外壁塗装で知っておきたいセラミック塗料の裏事情

外壁塗装用の塗料には「セラミック塗料」と呼ばれる種類があり、セラミックの配合方法によって外壁に様々な効果をもたらします。

セラミック塗料について塗装業者に質問すると、「断熱効果が非常に高い」、「紫外線に強い」、「石材調の見た目で意匠性が高い」とばらばらの説明を受けることがありますが、セラミック塗料はどれを使っても同じ効果が発揮されるわけではなく、断熱や石材調の見た目も選んだセラミック塗料の種類によっては発揮されないこともあるため、希望する効果と異なる種類を選んでしまわないように注意しなければなりません。

 

大切な外壁を保護する塗料を誤った知識で選んでしまわないように、セラミック塗料の特徴や注意点について理解しておきましょう。

■セラミック塗料とは?

(画像は山本窯業化工ホームページより引用)

セラミック塗料とは、砂や石、セラミックビーズなどの微粒子が配合された塗料で、無機塗料や無機ハイブリット塗料とも呼ばれており、セラミックという言葉には「焼き固めたもの」という意味があり、単純に陶磁器や焼き物などを指す言葉として使われることもあります。

 

セラミック塗料は非常に多くの会社が着目していますが、同時に悪徳業者などが手口に利用することもありますので正しい知識を身につけておかなければなりません。

1.セラミック塗料に関する正しい知識を身につけよう

一口にセラミック塗料といっても様々な効果を持つものがあり、断熱や意匠性など特定の効果を持たせるためにメーカーごとに様々な方法でセラミックを配合しています。

 

そのためセラミック塗料について正しい知識を身につけておかなければ、

  • 「断熱効果があると思ってセラミック塗料を選んだのに、そんな効果はないとメーカーに言われた」
  • 「非常に高額な塗装費用になったのに期待していた効果と違った」

など、せっかく費用をかけて行った外壁塗装が不満足な結果になりかねませんので、効果のない塗料を選んでしまわないように、どのような種類のセラミック塗料があるのかしっかり理解しておきましょう(後ほど解説します)。

2.セラミック塗料は悪徳業者が利用することで有名

「セラミックが配合された塗料です」と言われるといかにも高級そうに聞こえるため、悪徳業者は契約を勧めるツールとしてセラミック塗料を利用することがあります。

 

セラミック塗料を利用する悪徳業者は、以下のようなセールストークで契約させようと迫ってきます。

  • 「通常のシリコン塗料は耐用年数が12年ですが、弊社が開発した独自のセラミックシリコンなら20年の耐用年数を誇ります」
  • 「セラミックが100%配合された新開発の最新塗料で、弊社でしか取り扱えない貴重な種類です!」
  • 「セラミック塗料なら断熱性も高まってお家のデザイン性もアップします!」

などと悪徳業者は善良な営業マンを装って接触してきますので、上記のようないかにも怪しいセールストークであっても、外壁塗装について詳しくない方は騙されてしまうでしょう。

■セラミック塗料に関するよくある誤解

以下から、セラミック塗料について多くの方が勘違いしやすい注意点を解説します。

1.セラミックは塗料のグレードとは関係ない

外壁や屋根の保護に使われる塗料には、

  1. アクリル樹脂塗料
  2. ウレタン樹脂塗料
  3. シリコン樹脂塗料
  4. ラジカル塗料
  5. フッ素樹脂塗料

という5段階のグレードの違いが存在し、予算や家の耐久性によって選び分けられており、数字が大きい順に耐久年数は長くなり、最も耐久性が高い種類はフッ素塗料です。

 

ここで注意しておきたいのが、セラミックは塗料のグレードには関係がなく、「セラミック塗料」とは、アクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料のどれかにセラミックが配合されたものを指します。

 

また、外壁塗装用の塗料には樹脂の違い以外にも、水で薄めて使用する水性塗料とシンナーなどの溶剤で薄めて使用する溶剤塗料の違いや、一つの缶に主剤と硬化剤が入っている1液型と、主剤と硬化剤が二つの缶に分かれている2液型の違いなどもあります。

いずれの場合も、セラミックが含まれていれば外壁塗装においてはセラミック塗料と呼ばれ、例えばセラミック塗料が配合された水性塗料は水性セラミック塗料と呼ばれます。

2.セラミック塗料なら長寿命とは限らない

セラミックはあくまで塗料に配合された成分ですので、塗料の寿命を左右する力はありません。

●塗料の耐久性はセラミックではなく樹脂に左右される

大手塗料メーカーのエスケー化研では、『セラミタウンマイルド』というセラミックが配合されたウレタン塗料を販売していますが、この塗料の耐用年数は6~8年と記載されており、これはセラミック非配合の通常のウレタン塗料と変わらない耐用年数です。

同じくエスケー科研が販売しているセラミック配合のシリコン塗料『水性セラミシリコン』も、耐用年数はセラミック非配合の通常のシリコン塗料と同じ12~15年となっています。

 

