ガルバリウム鋼板を屋根に使うメリット、デメリットを徹底解説

近年、屋根材として選ばれる事が多くなったガルバリウム鋼板とは一体どのような物なのでしょうか。

また、屋根材としてガルバリウム鋼板を選んだ場合、どのような点にメリットがあり、どのようなデメリットがあるのか、そのデメリットを避ける方法も含めて徹底的に解説したいと思います。

ガルバリウム鋼板への塗装や張り替えをご希望の場合は、外壁塗装駆け込み寺にご相談ください。

目次

ガルバリウム鋼板は合金めっきを施した金属の板

従来の亜鉛メッキ鋼板に比べ、サビに対して3倍~6倍の耐久性を持ち、最低10年保証が可能な外壁材に「ガルバリウム鋼板」というものがあります。金属サイディングボードの一つです。

鋼板の表面と裏面に「55%アルミニウム+43.4%亜鉛+1.6%シリコン」の合金めっきを施した鋼板を指します。

構造は以下のようになっています。

galba日鉄住金鋼板株式会社HPより

その表面にプライマー処理を施したうえで「ガラス繊維」を混入した塗料にていろいろな色を着色していきます。

ガラス繊維を使用するのは施工時に表面の塗膜にキズが入りにくくしたり、折り曲げ加工時の塗膜剥離などを避けたりする目的があります。

以前あった亜鉛メッキ鋼板と比べると耐久性が非常に高い

一般的に1980年代まで主流であった「亜鉛メッキ鋼板(カラー鉄板)」は表面の塗装面(塗膜)のみでサビの発生を防いでいましたが、紫外線をまともに受け、鋼板に悪影響を与え、10年未満で表面の再塗装が必要でした。

対して、ガルバリウム鋼板は「表面の塗膜保証が最低10年」(メーカーにより15年保証商品もあり)と、亜鉛メッキ鋼板に比べて耐久性は向上しております。表面塗膜(塗装)にフッ素コーティングを利用した「フッ素鋼板」は20年保証商品です。

昨今ではガルバリウム鋼板にマグネシウムをプラスして「穴あき最長25年」の保証が可能な製品も発売されています(日鉄住金鋼板株式会社のエスジーエルなど)

sgl日鉄住金鋼板株式会社のエスジーエル

ガルバリウム鋼板の大きな特徴の一つは非常にさびにくい点

ガルバリウム鋼板の最大の特徴は、亜鉛メッキ鋼板に比べて切断部分や屋根表面のキズなどからのサビの発生を抑える効果が高い事です。

亜鉛メッキ鋼板は一旦サビが発生するとどんどん進行していき、しまいには鋼板に穴を開けて屋根材本来の「防水性」を損なうことになります。しかし、ガルバリウム鋼板には、一旦サビた部分に表面塗膜の亜鉛が反応し、溶け出してサビを包み込む「犠牲防食機能」と呼ばれる「それ以上サビが悪化しない働き」をする特徴があります(部分的にサビているように見えますが基材内部にまでは進行していないのでサビの拡がりを防いでいるのです)。

例えば人間でも切り傷を負った際に「かさぶた」が出来て細菌が体内に侵入しないようにするような例えがイメージしやすいと思われます。

また、ガルバリウム鋼板は折り曲げにも切断にも非常に強く、簡単に加工できる素材であることから、様々な屋根に対応出来ます。

それ故、特に1995年の阪神淡路大震災以降目覚ましい普及を遂げております。

ガルバリウム鋼板屋根材の価格は保証期間が長い高品質なものほど高い

次に価格についてですが、一般的には:10年保証商品<15年保証<20年保証(フッ素鋼板)<25年保証<30年保証(天然石粒金属(ガルバリウム鋼板ベース)屋根材)というように保証期間が長くなれば価格も比例して高くなります。

ここ数年は「安いだけではなく、保証期間が長くてメンテナンス費用がかからない金属屋根材」に移行しているのが市場の傾向なので、そういった製品が増えてきています。

どのように加工されているかなどで価格が変わってくる

また、横葺き(よこぶき)か成型品かによってコストも変わってきます。屋根の部位(軒先・ケラバ・棟・壁際)で使われる専用の「役物(やくもの)」も形状、メーカーにより違いがあります。

価格的には 「横葺き」と呼ばれる製品よりも「金属瓦」と呼ばれる瓦風に成型したの製品の方が高くなります。

ガルバリウム鋼板屋根材の価格帯の目安

ガルバリウム鋼板屋根材の価格帯は何年保証なのか、コーティングされている原料がなんなのか、また役物(端っこなどの部分)がメーカー純正品をつけるのか、現場で作業員が加工するのかなどで変わってきます。しかしおおむね以下の通りとなります。

