外壁塗装における光触媒塗料のメリット・デメリット

外壁塗装に使用する塗料を選ぶときは、価格の安さだけでなく機能面にも注目しましょう。

特に「外壁が汚れやすい」、「何度水洗いしてもすぐに黒ずんでしまう」といった外壁の症状にお悩みであれば、光触媒塗料の使用も検討してみるとよいでしょう。

 

この記事では、塗料の中でも特に耐久性が高いと言われる光触媒塗料について、選ぶ前に知っておきたい価格相場やメリット・デメリットなどについて解説します。

■光触媒塗料の特徴

外壁塗装で使用される塗料は、主成分となる樹脂のグレードで耐久性が異なります。

しかし塗料にはグレードの違いだけでなく機能の違いもあり、特殊な機能を持った塗料は「機能性塗料」と呼ばれます。

 

機能性塗料には

  • 「無機塗料(無機ハイブリッド塗料)」
  • 「セラミック塗料」
  • 「ナノテク塗料」
  • 「断熱塗料」
  • 「遮熱塗料」
  • 「弾性塗料」

などがありますが、その中でも特に高価で優れた機能を持つものが、今回ご紹介する「光触媒塗料」です。

 

具体的な機能は以下の通りです。

1.汚れがつきにくい(セルフクリーニング効果)

(画像は「SICコーティングス」ホームページより引用)

光触媒塗料の最大の特徴は「セルフクリーニング機能(効果)」があることです。

 

光触媒塗料を塗った外壁では、二酸化チタンという物質が塗膜表面を覆うようになります。

この二酸化チタンは紫外線を浴びると活性酸素という物質を発生させます。

活性酸素は空気中の大気汚染物質(窒素酸化物NOx、硫黄酸化物SOx)を分解する力がありますので、光触媒塗料が塗装された外壁は排気ガスなどの汚れが分解されて塗料表面に蓄積されにくくなります。

 

また、光触媒塗料には親水性という雨水がくっつきやすい性質があります。

そのため活性酸素で分解された汚れは親水性塗膜に浮かび上がり、雨で洗い流されるようになります。

これがセルフクリーニング塗料のメカニズムです。

 

さらに光触媒塗料を塗った外壁は静電気を帯びにくくなるので、静電気で付着する空気中の汚れや臭いが外壁につきにくくなる空気清浄効果や、防藻・防カビ効果なども得ることができます。

 

もちろん、光触媒塗料で塗装した建物すべてが上記の効果を100%得られるとは限りませんので、後述の「光触媒塗料を選ぶ前に心がけておきたいポイント」もしっかり読んでおきましょう。

2.耐用年数が長い

光触媒塗料の耐用年数(耐久年数)は16~22年であり、これは最も紫外線に対するダメージに強いと言われるフッ素塗料の耐用年数15~20とほぼ同等の数値です。

なお、紫外線のダメージに対抗する力のことを「耐候性」と呼びます。

 

ただし、耐用年数はあくまでもメーカーが「これぐらい持つように作りました」と提示している目安でしかありません。

そのため、施工する地域の気候や建物の立地が違えば全く異なる耐用年数になることは頭に入れておいた方がよいでしょう。

 

また、耐用年数が短い光触媒塗料も多く存在することに注意が必要です。

光触媒塗料は複数のメーカーから販売されており、販売しているメーカーによって耐用年数は異なりますので、メーカーによって耐用年数にどのくらい差があるのかしっかり確認したうえで選ばなければなりません。

■光触媒塗料の価格相場

光触媒塗料の㎡あたりの施工単価相場は3,800~5,000円です。

 

これを踏まえて、外壁全体を光触媒塗料で塗装したときの坪数別の相場価格を比較してみましょう。

なお、価格は足場代などの諸費用を含みます。

坪数\塗料 光触媒
~10坪(約33㎡) ~40万
11~20坪(約36~66㎡) 47万~86万
21~30坪(約69~99㎡) 90~130万
31~40坪(約102~132㎡) 133~170万
41~50坪(約135~165㎡) 176~215万
51~60坪(約168~198㎡) 220~260万

上記の価格相場はあくまで目安であり、施工する建物の形や劣化の症状次第で金額は変動します。

 

