大きさが20坪や25坪の住宅は外壁や屋根も小さいため作業面積が比較的小さく、30坪や40坪の家に比べると外壁塗装費用が高くなりにくく、合計費用も100万円前後に収まる場合が多いですが、それでも決して安い金額で行える工事ではありませんので、坪数に相応しい適正価格で外壁塗装を行い、余計な費用をかけないためにも、20坪や25坪住宅の外壁塗装費用の相場や、塗装業者が作成した見積書を見るときのポイントを知っておきましょう。
目次
■20坪の施工価格相場
外壁塗装用の塗料はグレードが存在し、選んだ塗料によって総費用は大きく変動するため、まずは20坪の家で外壁塗装を行ったときの施工価格相場を、使用する塗料の種類別にまとめた表を見てみましょう(※表中の金額は、足場設置、養生、高圧洗浄、下地補修費用などを含む合計価格ですが、屋根塗装も行った場合は、下記価格に対し約10~20万円追加されます)。
塗料の種類 | 価格相場 |
アクリル塗料 | 45万円 |
ウレタン塗料 | 58万円 |
シリコン塗料 | 70万円 |
フッ素塗料 | 89万円 |
断熱塗料 | 95万円 |
光触媒塗料 | 98万円 |
■25坪の施工価格相場
続いては25坪の建物で外壁塗装を行ったときの施工価格相場です(20坪と同様に、足場設置、養生、高圧洗浄、下地補修費用などを含みますが、屋根塗装もする場合はさらに10〜20万円かかります)。
塗料の種類 | 価格相場 |
アクリル塗料 | 50万円 |
ウレタン塗料 | 60万円 |
シリコン塗料 | 73万円 |
フッ素塗料 | 93万円 |
断熱塗料 | 98万円 |
光触媒塗料 | 108万円 |
■20坪・25坪の家の塗装費用の求め方
外壁塗装工事の費用は「作業を行う面積」と「作業項目ごとの施工単価」次第で変動しますので、ご自宅の外壁塗装費用を予測するときは、ご自宅の大きさと外壁塗装費用の内訳を知っておきましょう。
1.自宅の作業面積を計算する
外壁塗装工事では塗装を行う作業面積を「塗り面積」と呼びますが、建物ごとの塗り面積は、タテヨコの長さを計らなくても建物の坪数を㎡に直して延べ床面積を求めることができます。
まず、1坪は約3.3㎡ですので、
- 20坪×3.3=66㎡
- 25坪×3.3=82㎡
となり、その次に、先ほど求めた延べ床面積に「係数」を乗じて、塗装面積を導き出します。
係数とは外壁塗装では塗り面積を求めるために使う数字で、通常1.2~1.4を使用しますが、20坪や25坪の場合は1.3ほどを使うとよいでしょう。
- 20坪の塗装面積:66㎡×1.3=85㎡
- 25坪の塗装面積:82㎡×1.3=106㎡
こうして求めた塗装面積を、外壁塗装に必要な工事ごとの施工単価相場(○円/㎡などと書かれたもの。後述)に乗じることで、工事の合計費用の相場を調べることができるようになります。
2.外壁塗装工事費用の内訳
外壁塗装で行われる足場設置工事や高圧洗浄などの各工程には、㎡あたりの施工単価相場がありますので、施工単価に対してご自宅の塗装面積を乗じると、ご自宅で行われる各工程の費用相場を調べることができます。
外壁塗装で必ず行われるのは、
- 足場設置
- 飛散防止ネット設置
- 高圧洗浄
- 下地処理
- 塗装作業(3回塗り)
ですが、このうち下地処理は建物の劣化状況や今現在使われている建材などによってシーリング補修やひび割れ補修などの内容や作業量が異なることにご注意ください。
工事項目 | ㎡あたりの施工単価 |
足場設置費用(単管足場) | 700~800円/㎡ |
足場設置費用(枠組み足場) | 1,000~1,500円/㎡ |
足場設置費用(くさび式足場) | 900~1,200円/㎡ |
飛散防止ネット設置費用 | 150~200円/㎡ |
高圧洗浄費用(水道水) | 200円/㎡ |
高圧洗浄費用(バイオ洗浄) | 300~500円/㎡ |
下地処理費用(シーリング補修) | 800~1,000円/㎡ |
下地処理費用(ひび割れ補修) | 700~5,000円/㎡ |
下地処理費用(ケレン作業) | 500~2,000円/㎡ |
養生費用 | 300円/㎡ |
塗装費用 | (使用した塗料によって異なる。下記表参照) |
塗料の種類 | ㎡あたりの施工単価 |
アクリル塗料 | 1,500~1,800円/㎡ |
ウレタン塗料 | 1,800~2,200円/㎡ |
シリコン塗料 | 2,500~3,200円/㎡ |
フッ素塗料 | 3,200~4,500円/㎡ |
断熱塗料 | 3,500~4,800円/㎡ |
光触媒塗料 | 4,500~5,200円/㎡ |
