ゴムの性質でクラックを防止する複層、単層、微弾性塗料とは

モルタル外壁で、どうしても避けることが出来ない劣化と言えば、クラック(ひび割れ)です。

 

クラック対策として使用される機能性塗料には、ゴムのような柔軟性と伸縮性を持つ、「弾性塗料」があります。

 

ただし、弾性塗料を選択しても、きちんと工法を守らなければ、施工後に膨れが生じたり、かちかちに固まって余計にひび割れが起こったりする恐れがあります。

 

また、一般の人にとっては聞きなれない塗料ですので、悪徳業者が目をつけやすい塗料でもあります。

 

モルタル外壁のメンテナンス対策として、悪徳業者対策として、弾性塗料のしくみや工法の種類、注意点などを知っておきましょう。

■ ゴムのような性質の弾性塗料とは

砂骨ローラー

外壁塗装を行う時、決まって目にするのが

  • アクリル樹脂塗料
  • ウレタン樹脂塗料
  • シリコン樹脂塗料
  • ラジカル樹脂塗料
  • フッ素樹脂塗料

などの一般塗料です。

 

これらは主に硬質塗料と呼ばれ、その名の通り、塗った後に塗膜層が強力に固まるように出来ています。

 

また、塗料には上記の樹脂の違い以外に、「2液型」と呼ばれる塗料もあり、2液型は2つの塗料を使います。

液状の塗料に硬化剤を混ぜ、固まりきる前に塗り、外壁上で乾燥させて固めるのです。

参考:水性・油性、1・2液型、ツヤ等の塗料タイプは何が良い?

 

硬質塗料や2液型塗料のように、強力に固まる塗料は、ひび割れに弱くなる側面を持っています。

 

外壁は全く動いていないように見えて、実は絶えず動いています。

太陽光の熱や、湿気等で伸縮したり、強風や地震の揺れで動いたりした時、その動きに塗料がついて行けず、ひび割れ(クラック)が起こります。

 

硬質塗料は、外壁に加わった衝撃を受けやすいため、ひび割れを防ぎづらくなってしまうのです。

1.弾性塗料の定義

弾性塗料 20度で120%以上伸びる塗料の事
微弾性塗料 20度で伸び率が100%以下の塗料
(明確な基準はない)

弾力性が非常に高い塗料のことを「高弾性塗料」と呼び、やや弾力性を持つ塗料のことを「微弾性塗料」と呼びます。

 

微弾性塗料については、「少しのびる塗料」ということで開発されたためか、明確な基準というものが存在しません。

通常の硬性塗料よりは伸びると考えておくと良いでしょう。

 

また、微弾性塗料は、塗り方にもよりますが約2~3年ほどで弾性がなくなり、かちかちの塗膜になってしまいます。

そのような状態になってしまうと、普通にひび割れを起こすようになるため、弾性塗料の恩恵は受けられなくなってしまいます。

2.弾性塗料のメリット

弾性塗料のメリットを活かすためには、外壁の種類と、その外壁に起こりやすい劣化症状を知っておかなければなりません。

 

特に、モルタル壁のお宅では、弾性塗料を選ばざるを得ない時があります。

 

●柔らかくひび割れに強い

弾性とは、力が加わったときに動き、力がなくなったときに元に戻る性質のことを指します。

塗料の世界で言えば、ひび割れようとする外壁の動きに応じて、塗膜も一緒に動く性質のことを指します。

 

比較的柔らかく伸びが良いウレタン塗料が少しひび割れに強く、強力な塗膜を作るフッ素塗料がひび割れに弱いのは、この弾性という性質の有無によります。

 

●防水性も高くなる

弾性塗料は、非常に作業性が良く、外壁に対してしっかり密着する性質があるため、建物の防水機能を高めることができます。

 

さらに、弾性塗料は分厚く塗って仕上げますので、塗膜が防水層となって、外壁をカバーすることも可能です。

 

また、高い追従性でひび割れを防ぐと共に、密着性によってひび割れに浸水する雨水も防ぐ防水効果があります。

 

●モルタル外壁と相性が良い

モルタル壁は、もともと非常にひび割れを起こしやすい外壁です。

そのため、硬質系塗料を塗ってしまうと、耐候性に優れた最高級のフッ素でも、ひび割れを起こしてしまう可能性があります。

 

約20年の耐用年数を持つと言われるフッ素塗料に、わずか数年後にひび割れが生じてしまうと、せっかく高額な工事費用をかけて塗装した意味が無くなってしまいます。

参考:フッ素塗料の価格相場やメリット、デメリットを確認しよう

 

このような性質を持つことから、モルタル外壁では、弾性塗料の使用が推奨されています。

 

