元々相場費用が高い傾向にある40坪や45坪の住宅では、適正価格を頭に入れて相場以上の金額で契約を迫る悪徳業者の存在に警戒しなくてはなりません。
この記事では、40坪と45坪の家それぞれの施工価格相場と、適正価格の見積書を作ってもらうためのポイントなどについて詳しく解説しています。
目次
■40坪の施工価格相場
外壁塗装には特徴や機能が異なる様々な仕上げ用塗料が存在しますが、それぞれ塗料代が違いますのでどの塗料を選んだかによって合計金額も異なります。
以下は、40坪の住宅で各塗料を使用したときの、足場代、養生、下地補修費用を含む外壁のみの施工価格相場です。
※屋根塗装の価格は含まれていません。
塗料の種類 | 価格相場 |
アクリル塗料 | 75万円 |
ウレタン塗料 | 92万円 |
シリコン塗料 | 110万円 |
フッ素塗料 | 121万円 |
断熱塗料 | 129万円 |
光触媒塗料 | 142万円 |
屋根塗装も行う場合は、上記価格に対し約20~35万円が加算されます。
■45坪の施工価格相場
こちらは45坪の住宅で各塗料を使用したときの施工価格相場です。
先ほどの表と同様に、足場代、養生、下地補修費用を含む外壁のみの施工価格相場です。
※屋根塗装の価格は含まれていません。
塗料の種類 | 価格相場 |
アクリル塗料 | 85万円 |
ウレタン塗料 | 105万円 |
シリコン塗料 | 115万円 |
フッ素塗料 | 130万円 |
断熱塗料 | 138万円 |
光触媒塗料 | 150万円 |
屋根塗装も行う場合は、上記価格に対し約25~40万円が加算されます。
■40坪・45坪の塗装費用の求め方
相場の金額だけでなく、塗装費用の求め方も知っておくと見積書の内容を理解しやすくなり、業者と打ち合わせるときの不安も少なくなります。
塗装に必要な「塗装面積」と「工事項目ごとの施工単価相場」を知って、塗装費用の求め方を把握しておきましょう。
1. 塗装面積の求め方
工事の作業量を調べるためには、建物ごとの概算の塗装面積が必要です。
建物の塗装面積は以下の計算式で求めることができます。
●坪数を延べ床面積に変換
1坪は3.3㎡ですので、まずは坪数を㎡に直して延べ床面積を求めます。
- 40坪×3=132㎡
- 45坪×3=148㎡
●延床面積に係数を乗じて塗装面積を求める
塗装面積は延べ床面積に係数を乗じて計算します。
塗装面積を求めるときの係数は1.2~1.4までの数値を使用しますが、40坪や45坪の比較的大きな建物は1.2を使うとほぼ実測値に近い塗装面積になります。
- 40坪の塗装面積:132㎡×2=158㎡
- 45坪の塗装面積:148㎡×2=177㎡
上記が、窓や玄関などの塗装しない箇所を除いた概算の塗装面積です。
ただし実際の塗装面積は家の形や窓の数によって異なります。
正しい塗装面積は塗装業者に頼んで計測してもらいましょう。
2.塗装工事の内訳の調べ方
以下は、外壁塗装で行われる各工事の施工単価相場です。
施工単価とは、ある作業を行った費用を1㎡あたりの金額にしたものです。
この施工単価に対し、先ほど求めた塗装面積を乗じることで、建物ごとの費用相場を調べることができます。
例えば、㎡あたりの施工単価が1,000円の工事を132㎡(40坪)で行ったときの費用は、
1,000×132=13万2,000円
となります。
なお、外壁塗装では、
- 足場設置
- 飛散防止ネット設置
- 高圧洗浄
- 下地処理
- 塗装作業(3回塗り)
が必ずセットで行われますので、塗装業者から見積もりを渡されたときはこれらが必ず工事に含まれていることを確認しましょう。
また、建物の形状や劣化状況によって行う種類が変わり、金額も変動します。
例えば、パネル同士の継ぎ目にコーキングが充填されているサイディング壁は、継ぎ目がないモルタル壁に比べてシーリング工事(コーキング工事)の費用が割高になります。
工事項目 | ㎡あたりの施工単価 |
足場設置費用
(単管足場) |
700~800円 |
足場設置費用
(枠組み足場) |
1,000~1,500円 |
足場設置費用
(くさび式足場) |
900~1,200円 |
飛散防止ネット設置費用 | 150~200円 |
高圧洗浄費用