  • 10年保証 6,000円/㎡~8,000円/㎡
  • 20年保証(フッ素鋼板)8,000円/㎡~10,000円/㎡
  • 30年保証(天然石粒金属)10,000円/㎡~13,000円/㎡

一覧にすると以下のようになります。ただ家の状況や仕入れる業者等によっても変わってきます。ガルバリウム鋼板の相場に関しては外壁塗装駆け込み寺で無料相談を受け付けておりますのでお申し付けください。

安価



高品質
ガルバリウム鋼板 10年保証品 (役物現場加工)
ガルバリウム鋼板 10年保証品 (役物メーカー純正品)
ガルバリウム鋼板 20年保証品 (役物現場加工)
ガルバリウム鋼板 20年保証品 (役物メーカー純正品)
天然石粒ガルバリウム鋼板 30年保証

ガルバリウム鋼板を製造加工している国内メーカー

ガルバリウム鋼板自体を製造しているのは国内では、日鉄住金鋼板、JFE鋼板、日新製鋼、淀川製鋼所の4社です。

ここから鋼板を購入して屋根材や外壁材に成型・加工している企業(メーカー)は大小含めて数えきれないほどあります。その内、大手と呼ばれる全国ネットの企業は以下のような企業があります。

鉄住金鋼板、JFEスチール鋼板、淀川製鋼所、ニチハ、月星商事、セキノ興産、福泉工業、アイジー工業などです。

どのようなガルバリム鋼板を選べば良いか

オススメの種類については既存住宅のイメージ(洋風か和風)により左右されますので一概には言い難いです。

一般的には、既存住宅の屋根が「彩色スレート板」でその上からカバーでガルバリウム鋼板をつける場合は「横葺き」と呼ばれる製品が好まれます。そして既存住宅が洋瓦や和瓦の場合は瓦風に成型した製品が好まれます。

ガルバリウム鋼板屋根の色は住んでいる地域や気候で決めるのがオススメ

色に関しては既存住宅のデザイン、外壁の色によって左右されます。

遮熱性能を高めたいなら白系か淡い色系が良いでしょう。北陸・東北など冬場の日射を利用して少しでも家の中を温めたいのであれば黒系・濃い茶系がオススメですが、屋根の色によって遮熱性能や断熱性能に大きな差がでるわけではありませんので外壁の色との調和を優先して納得する色合いを選んでも構いません。

ガルバリウム鋼板屋根材は最も軽い屋根材なので施工の幅が広い

ガルバリウム鋼板製屋根材は一般的な国内の屋根材の中で一番軽い事が最大の特徴です。

どれぐらい軽いかを比較するために以下の表をご覧ください。屋根面積が100㎡程度の建坪25坪という一般的な住宅にかかる屋根材重量を表しています。

建材名 重さ 備考
ガルバリウム鋼板 約700kg→0.7トン 瓦の1/8~1/9
彩色スレート板の1/3
彩色スレート板 約 2,000kg→2トン 瓦の1/3
約5,000kg 屋根材では最も重い部類

屋根材が軽量であるという事は、頭(つまり屋根)が重くないので地震の際に揺れ幅が小さく倒壊などの大規模被災を受けにくくなります。万が一、損壊が発生した場合でも軽微な修繕で済み、安心・安全な屋根材と言えます。

ガルバリウム鋼板はカバー工法で既存屋根にかぶせて施工出来る

ガルバリウム鋼板は軽量であることから、新築のみならず、古くなった彩色スレート板のリフォーム工法の一つカバー工法の選択肢として一般的になっております。

彩色スレート板を張り替える際は、彩色スレート板よりも重い屋根材を施工する事は壁や住宅の構造の観点からお勧めできません(家を建てるときに彩色スレート板を屋根材として使う事を想定しているため)。

古い彩色スレート屋根材のリフォームの場合は塗装をするか、古い屋根材を剥がして同様のものに葺き替えるか、あるいは軽量の金属屋根材(ガルバリウム鋼板)でカバー工法を実施するのが一般的です。

葺き替えるよりもカバー工法がオススメ

古い彩色スレート板を一旦剥がしてガルバリウム鋼板に「葺き替える」選択肢もありますが、古い彩色スレート板には「アスベスト」が含有されており、剥がす際のアスベストの飛散や、飛散防止策を施した場合のコストアップ、剥がした後の廃材処理費(産廃など)に規制がかかり、受け入れてくれない自治体や費用の高騰などが現実問題となっております。

