外壁塗装の保証は業者や団体で内容が全く異なるので注意!

外壁塗装のリフォーム工事は、数十万円から百万円以上にもなる非常に高額な工事なので、施工完了後の保証もしっかりと確認しておく必要があります。

しかし、外壁塗装の保証は外壁塗装業者や、入っている団体によって様々なものがある上に、保証対象や保証期間も本当にばらばらです。

保証期間ももちろん長い方が良いのですが、問題は「塗装工事完了後、どのような不具合が出たら保証対象としてくれるのか」という保証の内容の部分だと思います。

様々な外壁塗装の保証についてまとめていきたいと思います。

外壁塗装の保証の種類

まずは業者さんに外壁塗装のリフォームをしてもらう場合、どのような種類の保証があるのか確認しておきましょう。

自社保証

外壁塗装の工事をしてくれた業者さんが自ら保証するタイプの保証です。独自保証、オリジナル保証などと名前をつける業者さんもいます。

自社保証というのは、悪いものも良いものもあるので、判断がつきません。

本当にお客様の事を考えた保証を行っている地域密着型の塗装業者はすばらしいです。塗装が剥がれてしまうかもしれない、というお客様の心配を考えて保証をつけているところももちろんあると思います。定期的に外壁の様子を見に来てくれて、小さい部分の補修がないか、不安なことがないかなどを聞いてきてくれる所もあります。

ただ、一方で受注をとりたい一心で中身のない自社保証をひたすらに勧めてくる業者も多く存在します。20年保証、15年保証など、魅力的な保証期間を提示してくるのにもかかわらず、保証内容がないものとお同じという保証もあります。

どの部分を保証するか、どういう状態を保証するかを確認

あまり保証をする気がないのにもかかわらず「保証します!安心です!」とアピールしてくる業者は後を絶ちません。

外壁塗装の保証で重要なのは、「どの部分を保証してくれるのか」と「塗装のどういう状態を保証してくれるのか」という事になります。

下記の表は例なので必ず契約業者がどの部分まで保証してくれるのかを確認してください。

どの部分を保証してくれる? 外壁部分(屋根塗装なら屋根部分)、木部、鉄部
どういう状態を保証してくれる? 塗膜の剥がれ(塗膜剥離)、膨れ、変色
何年間保証してくれる? 1年、5年、10年、15年、20年、25年、30年

木部、鉄部の保証が大事

どの部分を保証してくれるのかについて大事なのは「木部と鉄部を保証してくれるか」という事です。

あまりよくない業者の保証例として「外壁の剥がれを10年保証します!」という言い方をするのですが、外壁から塗料が剥がれ落ちるなんていうのは滅多にありません。あったとしたら、高圧洗浄や下地処理をしっかりしていないか、下塗りを塗っていないぐらい酷い塗装をしていないと難しいです。

保証する部分として重要なのは木部と鉄部で、剥がれ落ちるなどのトラブルがあるとしたらこの部分である事が多いです。それを見越して、「外壁部分は10年、木部・鉄部は5年保証」というように部分によって期間をかえる場合もあります。

変色などの色のトラブルは対象外の場合が多い

紫外線が当たり続ける外壁において、塗料の変色はどうしても避けられないです。それ故、変色は対象外なことが多いです。

30年も保証出来るわけない

15年、20年、30年など超長期保証をつけてくる業者は少し冷静に見てみてください。メーカーの期待している耐久度を超える保証をするというのは本来あり得ない話です。

そのような保証をしているメーカーは冗談抜きで15年後にはもうないか、保証を受けるハードルが非常に高い為、15年と言いながらも全く保証してもらえないかのどちらかだと思います。全ての超長期保証をする業者が悪い、という意味ではないのですが、良くない業者である可能性はあります。

保証対象内?対象外?契約前にしっかり確認を

基本的に塗膜剥離に適用される保証ですが、その他にどのような塗装トラブルに対応してもらえるのか、気になるトラブルを以下にまとめました。契約前に業者さんに確認してみましょう。

苔・藻の発生、色の変化、色あせ、ひび割れ(亀裂、ヘアークラック)、雨漏り、光沢がなくなるなどがあります。

倒産しても保証してくれるの?