このように、塗料の寿命はセラミックではなくベースとなる樹脂で決まりますし、ベースの樹脂がなければ塗料は成り立ちませんのでセラミック配合量100%の塗料も存在しません(セラミック100%がもし存在するとするなら陶器のようにかえって割れやすいでしょう)。

そのため、もしセラミック塗料を希望していないにも関わらず塗装業者からセラミック塗料を勧められて、

  • 「セラミックが配合されている塗料なので塗装すると外壁の耐久性が30年以上長持ちします」
  • 「100%セラミックでできた塗料なので他のセラミック塗料よりも耐久性が高いですよ」

などという事実無根の説明を受けても絶対に信用して契約しないように注意しましょう。

■セラミック塗料の種類と効果

セラミック塗料の中にも、ただセラミックを配合して終わりではなく、セラミックを配合することによって特殊な効果を発揮する種類もあり、その特殊な効果を大きく分けると、

  • 「石材調」の見た目になるセラミック塗料
  • 「断熱・遮熱効果」を持つセラミック塗料
  • 「低汚染性」を発揮するセラミック塗料

の3種類です。

1.石材調仕上げになるセラミック塗料

(画像はアペティーホームページより引用)

まるで天然の石をまぶしたような立体感のある仕上がりになるのが、各メーカーが販売している石材調仕上げのセラミック塗料であり、本物の石をまぶすと外壁が非常に重くなってしまいますが、こちらは石ではなく軽いセラミックの微粒子ですので塗装しても躯体に負荷をかけません。

ちなみに本物の天然石を砕いたものが配合されている天然石調塗料もあります。

 

外壁塗装ではスポンジに穴が空いたような砂骨ローラーで塗装する「ローラー工法」が主流ですが、よりごつごつしたリアルな石材調に仕上げるために「吹き付け工法」しか選択できない石材調セラミック塗料も存在します。

ただし吹きつけ工法はローラーよりも高い施工技術を必要としますので、施工実績が少ない業者には頼まない方がよいでしょう。

 

石材調仕上げのセラミック塗料を取り扱っている主なメーカー

メーカー名 商品名
山本窯業化工 『カラーセラミックス』シリーズなど
菊水化学工業 『キクスイスキンコート』、『キクスイグラストウォール』など
アペティー 『ラピス』、『アトモス』、『ヘリオス』など
エスケー化研 『エレガンストーン』、『グラニースタッコ』、『グラニパステル』、『サンドフレッシュSi』など
日本ペイント 『ジキトーン御影』、『ジキトーンセラローラー』など
関西ペイント 『アレスシリコンストーン』

上記のようにエスケー化研などの大手メーカーも石材調仕上げができる塗料を販売しています。

石材調仕上げは非常に手間とお金がかかりますので、

  • 多くの塗装業者が取り扱っている
  • インターネットに価格が出ており相場を調べられる
  • 会社がなくなって商品が廃盤になるリスクが低い老舗メーカー

のいずれか、または全てに当てはまるメーカーが販売している商品を選んでおくことをおすすめします。

●石材調セラミック塗料は工程が多い

石材調仕上げでは、塗装の最後に透明の上塗材(トップコート)で表面を保護する工程が必須になっており、この仕上げの工程を省略すると数年でボロボロとセラミックが剥がれ落ちてしまいます。

そのため石材調塗料はトップコートが不要な一般塗料に比べると工程数が多く、その分価格も高いのです。

 

先ほど例に挙げた日本ペイントの『ジキトーン御影』の「複色仕上げ(江戸切り目地)」は石材調セラミック塗料の中でも工程数が非常に多くなっています。

ジキトーン御影複色仕上げの工程

下地調整下塗り墨出し目地棒貼付捨吹き下吹き玉吹き戻し吹き目地取りサンダー目地棒貼付下吹き玉吹き戻し吹き目地取りサンダー目地仕上げ上塗り×2

これら全17工程を行ったときの㎡あたりの単価は17,890円と非常に高額です。

㎡あたりの施工単価は塗料の種類によって異なりますが、例えば紫外線に反応して外壁表面の汚れを分解する画期的な機能を持つ「光触媒塗料」は、外壁塗装用塗料の中で最も価格相場が高いと言われます。

しかしその光触媒塗料でも㎡あたりの単価は4,000~5,500円であり、石材調塗料ジキトーン御影の施工単価はその3倍以上ですので、工程数が多い石材調塗料がどれだけ高額かおわかりいただけるかと思います。

塗料ごとの㎡あたりの単価についてはこちらの記事でご確認いただけます

 

同じ石材調仕上げの『ニッペジキトーンセラローラー』の「標準模様仕上げ」はローラーで施工できるため少ない工程で済みますが、

下塗り、中塗り×2、上塗り(透明仕上げ材)

という合計四回の重ね塗りが行われますので、5,280円/㎡とやはり高めの施工単価です。

 

このように石材調仕上げのセラミック塗料を使った塗替えは、決して安い費用では行えないため、質の悪いメーカーや技術力が低い業者に当たると、投じた高額なリフォーム費用が無駄になってしまい非常に危険です。

