外壁塗装の養生は安全に工事するための基本的な作業

外壁塗装の見積もりを眺めていると「養生」という言葉を目にします。

養生とは、施工箇所の破損や施工ミスを防ぐために行う作業のことで、外壁塗装においては、塗料飛散やはみ出しを防ぐために、シートやテープなどで窓まわりや屋外設備を保護する作業が行われます。

この養生が行われなければ、塗料があちこちにはみ出して、完成後の見た目が悪くなるだけでなく、飛び散った塗料が近隣住民からのクレームにも繋がりかねません。

 

この記事では、塗り替えリフォームの基本と言っても過言ではない、養生作業の内容と、養生中の過ごし方の注意点などについて解説します。

■外壁塗装における養生の作業内容とは?

塗装作業では、ほぼ必ずと言ってよいほど、塗料が施行箇所の周辺に飛散します。

塗装中に使う工具には、ハケやローラー、スプレーガンなど様々な種類がありますが、どの工具を使っても、液状の塗料は垂れたり飛沫になったりして、床や外壁などに付着してしまうでしょう。

 

この、塗装箇所以外への、塗料の付着や飛散を防ぐために行われるのが、「養生」作業です。

1.養生が作業効率を高めて施工ミスを防ぐ

職人にとって、塗装する箇所以外に塗料を付着させてしまうミスは、あってはならないことです。

しかし、どんなに優れた職人技を持つ人でも、機械のように1mmの誤差もなくまっすぐ塗ることはできず、作業中のヒューマンエラーを0%にすることは不可能です。

さらに、お絵描きで使う水性絵の具やペンと違って、外壁塗装用の塗料は、一度付着してしまうと、カンタンに落とすことはできません。

 

そのため、塗装を始める前には、建物の部位ごとにしっかり養生を行い、塗装しない箇所はもちろん、近隣の建物や住宅などに、塗料が飛散しない状態を作っておかなければならないのです。

2.養生が行われるタイミング

養生作業は、通常、足場仮設作業と同時にスタートします。

仮設足場工事の時点では、メッシュシートやブルーシートを足場に貼るのみですが、高圧洗浄作業や下地処理が終わると、今度は窓まわりや室外機などもビニールで養生されるという流れになります。

 

そのため、下地調整が終わり、塗装が完了するまでの期間は、養生のため窓が開けられなくなりますので、施工会社から渡される工事スケジュールにはしっかり目を通しておきましょう。

■養生の3つの目的

養生の基本的な目的は、指定された箇所以外への塗料の付着を防ぐことですが、厳密には大きく3つの目的に分けることができます。

1.部位ごとの塗り分けが行えるようにする

玄関ドアや窓サッシ、雨樋や軒天、雨戸といった付帯部は、塗装が行われないこともあれば、あとで別の塗料で塗装されることもあります。

 

また、サイディングボードなどの目地にシーリングを埋めるときも、シーリングが外壁材の周辺にはみ出さないようにしなければなりません。

そのような箇所は、塗装を行わないあいだはテープやビニールでカバーしておき、周辺の塗装工事終了後に養生して、塗装に移るという手順を踏みます。

 

このように、手間をかけて一つずつ交互に養生を行うことで、それぞれの箇所から色がはみ出したり付着したりするような施工ミスを防げるようになります。

2.養生によってまっすぐな線もきれいに引ける

どんなに熟練の職人でも、ハケやローラー塗りで機械のようにまっすぐな線を引くことはできません。

まっすぐな線を引く時は、塗装箇所に前もってマスキングテープによる養生が行われます。

テープを貼ったまま塗装し、塗料が乾燥した後にテープを剥がすと、テープの跡に沿ったまっすぐな線を作ることができ、細部塗装時の塗りムラも防げるようになります。

3.塗料の飛散を防ぐ

吹き付け塗装を行う際、塗料が風に乗って、近隣の住宅や建物、車などに飛散することも十分考えられます。

そのため、工事現場周辺に塗料が飛散しないように、建物の周りに組んだ足場にシートを張って、養生しておく必要があります。

このとき、車や植木、倉庫やカーポート、エアコンの室外機や給湯器など、屋外の小物や設備なども、塗料が飛散する恐れがあるため、ぬかりなく養生しておかなければなりません。

また、高圧洗浄機の水しぶきや、ケレン作業で発生するサビの粉といったゴミの飛散を防ぐ目的でも、メッシュシートによる建物周りの養生が必要です。

■養生に使われる道具

養生に使う道具には、ブルーシートやビニールなど、ホームセンターで購入できるものもあれば、メッシュシートやマスカーなど、塗装専門店でしか取り扱わないものもあります。