結論からいうと、倒産した業者は保証出来ません。

しかし、業者が組合などの第三者保証に加入していた場合は、倒産していたとしても保証を受けられる場合があります。次の加盟団体の保証をご覧ください。実質的に良い保証が以下の団体・組合の保証となります。

業者が加盟している団体や組合の保証

外壁塗装業者はリフォーム団体や組合に加盟することで、そこの保証制度を利用することが出来ます。

万が一、外壁塗装業者が倒産してしまったとしても、団体や組合の保証を代わりに受けることが出来る為、消費者にとっては安全な制度です。

様々な団体があるので、加盟している団体を確認し、そこの保証が受けられるのかどうかを聞いておきましょう。

建築産業専門団体連合会(建専連)「長期性能保証制度」

建築産業専門団体連合会は、外壁塗装や内装工事などのリフォームをはじめとする専門工事の39団体から構成される国土交通省が管轄の連合会です。外壁塗装業者だけではありませんが、所属事業者は約60,000社以上と非常に多いです。

多くの業者が加盟しているおかげで保険料が安くなっているので(スケールメリットといいます)、保険料を支払っていれば、保証を受けられます。みんなで一つの保険に入っているので一人頭は安い、というイメージです。こちらの団体は損保ジャパン日本興亜の保険を利用しています。

この保証は、「塗装がはげたら塗り直しますよ」というものではなく、「業者のミスが原因で施工後に問題が発生した場合の補修等で発生した費用の補償」なので、微妙に意味合いが違います。業者が加入する保証なので、消費者としてはあくまで業者が入っている保証で直してもらう、という事になります。

それ故、業者の施工に問題がない場合はこの保証制度は使えません。しかし、問題ない施工であれば、塗料は力を発揮し、期待耐久年数に近い年数の間、品質を保ってくれるでしょう。

また、全額支給される保証ではないので、金額の一部を業者が支払う必要があります(工事やり直し費用の補償の為、客側に支払い義務はないものと思われます)。

施工した業者が倒産してしまっていたとしても施工後から10年間受けられる保証なので、万が一の時でも安心出来ます。その際は金額の一部を客側が支払う必要があります。

日本塗装工業会(日塗装)「ペインテナンス」

比較的実用的な保証です。

日本塗装工業会は、建設塗装業者約2,350社からなる団体で、唯一の全国的な塗装工事業者団体です。

外壁塗装をお願いした業者がこの団体に入っていた場合、品質保証書を発行してもらえます。これがペインテナンスという制度です。

その品質保証書に記載されている通りの保証を受けられます。どれくらいの期間、保証が受けられるかというのは非常に細かく定められており、工事を行う前に、工事で使う塗料などから保証期間を確認しておきましょう。

例えば、「塗装箇所が窯業系サイディングの外壁で、2液型弱溶剤シリコン樹脂塗料を使用した海岸部の住宅の場合は保証期間は3年で、剥がれ・膨れ、極度の変退色に関して保証する」という具合です。

