外壁塗装におけるクラック補修の重要性

外壁で起こる劣化のうち、特に危険性が高いものがクラック(ひび割れ)です。

 

外壁の表面を塗料で保護していても、クラックが生じてしまうと、割れ目から雨漏りが発生し、外壁内部や建物が腐食する原因となってしまいます。

 

クラックが起きている外壁では、割れの種類に応じて適切な下地補修を行い、割れを発生させにくい塗料を使って塗装しなくてはなりません。

 

この記事では、外壁に発生するクラックの種類と原因、それぞれの補修方法について解説します。

■外壁に生じるクラックの種類

外壁で起きるクラックには、割れが外壁内部まで達している「構造クラック」と、表面の塗膜のみで発生している「ヘアークラック」の2種類があります。

 

それぞれ補修方法が異なりますので、クラックの種類と見分け方、発生原因などを知っておきましょう。

 

1.構造クラック

構造クラックとは、モルタル外壁やコンクリートの外壁や基礎に発生する、比較的深いひび割れのことです。

 

割れ目の幅が0.3mm以上、深さが5mm以上の時は、構造クラックである可能性が高く、ひび割れから雨水が浸水して、外壁内部のダメージを進行させることがあります。

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●構造クラックの原因

構造クラックが危険と言われる理由は、その発生原因が、外壁材や塗装の劣化ではなく、建物で起きているケースがあるためです。

 

建物は、地震の揺れや強風で衝撃を受けると、構造体がずれてしまうことがあります。

 

あるいは、地盤の不同沈下や基礎の劣化、設計ミス、補強材の不足などが原因で躯体が傾くと、傾いた方向に対して強い負荷がかかります。

 

このような時に、ずれた衝撃が外壁材に伝わって、構造クラックが生じることがあります。

 

構造クラックが起きた外壁では、表面的な補修だけでなく、建物の強度計算や施工時の工法の確認なども必要です。

 

2.ヘアークラック

ヘアークラックとは、その名の通り、髪の毛のように細い、0.2mm以下の軽微なクラックです。

 

外壁に顔を近づけなければ、ほとんど目に留まらないような細い割れで、モルタル外壁やコンクリート外壁では、必ずといってよいほど発生します。

 

ヘアークラックは、割れが外壁の下地まで達していないため、早急にメンテナンスを要するわけではありません。

 

しかし、近い箇所に何本もヘアークラックが集中していたり、縦、または横方向に割れが長く伸びていたりする時は、建物に何らかの異変が起きている可能性があります。

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●ヘアークラックの原因

ヘアークラックの主な原因は、塗料または外壁材の乾燥収縮です。

 

紫外線で塗料がダメージを受けると、塗膜が劣化し、ヘアークラックが生じてしまいます。

 

あるいは、手抜き業者が塗装した時に、希釈率や乾燥時間、温度・湿度などの施工条件が守られず、塗料の乾燥が阻害されて、施工不良によるヘアークラックが生じることもあります。

 

施工不良によって生じるヘアークラックは、塗装から比較的短期間で発生するため、外壁塗装後しばらくは、しっかり表面の状態を確認しておきましょう。

 

また、水分を含むコンクリートやモルタルは、その性質上、施工から年月が経つと、ある程度の乾燥による収縮が起こり、表面にヘアークラックが生じるようになります。

 

■クラックの補修方法

クラック補修の施工方法や、使用する補修材は、クラックの種類と、その進行度によって異なります。

 

1.構造クラックの補修方法

外壁に生じた構造クラックの補修では、クラック部分をカットし、内部にシーリング材を注入して割れを塞ぐ作業が行われます。

 

構造クラックのように割れが深い場合、表面を塗装で処理しただけでは、すぐに内部の割れが表面の塗膜に伝わってしまいますので、シーリング材をしっかり内部に密着させておかなければなりません。

 

●カットシーリング工法

電動工具を使って、ひび割れ部分をVカット、またはUカットし、汚れを除去したあと、内部をプライマーなどの下塗り材で下地処理して、その上から、シーリング材(コーキング材)を注入する方法です。

 

V字やU字にカットすることで、クラック内部の凹凸が均一になり、下塗り材やシーリング材が密着しやすくなります。

 

クラック補修に使用するシーリング材は、ウレタン系や変性シリコン系など、上から塗装が可能な種類が使われます。

 

ポリサルファイド系やシリコン系などのシーリング材を使うと、上から塗装した時、シーリング材に含まれる可塑剤がにじみ出て、シーリング処理した箇所が汚染されてしまうため、注意が必要です。

 

また、大きな揺れや衝撃で生じたと考えられるクラックでは、歪みが起きても柔らかく衝撃を吸収する、弾性シーリング材や、目地と目地に強力に接着するエポキシ樹脂系シーリング材が使われます。

 

シーリングの注入後は、通常の外壁塗装で使用する上塗り塗料で、表面を仕上げて補修は完了です。

 

●外壁全体の塗り替えも検討を

外壁に元からある既存塗膜と、クラック部分に沿って塗装する仕上げ材の色を、完全に合わせるのは難しく、補修跡にそって色ムラができてしまうことがあります。

 

