リフォームの前に知っておきたい、外壁塗装会社の内情とは?
「外壁塗装を行う会社」と聞くと、足場の上で壁に塗料を塗っている職人の姿をイメージするのではないでしょうか。
しかし、塗装を請け負う会社は、塗装作業だけなく、家一棟を塗り替えるために様々な設備を揃え、より多くの顧客を獲得するために多くの営業努力を重ねています。
塗装会社の経営の内情を知ることができれば、見積もりや打ち合わせがスムーズになり、最も理想に近い業者と出会う確率が高まるでしょう。
この記事では、塗装会社がどのようにお店を経営しているのかについて紹介します。
目次
■塗装会社と外部業者のかかわり
まず知っておきたいのが、外壁塗装工事では、塗装以外にも様々な作業が行われるということです。
- 現場の劣化状況を調査
- 建物の周りに足場を架設
- 塗装前に外壁の劣化を補修
- 外壁以外のエクステリア工事
- 簡易な電気工事
- 外壁の耐震工事
- 産廃物の処分
このうち、足場の架設や産廃処分など、専門の資格が必要な作業などは、外部業者に頼まなければ行えないという会社もあります。
1.外部業者が工事に関わることの危険性
塗装会社が自社で行えない作業は、外部業者にお金を払って頼む必要がありますが、請負契約を交わす業者同士が癒着していたり、公平な付き合いでなかったりすると、本来の相場以上の中間マージンが発生することがあります。
●中間マージンが膨れ上がることがある
自社に工事部門を持たないリフォーム業者に、外壁塗装を依頼したケースで、中間マージンが発生する流れを見てみましょう。
自分の会社に工事を行えるスタッフがいないリフォーム業者は、下請け業者に工事を発注します。
さらに、その下請け業者が何らかの事情で工事を行えない場合は、下請け業者が孫請け業者に工事を発注します。
このように、1社だけでなく複数社が工事に絡むと、参加業者の数だけ中間マージンは膨らんでいきます。
そして、その中間マージンは、工事を発注した客が支払わなければならないのです。
不当に高い中間マージンを支払いたくない方はこちらから無料で優良業者を紹介いたします。
●施工品質の低下を招く恐れがある
客が支払った工事金額を最も多く受け取るのは、元請けのリフォーム業者です。
そして、下請け業者が取った分を差し引くと、最終的に施工する孫請け業者に行き渡るのは、工事料金全体の4分の1程度になってしまいます。
元請け業者が悪質だった場合は、信じられないような薄給で下請け業者に工事を発注していることもあります。
しかし、集客力が少ない下請け・孫請けの外壁塗装業者は、元請けからの仕事を断ってしまうと仕事がなくなってしまいますので、少ない費用でもなんとか工事を行わなければなりません。
そのため、塗料を薄めたり、下塗り・中塗り・上塗りのいずれかを省いたり、ボロボロの道具を使い回したりしながら、質の悪い工事を行わざるを得なくなります。
2.「完全自社施工」の業者は施工品質が下がりにくい
「完全自社施工」とは、塗装作業やリフォーム工事自体を、その会社のスタッフだけで処理することです。
このような自社施工管理体制の会社では、儲けは施工店の材料費や人件費としてしっかり投じられます。
そのような環境であれば、塗装を行う職人としても作業が行いやすく、耐用年数が長い大手メーカー塗料が使われ、高品質な仕上がりが期待できるでしょう。
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3.下請けを使う会社すべてが悪いわけではない
このように下請け業者を介してリフォーム業を営むことは、決して不正な行為ではありません。
一部の悪徳業者が、必要以上にお金を抜き取って下請け工事を強行するケースが問題になるだけであって、元請けと下請けの関係が良好な一般業者であれば、施工品質が下がることはありません。
●専門スキルに長けた下請け業者は心強い存在
下請け業者の中には、一つの作業だけに特化した専門集団として経営している所もあり、多くの現場でそのスキルが活かされています。
例えば、外壁塗装工事の際には、ベランダやバルコニーの防水工事が同時に行われますが、下請け業者の中には、この防水リフォーム専門店として活躍している所もあります。
また、外壁工事に欠かせない足場も、足場専門業者に依頼することによって、塗装会社は、足場工事のあいだ他の現場に自社スタッフを向かわせることができますので、より多くの現場で塗装工事を行えるようになります。