もしさらに詳しく価格を確認したい場合はこちらより外壁塗装駆け込み寺までお問い合わせください

1.光触媒塗料を販売しているメーカー

現在、光触媒塗料を製造販売している主なメーカーは以下の通りです。

メーカー名 主な塗料
日本特殊塗料 『エヌティオ』シリーズ
ピアレックス 『ピュアコート』シリーズ
ニュートラル 『NU-COAT』シリーズ
SICコーティングス 『アートファイン』シリーズ
OPTIMUS 『外装用オプティマスホワイトペイント』

2.どのメーカーの光触媒塗料を選ぶべきか

後ほど詳しく解説しますが、光触媒塗料は施工実績が少ないため良し悪しが過去の事例から判別しにくいという欠点があります。

 

もし光触媒塗料のメーカー選びで悩んだときは、塗装業者に光触媒塗料で過去に塗装した家の施工事例がないか相談し、使用したメーカーを教えてもらいましょう。

施工から5~10年経って施工不良などがなければ、塗料本来の効果が発揮できている状態と考えられます。

●3大メーカーは光触媒塗料を販売していない

塗装メーカーには、

  • 日本ペイント
  • 関西ペイント
  • エスケー化研

という信頼性の高い3大メーカーがあります。

しかし、現在この3つの大手メーカーはいずれも光触媒塗料を販売していません。

いまや外壁塗装の定番となっているシリコン系塗料やフッ素系塗料はどの大手メーカーも開発に力を入れているにも関わらず、外壁塗装用の光触媒塗料だけが未だ販売されていない点は見過ごすわけにはいきません。

 

さらに、光触媒塗料のイメージを作り上げたと言っても過言ではないTOTOオキツモコーティングスの『ハイドロテクトシリーズ』も、現在は販売を終了しています。

 

販売を終了したからといって悪い製品ということにはなりません。

しかし、外壁塗装は工事後のアフターケアが何よりも重要であり、塗装が耐用年数を迎えれば新しく塗り替える必要があります。

そのため、もし使用した塗料の販売が終了してしまった場合は、アフターフォローの内容や次の塗替え方法について施工店に確認しなければなりません。

 

光触媒塗料を選ぶときはこのような側面も踏まえて慎重に選びましょう。

■光触媒塗料を選ぶ前に心がけておきたいポイント

光触媒塗料は販売したばかりの新しい塗料でありながら画期的な機能を備えているため、悪徳業者に目をつけられやすい塗料です。

 

よい面ばかりでなく注意点もしっかり把握しておきましょう。

1.絶対に汚れないわけではない

光触媒塗料で塗装したからといって、外壁が永遠に汚れなくなるわけはありません。

光触媒塗料の防汚性能は「有機物分解機能」によるものですので、雨だれのアトやチリ、ホコリといった有機化合物由来の汚れは確かに付着しにくくなります。

 

しかし、

  • 金属部分から流れてきたサビ
  • 泥が飛びってついた汚れ
  • 鳥のフン
  • 白華現象(エフロレッセンス。コンクリート中にしみこんだ水分が蒸発する際に石灰などと一緒に溶け出てくる現象)
  • 調理場近くのダクトの汚れ

といった、窒素化合物や硫黄化合物が含まれていない無機化合物には効果がありません。

 

「永遠に外壁を清掃せずに済みますよ」といった大げさな宣伝に惑わされず、定期的なメンテナンスも視野に入れたうえで選ぶことが大切です。

●立地によっては効果を発揮できない

光触媒塗料が効果を発揮するかどうかは、「紫外線量」と「雨量」に左右されます。

 

光触媒塗料は「太陽の光」に含まれる「紫外線」に反応して、汚れなどを分解する活性酸素を発生させます。

そのため曇っている日はもちろん日当たりが悪い場所でも、紫外線さえ感じとることができれば光触媒の効果を発揮します。

 

しかし、隣の建物との間の距離が1m未満で常に日陰になっているような、紫外線すら当たらない立地では光触媒塗料の効果を発揮しづらくなります。

 

また、せっかく光触媒作用で汚れを分解しても、雨が当たりにくい立地では親水効果が発揮されず汚れが流れ落ちませんので注意が必要です。

汚れにくい家に関する記事はこちらでも解説しています

2.塗料の信頼性がまだ低い

光触媒塗料は近年登場したばかりの新しい機能塗料ですので、実際に施工された現場が少ないという欠点があります。

 

外壁塗装は建物の素材や立地、使い方、環境などが原因で、同じ塗料でも耐久性が変わることがあります。

仮に光触媒塗料が20年間耐久性を失わなかった家があったとしても、別の家に塗ったときでは全く違った結果になってしまう可能性があります。

 

