外壁塗装の前に内部の結露を発見しておこう

暖かい空気が冷えると、その空気が接している物体の表面に水滴が付着する「結露」が生じます。

普段は目に見えない建物の内部で結露が発生すると、気づかないうちに構造材の腐食が進んでしまうことがあります。

 

「何気なく外壁塗装工事を依頼したら、内部結露が発覚して思わぬ工事費用が必要になった」という事態を招かないように、内部結露の原因や危険性について知っておきましょう。

■建物の内部でも結露は起きることがある

結露は日常の様々な場所で起きる現象です。

冷たい飲み物の容器に触れて手が濡れたり、部屋の窓ガラスから水滴が流れ落ち来たりした経験をしたことのある方も多いでしょう。

 

建物で内部結露が起きるしくみや注意点を知るためも、「結露」という現象について知っておきましょう。

1.結露が起こるメカニズム

結露とは、空気中に含まれる水蒸気が温度差によって水滴となり物体に付着する現象のことです。

 

空気が含むことができる水蒸気の量は、温度によって異なります。

また、1㎥分の空気に含むことができる水蒸気の質量は「飽和水蒸気量」と呼ばれます。

 

温度別の飽和水蒸気量は以下のようになっています。

温度(℃) 飽和水蒸気量(g/㎥)
5 6.8
10 9.4
20 17.3
30 30.4

上記の表を見るとわかるように、暖かい空気ほど飽和水蒸気量は多くなっています。

そのため、気温が下がると空気が含みきれなくなった「水蒸気」は「水」になって、窓ガラスやコップの表面に水滴となって付着するようになります。

●なぜ結露で物体の表面が濡れるのか

冬になると結露で生じた水滴が窓ガラスやサッシまわりに付着することがあります。

 

暖房で温められた室内の温度よりも、屋外の冷たい温度に触れている窓ガラスは当然、温度が低くなっています。

そのため、暖かい室内の空気が冷たい窓サッシに触れると、飽和水蒸気量が減って溢れた水蒸気が水滴となり窓サッシに付着するようになります。

 

夏場にコップに付着する水滴も、発生のメカニズムは窓ガラスと同じです。

室温とほぼ同じ温度のコップに冷たい飲み物を注ぐと、コップの周囲の空気が冷えて水蒸気が水滴になります。

 

そしてこの結露は窓ガラスやコップだけでなく、建物の目に見えない箇所でも起きることがあります。

それが今回ご紹介する「内部結露」です。

2.内部結露は普段の生活で気づきにくい

内部結露は「壁内結露」とも呼ばれ、外壁の内部で結露が起きる現象です。

 

内部結露の恐ろしい点は、外壁内部という目に見えない場所で進行するため、普段生活していると気づきにくく処置が遅れてしまうことです。

 

結露しやすい窓ガラスの周辺にある壁やカーテンは、カビやシミができてしまうことがあります。

ですが、窓ガラスやカーテンなどの日常的に目にする屋内設備は、異変が起きればすぐに気づくことができるでしょう。

 

しかし外壁内部は日常的に目にする部分ではないため、結露が起きていてもなかなか気がつかないものです。

そのため、

「家の中がなんだかカビ臭いけれど、部屋のどこにもカビなど生えていない」

「雨漏りじゃなさそうだけど、なぜか部屋の一部にカビが生えている」

と感じた時には、既に建物内部が結露によって腐食している恐れがあります。

 

内部結露を早期発見して建物を腐食させないためには、外壁塗装工事など家のメンテナンスを定期的に行い、プロに点検してもらう機会を増やすことが大切です。

■内部結露が外壁に及ぼす深刻な影響

内部結露は建物の内部で見えない間に進行し、外壁材や構造材、断熱材など建物になくてはならない部材を腐食させてしまいます。

どんなに外壁表面が塗装でしっかり保護されていても、内部結露が起きてしまえば建物の内側から耐久性が低下しかねません。

 

早めにリフォームに着手するためにも、内部結露が外壁に及ぼす影響について知っておきましょう

1.外壁内側の腐食

外壁内部で結露が起きると、外壁内部に詰められている断熱材に水分が溜まってしまうことがあります。

 

外壁内部の断熱材に使われるのはグラスウールなどの繊維状の素材です。

これらの素材は結露で少し塗れた程度では、すぐに断熱効果が落ちることはありません。

しかし水分を長期間溜め込み過ぎた断熱材は、カビやシミで腐食してどす黒く変色していきます。

すると、断熱材が接している回りの外壁材や構造材にもカビや腐食が拡がってしまい、後述の建物の耐久性低下に繋がってしまうのです。

 