■20坪・25坪の建物で外壁塗装をするときのポイント
1.足場を組めるかどうか要確認
20坪や25坪の建物は都心部のような住宅密集地に多く、限られた敷地面積を限界まで使って近隣の家との距離を非常に狭めて建てられる傾向にありますが、外壁塗装工事で使う足場は外壁よりもやや離して設置する必要があるため、工事を行う家の敷地が狭いと、建物の周りに足場を組めません。
もし足場が敷地内に収まらず、隣の家の敷地にはみ出さなければ設置できない場合は、隣地の持ち主に敷地の使用許可を得る必要がありますが、隣地の家主がすぐに使用の承諾をくれるとは限りませんので、もしご自宅の敷地に足場を組むスペースがなさそうなときは、外壁塗装工事に踏み切る前に早めに隣地の持ち主に確認を取っておいた方がいいでしょう。
●民法で定められている「隣地使用権」について
民法209条では「隣地使用権」が定められており、建物の工事を行うために設置する足場がやむを得ず敷地を超えて隣地にはみ出す場合は、隣地の持ち主に敷地の使用許可を請求できる権利があるのですが、この隣地使用権はあくまでも「請求できる権利」に過ぎませんので、隣人から敷地の使用許可が降りないからといって強制的に隣地に足場を設置してしまうと、不法侵入になってしまいますので、もし隣地使用権を隣地の持ち主が許可しない場合は、裁判を経ない限り、足場設置工事は行えません。
快く敷地に足場を設置させてもらうためにも、工事を決定してしまう前に敷地の使用交渉を始めておく必要があります。
2.臭いの少ない水性塗料を使用してもらう
20坪や25坪の家は隣の建物が目の前に隣接していることが多く、塗装工事中の塗料の臭いがお隣に広がりやすくなります。
外壁塗装用の塗料には成分の違いによって「水性塗料」と「溶剤型塗料(油性塗料)」という2タイプに分かれており、溶剤型塗料は臭いが激しいシンナーで薄めて使う塗料のため、塗装作業中に敷地の周りや建物の中に強い臭いが発生し、20坪や25坪のコンパクトな住宅では臭いが建物中に充満する恐れがある一方、水性塗料はシンナーではなく水で薄めて使うため、軽い塗料臭はするもののシンナーの刺激臭は発生しないため人体に優しく、20坪や25坪の住宅での使用に向いているといえます。
ただし、水性塗料には溶剤型塗料に比べると耐久性が低く、金属やプラスチックなどの素材に密着できずすぐ剥がれてしまうなどのデメリットがあるため、施工条件を確認し問題がなければ、水性塗料を使ってもらうよう希望しましょう。
3.グレードの高い塗料がベスト
通常、耐久性が非常に高いフッ素塗料や光触媒塗料といったハイグレードな塗料は、価格が高額になる点がデメリットとなり、30~40坪の建物ではほぼ必ずといってよいほど価格が100万円を超えてしまいますが、20坪程度の大きさであれば、作業内容次第で100万円以内に収めることも可能です。
●高い塗料ほど10年以上長持ちする
なお、アクリル塗料やウレタン塗料であれば50~60万円で施工が可能ですが、この2つの塗料は価格が安い分、耐久性も高くなく塗料の耐用年数を比較すると、
- アクリル塗料:5~8年
- ウレタン塗料:5~10年
- シリコン塗料:10~15年
- フッ素塗料:15~20年
という違いがあり、アクリル塗料はシリコン塗料と比べると約半分、フッ素塗料の3分の1しか耐用年数がありません。
●何度も塗装すると足場代がかさむ
外壁塗装では塗装以外の足場設置や養生費用が工事のたびに発生するため何度も行うほど割高になってしまいます。
例えば、初回の塗装も含めた10年間に必要なメンテナンス回数を塗料別に比較すると、
- 耐用年数が5年のアクリル塗料…塗装が3回必要(初回、5年後、10年後)
- 耐用年数が10年のシリコン塗料…塗装が2回で済む(初回、10年後)
- 耐用年数が15年のフッ素塗料…塗装が1回で済む(初回のみ)
となり、塗料価格が安いアクリル塗料を使っても、約20万円の足場設置費用が3回発生することになり、費用対効果は高くありません。
このような理由から、もともと施工価格が高額になりにくい20坪の建物では、耐久性の高い塗料を選んでおくことをおすすめします。
■おわりに
20坪や25坪の建物を塗装するときは、何度も塗装せずに済むように、できるだけグレードの高い塗料でしっかり施工しておくことをおすすめしますが、塗料のグレードがいくら高くでも正しく施工できる業者でなければ意味がありません。
見積もりを取って、外壁塗装に不可欠な工事を必ず行ってくれるか、価格が相場以内か、などを慎重に見極め、必ず優良な業者に依頼するようにしましょう。