屋根塗装の知っておきたい基本事項と価格、費用相場について

屋根はどのような建物にも存在しており、毎日紫外線や雨、風などにさらされていて、家の中で最も劣化しやすい箇所です。塗装などで保護する事は非常に重要です。

ここでは屋根塗装に関する様々な基本的な事と、塗装、葺き替え、部分補修を行った場合価格、費用に関する相場などをまとめています。

屋根の塗装を考え始めた時に是非、参考にしてください。

屋根には三角屋根と陸屋根(ろくやね・りくやね)があります

屋根には瓦などを敷き詰めるタイプの三角屋根と、屋上として人が乗り降りできる陸屋根(ろくやね、りくやね)があります。

こちらのページでは主に三角屋根に関する事を書いています。雪が降らない地域によく見られる陸屋根に関しては、いかに長い間雨水から家を守るかという意味で、防水工事が重要になってきます。屋上の防水工事に関しては、こちらの記事を参考にしてください

三角屋根に関しては、いかに雨水を家の中にとどめずに外に排出するか、屋根の下の防水層(ルーフィング)を守るか、という事が重要になってくるので、屋根塗装工事が重要です。まずはなぜ三角屋根の塗装が必要なのかを確認しましょう。

屋根塗装の必要性について

なぜ屋根を塗装する必要があるのでしょうか?その理由をいくつかまとめています。

塗装によって屋根材を保護する

塗装というのは美観だけではなく、家を形作る材料(瓦など)を守るという「保護」の役目が非常に大きいです。つまり塗装を行う事によって、屋根に使われている瓦などの品質を長期間維持する効果があります。例えば、塗装によって守られていない瓦があったとすると、全てを劣化させていく太陽光の紫外線や雨によってどんどん劣化し、最終的にはボロボロに崩れてしまう事になります。ボロボロに崩れてしまっては、瓦は家を守ることが出来ません。

瓦が塗装されているのであれば、瓦そのものが劣化する代わりに、塗装することによって出来た表面の塗膜が代わりに劣化をしてくれます。塗膜が劣化していくだけであれば、家を守る、という瓦本来の力は発揮することが出来ます。

しかし、塗膜による屋根材の保護は永遠に続くわけではなく、塗料によって5~15年ほどの間になくなってしまいます。その時に屋根塗装をする事が出来れば、再び屋根材をよみがえらせる事ができ、家自体を末永く保護する事が出来るのです。

もし瓦が劣化してしまうと…

塗装による保護がなくなった後も、屋根塗装をせずにそもまま放置してしまう方もいらっしゃいますが、それでは屋根材は家を保護する事が出来ません。屋根材によって守られていない家は、紫外線や、雨水による浸食で家の内側から腐食、カビなどでどんどん劣化してしまいます。劣化し続けた家は、最終的には住めないような環境になってしまうのです。

最後まで放っておいてしまうと、家ごと建て替えることになってしまい費用が最もかかってしまいます。屋根材が劣化してしまった後だと屋根材を丸ごと全部取り替える「葺き替え」という工事が必要となるのでこちらもかなりのお金がかかってしまいます。もし、屋根材の塗装が劣化した状態で再塗装を行えば、屋根塗装の費用だけで抑えることが出来るので最も安上がりなのです(外壁塗装を放っておくとどうなるかもこちらの記事にまとめておりますのでご覧ください)。

屋根は外壁と違ってなかなか見る機会がなく、劣化に気づきづらい箇所ではあるのですが、3~5年ごとに自分でチェックしたり、信頼出来る地元の業者を呼んでチェックしてもらうのが良いでしょう。人間で言う人間ドックと同じで、悪い所を初期段階で見つける努力が屋根にも外壁にも必要となってきます。

屋根塗装を放って場合の料金

家が住めなくなって立て替える場合 1,650万円~
雨漏り工事をしなくてはいけない場合 200万円~
屋根を葺き替えなくてはいけない場合 70~200万円
屋根を塗装するだけですんだ場合 25~65万円

目安的な料金ではありますが、放っておくと余計なお金がかかってしまうのは間違いありません!「他の人にはなかなか見られない場所だから大丈夫」や「今の所、雨漏りなどの被害も出ていないから大丈夫」では、将来的に非常に大きな損失になってしまうので、屋根塗装に関してはリフォーム費用を積み立てておくなどして計画的にメンテナンスを行いましょう。

屋根材の種類について

屋根材は日本で主流なものだけをまとめたとしても非常に多くの種類があります。全てを紹介することは出来ませんが、だいたいは「スレート系」「セメント系」「粘土系」「金属系」の四つのタイプに分けることが出来ます。順番に見てみましょう。

スレート系

スレート瓦

スレート(英語でslate)というのは日本語で粘板岩(ねんばんがん)といい、泥岩などが滞積して出来た地層などを形成する岩の事です。

天然の粘板岩も存在しており、それを屋根に使えるように加工したものが天然スレート屋根で、天然の原石を使用した屋根のため、不揃いで風情がある屋根材です。元々の色を使用しているので風合いが損なわれにくいです。

