外壁塗装工事について詳しくない方は、見積もり依頼の方法や工事前に済ませておくべき準備などについてわからないですし、工事中や工事が終わった後も不安や疑問が生じる可能性が高いため、外壁塗装工事を安心して終わらせるためには、信頼できる相談先を見つけておく必要があります。
この記事では、外壁塗装工事に関して外壁塗装駆け込み寺に寄せられる相談事例をご紹介しながら、相談先の候補や相談するときの注意点などを解説します。
目次
■外壁塗装に関する相談の内容とは
外壁塗装などのリフォーム工事は、業者自身が「クレーム業界」と呼ぶほど毎年多くのトラブルが報告されており、外壁塗装工事はトラブルの報告件数だけでなく、相談内容が多岐に渡ることも特徴です。
1.外壁塗装に関する相談で多いものは?
以下からは、外壁塗装駆け込み寺に寄せられる相談のうち、特に多いものを相談内容別にご紹介します。
1.工事前の相談
外壁塗装工事前に発生する相談の内容としては、主に見積もりに関するものが多く、次点で工事開始日がなかなか決まらないといった相談も寄せられています。
●業者の見積もり金額が適正かわからない
外壁塗装工事では、多くの人が見積もりの金額に対して不安を感じますが、業者から提示された見積書の金額がお住まいの塗装に対し適切かどうかは、複数の業者に相見積もりを取ることで確かめられます。
平均の金額よりも突出して高い業者があれば理由を聞き、半額以下など不自然に安くなっている業者に対しては、足場架設工事や高圧洗浄、塗装の三回塗りといった基本の工程を省いていないか確認し、手抜き工事によって安くなっていないか確認しておきましょう。
どの業者に相見積もりを頼んだら良いかわからない場合は、外壁塗装駆け込み寺の一括見積もりサービスをご利用ください。
●訪問販売業者の勧誘がしつこくて困っている
訪問販売業者がお宅を訪ねて、外壁塗装工事を勧めてくることがあり、これらの訪問販売業者の中には良い業者もいますが、中には契約を強引に迫り何度も電話してくるような悪質な業者も紛れています。
しつこい勧誘にお困りの際は、恐喝や暴力に発展する前に、お近くの交番や警察署などに会社名を報告して見回りなどを依頼しましょう。
●契約して半月以上経つのに着工日の連絡が来ない
塗装業者と契約書を交わした後は、通常は1週間前後で工事日の連絡が来ますが、半月以上経っても連絡がないときは催促の電話を入れましょう。
また、工事日が決まらないという相談では、契約金を前払いしているケースもあり、契約金を全額工事前に受け取って逃げてしまう悪徳業者の相談事例もありますので、契約金の前払いや一部先払いは業者側にどのような理由があっても絶対に断りましょう。
●見積もりをしたがキャンセルしたい
見積もりは無料で行えますので、もし工事内容や金額に納得できなければ契約を交わす必要はなく、キャンセルしたからと言ってキャンセル料を取られることもありません。
もし見積もりのキャンセル料を請求された場合は、消費者センターに電話で相談し、キャンセル料を支払う必要がないことをはっきりさせ、必要性があれば消費者センターの担当者にキャンセルの電話を代行してもらうこともできます。
外壁塗装駆け込み寺の一括見積もりは、キャンセルの代行も可能です。
2.塗装工事中の相談
塗装工事は工事が始まってからの相談も多く、トラブルを避けるためには工事前に外壁塗装の基本の工程を知っておくことが大切です(外壁塗装の基本の工程については、こちらのページで対策も踏まえて詳しく解説しています)。
●塗料の臭いで具合が悪くなった
外壁塗装用の塗料はシンナーで薄めて使う溶剤系塗料があり、使用中は強いシンナーの刺激臭が敷地の周囲に立ち込めるため、戸建て住宅の塗装では、臭いが少ない水性塗料が使われるようになってきましたが、水性塗料も無臭ではありません。
塗装作業の期間は、約2週間と外壁塗装の大半を占めるため、臭いで具合が悪くなるか不安であれば、塗装作業のあいだはなるべく外出するか、仮住まいを用意しておくと良いでしょう。
●工事中に窓を開けられなくて洗濯物が干せない
外壁塗装工事中は、ビニールシートで窓が養生されて開けられなくなり、塗料や高圧洗浄の水しぶきが付着する恐れがあることから洗濯物も干せなくなります。
窓が開けられなくなることと洗濯物が干せなくなることは、外壁塗装工事を行うためには避けられませんので、工事期間中は若干の生活に支障が出ることも覚悟しておかなければなりません。
●室外機がビニールシートで覆われてエアコンが使えない
工事中は外壁やベランダに置かれているエアコンの室外機も、養生のためにビニールシートで覆われ、塗装作業中はエアコンが使えなくなりますので、エアコンが不要な時期にしたり、業者さんにエアコンを使っていい期間を厳密に確認するなどして乗り切るようにしましょう。
●騒音が発生することを知らされていなかった
外壁塗装で主に騒音が発生するのは、足場を組み立てる1日間と、下地処理のために工具を使って外壁のひび割れや鉄部の錆びを落とす1~2日間ですが、工事期間中は常に工事車両が敷地近くを移動し、作業員の掛け声なども発生しますので、ある程度の騒音が出るものと思っておきましょう。
