外壁塗装の色をカラーシミュレーションだけで決めてはダメ!

お住まいの壁色や屋根色を塗装するときは、カラーシミュレーションソフトを使って、仕上がりイメージを調べることができます。

装後の雰囲気を知ることができる、便利なカラーシミュレーションですが、実際に塗装した後で「シミュレーションした色と全然違う」といったトラブルを起こすこともあるため、信用し過ぎるのは禁物です。

 

この記事では、外壁塗装におけるカラーシミュレーションの内容や、使用するときの注意点などをご紹介しながら、失敗しない外壁の色の決め方について解説します。

■塗装前に行われるカラーシミュレーションの内容

まずは外壁塗装における、カラーシミュレーションのサービス内容について確認しておきましょう。

1.二種類のカラーシミュレーション

カラーシミュレーションアプリは主に二つのパターンがあり、それぞれの特性からアプリタイプ編集タイプで分けることができます。

●アプリタイプの特徴

メリット

  • 操作がカンタン
  • 無料で利用できる
  • WEBサイト上に公開されているため塗装業者を介さず気軽に利用できる

デメリット

  • アプリによって性能に差がある
  • 色数が限られている
  • 細かい部分まで指定できないタイプもある
  • 実際の塗装に近いシミュレーション結果にならないことが多い

インターネット上の無料シミュレーションは、全てこのアプリタイプです。

使用の流れとしては、はじめに、いくつかの家の形から、自分の家に近い雰囲気のパターンを選びます。

次に、屋根色、外壁の色、雨樋・軒天などの部位を、パレットに登録されている標準色から選びます。

 

画面をクリックするだけでカンタンに色を変えられるので、気軽にカラーシミュレーションが行え、パレットの色は、塗装で使えるメーカー基本色が用意されていますので、自分好みの塗料色をそのまま業者に伝えれば、イメージ通りの塗料を使ってもらうことも可能です。

 

しかし、機能はそのカラーシミュレーションアプリによって異なり、家の形や基本色のパターンが数種類しかない、窓枠の色を変えられないなど、シミュレーションが制限されることもあります。

●編集タイプの特徴

メリット

  • 詳細なシミュレーション結果が手に入る
  • 業者が専門家の視点で作成してくれる

デメリット

  • 気軽に利用できない
  • 契約する気がない業者には頼みづらい
  • 編集者の好みが入ってしまう

編集タイプとは、実際に塗装をする家の画像をパソコンに取り込み、フォトショップなどの画像編集ソフトを利用して行うカラーシミュレーションです。

お店のスタッフが、自然な色合いになるように手作業で調整しながら編集するため、実際の塗装に近いシミュレーション結果を得ることができます。

 

ただし、アプリタイプと違ってご自宅で気軽に試すことはできず、シミュレーションのために、実際の家の写真を、施主が業者に送らなければなりません。

あるいは、現場調査も兼ねて、業者に家まで撮影に来てもらう必要がありますので、よほど依頼を検討している状態でなければ、手間がかかってしまうでしょう。

また、できあがった色イメージも、編集した担当スタッフや施工店の好みが入ってしまうこともありますので、必ずしも希望通りのものができあがるとは限りません。

2.おすすめカラーシミュレーションソフト

大手塗料メーカー・日本ペイントでは、『ハナコレクション』という塗料の特設サイトの中で、カラーシミュレーションが利用できます。

参考:ハナコレクションのカラーシミュレーション(スマホ不可)

 

このシミュレーターは

  • 「庭に埋めるならどの花を選ぶ?」
  • 「理想の暮らしのイメージに近い物を選んでください」
  • 「好きな椅子・ドアを選ぶ」
  • 「理想の休日の過ごし方」

などの質問に答えていくと、最終的に、ご自身が求めるライフスタイルや外観の配色が表示されるものです。

 

占いや心理テストのような性質を持つこのシミュレーションですが、「外壁の人気色がわからない」「どんな色でどういうイメージになるのか予測できない」というときに、方向性を示すものとして利用するとよいでしょう。

■カラーシミュレーションの過信は禁物

カラーシミュレーションの力を過信してしまい、出てきた提案色で、そのまま業者にお願いするのは危険です。

カラーシミュレーションは、デメリットや注意点を理解しながら使わなければ、失敗を招いてしまいます。

 