天然スレートを模して作られたものが人工スレート屋根です。人工スレートに関しては原料別に石綿スレート、無石綿スレート、セメントスレートなどがあります。昔は石綿(アスベスト)を使用した石綿スレートが主流で、アスベストなどを混ぜたものを薄くプレスしたものを屋根材として使っていました。しかし、今現在ではアスベストは非常に問題視されているので、アスベストが使われていない無石綿スレートが主流です。ほとんどが塗料で着色してあり、化粧スレートと言います。塗料なので経年劣化で色あせます。

化粧スレート屋根材は、カラーベスト、コロニアル、フルベストなど様々な呼ばれ方をしていますが、これらは単なる商品名でした。爆発的に普及してしまったため、今ではスレート屋根の事をそのままカラーベスト屋根、コロニアル屋根などと呼ぶようになりました。

ちなみにどの種類のスレート瓦だとしても、保護の目的で屋根塗装は必要です。

縁切り・タスペーサーが大事

屋根は水はけが非常に重要で、塗装をすれば表面上の水はけは良くなります。ただ、スレート屋根は薄いスレートの重ね合わせたものなので、上からびっしり塗料を塗ると、上下の屋根材とくっついてしまいます。くっついたままだとうまく水が流れなくなるだけではなく、毛細管現象によりスレート屋根の内側に水が入り込んでしまうのです。その結果、内側から腐食していくことなります。

そういった事態を避けるために、スレート屋根の場合、縁切りという作業が必ず必要です。やっていない業者は間違いなく悪徳業者なので気をつけてください。

具体的には塗料が乾いた後に、スレートとスレートの間に皮スキなどの金属製ヘラなどをいれてバリバリと隙間を離すという作業を行います。タスペーサーというスレート間の隙間に差し込む器具を設置すると尚安心です(皮スキで間を空けるだけではまたくっついてしまうかもしれないため)。

セメント系

セメント瓦

セメント系の瓦は名前の通り、セメントを原料に屋根用に成型した屋根材です。粘土系屋根材と違って焼き上げているわけではなく、コンクリートのように化学反応で硬化させたものとなります。粘土瓦と比べて非常に軽いため、地震等で自重で落ちてしまうと言うことは少ないのですが、素材が屋根材として弱いのが欠点です。その欠点を補うために、塗装を施してあり、こまめに再塗装を上からしてあげることで、中のセメント瓦を守る必要があります。

セメント系の瓦として、セメント瓦、コンクリート瓦、モニエル瓦、スカンジア瓦、パラマウント瓦などがあります。

粘土系

粘土瓦

粘土系屋根は日本人になじみがある和瓦(日本瓦)が属する屋根材です。粘土を瓦の形にプラス成型して1,000℃以上の高温で焼き上げたものです。焼き上げられたものなので、耐候性は非常に高いです。しかし、屋根の素材としては重たいため、地震などの衝撃で落ちてしまう場合があります。焼き上げる前に釉薬(ゆうやく)と呼ばれる上薬にひたして焼き上げるものを釉薬瓦(陶器瓦とも呼ばれます)といい、表面の釉薬が焼き上げることによってガラス質になるため、水を通さず、紫外線にも強いので非常に寿命が長いです。

釉薬にひたさずに焼き上げるものを無釉瓦と言い、素焼き瓦、練り込み瓦、窯変瓦などがあります。釉薬のツヤがなく、自然な仕上がりですが、釉薬に覆われていないので、釉薬瓦よりは劣化しやすい仕様となります。その他、釉薬に浸さずに焼き上げ、火でいぶして表面に炭素の膜を作り黒く仕上げた瓦のいぶし瓦、釉薬の代わりに食塩を用いて焼き上げる塩焼瓦などがあります。

粘土系瓦は釉薬、無釉関係無しで塗装は不要です。表面の色が変わったりすることがあっても、塗りかえてどうにかなるものではなく、それも粘土瓦の味ととらえる必要があります。どうしても古く見えて嫌だ、という場合は塗装ではなく、吹き替えを行い、瓦ごと替える必要があります。ちなみに施工価格は非常に高く、熟練の技が必要となるため、葺き替えようと思うと非常に高額な工事となります。

金属系

金属瓦

金属系瓦はその名前の通り、金属で出来た瓦です。主に使われる金属としてはアルミニウム、鉄、銅、ステンレスなどです。成型して写真のように瓦っぽい模様をだしたり、スレートのように平型にすることも出来ます。

金属瓦の最大の特徴は「軽さ」で、家に負担をかけません。重さ的には粘土瓦の6~10分の1ほどの軽さです。粘土瓦は地震の際などに落下の危険があるのですが、金属瓦は軽いので地震等には強いです。軽いというメリットを生かして、旧屋根の上からそのまま取り付けるカバー工法という工法も可能です。

金属なので、経年劣化で古くなってくるとサビが発生する場合があります。「鳥が歩く音や雨音がよく響く」「太陽の熱を室内に伝えやすい為断熱材を必要とする」などのデメリットもあります。