「室内がなぜかカビくさい」というときは、結露によって外壁内側で生じたカビが室内側に流れ込んでいる可能性があります。

●建物の断熱性能が低下して温まりにくくなる

断熱材が腐食すると縮んだりただれたりして変形してしまいます。

 

断熱材は本来壁の隙間にきっちり詰められていますが、変形してしまうと隙間が生じ、その部分は空気の移動を防げなくなってしまいます。

断熱できる面積が減れば当然家の断熱性も低下し、冬にエアコンを入れても暖かい空気がどんどん逃げて温まりにくい部屋になってしまうでしょう。

 

腐食してしまった外壁材や断熱材を元に戻す術はないため、新品と交換するしかありません。

2.構造材の腐食

建物の構造材とは、木材や鉄、コンクリート、石など建物の骨組みとなる部材のことであり、それらで作られた柱や梁、壁、床などのことも意味します。

 

外壁材が腐食するとその周囲にある柱や梁などの構造材にも影響が及びます。

 

木材の柱や梁であれば結露の水分によってカビや腐食が生じ、さらに湿気を好むシロアリを呼び寄せて食べられてしまうでしょう。

また、金属製の鉄骨であれば錆びが拡がってしまい、放置すると穴が空いて耐久力が低下してしまいます。

●建物の耐久性も低下する

結露によって腐食してしまった構造材は、強度が低下した状態になります。

 

構造材は建物を支えている重要な部材です。

その構造材の強度が低下するということはすなわち、建物全体の耐久性が低下していることでもあります。

 

腐食が始まったからといって数日後に建物が倒壊してしまうわけではありません。

ですが強力な台風や大雨、強い地震が発生すれば、腐食で耐久性が低下している家屋は凄まじい衝撃に耐えられないでしょう。

■内部結露はなぜ起きてしまうのか

内部結露の主な原因は建物の構造上の不具合です。

新築時や外装リフォーム時に設計・施工ミスや手抜き工事があると、建物内部で結露が起きる欠陥住宅になってしまいます。

 

ご自宅で内部結露が起きていないか調べるためにも、まずは内部結露が起きてしまう原因の種類を知っておきましょう。

1. 室内と屋外の温度差で結露が生じる

断熱材の入れ方には2種類の工法があります。

外断熱工法 内断熱工法
住宅の外側をパネル状の断熱材で囲む。

外張り断熱工法とも呼ばれる。

繊維状の断熱材を壁の隙間に充填する。

充填断熱工法とも呼ばれる。

 

近年建てられた家のほとんどは「内断熱工法」になっています。

内断熱工法は壁の内側にある柱や梁、筋交い(柱と梁の内部に斜めに設置されている部材)の隙間に繊維状の断熱材が詰め込まれますが、外壁材と構造材は断熱材で覆われていません。

 

この状態だと、冬場は室内から屋外へ空気が移動する際に、室内よりも冷えた外壁材と構造材に空気がぶつかって結露が生じてしまいます。

反対に夏場は、屋外から入った熱い空気が冷房で冷えた構造材に触れ、ここでも結露が生じてしまうのです。

 

不十分な内断熱工法による内部結露の危険性が指摘されたことにより、大手ハウスメーカーの数社は徐々に外断熱工法に移行しつつあります。

2.不十分な断熱施工が結露を悪化させる

内断熱工法でも、繊維状の断熱材を隙間なく充填することができれば空気の移動が断熱材によって妨げられますので、空気が外壁内部に触れず結露自体を防げるようになります。

 

しかし筋交いの隙間など、断熱材を詰めるのが難しい箇所までは充填し切れていないケースも少なくはありません。

●断熱だけではなく防湿対策も重要

内断熱工法の内部結露を防ぐためには、根本の原因となる湿気そのものをシャットアウトする「防湿対策」が重要になります。

 

内断熱工法に欠かせない防湿対策は、外壁内部の室内側に高い透湿性を持つ「防湿シート」を張って、室内から移動しようとする湿気を屋外に出さないことです。

ちなみに透湿性とは水蒸気、つまり湿気を外に逃がす働きを持ちながら、外側から入ろうとする水は中に通さない性質のことです。

 

また、シートを通り抜けてしまった湿気が内部にこもらないように、湿気を含む空気を屋外に逃がす「通気層」を外壁内部に設けるハウスメーカーや工務店も多くなってきました。

この外壁内部に通気層を設ける工法は「外壁通気工法」と呼ばれ、外壁施工のスタンダードになりつつあります。

 