どのメーカーの塗料を使ってどの業者に頼んだとしても、石材調仕上げを選ぶときは見積もりの工程数を必ず確認し、できることなら同じ仕上げ方で相見積もりをしましょう。

2.断熱効果を持つセラミック塗料『ガイナ』

日進産業のガイナは断熱・遮熱効果を持つセラミック塗料の一種で、ガイナ専門で塗装を行う外壁塗装業者があるほど人気が高く、機能面でも優れた機能性塗料です。

 

ガイナ塗料に含まれているセラミックは、中が空洞になっている球体の「セラミックビーズ」で、塗装するとこのセラミックビーズが塗膜表面に集まって「中空層」を作り、外壁や屋根、室内の壁・天井にガイナを塗ると、外壁と外の空気のあいだに中空層のバリアができます。

中空層には屋外と屋内で壁を通って移動しようとする熱を制限する力があるので、屋内の暑さや寒さを軽減させることができ、耐用年数は約15~20年と塗料の中でも長い方で、断熱や遮熱効果以外にも防音効果や消臭効果なども持つ塗料です。

 

ただしせっかくガイナで外壁や屋根を塗装しても、ガイナを塗る前の下地処理が甘かったり、下塗りに使う塗料を誤ったりすると、ガイナの塗膜が施工後すぐに剥がれて中空層もできず、断熱性や防音性はおろか建物の保護効果も発揮できないでしょう。

ガイナの効果を発揮するためには、下地処理や下塗り塗料選びを確実に行える施工業者を選ぶ必要があります。

●建物自体の断熱性能が低いと断熱塗装も意味がない

ガイナ塗料を塗装すると外壁や屋根に断熱効果が生まれますが、建物の断熱性を根本から向上させたいのであれば、塗装だけでなく断熱材を入れたり窓を交換したりするリフォームを行わなければ高い断熱効果は得られないでしょう。

特に窓や玄関ドアなどの開口部の断熱性が低いと、どんなに外壁をガイナで塗装しても暖かい空気は開口部から逃げてしまいます。

 

塗材の効果に頼りすぎた結果、あまり効果が感じられない不満足なリフォームになってしまっては意味がありませんので、ガイナを使った塗装に踏み切る前に、建物そのものの断熱性を図面などから計算して調べてもらうことをおすすめします。

塗料による断熱効果の詳細に関してはこちらをご覧ください

3.低汚染性を発揮するセラミック塗料

大手塗料メーカー関西ペイントの『アレスセラレタン』『アレスセラフッソ』は特殊なセラミックビーズが配合されたセラミック塗料で、塗装後乾燥すると、セラミック成分が塗膜表面に層を形成します。

外壁表面にできたセラミックの層には、雨などの水分を吸着しやすい「親水性」という性質があるため、降った雨水が外壁に付着しやすくなり、汚れの下に水が入り込んで外壁の汚れを洗い落としますので、汚れにくい外壁ができあがります。

 

大手塗料メーカーの日本ペイントでは『ファイン4Fセラミック』というセラミック塗料を、エスケー化研では『水性セラミシリコン』や『水性弾性セラミシリコン』というセラミック塗料を販売しており、これらの塗料もセラミック非配合の塗膜に比べて外壁に高い低汚染性をもたらすとされています。

 

このように、セラミック塗料はメーカーが違うだけでも意匠性や断熱性、低汚染性など全く異なる効果があるため、

  • 「全てのセラミック塗料には低汚染性があり外壁が汚れにくい」
  • 「セラミック塗料ならどれも意匠性も上がって耐久性も高い」

とセラミック塗料の効果を一括りで同じものとして扱ってしまうのは誤りですので、悪質な業者がこのような嘘の説明をしても騙されないよう注意しましょう。

特に悪徳業者になるとほんのわずかなセラミックが入っているだけで「人気のセラミック塗料です!」「セラミック塗料なので低汚染性で長寿命です」などと言ってくる可能性は高いです。

日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研という三大大手塗料メーカーのセラミック塗料であれば、取り扱う業者も多く施工事例も増えていますので、仕上がりの様子や価格相場を使用前に調べることが可能です。

しかし、大手塗料メーカー以外から販売されているセラミック塗料を使うときは、過去に使われた家があるか調べ、塗装後の感想や施工価格を十分調べるようにしましょう(同条件で相見積もりを取ればわかりやすいです)。

■おわりに

セラミックはあくまで塗料に配合されている成分であり、セラミックを配合したからといってすべての塗料が劇的に高性能になるわけではありませんし、意匠性の向上や断熱性向上といったリフォームの目的に合わせて選ぶことでセラミック塗料は真価を発揮します。

 

悪徳業者に得体の知れないセラミック塗料を勧められて、高額な工事をしたにも関わらず何の効果も得られなかったという結果にならないように、セラミック塗料の種類やメリット・デメリット、選ぶときに調べておく情報などを把握しておきましょう。

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