外壁や屋根を塗装することで断熱効果を得ようとしている方が多く、それに目をつけて様々な断熱効果を謳った塗料が出ています。
しかし、塗料による断熱効果を本当に実感できるのはごく一部です。しっかりと外壁塗装の断熱に関する知識を得ておきましょう。
目次
外壁屋根リフォームで出来る断熱とは
断熱材を入れる、窓ガラスを二重にするなどの大きな工事を除いて、外壁や屋根のリフォーム工事の時に出来る断熱工事というのはどういうものがあるでしょうか。
断熱と遮熱の違い
先によく言われている断熱と遮熱の違いを確認しておきましょう。断熱塗料と遮熱塗料はよく似た表現で同じように使っているところが多いです。しかし、厳密には違います。
遮熱・・・熱を反射し遮断してしまう技術
断熱・・・熱自体を伝いにくくする技術
断熱は冬でも寒さを通さないですが、遮熱は熱を跳ね返すだけなので冬の寒さには効果がありません。
特殊な断熱塗料を使用する
今現在、断熱効果を謳った塗料は非常に多くあります。例をあげるとすれば、日進産業「ガイナ」、菊水化学工業「クールテクト」、OKUTA「ロハスコート」、ライツインターナショナル「キルコート」、エヌジーシー「アディバ(ADIVA)」、アペティー「アトモス」などです。これらは各メーカーが実験で出しているとおり、塗る事によってある程度の断熱効果を得ることが出来たという塗料です。
大手メーカーも断熱効果がある塗料を出しています。日本ペイントのサーモアイ、エスケー化研のクールタイトなどです。こちらは、信頼出来る大手メーカーが開発した塗料なので、品質には安心出来ます。塗料で得られる断熱効果は上述の通り少しのものではあるのですが、予算に余裕がある場合などには使用するのが良いでしょう。
色による断熱効果
上の表は日本ペイントのサーモアイのカタログから引用したものです。色によって日光の反射する割合を占める「日射反射率」が違う事が分かります。最も反射率が良い白は91.0%で最も低いブルーは43.0%です。選んだ塗料が明るければ明るいほど太陽の光を反射してくれるので、サーモアイに限らずどのような塗料であっても、明るい色の方が中に暑い熱が入らないという点で断熱効果、遮熱効果が高いと言えます。
これは白い服を着ていると、黒い服を着ていた時に比べて反射してくれるので熱を感じにくいという事に似ています。
関西ペイントのZウォール工法を使用する
信頼されている大手メーカーの一つの関西ペイントが提唱している断熱工法が「Zウォール工法」です。端的に言えば、外壁全体に分厚い塗料を塗る事で、家の中に熱が入りづらくするものです。夏だけではなく、冬の寒さにも効果があります。
塗料を塗る時は0.3mmほどの厚さで塗るものですが、Zウォール工法の場合、塗る塗料の分厚さは全部で5~8mmもあるので、一般的な塗料だけの断熱よりも効果が全く違います。分厚いと言う事で、音も壁を通過しづらくなるので、遮音効果も高いです。
Zウォールぐらい厚塗りであれば、ある程度の断熱効果は期待できるかと思います。しかし、1mm前後の塗料を塗っただけでは、どのような特殊な塗料を塗ったとしてもそこまで断熱効果を得られないのが今現在の断熱塗装事情です。
外壁や屋根の塗装だけで断熱する事は難しい
結論として、外壁や屋根に断熱塗料と言われる塗料を塗るだけでは、断熱効果を得ることは現在の所、難しいです。今現在あるどのような優れた塗料を使用したとしても、厚さが1mm程度では熱はどうしても伝わるので、外の熱が壁を伝ってくるのは仕方がないことなのです。
例えば、断熱塗料の売り文句としてよくいわれるのが「中空の真空のビーズがたくさん入っている塗料だから、熱を通しづらい」というものですが、塗料である以上、樹脂の部分が存在します。その樹脂の部分を伝って熱が移動するのでどうしようもないです。