そこでアスベストの処理は家を手放すなどの解体時に行うとして、屋根リフォームをカバー工法で実施する実例が特に都市圏では一般的になっております。

スレートのメンテナンスで塗装するのは一回のみが無難

古い彩色スレート板を塗装できれいにするのがコスト的には一番お手軽ですが、5年~10年後には再び塗装面が劣化します。昨今では2回目の塗装は塗膜の接着性に問題があるため善良なリフォーム業者、塗装業者は2回目の塗装を勧めずに、ガルバリウム鋼板でのカバー工法を推奨する事も多いです。ご不安な点があれば、外壁塗装駆け込み寺にてお伺いしますのでお問い合わせください。

ガルバリウム鋼板は、塗装が5~10年の耐候性なのに対して、10年~30年保証が可能ですので耐久性については塗装よりも高いです。その分コスト増にはなりますが、何度も屋根のリフォームをしたくない、一度屋根リフォームを実施したら長年手を加えずにすませたい、というオーナー様が増えており、オススメでもあります。

ガルバリウム鋼板屋根材のデメリットはサビ

このようにメリットの多いガルバリウム鋼板ですが、いくら保証期間が長いといっても所詮金属なのでサビは発生します。

  • 台風などで飛散してきた木の枝など、尖ったものが表面に当たった場合。
  • アンテナの支柱や支持線に発生したサビがガルバリウム鋼板表面に雨垂れと共に付着した場合などの「もらいサビ現象」。
  • 線路際や、金属加工工場周辺の鉄粉が飛ぶ可能性のある地域。
  • 海岸線などの塩害を受ける地域(海岸線から直線距離で概ね2km以上離れていないと保証書が出なかったり、保証期間が減年されたりする場合もあります)
  • 火山地域、温泉地など硫黄分の影響を受ける恐れのある地域 など
  • 壁際など現場で折り曲げ加工や切断加工などをしなければならなかった部位。

上記など、仕方ない場合もありますが、サビが発生する前に塗装を施すなど余裕を持ったメンテナンススケジュールを検討しておくことをお勧めします。

保証の範囲はあくまで「加工していない部分」

ガルバリウム鋼板屋根材の保証範囲につきましては、各鋼板メーカーが保証をしているのは何も加工されていない部分のみです。

本体の軒先側の折り曲げ加工をした部分や、切断面などは保証の対象外となります。

施工時に職人さんが屋根材の上で作業をした際に表面にキズが入った場合なども保証の対象外となる場合がありますが、その場合は専用の「補修用塗料」がありますので最低限度で補修してもらいましょう。

保証期間を過ぎたら表面塗装をしましょう

屋根材の保証年数を過ぎたら5年以内に表面塗装を専門業者で行ってください。

10年以上放っておくと表面塗膜の劣化→白さび→赤さび→穴あき(雨漏り)となり、メンテナンスコストもかさんできます。

ガルバリウム鋼板への塗装は一般的な塗装業者ではなく、専門かつ、ガルバリウム鋼板への塗装実績のある専門業者にお願いしましょう(実績のある専門業者は外壁塗装駆け込み寺にて無料で案内しております)。

決してトタン(亜鉛メッキ鋼板)のように自分で塗ったりしないでください(トタンは安価だからかDIYで塗ろうとしてしまう人が多いです)。表面に使用している塗膜をしっかりと洗浄し、ケレンした上で耐久性のある塗料を選択しましょう。

ガルバリウム鋼板の屋根でも雨音がひどいわけではない

屋根をガルバリウム鋼板にしたいという方が気になるのが、「施工後は雨音がひどくなるのではないか」ということです。しかし、雨音というのは屋根下地→天井→部屋で進入してくるものではなく、窓を通じて進入するものですので、屋根材は関係ありません。

カバー工法の場合には一般的には断熱材を裏張りしてあるか、ガルバリウム鋼板と屋根下地との間に古い彩色スレート板があるため、屋根に当たった雨の振動がそれら断熱材などで軽減されます。

ただ、夕立やゲリラ豪雨、雹(ひょう)などのひどい雨の場合はテレビの音も聞こえなくなるほどです。しかしこれはガルバリウム鋼板だから、ということではなくたいていの屋根材で起こることと言えます。

