い
- 1度にたくさん用意でき、大型工事にも使用しやすい
というメリットがあるので、増し打ち工事や部分的なコーキング工事などでは1液型を使用することもありますが、コーキング工事の専門職人であれば2液型を使用することが多いです。
しかし、2液型は1液型より取り扱いが難しく、技術が低い業者が2液型で目地の補修を行うと、
- 攪拌を十分に行わないために施工不良を起こしやすいコーキング材になってしまう
- 攪拌する量が多すぎたり少なかったりして、時間や資材が無駄になってその分人件費や材料費が余計にかかる
などの施行不良や余計な出費を招くミスを犯すことがあります。
1液型を使う場合でも、技術の低い業者の施工では、
- 古いコーキング材が残ったままで新しいコーキングを充填する
- プライマーを適切に塗布しない
- 二面接着で施行しない
- 乾燥時間を守らない
といった初歩的なミスが発生することもあります。
コーキングの耐用年数は7〜8年とされていますが、正しい施工方法を守らなければ、
- 目地の膨れ・痩せ
- 剥がれ
- ひび割れ
などのダメージが耐用年数よりかなり早く発生するようになり、ダメージが進行すれば薄いや湿気が外壁内部に侵入し、
- 雨漏り
- 土台・柱など構造材のカビ・腐食
といった家屋にとって深刻な問題につながる恐れもありますので、目地の重要性を理解していて、適切な点検・補修を行ってくれる優良業者を見つけることが重要です。
●目地補修に関する国家資格が存在する
目地補修を含めた家屋の防水工事は、家屋の寿命を長持ちさせるために非常に重要であるため、「防水施行技能士」という国家資格が存在します。
この防水施行技術士の試験は取り扱う防水資材によって実技試験が分けられており、戸建住宅のコーキング工事に関する資格は「防水施行(シーリング防水工事作業)」という実技試験に合格しなければなりません。
また、等級も分けられており、受験するためには、
- 1級:実務経験7年以上
- 2級:実務経験2年以上
という条件を満たしていなければならず、防水施行技能士が在籍しているかどうかは、目地補修工事が得意な業者選びをする際の重要な指標といえます。
もちろん、防水施行技能士の資格が無くても高い技術を持つ職人はたくさんいますし、有資格者であることが優良業者であることの保証となるわけではありませんが、業者選びの一つの目安として、このような国家資格があるということを覚えておくと良いでしょう。
ただし、悪徳業者の中には、自社に在籍するスタッフの中に有資格者がいないにも関わらず、資格を持つ下請け業者を使って「1級防水施行技能士による施行!」といった紛らわしい宣伝文句を使うこともあります。
どんな有資格者が在籍しているかどうかは、営業所に合格証があるか、ホームページに有資格者の顔や名前が掲載されているかなどで判断しましょう。
外壁塗装駆け込み寺でも、防水施行技能士が在籍する優良外壁塗装業者を無料でお探しすることができます。
■おわりに
目地は普段ほとんど注目されることのない箇所ですが、外壁を含めた家屋全体を雨水や振動のダメージなどから守るという重要な役割を果たしています。
簡単にでもいいので時々はご自身の家の目地部分にも目を向け、劣化したり破損したりしていないか確認してみるとよいでしょう。
また、コーキング補修工事という難しい工事を、細部まで丁寧に行なってくれる優良業者を見つければ、家屋全体を長持ちさせるのに大いに役立つでしょう。