■広告費を投じる会社は施工費用が高くなりやすい
どんなに工事を行える環境が整っていても、お客さんが来てくれなければ会社は成り立ちません。
そのため、塗装会社の中には、テレビやホームページなどの広告を通じて、自社の魅力を発信している所もあります。
1.広告費に投じた予算は工事費用で回収されている
ホームページの作成、テレビやラジオCM、折り込みチラシ、Google広告など、集客のために投じる広告費は、会社を経営していくためには当然発生する必要経費です。
そして、広告費にかけた予算は、外壁塗装工事費用から回収することになります。
つまり、テレビや雑誌などで大々的に宣伝している大手リフォーム業者ほど、工事費用が高くなっている恐れがありますが、施工品質さえ納得できれば、工事にその費用が還元されていると考えることもできるでしょう。
2.広告費を減らすためにクチコミを活用している業者もある
広告費を必要せず、かつ最も集客効果が高い宣伝方法は、「顧客のクチコミ」です。
もし、どの塗装会社に依頼しようか迷っているときに、日頃から付き合いのある近所の人や知り合いから、「あの外壁塗装会社は親切で丁寧だったよ」と聞けば、「○○さんがそんなに褒めるくらいだから、信頼できそうだ」と安心できるものです。
そうやって工事を発注した人が、さらに他の人にもクチコミを伝えていくことで、地域一帯にどんどんよい評判が広がっていけば、広告を使わずとも、会社の魅力を多くの人に確実に知ってもらうことができます。
そのため、多くのリフォーム会社や塗装会社などは、口コミが拡散されるように、「ご紹介キャンペーン」として、紹介する側、される側ともに数千円のキャッシュバック等を行っています。
●クチコミを見るときは「リピーター率」に注目
クチコミの満足度が高いという理由だけで塗装会社を選ぶのは禁物です。
- 「職人の愛想が良かった」
- 「説明がわかりやすい」
- 「担当者の人柄がいい」
などのように、たとえ業者の人間性が優れていたとしても、それが必ずしも塗装の品質に反映されるとは限りません。
外壁塗装会社を選ぶときは、スタッフの人柄や性格といった工事に関係ない部分だけでなく、施工業者としての技術力や施工品質といった専門性の部分も検討すべきです。
もし、口コミを参考にして業者を選ぶときは、「リピーターの多さ」を確認するとよいでしょう。
リピーターになるということは、もう一度頼みたいほど満足しているという証拠であり、過去に塗装した外壁や屋根に、一定期間経ってもトラブルが起きていないと考えることができます。
リピーターの多さは、
- 「以前外壁を塗装したお客様で、サッシの交換リフォームを行いました」
- 「雨漏りでご相談いただいたお客様から、外壁の塗装もご依頼いただきました」
といった、施工に至った理由から確認することができます。
施工に至った理由は主にホームページに掲載されていますが、されていないこともあるので、リピーターが多い業者選びは、こちらでご相談いただければご案内いたします。
■よい塗装会社かどうかを見分ける方法
以下からは、ここまでご説明してきた内情を踏まえて、よい塗装会社かどうかを見分けるポイントや注意点について解説していきます。
1.塗装会社を訪問するときのチェックポイント
どんな塗装会社かは、ご自身で塗装会社に赴き、実際に判断するまではわかりません。
しかし、塗装会社に直接足を運ぶと、インターネットやクチコミからは伝わらない、多くの情報を仕入れることができます。
●社内の掲示物をチェックするときのポイント
訪問した会社の壁や棚に、以下のような掲示物がないかチェックしてみましょう。
- 都道府県知事の建設業許可証
- 建築に関する資格証
- 大手メーカーからの表彰状
- 補助金や助成金のポスター
まず、契約金額が500万円以上になる工事を請け負う会社は、都道府県知事から建設業許可を取得する必要があります。
一般的な戸建住宅の塗装工事の場合、500万円以上になるケースはごくまれですので、建設業許可がなくても問題はありません。
しかし、都道府県知事の許可証を持っている業者ということは、一定の事業資本や施工品質をクリアしている業者ということでもあります。
また、建築工事に関する資格には様々なものがありますが、まず見つけておきたいのが、難関国家資格と言われる「塗装技能士」です。
一級塗装技能士になるほど専門性は高くなりますが、二級でも十分技術を持つ有資格者であることに違いはありません。
