「外壁塗装工事中に、家の換気ができなくて辛かった」と感じた経験のある方も少なくはありません。
塗装工事中は、足場やシートで覆われて、ただでさえ息苦しさを感じてしまいますが、塗料の臭いや養生の都合で、換気そのものが行えなくなってしまいます。
工事が始まったあとで、換気が行えず不便な思いをしないように、塗装工事前や工事中でも行える換気対策を知っておきましょう。
目次
■外壁塗装中は換気が行いにくくなる
塗装工事中は、窓を開けたり、換気扇を回したりといった、家の換気に関する行動が制限されると考えておいた方がよいでしょう。
塗装工事中に換気が行いにくくなる理由は、3つあります。
1.建物の周りが足場で囲まれてしまう
外壁塗装工事では、最初に建物の周りに足場を架設します。
屋根の高さまで足場を組み立てたあとは、高圧洗浄の水や塗料の飛沫が周囲に飛散しないように、さらに、養生シートで足場の周りを囲みます。
養生シートはメッシュ状になっており、ある程度の風を通しますので、建物が完全に密封されるわけではありませんが、見た目にも体感的にも、やや息苦しさを感じてしまうでしょう。
2.養生シートに覆われて窓が開けられなくなる
塗装作業に入る前準備として行われるのが、養生作業です。
窓ガラスや窓サッシの枠、室外機や給湯器、雨樋や飾りなど、塗料がはみ出したり垂れたりしてはいけない箇所はすべて、ビニールシートやマスキングテープで養生されます。
塗装作業中は、養生を剥がすことができないため、窓を開けたりベランダに出たりといった行動が制限され、特に、気温が高い夏場は非常に不便な思いをする恐れがあります。
●塗装作業は最短でも3日必要
塗装作業は、3回塗りでワンセットの工程です。
下塗り・中塗り・上塗りを、それぞれ1日ずつかけて行い、しっかり乾燥させることによって、3層の丈夫な塗膜が形成されます。
つまり、養生は最低でも、塗装作業が行われる3日間は外すことはできず、その間、換気も行うことができません。
3.工事のごみが部屋に入ってしまう
外壁塗装工事では、塗料を塗る前に、コンクリートのひび割れ補修工事や、古いコーキングの打ち替え、鉄部のサビ落とし・サビ止めといった、様々な下準備が行われます。
そのため、足場で建物が囲まれたあとは、窓を開けていると、これらの作業で発生したゴミやチリ、ホコリなどが室内に入ってしまうため、窓を開けられる時間が制限されてしまいます。
■外壁塗装で換気ができなくなる前に試しておくこと
外壁塗装工事中は、いくら足場や養生シートで覆われているといっても、建物が完全に外界からシャットダウンされてしまうわけではありません。
また、使用する塗料を変えるだけでも、工事中の不快な臭いは軽減できます。
工事期間に入って換気が行えなくなる前に、できることから対策を進めておきましょう。
1.臭いが発生しにくい水性塗料を選ぶ
外壁塗装を行うにあたり、最も不安になるのが、なんといっても、塗料の臭いです。
ところが、外壁・屋根塗装用の塗料でも、「水性塗料」という臭いの少ないタイプがありますので、臭いに敏感な方やシンナー臭が苦手な人は、必ず水性塗料を選んでおくとよいでしょう。
●同じ塗料でもタイプの違いがある
同じ塗料でも、使用方法によって、数タイプに分かれていることがあります。
まず大きなくくりとして存在するのが、希釈材の違いです。
希釈材で塗料を分類すると、「水性塗料」、「溶剤塗料(油性塗料)」の2種類になります。
水性塗料とは、希釈液に真水を使う種類で、刺激臭を伴わず、匂いも少ないものです。
溶剤系塗料とは、希釈液にシンナーを使うため、強い刺激臭を伴いますが、素材への密着性と耐久性は高く、屋外の鉄部などで現在も使用されています。
また、この2種類の中間に、やや耐久性が低いシンナーを使用する「弱溶剤塗料」というタイプもあります。
参考:外壁塗装では油性塗料(溶剤)と水性塗料どちらが良いの?