もちろん、これまでもシリコン塗料やフッ素塗料が登場した頃には「信頼性が低い」と言われていました。

しかし、数多くの現場や有名な建築物に使われることで徐々に効果が実証されていきましたので、光触媒塗料もこれから信頼性を増していく可能性は大いにあります。

●施工業者の技術力が必要

一部のメーカーは、自社の光触媒塗料を扱う業者を「認定施工店」に限っています。

例えば日本特殊塗料の光触媒塗料『ピアレックス』は、「ニットク・アメニティシステム会(NAS会)」の会員でなければ施工することができません。

その他にも現在は廃止されていますが、TOTOエクセラ株式会社の光触媒塗料も認定店でなければ塗ることができないものでした。

 

光触媒塗料の長い耐用年数と光触媒作用を発揮させるためには、正しい知識で間違いなく施工する必要があり、塗装メーカーとしても研修も受けていない未熟な施工店に任せるわけにはいかないのです。

 

光触媒塗料を確実に使用するためにはそれほどの高い施工技術と専門性が必要になりますので、実績が不明な業者に依頼することはおすすめできません。

3.塗料の中でも施工価格が特に高い

塗料に限らず登場したばかりの商品は価格が高くなってしまうものであり、それは登場して数年しか経っていない光触媒塗料も同様です。

 

他の樹脂塗料と比べると以下のような価格差となります。

塗料の種類 ㎡あたりの単価
アクリル塗料 1,200~1,800円/㎡
ウレタン塗料 2,000~2,500円/㎡
シリコン塗料 2,800~3,500円/㎡
フッ素塗料 3,800~4,500円/㎡
断熱・遮熱塗料 3,200~3,800円/㎡
光触媒塗料 3,800円~5,000円/㎡

このように、光触媒塗料は現在販売されている塗料の中でも特に高額です。

そのためもともと汚れが目立たない家などは、光触媒塗料で塗装しても思ったほどの防汚効果が感じられず、費用対効果を得られないかもしれません。

 

そのため、今後普及が進むにつれて徐々に光触媒塗料も塗料価格が下がると考え、いったんシリコン塗料などの価格も耐久性も安定している塗料でリフォームを済ませておく方法もオススメします。

 

より求めやすい価格帯にして光触媒塗料を多くの人に体感してもらおうというコンセプトのもと、少し安価な光触媒塗料なども過去には販売されました。

しかし耐用年数はシリコン塗料とほぼ同じ10~15年ほどしかなく、光触媒塗料の本来の耐用年数である20年よりも短くなっていました。

 

長い耐用年数は光触媒塗料のメリットの一つですので、それを失ってまで安価な種類で塗装すべきかよく検討しましょう。

4.屋根や一部の外壁に塗装ができない

光触媒塗料は現時点で屋根用タイプが販売されていません。

 

屋根は外壁よりもずっと光が当たりやすい箇所ですので、塗装に使用する塗料も高い耐久性を必要とします。

仮に外壁のみ光触媒塗料で塗装し、屋根には機能性が付いていない一般屋根用塗料で塗装した場合、外壁だけ長寿命になって屋根は外壁よりも早く再塗装が必要になり、メンテナンスのタイミングがずれてしまいます。

すると足場代などの諸費用が外壁塗装と屋根塗装それぞれのタイミングで発生してしまい、外壁と屋根をまとめて一回で塗装したときよりも工事費用は割高になってしまいます。

 

このような理由から、屋根と外壁に使用する塗料のグレードは揃えた方がよく、もし外壁を光触媒塗料で塗装する場合は屋根も無機フッ素樹脂などのハイグレードな塗装を選ばなければなりません。

 

また、光触媒塗料は屋根以外にも木で出来た部分(木部)や石、漆喰、樹脂などには使用不可となっています。

■おわりに

光触媒塗料は高い機能と耐用年数を誇る最新の塗料ですが、発売したばかりで施工例が少なく効果がはっきりしないというデメリットも抱えています。

そのためもし光触媒作用に興味があっても安易に選択せず、実際に光触媒塗料で塗装した経験を持つ業者に相談し、塗料の持続性や劣化状況などをよく確認することが大切です。

 

光触媒塗料の施工実績を持つ業者をお捜しであれば、外壁塗装駆け込み寺でもご相談を承っておりますのでぜひご利用ください。

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