 

様々な養生材を、現場の状況に応じて無駄なく使う技術こそ、優良業者の腕の見せ所と言っても過言ではないでしょう。

1.ブルーシート

屋外で行われる外壁塗装では、塗料や工具などを広げるスペースが必要です。

塗料缶や工具などを、一時的に外壁のまわりに置く場所には、ブルーシートを敷いて、オイル缶などから塗料が垂れないように床面を保護します。

 

また、ブルーシートは床面だけでなく、足場の周りに張り巡らせて、飛散防止シートとして使われることもあります。

2.メッシュシート

外壁塗装の施工写真などでよく見かける、やや透けたグレーのシートです。

主に塗料飛散防止用のネットとして使われますが、ブルーシートに比べて軽いため重圧感もなく、強風の抵抗を受けにくい造りになっています。

さらに、メッシュ状になっているため、建物の周りに張り巡らせても通気性が保たれ、塗料の臭いが仮設足場の内部で充満しにくくなります。

 

注意点として、メッシュシートの構造によっては、吹き付け塗装の塗料が通過してしまう恐れがあるため、場合によってはメッシュ構造になっていないブルーシートと併用しなければなりません。

3.マスキングテープ

近年、雑貨ショップなどでも広く取り扱われるようになったマスキングテープですが、外壁塗装で使用されるのは、造りが丈夫な、無地の塗装専用のマスキングテープです。

塗装用のマスキングテープは、剥がし忘れや塗り間違いを防ぐため、境界線が目立ちやすいように蛍光色の紫や緑になっており、剥がした時に下地を傷つけないよう、粘着力も弱いという特徴があります。

 

このマスキングテープも、貼り付けが甘いと、テープの隙間から塗料がはみ出してしまうため、タイルやサイディング目地に貼る時は、凹凸に沿って塗面の表面にしっかり密着させなければなりません。

4.ポリフィルムシート

薄手の透明ビニールシートです。

料理で使うラップが、さらに大きく丈夫になったものを想像するとわかりやすいでしょう。

 

ポリフィルムシートは、外壁塗装だけでなく、ホコリよけや雨よけとして建築工事全般で使われており、部材単価も平方メートルあたり約100円以下で入手できるため、定番の養生材となっています。

また、現場の安全性を保つために、フィルム表面がエンボス加工された、滑り止め機能付きのスリップシートタイプなども発売されています。

5.マスカー

マスカーとは、マスキングテープとビニールシートが一体化した養生材です。

施工箇所に貼ると、布テープの下からビニールが広がる構造になっており、広い面を覆えるようになります。

 

ビニールのサイズも、窓枠や基礎の立ち上がりなど、あらゆる住宅設備の規格に対応したものが登場しているため、部材のロスが出ないよう、建物の形に合わせて様々なサイズを組み合わせて使われます。

■養生にかかる費用

養生は外壁塗装に欠かせない作業ですので、使われる道具も、ホームセンターなどで手に入るオーソドックスなものがほとんどです。

そのため費用相場も、同じく外壁塗装に欠かせない足場仮設に比べると、工事費用全体を大きく占めるほどではありません。

 

このとき注意しなければならないのが、業者から提出される見積もりが、養生費用だけ、相場以上に高額に設定されていないかという点です。

養生の基本的な相場費用を知って、見積もりの比較に役立てましょう。

1.養生費用の相場

養生費用は、平方メートルあたり約200~400円程度が相場となっています。

足場の周囲に掛けるメッシュシートは、複数枚を組み合わせて貼り合わせますが、平方メートルに換算すると、約100~200円が価格の相場です。

また、窓まわりや雨どいなど、部分的な養生にかかる費用は、1戸あたり平均して約15,000~20,000円以内、施工面積が少ないケースでは、約1万円以内に収まることもあります。

2.高額な養生費用の請求に注意

「養生」という言葉は、一般的に聞くことはあまりないため、外壁塗装や建築に詳しくない人にとって、何のための費用かわかりにくいという問題があります。

この点に付け込んで、法外な養生費用を請求するような悪徳業者には、くれぐれも注意が必要です。

 

外壁塗装の見積もりは、基本的に、

  • 足場仮設
  • 養生
  • 下地調整
  • 塗装
  • 諸経費

などで構成されています。

このうち総費用の大半を占めるのが、足場仮設費用と塗装費用です。

足場仮設は、戸建て住宅の場合、1件につき約20~50万円になります。

塗装作業は、下塗り塗料の種類や上塗り塗料のグレード、塗装する面積にもよりますが、約40~60万円と、外壁塗装費用のほぼ大半を占めます。

 