なぜカラーシミュレーションの過信が失敗に繋がるのか、理由を詳しく見ていきましょう。

絶対に失敗しない為の色選びの記事についてはこちら

1.色はそのときの状況で見え方が違う

色というものは非常にデリケートで、全く同一の色は、同一の環境でない限り再現できません。

何に印刷されているか、どこにあるか等で、色は見え方が全く異なってしまいます。

●モニターやブラウザの違い

カラーシミュレーションは、主にパソコンやタブレット上で行われますので、お持ちの端末でいつでも確認することができます。

 

しかし、色は、ディスプレイの性能や種類、製造元(メーカー)、経年劣化などで見え方は大きく異なります。

あるいは、使用しているインターネットブラウザの種類でも、表示がわずかに違ってくることもあるでしょう。

 

以上の理由から、色選びをディスプレイ上で完結するのは非常に危険です。

●印刷色の違い

紙に印刷された見本色というのは、一般的に、マゼンタ・シアン・イエローの3色を組み合わせて作られており、再現できる色には限界があります。

高性能な印刷機でも、印刷機のメーカーなどで表原色は変わってしまいますので、印刷された色と実際に塗る塗料を同じと思ってはいけません。

●塗られた面積の違い

色は、塗られた面積が小さいときと大きいときで、見え方が異なるという性質があります。

これを色の「面積効果」と呼びます。

例えば、同じ黄色でも、大きな面積に塗られているときは鮮やかに見えますが、小さな面積に塗られたときではくすんだように目が錯覚してしまいます。

 

住宅全体が印刷された大きめのカラーシミュレーションといえども、実際の建物とは全く面積が異なりますので、面積効果が生じることを覚えておきましょう。

●光の当たり具合による色の違い

屋外にある家には太陽の光が当たっていますが、快晴の日、曇りの日、雨の日などの天候や、午前や午後などの時間帯によって、光の当たり具合は異なります。

 

そのような様々な光の当たり具合までは、カラーシミュレーションでも完璧に再現することはできません。

しかし、業者と打ち合わせをする時は、ほとんどが、屋内でパソコンの画面を見て色を決めます。

そのため、色決め手順として、必ず、光の当たり具合も追加することを忘れないようにしましょう。

2.外壁・屋根の質感まで考慮されていない

どんなに優れたカラーシミュレーターでも、本当の壁の質感までは再現できません。

 

例えば、「ゆず肌仕上げ」や「凹凸仕上げ」などの模様仕上げは、凹凸の影が存在してこそ、その模様の味わいを生み出していますが、平面のカラーシミュレーションでは確認できません。

シミュレーションソフトによっては、模様を追加できるものもありますが、あくまでも、模様を図面上で表現するだけであって、実物の立体感までは表現できません。

 

あるいは、つやあり・つや無しタイプの違いも、実際の光沢は光の当たり具合によって全く変わりますので、つやありタイプの方が多少明るく見えるよう印刷される程度に留まります。

3.景観や街並みまで考慮できない

どの町にも、景観が作り出す「雰囲気」というものがあります。

モダンな洋風住宅が多いエリア、昔ながらの和風住宅が立ち並ぶエリアなど、景観のほとんどは、そこにある建物のデザインが作ります。

 

仮に、個性を求めて奇抜な色をあえて選択し、もし、その仕上がりが地域の景観を台無しにした場合、近隣の人からクレームが出ることもあるでしょう。

中には、『景観条例』を設定して、町並を壊さないように、家の色や使用する素材を、戸建住宅・公共施設問わず指定している市区町村もあります。

そのため、外壁塗装において、景観や街並みは、決して軽視することはできません(参考:景観条例に関する記事はこちら)。

 

しかし、このような周りの建物との統一感までは、カラーシミュレーションでは忠実に再現することはできません。

決して、自宅や店舗の中だけで色選びを終わらせず、家の周りを歩きながら、周りの家や建物との相性まできちんとシミュレーションしておくことが大切です。

■カラーシミュレーターの危険性も理解している業者がベスト

実は外壁塗装業者としても、カラーシミュレーションソフトは使いたくありません。

その理由は主に、

  • 客とのトラブルの元になる
  • 経費がかかる

などが挙げられます。

 

