外壁塗装で汚れにくい家にするために気をつけるべき事

外壁塗装の目的は主に美しく見せるという美観と、家を守るという保護の意味がありますが、そのどちらもかなえるためには「汚れにくい」と言う事が重要になってきます。

汚れにくい家を作るにはどのような塗料を選び、どのように塗装し、どのようにメンテナンスをしていくべきなのか、まとめました。

汚れにくい家を作ることが非常に重要

きれいな家

汚れにくい塗料を選ぶと言う事は、外壁塗装には非常に重要です。外壁塗装の意味は大きく分けて二つで、「美観」と「保護」が、汚れやすい外壁塗装はこれら二つとも台無しにしてしまうのです。

雨がたれた跡がつく、藻・コケ・カビが生えている、外壁が変色している、さびがついているなど様々な汚れが存在していますが、そのどれか一つでも外壁にあったなら、他のところがある程度きれいだったとしても美しい印象を人に与えることは出来ません。

また、汚れというのはそのままにしておくと、どんどん大きく広がっていき、塗装で出来た保護膜(塗膜といいます)を少しずつ剥がしたり劣化させたりすることで、外壁や屋根の劣化を早めてしまいます。

汚れにくい塗料を選び、汚れにくい家にする事は、長く家に住むためには必要な努力なのです。良い塗料の選び方から、汚れたときに出来る事は何なのかまでまとめました。汚れにくい家造りの参考にしましょう。

汚れの種類

外壁塗装汚れ画像

汚れには様々なものがありますが、外壁や屋根につく汚れというのはどのようなものがあるのかを確認しておきましょう。

雨だれ

雨だれは、窓枠、換気口など壁にある突起物、その他雨が当たるところなら何処でも出てくる厄介な汚れで、水が垂れたような黒いあとのことです。ほとんどの家で見ることが出来ると思います。

排気ガスなどを含む空気中の油分、ゴミが晴れた日に屋根や外壁に少しずつたまっていきます。そして雨が降ったときに流れるのですが、窓枠の下や突起物の下などの外壁の一部分で雨水が集中的に流れてしまい、汚れが残ってしまった跡です。きちんと構造上きちんと雨水が通る道を作って上げる事が出来ればある程度は防ぐ事は可能ですが、多少の汚れは残ってしまいます。

洗っても落ちない、と言うものではありませんので、ついてしまった場合は、家庭用の高圧洗浄機や、中性洗剤を使って落とすようにしましょう。

藻、コケ、カビ

藻、コケ、カビは、日がなかなか当たらない、風通しが悪いなどで、雨水などがなかなか乾かない湿気が高い場所に出てきてしまう汚れです。特に北側の外壁や屋根に多いです。

外壁に使われている塗料や、材料が吸水性が高いものだった場合、水が長く壁にとどまってしまうので、藻などが出来やすくなってしまいます。防ぐ為には吸水性が低いものを選びましょう。ちなみに防藻性、防カビ性を推している塗料も存在します。

藻が出てきたばかりの初期段階であれば、家庭用高圧洗浄機で十分に落とすことが出来ます。それでも落ちない場合は、屋外用のコケとり剤、カビとり剤等を使って落としていく必要がありますが、カビを落とした後は薬剤をしっかり落とすようにしましょう。外壁の塗料と反応して変色等を起こしてしまう可能性があります。

錆(さび)

金属部が錆びた物が雨水によって流れて、雨だれのように錆が広がってしまいます。それだけではなく、酸性雨にわずかに含まれる金属系のイオン分子(鉄イオンなど)にコンクリート内の成分が反応して錆が出てしまう事もあります。

塗り替えの時期であれば、錆をこすって落として上から塗装をすれば問題ないのですが、塗り替えの時期ではない場合は、外壁につかえるサビ落とし剤などを使用して落とすほかありません。こちらに関しても、使った後は薬剤をしっかりと洗い流すようにしましょう。

ちなみにガルバリウム鋼板などの金属系の外装材を使用している場合、非常にデリケートで早急な対策が必要となりますので、すぐに専門業者に依頼しましょう(ガルバリウムに関する記事はこちら)。

変色

紫外線や雨などを浴び続けた結果、外壁の一部の色が変わってしまう現象です。日当たりが良い場所で発生する可能性が高いです。これは主に塗膜の劣化などから起こってしまいます。洗浄してどうにかなるものではないので、外壁塗装を考えた方が良いでしょう。