●工事に来た職人の態度が悪い
近年の外壁塗装業者は職人のマナー教育やあいさつ指導などに力を入れていますが、
- 勝手に家のトイレや倉庫に置いていた掃除用具を使われた
- 挨拶をしても返事をしない
- 仕事以外の私語がうるさい
といった職人の態度に関する相談もゼロではありません。
このような場合は職人一人一人に直接注意をすると言い合いなどのトラブルに発展する恐れがありますので、工事を管理しているリーダーや営業担当者に報告し、大元から改善を促しましょう。
●工事が始まってから追加工事を知らされた
外壁塗装工事では、見積もり作成時に現場調査が行われ、必要な工事はその時にわかったものはすべて見積書などに書き出されますが、後から追加工事が必要になるケースもあります。
このような場合、優良業者であれば追加工事分の見積もりを別途作成し、工事をするかどうかを施主に必ず確認してくれるのですが、悪徳業者は工事が始まって引き返せない状況になってから、わざと追加工事を報告してくることがあります。
ひどいケースでは勝手に追加工事をして強制的に料金を請求されることもありますので、もし契約していない工事を勝手に行われた場合は消費者センターに相談し、こちらが望まない工事だったことを必ず伝え、悪徳業者から料金を請求されないようにしましょう。
3.工事後に関する相談
工事が終わってからも相談は発生しますので、塗装業者を選ぶときは工事後まで丁寧に対応してくれるかどうかも考慮しましょう。
●塗装の色が気に入らない
外壁塗装工事において色選びに関するトラブルは非常に多く、仕上がりに満足するためにも工事前の色選びには時間をかけなくてはなりません。
塗料の色選びに関するトラブルと対策は、こちらのページで詳しく解説しています。
●塗り忘れを見つけた
優良業者は外壁塗装工事が一通り終わると、足場を撤去する前に施主立ち合いのもとで工事完了検査を行ってくれます。
業者が帰った後に塗り忘れを見つけないように、塗り忘れ等の気になる部分は完了検査の時点で対応してもらいましょう。
●建物や敷地内の私物などが破損していた
建物や私物の破損は、工事から時間が経ってしまうと塗装業者のスタッフが破損したかどうかわからなくなってしまいますので、余計なトラブルを招かないためにも、外壁塗装期間中はなるべく外壁まわりに私物を置かないようにしましょう(業者さんに頼めば撤去を手伝ってくれる場合もあります)。
●施工した業者がアフター保証に応じてくれない
施工業者の倒産や経営不振などの理由で、工事後のアフター保証に対応してもらえないことがありますし、悪徳業者の場合はアフター保証書を発行していても保証する気がない場合もあります。
せっかく保証を付けてもらったのに対応してもらえないという結果にならないように、外壁塗装工事に付けられる保証の種類を把握しておきましょう(外壁塗装工事の保証はこちらのページで詳しく解説しています)。
4.近隣住人とのトラブルに関する相談
屋外で行う外壁塗装工事は、近隣住人とのトラブルが付きものです。
●近所の人から騒音、臭い、工事車両に関するクレームが来た
近隣住人からクレームを受けないためには、工事の一週間前までに工事実施の連絡を済ませておくことです。
近隣住人への挨拶まわりは外壁塗装業者が行ってくれますが、不安な場合はこちらのページで近隣トラブルの事例を知っておきましょう。
●塗料が飛散して近所の家や車に付着してしまった
万が一塗料が飛散して近隣住宅の私物に付着してしまった場合は、自己判断ですぐに補修費用を負担してしまわず、いったん写真を撮って施工業者に報告しましょう。
●塗装後の色に対してクレームを受けた
お住まいの色はできるだけ周囲の景観に合わせて選ばなければ、浮いて目立ってしまい近隣からクレームが来ることがあります(周囲の景観に合わせた色選びのコツは、こちらのページでも解説しています)。
■外壁塗装工事に関する相談先一覧
上記のように、外壁塗装工事には様々な相談内容がありますが、これらの相談を一括して対応してくれる窓口としては、以下のような所があります。
1.リフォーム業者や建築士
施工をした業者や見積もりを依頼した業者ではなく、第三のリフォーム会社や建築士事務所などに外壁塗装工事に関する相談をすることも可能ですが、全ての業者が契約していない客の相談に快く応じてくれるわけではありません。
リフォームに関する相談は、
- セカンドオピニオンを受け付けている業者
- 相談会を開催している業者
- 外壁塗装駆け込み寺などの第三者運営の一括見積もりサイト
のいずれかに相談すると確実です。
2.公的機関
公的機関に相談すると、消費者でも施工業者でもない第三者機関として、公平なアドバイスをしてくれます。
●住宅リフォーム・紛争処理支援センター
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、住宅に関する専門の相談窓口として国土交通大臣から指定を受けた公的な機関です。