また、施工した業者が倒産していた場合でも最長5年のアフターケアを受けることが出来ます。

ペインテナンス保証の一例
 塗装箇所   素地種類  塗替仕様の種類   標準保証期間 保証内容
 標準住宅 海岸部住宅
外壁 コンクリートモルタルALCセメント系 アクリル・単層・弾性 3 2 剥がれ・膨れ・変退色
シリコン・単層・弾性 5 3 剥がれ・膨れ・変退色
1液型・水性・ウレタン 5  3 剥がれ・膨れ・変退色
1液型・水性・アクリル 3 2 剥がれ・膨れ・変退色
1液型・弱溶剤・アクリル 3 2 剥がれ・膨れ・変退色
1液型・水性・シリコン 5 3 剥がれ・膨れ・変退色
1液型・水性・フッ素 5 3 剥がれ・膨れ・変退色
 窯業系サイディング 1液型・水性・シリコン 5 3  剥がれ・膨れ・変退色
サイディング用クリアー塗料 5 3  剥がれ・膨れ・変退色
1液型・水性・ウレタン 3 2  剥がれ・膨れ・変退色
2液型・弱溶剤・ウレタン 3 2  剥がれ・膨れ・変退色
2液型・弱溶剤・シリコン 5 3  剥がれ・膨れ・変退色
1液型・水性・フッ素 5 3  剥がれ・膨れ・変退色
2液型・弱溶剤・フッ素 5 3  剥がれ・膨れ・変退色
金属系サイディング 2液型・弱溶剤・ウレタン 5 3  剥がれ・変退色
2液型・弱溶剤・シリコン 5 3  剥がれ・変退色
2液型・弱溶剤・フッ素 5 3  剥がれ・変退色
屋根 着色石綿スレート瓦等  1液型・水性・シリコン 3 剥がれ・変退色
 2液型・弱溶剤・ウレタン 剥がれ・変退色
 2液型・弱溶剤・シリコン 剥がれ・変退色
カラー鉄板トタン屋根  1液型・弱溶剤・アクリル 1-2 1 剥がれ・変退色
2液型・弱溶剤・ウレタン 3 2 剥がれ・変退色
 2液型・弱溶剤・シリコン 3 2 剥がれ・変退色
金属系屋根  屋根用遮熱塗料 3 2 剥がれ・変退色
軒天  1液型・水性・アクリル 3 2 剥がれ・変退色
 1液型・弱溶剤・アクリル 5 3 剥がれ・変退色
建具   銅製  2液型・弱溶剤・ウレタン 3 2 極度の錆・剥がれ・変退色
木製  2液型・弱溶剤・ウレタン 2 1 剥がれ・変色
ステンレス  2液型・弱溶剤・ウレタン 3 2 剥がれ・変色
雨どい 硬質塩化ビニール 1液型・水性・ウレタン 2 剥がれ・変色
2液型・弱溶剤・ウレタン 3 剥がれ・変色
1液型・水性・シリコン 2 剥がれ・変色

※ペインテナンス資料より当サイトで作成しました

正確な保証内容は必ず塗装店に確認、相談を行ってくださいね。

全国マスチック事業協同組合連合会「長期性能保証書」

全国組合員450社からなる団体です。マスチックという塗材をローラーを使って施行をする工法の特許を取得し、その工法を組合員に教えて資格などを与える団体です。この工法が環境の為や、能率の為など、様々な面でメリットがあるとされています。

その団体が、保証事業も行っています。それがこのページでいう保証の「長期性能保証」です。当初は、マスチック塗材を用いた工事に限定していましたが、その枠を超えて組合員が施工する仕上げ工事全体に適用可能となっています。

JIS規格(日本工業標準調査会が定める規格)などの条件を満たした塗料で保証期間にはがれなしということを保証するというものです。

保証期間は定められておらず、施工主と外壁塗装業者の間で決めるもので、塗料の質、塗る部分の材質などによって決定されます。

工業協同組合

これまでに紹介した三つに関しては、どれも全国的な会員でしたが、実は各都道府県にも工業協同組合があり、外壁塗装がそこに加盟していれば保証を受けることが出来ます。

例えば、東京都には東京都塗装工業協同組合というものがあり、加盟しているとここの保証が受けられます。

例えば、「工事部位外部 旧塗膜アクリルリシン 仕上げ材水性ウレタン仕上げ吹き付けの施工 5年間はがれなしを保証する」などです。

第三機関の保証は客観的に外壁塗装工事を見てもらえる

なんでもかんでも外壁塗装の品質保証をつけるというわけではありません。組合・団体の保証は基本的に、外壁塗装業者の施工内容をしっかりとチェックします。

つまり、現場の業者は変なことは出来ず、しっかりとした施工が出来ているかどうかを見た上で保証書を発行してくれるので安心感があります。

保証で勘違いしたくないのは、とにかく保証をたくさんつける、ということではなく、そもそも保証がいらない高品質な施工をしてもらうということが大事だと思いますので、第三者の団体がチェックしてくれるというのは非常にありがたいことです。