(水道水) |
200円 |
高圧洗浄費用
(バイオ洗浄) |
300~500円 |
下地処理費用
(シーリング補修) |
800~1,000円 |
下地処理費用
(ひび割れ補修) |
700~5,000円 |
下地処理費用
(ケレン作業) |
500~2,000円 |
養生費用 | 300円 |
塗装費用 | (使用した塗料によって異なる) |
以下は塗料ごとの㎡あたりの施工単価です。
塗料の種類 | ㎡あたりの施工単価 |
アクリル塗料 | 1,500~1,800円 |
ウレタン塗料 | 1,800~2,200円 |
シリコン塗料 | 2,500~3,200円 |
フッ素塗料 | 3,200~4,500円 |
断熱塗料 | 3,500~4,800円 |
光触媒塗料 | 4,500~5,200円 |
■40坪・45坪の家で外壁塗装をするときのポイント
規模が大きな40坪や45坪の住宅は、わずかな施工単価の違いでも数万円の差になります。
予算をしっかり用意して悪質な格安工事に手を出さないことはもちろん、複数業者で見積もりを取って費用を相場の範囲内に留めるようにしましょう。
1.100万円程度の予算を確保しておくこと
40坪や45坪の住宅は、シリコン塗料を選んだときでも100万円近い費用になることがあり、屋根塗装も同時に行えば確実に100万円以上の費用が必要です。
そのため、外壁塗装に使う資金は最低でも100万円は確保しておかなければ、十分な工事が行えないかもしれません。
仮に40坪や45坪の住宅で70万円以下の工事が行えたとしても、塗装前の下地処理が手抜きされていたり、塗装の基本である3回塗りを省かれたりして質の悪い工事になってしまう恐れがあります。
施工不良が起きたため塗り直すことになっても、ずさんな手抜き工事を行う業者は様々な手口で無償の塗り直しを免れようとしますので、相場価格より20~40万円以上も安い工事には安易に手を出さないようにしましょう。
●劣化が拡がる前にメンテナンスを
相場の100万円代よりもさらに高い工事費用を発生させないためには、劣化が拡がる前に早めにお住まいのメンテナンスをしておくことです。
外壁塗装で行われる工事は、建物の劣化状況が進んでいるほど作業量が増えてしまいます。
例えば、軽いひび割れなどは数センチに留まっているうちにメンテナンスしておくと施工費用は数千円以内で済みますが、放置して割れが建物の広範囲に拡がってしまうと数万円の工事になってしまい、建物のあちこちで発生すればさらに補修費用はかさんでしまいます。
劣化の補修費用が塗装費用を圧迫しないように、10年に一度は専門業者に建物診断を依頼することをおすすめします。
2.複数業者から見積もりを取って比較
リフォーム工事において2~3社から相見積もりを取ることはとても大切ですが、40坪や45坪のような規模の大きな建物では、複数見積もりがさらに重要な意味を持ちます。
例えば、施工単価が1,000円だった場合、25坪のコンパクトな住宅であれば施工価格は約10万円ですが、40坪の住宅では約15万円になります。
【25坪の塗装費用】
塗装面積:(25坪×3.3㎡)×1.2=98㎡
施工単価1,000円の作業費用:98㎡×1,000=98,000円
【50坪の塗装費用】
塗装面積:(40坪×3.3㎡)×1.2=158㎡
施工単価1,000円の作業費用:158㎡×1,000=158,000円
【25坪と50坪の価格差】
158,000-98,000=60,000円
ひとつの作業の施工単価が違うだけでも上記のように大きな差が生じますので、40坪や45坪など延べ床面積が大きな家の工事を一社で決定することがいかに危険かおわかりいただけるかと思います。
複数見積もりは4社以上から取るとかえって適正価格がわからなくなりますので、最低でも2社、できれば3社から取るようにしましょう。
■おわりに
40坪や45坪の家は外壁や屋根の面積も大きいため、相場価格が100万円を超えてしまう事例も少なくありません。
しかし、費用を抑えようとして質の悪い手抜き工事業者を選んでしまっては外壁塗装を行う意味がなくなってしまいます。
複数業者から相見積もりを取り、相場の範囲内で正しく工事を行ってくれる業者と出会いましょう。