また、モルタル外壁にフッ素塗料を塗装する時は、弾性のフッ素塗料や、弾性の下地材を使用するなどしてひび割れを起こりにくくすると良いでしょう。

参考:モルタル外壁の特徴と、外壁塗装を行うときのポイント

3.弾性塗料のデメリット

弾性塗料のデメリットはいくつかありますが、大きいもので言えば、耐用年数が低いと言う事が挙げられます。

 

●耐用年数が短い

工法にもよりますが、弾性塗料は、硬質タイプのアクリル塗料レベル、ウレタン塗料レベルの、約5年ほどしかもたないこともあります。

 

また、フッ素塗料に弾性硬化剤を混ぜて、弾性フッ素塗料として使用する場合もありますが、それでも、通常の硬質フッ素塗料よりも耐用年数は下がります。

 

そのため、弾性塗料でひび割れ防止を優先するか、それ以外の塗料で外壁全体の耐用年数を優先するか、選ぶ必要があります。

 

なお、可塑剤を使用しないピュアアクリル塗料は、可塑剤の劣化によって弾性が消失することがありませんが、ハイグレードなフッ素塗料と同様に、施工費用は割高になります。

 

ちなみに、弾性塗料の耐用年数を高める工法もありますが、耐用年数を高めるために何層にも塗らなければならないので、処理に手間と時間がかかり、その結果、非常に高額な工事になってしまいます。

 

弾性塗料の工法については、後の項目で詳しく解説します。

4.弾性塗料は窯業系サイディングボードへの使用は不可

弾性塗料には、使用できない外壁があることを覚えておきましょう。

有名なものでは、窯業系サイディングボードがあります。

 

サイディングボードには断熱材が含まれているため、太陽光の熱などによって、約80℃近い高温になります。

その高温により、表面に塗装した塗料が柔らかくなりすぎてしまい、フクレなどの現象が起きてしまうのです。

フクレが生じた外壁は、ぶくぶくの泡が表面にいくつも発生するため、人によっては激しい嫌悪感を覚えてしまいます。

 

また、塗膜が膨れた部分は外壁に密着していませんので、塗膜の剥がれや破れの原因にもます。

 

そもそも、サイディングボードはひび割れが起こりにくい外壁ですので、弾性塗料を使用するメリットがありません。

サイディングボードは、目地にゴム製のコーキング材(シーリング材)を打ちますので、揺れや衝撃が加わってもコーキングが割れを防ぎますので、弾性塗料を表面に塗装して、ひび割れを防止する必要がないのです。

 

もし、サイディングボードの外壁に弾性塗料を使用しようとしている業者がいれば、知識のない悪徳業者の可能性がありますので、ご自宅がサイディングボード外壁の場合は、十分注意しましょう。

参考:サイディングボードのメンテナンス、ひび割れ等の補修方法

■弾性塗料を使った様々な工法

塗装作業画像

弾性塗料は、分厚く塗って仕上げるという特徴があります。

薄く塗っても、伸びた時にひび割れてしまい、弾性の効果を発揮できないためです。

 

厚みを持たせるために、厚塗り用の砂骨ローラーや、ウールローラーなどが使われますので、見積もり書では「弾性ローラー仕上げ」と記載されていることがあります。

 

弾性塗料には様々な工法があります。

それぞれの耐用年数、ひび割れへの効果などを考慮した上で、適切な工法を選びましょう。

工法名 工程 弾性を維持できる年数
単層弾性工法 シーラー

単層弾性上塗り×2
3~5年
複層弾性工法 シーラー

高弾性中塗り材×2

上塗り×2
10~20年
微弾性塗料工法 厚塗り微弾性フィラー

上塗り×2
1~3年

なお、足場設置、高圧洗浄、下地調整は、通常の塗装と同様の流れになっています。

1.単層弾性工法

単層弾性工法は、まずシーラーと呼ばれる下地材を塗り、その上から、単層弾性上塗り塗料を二回塗る工法です。

 

作業工程は下記のようになります。

 

  1. シーラー
  2. 単層弾性塗料(一回目)
  3. 単層弾性塗料(二回目)

 

単層弾性塗料は日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研の大手塗料メーカーから販売されています。

低汚染性のものや防かび効果を持つものなど、様々な性能を持つ塗料が販売されていますが、アクリル樹脂を主成分とするものが多いため、耐用年数が長いものがあまりありません。

 

そのため、仕上げ方にもよりますが、単層弾性塗料は約3~5年程度で塗り替え時期が来てしまいます。

耐用年数が長いシリコンを配合した、シリコン系単層弾性塗料も販売されていますが、シリコンの割合が低いためか、長く持つ塗料は少ないのが現状です。

 

また、せっかくの弾性塗料も、5年以内にはカチカチに固まってしまうので、弾性ではない塗料のように、ひび割れてしまいます。

 

施工費用は安く、作業時間も長くはかかりませんが、あえて選ぶ必要はない工法と言えるでしょう。

 

●複層弾性工法

複層弾性工法では、主に5回以上、塗りの作業が発生します。

 