塗装に関する資格としては、他にも「防水施工技能士」、「サイディング診断士」、「足場の組立て等作業主任者」、「雨漏り診断士」などがあります。
大手メーカーの表彰状は、地域内の販売実績を示すものが大半ですが、名前を聞いたことがあるメーカーかどうかだけでもチェックしてみるとよいでしょう。
- エスケー化研
- 関西ペイント
- 日本ペイント
- アステックペイント
などが、全国で多くのシェアを持つ大手メーカーです。
そして、優良な業者は補助金や助成金の利用を積極的に勧めてくれますので、これらの案内ポスターやパンフレットが応接間にあるかどうかもチェックポイントです。
なお、これらの掲示物を見るときは、許可や資格の有効期限も必ずチェックしておきましょう。
●相談のしやすさをチェックするときのポイント
打ち合わせのときは、その担当者との相性を意識しておきましょう。
- 初対面でも気兼ねなく相談できるか
- 会話のキャッチボールは心地よいか
- 一方的に営業トークを続けずこちらの意見をしっかり聞いてくれるか
- 高圧的な態度で相談内容を決めつけてしまわないか
塗装工事では、工事前から完了後まで、常に担当者との報告・連絡・相談が発生します。
もし、こちらの相談内容を全然理解してくれない相性の悪い担当者だと、思ったことを伝えられず、満足できない工事結果になってしまう恐れがあります。
一度契約してしまうと会社は変えられませんので、必ず、契約前の打ち合わせで積極的に質問し、担当者の人となりを理解しておきましょう。
また、訪問時の担当者が施工も担当してくれるとは限りませんので、もし気に入った担当者だった場合は、工事中の窓口になってもらえるかどうかも必ず確認しておきましょう。
2.建物調査で業者の施工品質がわかる
その業者が工事を真面目に行ってくれるかどうかは、建物診断の内容で判断することができます。
経験豊かな優良業者は、塗装前に「建物診断」を行い、診断結果にもとづいた根拠のある工事見積り書を作成してくれます。
また、見積りの前に建物診断を行うことで、塗装前には気づかなかった屋根や外壁の破損を発見してもらえます。
小さな破損でも、そこから雨水が建物の内部に侵入すると、外装材が劣化したり雨漏りなどの被害に発展したりする恐れがありますので、塗り替え前に補修しておかなければなりません。
もし、建物診断を行わずに一式見積もりを作られても、建物の劣化症状に適した工事内容にならないばかりか、工事開始後にあちこちで追加工事が発覚し、見積もりの金額を上回ってしまう恐れがあります。
現地調査は数十分から1時間程度ですが、外壁面積や外装材の種類といった建物の情報をできるだけ集めて、より精密に調べてくれる業者ほど、施工不良や追加工事のリスクも低くなるでしょう。
3.急に訪問してきた塗装会社には要注意
現在、リフォームにおける被害相談の多くを占めているのが、一部の会社で横行している「訪問販売」による被害です。
ある日突然、営業マンが家を訪ねてきて、「本日中に契約すれば安くなります」などと言って強引に高額な契約を迫ったり、建物診断もせずでたらめな工事を行ったりするなどの販売手口が問題になっています。
中には、表向きには外壁塗装会社のように見せかけているだけで、塗装どころかリフォームの知識もない会社も紛れているため、突然訪問してきた知らない業者とは、絶対に契約を即決してはいけません。
ありえない値引きや不安を煽るセールストークにつられて契約してしまわないように、塗装会社を選ぶときは、最低限、下記の点に注意しましょう。
- 建物診断せずに見積もりを作ろうとする訪問業者は避ける
- 緊急性を主張して不安を煽られてもその場で契約書にサインしない
- 1社だけではなく複数業者からの見積もりを参考にする
さらに詳しく塗装会社の選び方を知りたい方はこちらもご参照ください。
■おわりに
塗装会社は、より多くの人に存在を知ってもらうために、様々な方法で事業を展開しています。
専門資格を持つ外注業者を利用したり、広告を使ったりすることもあれば、それらを一切使うことなく、企業努力のみで地域内での認知度を高めている所もあります。
最も大切なことは、発注する客側が、そういった内情を理解したうえで、自ら塗装会社の情報を集めることです。
クチコミや訪問販売で即決せず、お住まいにとって最も信頼できる業者を、時間をかけて選んでいきましょう。