同様の現象で、壁が色あせてしまう変退色という現象があります。

信頼出来る汚れにくい塗料

塗料イメージ

汚れにくいという性質の事を低汚染性と言い、この性能を備えた塗料は各メーカーから非常にたくさん出ています(藻には防藻性、カビには防カビ性など対応する性質があります)。それだけ汚れにくさというのは外壁塗装にとって重要ということになります。

しかし、中身が伴っていないのに、低汚染性を大げさに売り出すメーカーや、オリジナル塗料を出す外壁塗装も残念ながら少なくありません。メーカーは信頼出来る大手メーカーのものを選ぶようにこころがけましょう。日本で歴史があり、信頼もある塗料メーカーは日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研です。それ以外のメーカーが悪いという意味でないのですが、わざわざ信頼出来ないかもしれないリスクを負って、歴史が浅いところに頼む必要はありません。家を守るという役目は失敗する事が出来ないからです。

大手塗料メーカーの汚れにくい塗料「超低汚染性」の塗料をリスト化しました。塗料の単価相場に関してはこちらをご覧ください。

塗料を選ぶポイントも書きましたので、そちらを読んでから、大手メーカーのリストをご覧ください。

汚れにくい塗料を選ぶポイント

グレードはシリコン、フッ素以上

塗料のグレードはウレタンなどもありますが、出来ればシリコン、フッ素以上のグレードの塗料にしましょう。耐用年数が10年以下だと、次に塗りかえるまでの期間も短く、再度足場を組んで塗り替えを行わなくてはいけませんし、安い塗料だと、かなり早い段階で、外壁に汚れがつきやすくなってしまいます。

もちろん上のグレードにしたからといって、全く汚れないというわけではないのですが、汚れるリスクは減ります。

弱溶剤、溶剤

臭いが少ない、環境への配慮が出来る、人体への影響が少ないなどの理由から、今は水性塗料がかなり普及してきました。溶剤塗料にも迫る機能性を持ったものも多いです。

しかし、全体を通して考えると、やはり水性塗料よりも、弱溶剤、溶剤塗料の方が耐久性が高く、長い間保護膜を形成してくれます。水性と溶剤塗料のどちらかが汚れにくさに優れているという話ではなく、より長い間汚れにくさを持続してくるという意味で、溶剤塗料の方が良いでしょう(参考:溶剤と水性について)。

ただ、溶剤塗料は施工中は臭いがしますので、近隣の方や家族への配慮は必要です(参考:溶剤の臭いについて)。

2液型

こちらも溶剤同様、汚れにくさだけでいえば、1液も2液もあまり関係なく、汚れにくさは塗料そのものの低汚染性にかかっているといえますが、2液型の方がより強力な塗膜を作る事が出来るので、長い間外壁を守ってくれます。

ただ、もちろん1液型でもしっかりとした低汚染性を持つ塗料もあるので、業者さんと相談して決めましょう。

ツヤあり

艶のある建物

ツヤがあまり好きではないということで、ツヤをあえて消す艶消し塗料を利用する方がいらっしゃいますが、汚れにくさという観点で言えば、絶対に艶があった方が良いです(参考:塗料のツヤについて)。

ツヤは経年劣化でどんどん消えていきますが、あるうちはきちんと汚れにくさを発揮してくれます。

色に関しては賛否両論ありますが、白の外壁にした方の方が、「うちの外壁は汚れやすいのではないか」と感じる割合が多い傾向にあります。真っ黒や原色も汚れが目立つ色ではあるのですが、そもそもあまり外壁に使われる事がありません。

色は汚れにくいからこの色にしようと考えるよりも、好きな色(もちろん外壁に合った色)を選んだ方が良いので、白が好きな場合は、もちろん白にしても問題ありません。日々のメンテナンスで汚れを克服しましょう(色選びに関しての記事はこちら)。

日本ペイント

塗料名 グレード 溶・水 液型
スーパーオーデフレッシュF フッ素 水性 1液型
スーパーオーデフレッシュSi シリコン 水性 1液型
ファインシリコンフレッシュ シリコン 弱溶剤 2液型
ハナコレクション200UVファイン シリコン 弱溶剤 2液型
ファイングラシィSi シリコン 弱溶剤 2液型
デュフロン4FIIスーパーフレッシュ フッ素 溶剤 2液型
アプラウドシェラスターNEO 無機 水性 2液型
ハナコレクション500コート 無機 水性 1液型

関西ペイント

塗料名 グレード 溶・水 液型
セラMシリコンⅢ シリコン 弱溶剤 2液型
セラMフッソ フッ素 弱溶剤 2液型
アレスアクアセラフッソ フッ素 水性 2液型
アレスアクアセラシリコン シリコン 水性 2液型
リベルセラトップSi シリコン 水性 2液型
リベルセラトップF フッ素 水性 2液型
リベルセラトップⅡ シリコン 水性 1液型