例えば40年、50年前に建設された断熱材が全く入っていない家の場合は、外の熱がダイレクトに中に伝わるので、断熱塗料を塗る事である程度の断熱効果を期待できます。しかし、エアコンの設定温度がいつもより弱くて済んだなどは誇張表現である場合が多いです。
断熱塗料の誇張表現のセールスに注意
ガイナや、キルコートなど業者さんが評価している断熱塗料はいくつかあるのですが、「断熱」という性能を重視している塗料なので、セールスの時に誇張表現がよく使われてしまうのが現状です。絶対に使ってはいけないという事ではないのですが、塗料による断熱というのはそこそこの程度のもので、断熱材などの本格的断熱工事に比べれば断熱効果は低いと言う事をしっかりと認識しておきましょう。
例えば、鉄板等を実験にした断熱塗料がよくあるのですが、住宅の外壁や屋根は鉄板で出来ているわけではないので、鉄板などの熱伝導率の高い金属製品の実験は、「より断熱効果をわかりやすくするもの」という事で認識しておきましょう。
サーモグラフィー写真を掲載し「実際に温度が下がりました」という業者もいます。家表面の温度が少し下がっただけで、それ以上の効果はサーモグラフィーでは確認のしようがありません。むしろ表面の温度は多少熱くても良いので、その温度を中に入れないための窓、外壁そのものの断熱材などの工事の方が重要です。
同様に、工場での断熱効果を例として出す場合もありますが、工場とも環境が違うので参考になるものではありません。鵜呑みにしないようにしましょう。もちろんプレハブ小屋や工場など、断熱材などがない所には断熱塗料は効果を発揮しやすいと言えます。
家一つ一つで日光の当たり方などの熱事情は全く異なるので、断熱塗料を塗った場合、塗らなかった場合というものの比較は難しいです。結局は住んでいる人がどう感じるかという事になります。メーカーや外壁塗装業者のホームページの口コミはもちろん良い口コミしか載っていないので「クーラー代が安くなった」「冬の灯油代が安くなった」などの口コミが多いですが、Yahoo!知恵袋などを見てみると「あまり効果がなかった。高い買い物だった。」などの口コミも散見されるので、どちらを参考にするかということになると思います。
総合的に考えて、断熱メインで考えるのであれば、塗料で断熱を考えずに、しっかりと予算をかけて断熱工事をした方が良いです。
断熱したいなら塗料に頼らない本当の断熱工事を
塗料に頼らない本当に効果がある断熱工事とはどのようなものがあるでしょうか。確認し、予算内であれば視野に入れてみましょう。
断熱工事
外壁よりもっと内側に断熱材を入れる工事です。ロックウール、グラスウールと呼ばれる断熱材を入れます。主に新築時に十分な断熱材を入れるので、問題がない住宅の場合は追加で工事することはあまりありません。しかし、工事不良や、建設業者のミス、不手際、未熟さから、部分的に断熱材が入らない場合などがあります。その場合は、追加工事が必要です。
断熱材は断熱の為に作られたもので、外壁等に守られているので長期間断熱効果を発揮します。もちろん断熱塗料よりも断熱性能は高いです。
屋根裏換気
屋根裏には屋根からきた太陽熱がそのままたまっていくので、熱が非常にこもりやすく、逃げづらいです。そのせいで夜まで暑いと悩んでいる方も多いです。そのため、屋根裏換気工事も選択肢としては良いでしょう。吸気口などを取り付ける工事です。断熱工事同様、外壁塗装業者では出来ないのでリフォーム業者にお願いします。
窓ガラスを二重
外の温度が中に入ってくるのは、外壁よりも窓であることが多いです。特に大きい窓は断熱工事が必要でしょう。窓の工事は主に取り替える工事となりますが、ガラスを二重にして内側に空気の層を作る複層ガラス、そしてサッシを二重にして、単純に窓を二枚にする二重サッシ(ペアサッシ)などがあります。
断熱カーテン
最もお手軽で安価に出来る断熱と言えるかと思います。断熱性が高いカーテンにすれば、それだけで外の温度を中に入れづらくなり、クーラーや暖房器具の性能はアップします。