しかし通気層が何らかの施工ミスで塞がれてしまうと、今度は通気層に空気が滞留してしまい結露の危険性はかえって増してしまいます。

■内部結露は外壁塗装の時に発見しよう

外壁塗装は、外壁内部に異常が起きている場合は必ず原因を解決したうえで作業に進みます。

そうしなければ、いかに腕のいい職人が熟練の技術で最高級の塗料を塗装しても、外壁の内側から塗料が劣化してしまうためです。

 

しかし内部結露に理解がない塗装業者を選んでしまうと、劣化を残したまま塗装に進んでしまい、内部結露が解消されないばかりか塗装の質まで下がってしまいます。

 

また、もし内部結露の原因となる構造上の欠陥が見つかったときはすぐに施工したハウスメーカーなどに連絡を取り、工事保証を利用するなどして塗装の前に補修を済ませておきましょう。

1.外壁内部まで調べてくれる業者を選ぼう

内部結露の調査も兼ねて塗装業者を選ぶときは、見積もり時に内部結露について調べてもらうよう依頼しましょう。

内部結露が起きている住宅で施工した経験を持つ業者であれば、現地調査のときにポイントを押さえて点検してくれます。

 

依頼するときに内部結露が起きた住宅の施工過程や施工時の写真なども出してもらえれば、信用性はさらに増します。

 

このように見積もり前に業者と段取りしておくことで、外装設備の知識を持たない未熟な業者や内部結露を軽視する業者をふるいにかけることができます。

●訪問販売系の塗装業者を信じてはいけない

内部結露が起きているかどうか調べてもいないのに、むやみに危険性を煽る訪問販売業者にはくれぐれも注意が必要です。

 

見えない箇所で起きている内部結露は、「証拠がなくても騙せてしまう」という危険性も孕んでいます。

そのため、外壁の知識がない人や判断力が劣る高齢者に、「この辺一帯のお宅で次々と内部結露が見つかっています!」などと言って、全く効果のない外壁塗装を無理強いしたり、点検料と称して不当な費用を請求したりすることがあります。

 

外壁の内部も見ずに内部結露と決めつけるような訪問販売系業者は、必ずその場でお引き取り願いましょう。

2.外壁の断熱塗装も検討を

外壁内部に空気を通さないためには、外壁の屋外側の面で空気をストップさせることが重要になります。

 

断熱塗料『ガイナ』は断熱効果と遮熱効果を併せ持つ塗料として知られています。

ガイナに含まれるセラミックビーズは外壁表面で層を作りますので、外壁の最も表面部分で空気の移動がシャットアウトされ、壁内部の温度変化を防ぎ結露を抑止する効果があります。

 

ただし外壁内部の断熱施工と防湿対策が十分でなければ、いくらガイナを外壁表面に塗装しても根本の解決策にはなりませんのでご注意ください。

3. 状況に応じて外壁内部の補修も済ませよう

内部結露は外壁の構造が原因で起きています。

そのため塗装して外部防水力を高めただけでは意味がなく、やはり外壁そのものを作り替える工事が必要になります。

 

外壁内部の補修では、腐食した部材を取り除いて新しい部材と交換することになります。

また、通気層が設けられていなかったり防湿シートが施工されていなかったりなどの欠陥が見つかれば、正しい工法で作り替えます。

 

外壁を作り替えるリフォームでは外壁材をいったん剥がさなければならず、傷んだ部材を廃棄し新しい部材と交換しなければなりませんので、人件費・部材費ともに外壁塗装リフォームより高額になってしまいます。

 

しかし外壁の構造そのものが変わらなければ何度も内部結露は発生してしまいますので、結露に繋がる欠陥が見つかった場合は外壁リフォームを避けることはできません。

●欠陥は施工業者に補修を依頼すること

もし欠陥が発覚した場合は慌てて工事業者と契約してしまわず、家を建てた施工業者に連絡して、リフォームが工事保証の対象となるか確認しましょう。

 

また2000年4月1以降に建てられた家であれば、引き渡しから10年以内に欠陥が見つかった場合は施工業者が無償で補修するよう「住宅品質確保促進法(品確法)」により義務づけられています。

■おわりに

内部結露を発生させないためには、新築時の施工業者の技術を頼るしかありません。

しかし早めに内部結露を発見できければ、保証の範囲内で補修してもらうことができ、腐食が広範囲に進む前に少額のリフォーム費用で抑えることもできます。

 

外壁塗装などの建物のメンテナンスをできるだけ定期的に実施し、わずかな兆候でも見逃さないようにしましょう。

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