塗料メーカー保証について

塗料を作っている一部メーカーが、塗料に対して行っている保証です。ただし、塗料メーカーの保証は基本的にないものと思った方が良いです。

一部のメーカーではメーカー保証付きの塗料を製造しています。

大手塗料メーカーの中で上げるとすれば、日本ペイントのダイヤモンドコートという塗料ががメーカー保証がついています。

保証対象の地域に住んでおり(主に関東)、日本ペイント認定施工店で塗装工事の契約し、事前調査などを行って受けられる保証制度です。

具体的に言うと、ダイヤモンドコートは少し高めの塗料ではありますが、3年間のメーカー保証がついており、複数回の点検でしっかりと塗料が長持ちするかどうかをチェックしてくれるもので、条件が厳しい分、一緒に塗りかえた雨どいなど通常保証されない部分も保証されるなど、非常に手厚い保証になっています。

塗料メーカー保証にはあまり期待しないこと

上記の日本ペイントの保証は非常にまれです。先にも述べましたが、基本的にメーカー保証はないものとした方が良いかと思います。消費者側が期待している保証ではありません。

そもそも保証とは?という話になってしまいますが、メーカー保証がついているといっても、塗膜が剥がれてきたところを塗り直してくれる、というような保証ではありません。

また、塗ったところがはげてしまっても、悪いのが施工業者なのか、塗料そのものなのか原因を特定することが困難なため、保証があったとしても受けることは出来ないでしょう。そのような保証書は紙切れと同じです。

メーカー保証がない塗料にはなってしまいますが、メーカーは信用第一なので、信頼できいる大手メーカーを選ぶようにしましょう。(大手メーカーの塗料に関する記事はこちら

消費者側が期待しているような保証に関しては、下記の団体・組合保証を確認しておきましょう。

ちなみにサイディングのメーカーも製品に10年保証などをつけています(サイディングのメーカー保証についてはこちらをご覧ください)。

多くの保証で保証対象外のこと(免責事項)

ほとんどの場合に保証を受けられない免責事項についてまとめました。施工完了後に起こった事が以下の原因の場合、だいたいの保証制度で保証が受けられません。

  • 地震、噴火、洪水、津波、台風、暴風、竜巻、豪雨、地盤沈下などの自然現象が原因の場合
  • 火災、爆発、落雷、などの外部要因が原因の場合
  • 戦争、内乱、労働争議、暴動、騒擾(そうじょう)などが原因の場合
  • 保証対象部位以外の損傷
  • 工事請負業者以外の作業が原因の場合
  • 家の所有者の不適切な使用方法等が原因の場合
  • 施主の指示が原因の場合
  • 施主が使ってと頼んだ資材の場合
  • 建物の構造上の欠陥による場合
  • 業者以外が原因の場合(虫・ネズミなどの動物など)

塗料別・部分別、保証年数の目安

塗料や塗装部分による保証年数の目安はだいたい以下となります。

ただ、施工業者によって本当にまちまちなので(そもそも保証しないところもある)、参考程度としてください。

品目 保証年数の目安
ウレタン樹脂塗料 5~6年
シリコン樹脂塗料 7~8年
フッ素塗料 7~10年
断熱塗料 7~8年
光触媒塗料 7~10年
タイルの補修 3~5年
シーリング補修 1~5年
防水工事 10年
木部、鉄部 1~5年

基本的に塗料の期待耐久年数に比例します。

以上の保証の情報を踏まえて、しっかりと納得のいく外壁塗装工事を行いましょう。

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