エスケー化研

塗料名 グレード 溶・水 液型
水性セラタイトSi シリコン 水性 2液型
水性セラタイトF フッ素 水性 2液型
水性弾性セラタイトSi シリコン 水性 2液型
水性弾性セラタイトF フッ素 水性 2液型
水性クリーンタイトSi シリコン 水性 1液型
SKセラミファイントップ セラミック 水性 1液型
クリーンマイルドウレタン ウレタン 弱溶剤 2液型
水性セラミシリコン シリコン 水性 1液型
水性弾性セラミシリコン シリコン 水性 1液型
クリーンSDトップ シリコン 弱溶剤 2液型
セラタイトF フッ素 溶剤 2液型
弾性セラタイトF フッ素 溶剤 2液型
スーパーセラタイトF フッ素 水性 1液型
弾性クリーンマイルドウレタン ウレタン 弱溶剤 2液型

それでも汚れた場合はどうするべきか

水で外壁を洗う

残念ながら、汚れにくい塗料を使ってもどうしても汚れてしまいます。その時にどうした対処法があるのかを簡単にまとめました。

ホースで水をかける

ホースでたまに水をかけてあげて、汚れが特に酷いところなどを流します。出来れば屋根から流すことで家全体を水で流すことが出来るのですが、近隣にも水が飛ぶ可能性があるので注意しましょう。

はしごを使って屋根にかけるのは、危ないのできちんと安全を確保した上で行ってください。屋根に登っての水まきは非常に危険ですので控えましょう。

高圧洗浄で洗い流す

家庭用高圧洗浄機を使えば、汚れの初期段階のものはほとんど取り除くことが出来ます。業務用では強すぎるので、ケルヒャーなどの家庭用高圧洗浄機で十分でしょう(高圧洗浄機についてはこちら)。

しかし、ある程度汚れがついてから時間が経ってしまっていると、高圧洗浄機でも取り除く事が出来なくなってしまうので、出来ればそうなる前に汚れを落としてしまうようにしましょう。

薬剤をかけて落とす

高圧洗浄で落ちない汚れは専用の薬剤をかけて落とす事が出来ます。錆ならサビ落とし、藻なら藻落とし、カビならカビ落としとそれぞれ専用の薬剤を使えば簡単に落とす事が可能です。

ただ、高所の作業は非常に危険なので、業者に任せるなどした方が良いでしょう。

そして、薬剤をかけて落とした後は、水でしっかりと薬剤を落とす必要があります。そうしないと、外壁を保護している膜が傷ついてしまったり、変異してしまったりする可能性があるからです。

業者に依頼する

プロの技術と、道具を使ってしっかりと汚れを落としてくれます。ただ、相場は外壁塗装工事の時の高圧洗浄機よりも高い場合が多いです(外壁塗装とセットなので高圧洗浄を安くしているという業者が多い)。

汚れにくいで有名な塗料の本当の実力は?

汚れにくい家

光触媒塗料

壁に塗った塗料が太陽光により汚れを分解し、雨の力で汚れを洗い流すというセルフクリーニング機能を持った塗料です。これ自体ものすごい塗料なのですが、大手メーカーは外壁用塗料において光触媒に着目しておらず(関西ペイントがエコデラックスⅡという光触媒を含んだ塗料を販売していますが、こちらはホルムアルデヒド抑制用)、不安が残ります。

また、非常に高額で、その分機能は充実しているものの(空気浄化、抗ウイルス、抗菌、抗カビなど)、汚れが全くつかないという事ではないので(全く汚れない塗料はない)、汚れにくさで選ぶ塗料ではありません。

ただ、今後、価格が安定し、多くの人が使うようになれば、光触媒塗料は汚れにくく、信頼性が高い塗料になる可能性があります(今はまだ発売されて日が浅いので信頼性が低い)。

光触媒塗料についてはこちら

ナノテク塗料

ナノというのは非常に小さいことを表す言葉で、ナノテクの塗料は、非常に細かい粒子を塗装面に並べ、汚れそのものをつきにくくするという塗料です。こちらも非常に高額ではありますが、大手メーカーはそこまで力を入れていないので(SKセラミファイントップというものがエスケー化研が作ったナノテクの塗料だが、模様がついた(意匠性)外壁の上から塗る透明の塗料)、現段階ではリスクが高い塗料と言えます。

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