エスケー化研の複層塗材を例にして、具体的な作業工程をご紹介します。

  1. SK水性弾性シーラークリヤー
  2. レナエクセレントA(一回目)
  3. レナエクセレントA(二回目)
  4. 水性弾性セラミシリコン(一回目)
  5. 水性弾性セラミシリコン(二回目)

 

このように、合計で5回の複層塗りを行う仕様となっています。

手間をかける分、非常に高品質な弾性外壁が完成し、約20年以上経過しても、塗膜の弾性が持続している家もあるほどです。

 

しかし、複層弾性工法は、下塗り塗料のシーラーの次に、高弾性の中塗り用塗料を用いる分、塗料代も工事費用も高くなります。

 

これだけの工程を行うための人件費に加え、吹き付け工法による材料代の無駄が多いことなども合わせて、単価は非常に高く、約5,500円/㎡ほどの施工単価となります。

弾性ではない塗料の場合、最高級のフッ素塗料でも、施工単価は約3,000~4,500円/㎡ですので、非常に高い工法ということがおわかりいただけるかと思います。(参考:塗料の単価相場)。

 

ひび割れや防水性能を高めるためとはいえ、施工価格があまりに高いため、現在は優良業者でもあまり選ばれない工法となりました。

 

●微弾性塗料工法

弾性塗料を使った塗装の中で、最も行われている工法が、微弾性塗料である「微弾性フィラー」を下塗り材に使用するものです。

 

これまでご紹介した工法では、下塗材にシーラーを使っていましたが、ヒビ割れが起こりやすいモルタル外壁では、下地材にも弾性のある微弾性フィラーを使用します。

 

その後、上塗材として、ウレタン塗料、シリコン塗料、ラジカル塗料、フッ素塗料といった一般的塗料や、水性セラミックシリコン塗料など、任意の塗料を塗装して仕上げます。

 

  1. 微弾性フィラー
  2. 任意の上塗り用塗料(一回目)
  3. 任意の上塗り用塗料(二回目)

 

微弾性フィラーの弾性は、そこまで高いものではありません。

塗装時には、しっかりとヒビに追従するため、わずかな凹凸や、「ヘアークラック」と呼ばれる、髪の毛のように細い割れなどがあっても、気にせず塗る事ができます。

 

しかし、塗装工事から約1~3年ほど経つと、徐々に弾性が失われてしまい、あとは通常の硬質塗料と変わらない性質になります。

弾性が失われると、ヒビ割れへの耐久性も無くなりますが、上塗塗料の耐久性が残っていれば、すぐに塗料を塗りかえる必要はありません。

 

そのため、次の塗替えのタイミングは、上塗塗料の耐用年数によって決まりますので、上塗り用の塗料選びが耐久性を左右します。

2.悪徳業者の手口に注意

悪徳業者

ここまででおわかりいただけたかと思いますが、弾性塗料の工法は、少し複雑な工程が増えるため、どこで手抜きが行われるか、塗装の知識がない人にとってはわかりづらいかもしれません。

 

ですが、悪徳業者が行う手口は、基本的にワンパターンです。

弾性塗料を使用した外壁塗装工事でも、悪徳業者が行う手口としては、

  • 塗料を薄めて使う
  • 厚塗りをしなくてはいけない所を厚塗りしない

のどちらかの方法であることがほとんどです。

 

これらの手口は、塗料の缶の搬入数と、工事が終わった後のからっぽの塗料缶の数を、見積書と照らし合わせてきちんと確認していれば防ぐ事ができます。

 

ただし、缶をすぐに処分してごまかされる恐れもあるため、缶の監視は怠らないよう気をつけなければなりません。

スマホの静音カメラなどを使って、塗料の残り缶数や減り方などを毎日記録しておくと良いでしょう。

 

その他、塗料の缶に貼られている、メーカーが作成したラベルを見て、塗料名に「弾性」「微弾性」といった単語が記載されていることも確認しておくことをおすすめします。

 

参考:悪徳業者チェックリスト

■ゴムの性質は外壁塗装のいろいろな所に役立っている

外壁塗装におけるゴム

ここまで、ゴムの性質を持つ外装仕上げ塗料として、弾性塗料について詳しく説明しました。

外壁や屋根塗装を始め、一般住宅やビルなど建物のリフォームでは、様々なところでゴムの性質が役立っています。

 

例えば、屋上の防水工事を行う工法にも、ゴムシートを使った工法があります。

参考:屋上の防水工事

 

先ほど少し触れた、サイディングボードの目地に使われているコーキング材に関しても伸び縮みする事でボードのひび割れを防ぐ為にゴムの性質があり、サイディング材の目地からの浸水を防いでいます。(参考:コーキングについて)。

 

鎧のような固い外壁に、柔軟なゴムの性質が加わることで、より強力な建物を作ることができるのは、まさしく現代科学の技術の結晶と言えるでしょう。

 

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