割れに沿って色ムラを作りたくない、という時は、クラックの部分補修ではなく、外壁の一面、または全面の塗り替えも検討しなければなりません。

 

前回の塗装から、約10年近く経っている場合は、ほとんどの塗装が耐用年数を迎える時期ですので、一度外壁全体の点検も行うとよいでしょう。

 

2.ヘアークラックの補修方法

ヘアークラックと言っても、割れから雨水が浸水する可能性がないとは言い切れませんので、割れの幅や深さに応じて、適切な工法を選ばなくてはなりません。

 

●塗料で割れを塞ぐ

建物の耐久性に影響を与えないヘアークラックであれば、通常の塗装のみでもカバーできます。

 

軽微なヘアークラックであれば、ひび割れに直接、下地材のフィラーを塗装し、その上から通常の上塗り材を使って、重ね塗りを行うことで、割れのない均一な塗面が完成します。

 

あるいは、割れの内部に粉末状のコンクリートやパテを注入して塞ぐことも可能です。

 

3.モルタル壁の弾性工法仕上げ

弾性塗料とは、比較的柔らかい性質を持つ塗料のことです。

 

柔らかい弾性塗料で、外壁の表面を保護しておくと、地震や強風の衝撃が外壁に加わっても、弾性塗料が外壁の動きに追従して伸縮するため、割れにくく、防水材としての役目も果たすようになります。

 

モルタル壁は、最もヒビ割れが起きやすい外壁ですので、クラックの再発を防ぎ、防水性を高めるためには、弾性塗料を使った塗装が適しています。

 

弾性塗料について詳しくは「ゴムの性質でクラックを防止する複層、単層、微弾性塗料とは」をご覧ください。

●弾性工法はサイディングボードには使えない

窯業系や金属系、樹脂系サイディングボードなど、色々な種類があるサイディングボードですが、いずれも、内部に熱を溜め込みやすい外壁材です。

 

そのため、サイディングボードを弾性塗料で覆ってしまうと、熱が逃げ場を無くしてしまい、高温に晒された弾性塗料が膨れ上がって、短期間で劣化してしまいます。

 

また、サイディングボードは、目地のコーキング部分が衝撃を受け止める役割を持っており、そもそもひび割れが起きにくい外壁材ですので、弾性系塗料を使う必要はありません。

 

そのため、もし、お住まいの外壁材に窯業系サイディングボードや金属系サイディングボードを使っていて、「住宅の外壁のひび割れ対策なら、弾性塗料がおすすめです!」と勧めてくる業者がいた場合は、施工不良の保証に応じない悪徳業者の恐れがありますので、慎重に対応しましょう。

■クラックが引き起こす外壁の劣化

クラックを放置すると、外壁の様々な劣化に繋がってしまいます。

 

劣化を進行させないためには、クラックのみの補修で済む段階で、点検を済ませておきましょう。

1.爆裂現象

「爆裂」とは、モルタルやコンクリートが、内部の鉄筋の膨張により剥がれ落ちる現象のことです。

 

クラックから雨水が浸水すると、内部で鉄筋の錆びを引き起こし、錆びが膨れとなって、表面のモルタルやコンクリートを押し出してしまいます。

 

モルタルやコンクリートが剥がれた箇所から、新たに雨水が浸水すると、外壁表面では留まらず、構造体の内部まで腐食が浸透することがあります。

 

あるいは、水以外の物質も通れるほどの大きな穴から、湿気を好むシロアリなどの害虫が、建物内部に侵入してしまう恐れもあるため、爆裂が起きる前に、早めにひび割れを補修しなくてはなりません。

 

2.構造体の腐食

建物の構造体には、木材や鉄筋などが使われています。

 

通常、軽度の浸水であれば、外装材と、下地材の防水シートが食い止めますので、建物内部の構造体がすぐに腐食してしまうことはありません。

 

しかし、ひび割れを長期間放置し続け、外壁下地でさえも食い止められないほどの水分が長期間浸水し続けると、やがて構造体にまで浸水し、腐食が広がってしまいます。

 

木造住宅であれば、木材の腐食やカビ・シロアリの誘発、鉄骨住宅であれば鉄筋の錆びが生じ、家の基礎は、みるみる耐久性を落としてしまいます。

 

ひび割れの早期発見とメンテナンスは、構造体の腐食による大掛かりな補強工事を発生させないためにも、非常に重要といえるでしょう。

 

■まとめ

クラックは、一見とても小さな劣化のようですが、長期間放置してしまうと、外壁材全体の交換や、基礎の全面的な補強リフォームに繋がってしまう、非常に危険な存在です。

 

ヘアークラックや構造クラックなど、ひび割れの種類によって深刻さは異なりますが、「このくらいの割れなら」と、DIYで済ませようとすると、建物で起きている重大な劣化を見落としてしまう恐れがあります。

 

個人で行えるDIYは、あくまでも応急処置に留め、必ず外壁塗装の優良業者に無料点検を依頼して、専門業者の目線から、劣化具合や、補修の必要性などを相談しておきましょう。

 

DIYの危険性や方法などについて詳しくは「外壁塗装をDIY補修する方法手順と事故を避ける為の注意点」をご覧ください。

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