直接電話で相談できる「住まいるダイヤル」や、業者が作成した見積もりを無料で診断してくれるサービス、弁護士や建築士などの専門家と対面で詳しく相談するサービスなどの利用が可能です。
機関のホームページには、新築・リフォーム・中古住宅購入など住まいに関する様々な相談事例も掲載されていますので、外壁塗装工事前に見てみると良いでしょう。
●国民生活センター
独立行政法人国民生活センターは、リフォームだけでなくショッピングや契約など消費行為全般に関する相談を解決する機関で、住宅リフォーム・紛争処理支援センターと違って住宅専門の相談窓口ではありませんが、契約に関する内容であれば「消費者ホットライン」から相談することができます。
●自治体のリフォーム相談窓口
お住まいの市町村によっては、外壁塗装工事などのリフォームに関する相談窓口が設けられていることがあり、自治体内で活動している弁護士や建築士などの専門家や、セカンドオピニオンを行っているリフォーム業者などを紹介してもらえます。
ただし、消費者だけでなく業者側が許可証の申請や更新の相談窓口として利用するために設けられている窓口もあり、自治体によって窓口の対応内容には違いがあるため、外壁塗装工事に関する相談を受け付けてもらえない可能性もあります。
住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、全国の地方自治体別にリフォームの相談窓口をまとめています。
3.弁護士
トラブルを公平に解決する専門家といえば弁護士ですが、弁護士によって解決実績が豊富な分野と不得意な分野がありますので、外壁塗装工事について弁護士事務所に相談する時は、リフォームに関する紛争処理の実績がある事務所を選びましょう。
■外壁塗装の相談は早めが肝心
外壁塗装工事に関する相談は、塗装業者や公的機関など様々ですが、どこに相談する場合でも共通して守らなければならない注意点があります。
1.相談は証拠と共になるべく早めに行う
外壁塗装工事に関する相談は、契約に関する取り決めなどの証拠(できるだけ書面)が残っているうちにできるだけ早めに行いましょう。
●証拠は写真で残しておこう
例えば、外壁塗装工事のあと、駐車場に停めていたご自身の車に工事前にはなかった傷や塗料の汚れが見つかった場合などは、まずは写真で傷を記録し、見つけた日と時間をメモしたうえで施工業者などに連絡をしましょう。
もし施工業者が対応してくれず公的機関や他業者に相談することになっても、写真やメモが残っていなければ情報が不足していてアドバイスのしようがありません。
●重要な取り決めは書面上で交わすこと
外壁塗装工事に関する施工業者との取り決めは、契約書などの書面を作成してもらい、契約書には工事の内容や支払いに関する取り決めを記載し、保証書には工事後の保証機関や保証範囲などを記載してもらいます。
追加工事費用が発生したときも、その場の口約束で実施を決定してしまわず、追加工事分の契約書と保証書を別途発行してもらい、元の契約内容と混ざらないように分けておきましょう。
2.相談期限が決まっていることがある
もし施工不良を見つけても相談せず何年も放置してしまうと、アフター保証の期間を過ぎてしまい補修や点検などを対応してもらえなくなるかもしれません。
外壁塗装工事を行うと、塗装業者が工事保証を発行してくれることがありますが、保証期間は無限ではなく、工事の内容によって1年や10年などのように期限が定められています。
また、施工ミスによる塗膜の剥がれや外壁のキズ、手抜き工事による雨漏りや塗り忘れなどを何カ月も放置してしまうと、建物の劣化も進行してしまう恐れがあり、そういった理由でも早めの相談が大切です。
■信頼できる外壁塗装の相談先を見つけておこう
優良業者に一度外壁塗装を依頼していれば、工事に施工不良があったときや急な雨漏りや塗膜の剥がれなどの不具合が起きたとき以外でも、外壁塗装やリフォームに関する様々な相談に乗ってくれます。
ご自身の体調に異変があったときすぐに相談できるようかかりつけ医を見つけておくように、お住まいの塗替えに関しても、かかりつけ医のように相談できる優良業者を見つけておくと良いでしょう。
末永く家のことを任せられる業者と信頼関係を結ぶためには、外壁塗装を実施するタイミングで、信頼できる地元の業者を見つけておくことが大切です。
■おわりに
外壁塗装工事では多くの人が様々な悩みを抱えていますが、言い換えれば、外壁塗装工事で悩みや不安が生じるのは避けられないことであり、「こんな質問をして素人と思われたら恥ずかしい」「こんなことで相談しないで我慢しないといけない」とためらう必要はありません。
工事前や工事中、工事が終わった後でも、もし少しでも不安に感じた場合はすぐに施工を担当した塗装業者に相談し、それでも解決しない場合は公的機関や第三の業者のほか、外壁塗装駆け込み寺の無料相談ダイヤルにもぜひご相談ください。