この2つの項目よりも養生費用が上回ることはほぼありえませんので、約5~10万円といった、相場以上の養生費用を請求された時は警戒しましょう。

そのような不当な見積書を作る業者は、他の項目にも費用を上乗せしていたり、お金だけ取ってずさんな養生を行う手抜き業者であったりする恐れがあります。

また、このように、相場以上の費用を上乗せする手口は、訪問販売業者との契約で多発していますので、必ず別の業者でも同じ条件で見積もりを取り、各項目の金額を比較しましょう。

■養生期間中の過ごし方について

家の周りの養生が撤去されるまでには、約1週間以上の工事期間が必要です。

 

塗装作業が始まると、窓まわりの養生が必要になります。

しかし、塗装作業には、下塗り・中塗り・上塗りという段階があり、それぞれ最低でも1日ずつ作業期間を設けなければならず、さらに、それぞれの塗料を乾燥期間も1日ずつ発生します。

そのため、最低でも約1週間は、シートやテープで覆われた建物で過ごさなければならず、普段通りの生活が送れないこともあります。

 

いざ養生が行われてから、日常生活に急な制約が生じて慌てないように、養生期間中の過ごし方は業者としっかり打ち合わせし、工程表にもしっかり目を通しておきましょう。

1.窓が開けられなくなる

塗装作業中は、窓やバルコニーが完全にビニールで覆われるため、窓が開け閉めできず、室内の空気の入れ替えが行えなくなります。

ただし、玄関先は玄関ドアのみ覆われますので、塗装作業中も屋外との出入りは可能です。

 

また、うっかり窓を開けてしまうと、養生しているシートが破れ、施行者がそのことに気づかずそのまま塗装して、塗装がはみ出してしまう可能性があります。

そのため、塗装期間中は窓の開閉を行わないよう注意しなければなりません。

●養生中はエアコンの使用に注意

養生中は、窓が完全に閉じられた状態になるため、夏場はエアコンや扇風機などの冷房器具で暑さをしのがなくてはなりません。

しかし、外壁塗装中は、エアコンの室外機も養生されたり、室外機裏の外壁を塗装する際に、室外機を撤去されたりすることがあるため、養生に気づかずにエアコンを稼働させると、故障や事故の元となります。

 

夏場でもエアコンが使えるように、室外機専用カバーを用意するなどして配慮してくれる業者もありますが、すべての業者が必ず配慮してくれるわけではありませんので、養生方法やエアコンが使えない期間を、事前によく質問しておかなければなりません。

2.移動できるものはあらかじめ動かしておく

塗装作業中は、雨どいやフェンス、植木やカーポート、給湯器、花壇など、外壁・屋根まわりのあらゆる箇所が養生されます。

このとき、屋外にある物をすべて手作業で養生するよりも、動かせるものは屋内や倉庫内に避難させた方が、養生作業の時間短縮になり、養生費用の節約にもなります。

 

しかし、職人だけでは、家主の許可なく敷地内の私物を動かすことはできないため、できるだけ塗装工事が始まる前に、自転車や盆栽など、動かせるものは自分たちで動かしておきましょう。

また、構造上移動できないものは、先に職人に伝えておき、養生を依頼しておくなどして、施工がスムーズに進むよう施主側が配慮することもポイントです。

●養生が悪影響を及ぼすことがある

屋内に移動できない植木は、ビニールなどで覆って養生することがありますが、長時間シートで覆い続けると、植物が呼吸できなくなり、枯れや成長阻害などが起きる恐れがあります。

また、自動車なども、シートで覆い続けると車体の変色などを引き起こす恐れがあるため、長時間密封しても車体を劣化させないような、車専用のカーカバーを使わなければなりません。

 

せっかくの養生が原因で、屋外部材にダメージを与えてしまわないように、養生が悪影響を与えそうな箇所は、塗装作業中だけビニールで覆い、作業が終わり次第養生を剥がすなどして、こまめに状態をチェックしておきましょう。

■おわりに

養生は、外壁塗装を美しく仕上げるために、欠かせない作業です。

建物周りのメッシュシート養生はもちろん、塗装を行わない窓まわりや屋外の細かい部材も、しっかり養生して、近隣とのトラブルや施工ミスを防がなければなりません。

 

養生期間中は、窓が開けられなかったり、建物が覆われて暗くなったりしますが、施工期間中の過ごし方をあらかじめ職人と打ち合わせておくことで、少ないストレスだけで過ごすことも可能です。

そのためにも、施工期間中の施主の生活や、無駄がなく効率のよい養生が行える優良業者選びを意識することが大切です。

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