●水性塗料で施工できるか質問しておく
もし、塗装工事中の臭いが不安なときは、水性塗料を使用できるか、契約前に塗装業者に相談しておきましょう。
もっとも、大半の業者は、環境汚染や健康被害、近所の方からのクレームに配慮して、刺激臭の少ない水性塗料を選ぶ傾向にありますので、水性塗料の使用を断られるケースはあまりないと考えてよいでしょう。
また、近年開発された水性塗料は、溶剤系に劣らない密着性と耐久性を備えたものも出てきたため、耐久性が著しく落ちることもありません。
なお、水性塗料を使ったからといって、まったくの無臭にはなるわけではなく、多少の塗料臭は感じますのでご注意ください。
2.工事中に家で過ごさないよう工夫する
「水性塗料のにおいでもガマンができない」、「そもそも足場で囲まれた状態に耐えられない」、というときは、工事中になるべく家から出るという方法もあります。
外壁塗装は、室内で行う水回りリフォームやクロスの張替えなどと違って、家主の留守中でも行える作業です。
また、塗装工事が行われるのは、大半が9〜16時の時間帯です。
つまり、その時間だけ外出するようにスケジュールを組んでおけば、工事中の息苦しさを幾分軽減することができるでしょう。
ただし、工事完了日やトラブル発生時は、家主の立ち合いを求められることがありますので、不在にする日はあらかじめ業者に伝えておかなければなりません。
参考:外壁塗装中に留守するときに知っておきたいルールとマナー
●体の弱い人は避難しておく
気管支が弱い方、アレルギーのある方などは、外壁塗装工事中は、長時間建物の中にいるのは避け、空気がきれいな場所に避難しておくことをおすすめします。
特に、赤ちゃんや妊婦の方、足腰の悪い高齢者の方、ペットなど、自力での移動が困難な方は、遠方の親戚の家など、現場から離れた場所に、塗装作業中だけでも避難するとよいでしょう。
参考:外壁塗装シンナーの臭いの身体への悪影響と対策方法について
■換気対策に優れた業者を選ぼう
家の換気がしにくくなることは、塗装工事を行ううえで、避けては通れない問題でした。
工事のため仕方がないとはいえ、誰しも、息苦しい思いをしながら過ごしたくはないものです。
そのため、塗装業者の中には、塗装工事中でも依頼主が気持ちよく過ごせるよう、換気対策に特化する所も登場し始めました。
1.塗装中も換気が可能な養生をしてくれる業者
換気が行えない最大の原因は、養生で窓やベランダ、エアコンの室外機が塞がれているためです。
そのため、外壁塗装業者の中には、窓の開け閉めができるような方法で養生してくれる所があります。
例えば、窓の全面をシートとテープで密封せず、空気が通るように、塗料が当たりにくい下側だけ開放したり、足場と窓枠の上部を使って、テントのように養生シートを張ったりする方法などです。
あるいは、養生したまま室外機が使用できるカバーを使ったり、通気口に沿ってマスキングテープを貼ったりする方法などもあります。
ただし、これらの養生は、家主からの希望なければ使用されない可能性もあるため、工事前に、使用が可能か、別途費用が必要かなどを業者に確認しておきましょう。
2.工事スケジュールを入念に打ち合わせてくれる業者
家主のスケジュールに合わせて工事日程を考えてくれる優良業者は、換気が行えない期間についても配慮してくれます。
いつからいつまで窓が開けられないのか、ベランダに出られないのか、洗濯物は干せないのか、といった、生活していて感じる細かい不便にも配慮してくれるでしょう。
●打ち合わせしやすい業者を選ぶこと
どんなに換気対策のエキスパートと呼ばれる職人でも、会話が弾まなかったり、高圧的な態度で説明されたりすると、こちらから質問や相談をしにくくなってしまいます。
打ち合わせしにくい業者を避けるためには、見積もりや現地調査のときに業者とコミュニケーションを取って、相性を確認しておく作業が欠かせません。
自然と雑談してしまうような、話しかけやすい業者であれば、「換気対策に不安がある」、「養生中も換気を行いたい」といった不安も打ち明けやすくなり、業者にできる範囲で換気対策を用意してくれるでしょう。
■おわりに
外壁塗装は、足場や養生シートで建物が覆われ、塗料の臭いも発生するため、換気が非常に行いにくい工事です。
しかし、いざ工事がはじまってから換気が行えないことに気づくのと、前もって対策しておくのとでは、後者のほうが工事中のストレスは少なくなります。
工事中に外出の予定を立てたり、臭いが少ない塗料を選んだり、業者に相談して養生方法を工夫してもらったりして、換気対策を進めておきましょう。