ガルバリウム鋼板を屋根にする場合は断熱材が不可欠

ガルバリウム鋼板は金属板で熱伝導率が高いため屋根材表面の温度を裏面にそのまま伝えてしまいます。一般的には夏場は80℃~90℃まで上昇しますので断熱材は不可欠です。そのため、断熱材が屋根材裏面に予めセットされた商品が多くなっています。

塗料で夏場の高温時を少しカバー出来る

昨今では遮熱性能を高める「遮熱塗料」を表面に塗装したガルバリウム鋼板(遮熱鋼板)もあります。一般的なガルバリム鋼板に比べれば15%~20%程度の遮熱効果が出ておりますが、それでも表面温度は70℃~75℃程度です。遮熱塗料、断熱塗料で施工した場合でも断熱材は必須なのです

ちなみに陶器瓦やセメント瓦の夏場の表面温度は60℃程度、裏面温度は40℃~45℃程度で、断熱材を入れる事はめったにありません。瓦に比べてガルバリウム鋼板は遮熱性能においては優れているとは言えない素材です。

冬の低温時は割れにくい特性が生かされる

その反面、冬場の低温時には瓦よりもガルバリウム鋼板の方が優れた特徴を発揮します。

瓦は寒さが原因で「凍て割れ(いてわれ)」という現象を起こす場合がありますが、鋼板は寒さで割れる事はありません

断熱は本来、屋根材だけではなく断熱材等で行うもの

屋根の断熱性能に関しては屋根材だけで優劣をつけるものではなく、屋根材の遮熱性能+屋根材裏面の断熱材+屋根材とルーフィング間の空気層がどの程度あるか+野地板+天井裏空間の空気層(急勾配屋根か低勾配屋根かによって違う)+天井裏の断熱材種類と厚み(断熱性)の複合によって比較されるものです。

ここからいえる事は、瓦は遮熱性能が良い素材(粘土)+十分な空気層を持たせる施工方法によって「断熱性能に優れる」と言えますが、ガルバリウム鋼板、特に横葺の場合は屋根材の裏面にはほとんど空気層は期待できませんので断熱性能を上げたい場合は天井裏や野地板裏面での断熱対策を施す必要があります。

その他のガルバリウム鋼板の屋根材について知っておきたいこと

ガルバリウム鋼板の屋根は表面がつるつるなので雪止め金具は必須です。

「コストアップ(費用が高くなる)」「ガルバリウム鋼板独特のシックな雰囲気、美観を損なう」という点に目をつぶることが出来るのであれば、例えば天然石粒付の屋根材などの弱点をカバーした製品もあります。弱点をカバーした製品であれば、地域によっては雪止め金具不要で、天然石独特の繊細な色合いを出すことも出来ます。

ガルバリウム鋼板と従来の屋根材の比較

最後に、ガルバリウム鋼板と従来の屋根材について比較したものを表にまとめてみましたので、ご参考にしていただければと思います。

ガルバリウム鋼板 天然石粒
ガルバリウム鋼板
瓦・セメント瓦 彩色スレート板
価格 6,000円/㎡

9,000円/㎡
8,000円/㎡

10,000円/㎡
6,000円/㎡

8,000円/㎡
5,000円/㎡~
重量 ◎最軽量

700kg/棟

◎最軽量

700kg/棟

×最重量

5トン/棟

△軽量

2トン/棟

製品保証 10年~25年 30年 10年(メーカーによる) 10年
リフォーム用として ◎適 ◎適 ×不適
カバー工法 ◎可 ◎可 ×不可 ×不可
最低勾配 横葺き 2.5寸 2.5寸 4寸 3寸
雨音 ×要対策
遮熱性能 ×要対策
断熱材 ×必要 ◎不要 ◎不要
色バリエーション 多い 5~10色 多い 5~10色
メンテナンス 保証年数+5年で塗装が必要 30年以上メンテナンス不要 不要(棟部は除く) 10年~15年でメンテナンス必要
主たるメーカー
  • 日鐵住金鋼板
  • JFE鋼板
  • 日新製鋼
  • 淀川製鋼所
  • AHIルーフィング(USA)
  • メトロタイルジャパン(New Zealand)
  • 鶴弥
  • 新東
  • 丸栄陶業
  • 三州野安
  • マルスギ
  • KMEW
製品名
  • アイジー工業
  • ガルテクト
  • ニチハ
  • 横段ルーフ

注:一般的に普及している商品のみ

  • ŸAHI
  • コロナ
  • ミラノ
  • メトロタイル ローマン
  • シェイク
  • スレート
  • ディートレ
  • ディーズクラシック
多数
  • クァッド
  • グラッサ
  • ルーガ

 

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