従来はトタンと呼ばれる鋼板に亜鉛でメッキがしてある金属屋根が主流でしたが、今現在は「ガルバリウム鋼板」と呼ばれる亜鉛、アルミニウムを含む鋼板が主流となっています。その他、工場内で塗料を使って色をつけたカラー鋼板というものもあります。

各屋根材比較表

スレート系 セメント系 粘土系 金属系
スレート瓦 セメント瓦 粘土瓦 金属屋根
メリット
  • 初期費用が安い
  • 施工しやすい
  • 軽い
  • 施工しやすい
  • 塩害に強い
  • 耐久性が非常に高い
  • 変色しづらい
  • 軽い
  • 施工しやすい
デメリット
  • 劣化しやすい
  • 縁切りが必要
  • 重い
  • 非常に重い
  • 地震に弱い
  • 一部塩害に弱い
  • 高額
  • 施工しづらい
  • 鳥の歩く音、雨音
  • 錆びる
  • 熱が伝わりやすい
寿命 20年前後 30年~ 50年~ 30年~
塗り替え 必要 必要 不要 必要

屋根リフォームの種類と相場

屋根のリフォームは塗装だけとは限りません。今使っている屋根材が何なのか、どれぐらい劣化しているのか、どれくらいまで寿命を延ばしたいのかなど様々な要因によって変わってきます。屋根のリフォームを行う上で、大事な内容なのでしっかりと確認しておきましょう。

塗り替え(再塗装)

屋根再塗装の様子

最もオーソドックスな屋根のリフォーム方法で、スレート系と、セメント系には絶対必要です。金属系はトタンは必要、ガルバリウム鋼板等も劣化してくるようなら必要です(ガルバリウム鋼板の塗料は難易度が高い)。粘土系は塗り替えは不要です(理由は上述)。

塗りかえる塗料は外壁と同じで、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素があります。塗りかえる相場はだいたい以下の通りです(二階建ての場合)。

価格相場 耐用年数
アクリル 25~35万円 5~8年
ウレタン 30~40万円 7~10年
シリコン 35~40万円 10~15年
フッソ 45~65万円 15~20年

重ね葺き(カバー工法)

今現在ある屋根材をそのままにして、その上からさらに新しい屋根材をかぶせていく工法です。旧屋根材は撤去するのにもお金がかかりますし、廃材処理費用も発生します。カバー工法であれば、そのどちらもかけずに新しい屋根材施工の料金だけでよいのです。

重ね葺き(カバー工法)の相場:60~130万円

重ね葺きのメリット

  • 短い工期で出来る
  • 旧屋根材を処理・処分しなくて良い
  • 二重の防水効果(片方は劣化しているけど)

しかし、どのような屋根材であっても出来るわけではなく、旧屋根材が何なのか、新屋根材がなんなのかによって出来る出来ないが変わってきます。例えば、粘土系屋根はそれだけで非常に重いので、さらに上から別の屋根材をつけると、家自体の負荷が上がってしまいますし、地震の時にくずれてしまう可能性もあります。

重ね葺きが出来る屋根材

旧屋根材\新屋根材 スレート系 セメント系 粘土系 金属系
スレート系 × ×
セメント系 × × × ×
粘土系 × × × ×
金属系 × ×

上記の様に、セメント系と粘土系は重いので、カバー工法には向きません。スレートも平型スレートのみとなります。

葺き替え

屋根工事の様子

今現在ある屋根材を完全に取り除き、新しい屋根材に葺き替えるという作業です。旧屋根材を外す手間、処分費用、新しい屋根材設置費用など非常に高額になってしまいます。屋根材自体の寿命がきてしまっての葺き替えであれば仕方ない事なのですが、塗装などのメンテナンスをサボってしまったために屋根材がダメになってしまった、というのであれば非常にもったいないです。吹き替えは屋根のリフォームとしては最終手段なので(家解体などは除く)、葺き替えの段階まで来ないように定期的なメンテナンスを行いましょう。

葺き替えの相場:70~200万円

部分補修

全体を塗りかえたり、葺き替えたりしなくても一部分だけ取り替えれば済むという場合もあります。その場合はDIYか業者に頼むという選択しがあるとおもいますが、基本的に屋根リフォームでDIYは考えない方が良いでしょう。屋根での作業は非常に危険で、時には命も危うい場合があります(DIYによる危険性に関してはこちらのDIYの記事をご覧ください)。

特に雨漏りの補修はDIYは不可能なので、すぐに業者さんにお願いしてください。理由として雨漏りは原因が不特定な事が多く、専門家でないと分からない事が多いからです。雨漏りの原因が、屋根材のヒビによるものなのか、瓦ごとずれてしまっているのか、それとも屋根とは全く関係内部分での雨漏りなのか、素人目には判断が出来ません。原因と思われる場所の屋根材を剥がして、ルーフィング(防水シート)にキズ、穴があいていないかなどを確認し、あれば補修します。

また、何らかの原因で屋根材が一つだけ割れてしまった、ヒビが入ってしまった等の事があれば、その一枚だけ交換することも可能です(厳密にはその周辺も交換する必要がある場合もあります)。

 

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