その点を理解し、カラーシミュレーションの結果だけでリフォームプランを決めてしまわない業者こそ、優良な塗装業者と言えるでしょう。

1.カラーシミュレーションはトラブルを招きやすい

カラーシミュレーションを売りにしている業者の多くは、「実際の色味とは異なります」と注釈を入れています。

なぜなら、工事完了後に、「シミュレーションした色と違うから塗り直せ」というクレームが来て、客とトラブルになる可能性があるからです。

 

業者が、どれだけ事前に「実際の色と違う」と説明していたとしても、思っていた色と違う色になってしまった客は、当然不満を持ってしまいます。

 

そんなトラブルにならないよう、顧客側も、カラーシミュレーションが「本来の色と全く同じものではなく、あくまで雰囲気をとらえるためのツール」と理解しておくことがポイントです。

  • よい業者はシミュレーションの番号だけで色を決めない

カラーシミュレーションには「赤色」といった色名ではなく、外壁塗装の塗料と同じ色番号が記載されています。

その色番号を塗装店で指定すれば、もちろん、その色で塗ってもらうことができますが、先述の通り、ディスプレイで見たときと実際に塗装したときで色は異なることがあります。

そのため、カラーシュミレーションに表示された番号で色を発注してしまうのは、絶対にやめましょう。

 

優良業者であれば必ず、「色見本帳やカラーサンプルを見ただけで選ぶのは危険です」と必ず教えますし、外壁への試し塗りや、実際の塗料を使った大きめの塗り板見本なども用意してくれます。

 

もし、「カラーシミュレーションで色を選べば塗替えは失敗しない」という業者がいたとしても、色番号だけで指定してしまうのは絶対に避け、慎重に選びましょう。

2.ソフト代で数十万円の経費が発生する

カラーシミュレーションソフトは、外壁塗装専門店だからと言って、無料で使えるわけではありません。

ソフトの種類によっては、ソフトの購入費用やレンタル料だけで、数万円から数十万円以上必要なものもあります。

あるいは、自社でソフトを開発している大手のリフォームメーカーであれば、ソフト開発費に数百万円は投じているでしょう。

 

そんな高額なソフトを使用し、さらに、プロの職人が時間をかけて色を選び、写真を加工してお客様にプレゼンを行うのですから、当然、その分の人件費もかかります。

 

塗装業者の多くは「カラーシミュレーション費用は無料!」と言っており、実際に、見積もりにもカラーシミュレーション費用が請求されることはないのですが、その他の工事費用に、人件費などを上乗せせざるを得ません。

●カラーシミュレーションソフトの相場

こちらは、2種類のカラーシミュレーションソフトの特徴と、それぞれの相場価格です。

ソフト名:『カラーエクスプレス』

価格:368,000円(2年目以降は保守料金が発生)

主な機能:

  • 色の違いを比較するだけでなく、影が当たる箇所なども細かく再現できる
  • 家の外装をパーツごとに塗り分けられる「マスキング機能」がある
  • 塗装の模様なども再現できる「テクスチャシミュレーション」
  • 写真に写り込んだ電信柱や洗濯物などを取り除く「トリミング機能」

 

ソフト名:『Compas色彩工房』

価格:128,000円(別途30,000円/年のPhotoshopソフトが必要)

主な機能:

  • 写真データを取り込むだけでなく、現像された紙の写真もスキャナで取り込める
  • 画像の自動補正や汚れ自動除去機能がある
  • ゆず肌調、リシン調、スタッコ調など、様々な質感も再現できる

■おわりに

カラーシミュレーションは、外壁塗装後の雰囲気を、少しでも知りたいというときにおすすめのツールです。

しかし、カラーシミュレーションだけを色選びの判断材料にしてしまうと、大きな失敗を招いてしまいます。

 

必ず、カラーシミュレーションの危険性も理解している業者を選び、シミュレーション結果はあくまでもイメージと考え、実際の塗料を使った試し塗りや、大きめのサンプルを使って、納得できる色を見つけていきましょう。

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