外壁塗装リフォーム工事は建物を長く使用する上で重要な工事であるため、専門業者に頼むとそれなりに高い料金が発生してしまいます。また、「壁に塗料を塗るだけ」というイメージがあるためか、「DIYでも十分に補修出来てしまうのではないか」と考えてしまうのは仕方ない事かもしれません。
しかし、専門的な知識を持たない素人がDIYを行うのは、犬小屋を作ったり、ベンチを作ったりするのとは全く違って、非常に危険な作業となります。安全性を確保しながらの作業となるため、仮設足場費用など、結果として
.ある程度のお金もかかってしまいます。
それでもDIYを行いたい、という方の為に、DIYの方法・手順と、命を危険にさらさない為の注意点などを踏まえて解説していきたいと思います。
もう一度申し上げますが、安易なDIYは絶対に行わないようにしてください。命の危険があります。
目次
DIYに関する基本的な知識
DIYとは「DO It Yourself」の略で、「自分でする」という意味です。イメージしやすいのは日曜大工などで行うベンチや小屋作りですね。ただ、それだけにとらわれず、プロにお願いせずに自分で行う作業の全般をDIYと呼びます。
ホームセンターに行けば外壁塗装用の塗料や工具が売られていますから、家の外壁を自分で塗ってしまおうと思う方は多いのかもしれません。
実際、DIYで外壁塗装を済ませる事が出来れば、専門業者に頼んだ時にかかる料金の大半を占める「人件費」「中間マージン」等を節約できるので、非常に安上がりです。以下、DIYと専門業者に頼んだ場合のメリットとデメリットについて簡単にまとめておきたいと思います。
DIYと専門業者に頼んだ場合のメリットとデメリット
DIY | 専門業者 | |
メリット |
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デメリット |
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DIYはまず圧倒的にローコストで、ほとんど全員の方がこの費用節約目的でDIYによる外壁塗装を行います。その他、専門業者に頼むまでもない小さな補修や、足場など専門の工具を必要としない塗装はDIYで済ませてしまう方もいます。
家全体を塗りかえるような大規模な外壁塗装工事は、足場をレンタル、組立から塗装終了し片付け終わるまで非常に長い期間を必要とします。日中、仕事をしながらであれば、三ヶ月以上はかかると考えた方が良いでしょう。当然、その間、足場はレンタルしっぱなしなので料金が発生しますし(30坪で200㎡なら一ヶ月3万円ほど)、塗料の臭いが長期間するので近隣とのトラブルも懸念されます。
また、なんといっても、普段からDIYを行っているわけではないので、不慮の事故が発生する可能性が高いです。足場からの落下などでケガをする可能性があるので、しっかりと知識を身につけ、出来る所だけDIYですませるようにしましょう。
DIYを始める前に知っておきたいリスクや注意点
DIYを始める前に、本当にDIYで良いのか、塗装業者に任せる必要はないかなどを今一度確認しておきましょう。ここでDIYを始める前に考えて起きたいリスクや注意点について書いていきたいと思います。
DIYは費用対効果が非常に悪い
DIYで外壁塗装リフォームすることによって安く済むので費用対効果は高いのではないか、と考えてしまうかもしれませんが、それはDIYをする人が「一人で外壁塗装業者全員分の働きをする場合」に限られます。ゴール地点が外壁塗装業者と同じクオリティになるのであれば、自分の人件費はタダなのでその分は安くすむ、費用対効果が高いと考えても良いかと思います。
しかし、実際はDIYと専門業者ではゴール地点のクオリティが異なるのです。つまり、仕上がりに非常にムラがあると言う事です。
外壁塗装業者は大人数で安全性を考慮しながら足場を組み、大量仕入れで安く済ませている塗料を使い、高圧洗浄機、ネット、刷毛、ローラー、スプレーガンなど専門業者でしか持っていないものも当然持ち合わせ、それらを長年のノウハウを生かして施工を行っていきます。インターネットや本で調べながら行い、取扱説明書を端から端まで読みながら塗料を塗り、平日の仕事以外の時間でしか出来ないため塗料のムラが非常に大きくなるような素人のDIYとはそもそも根本的に違うのです。
通常、2~3週間で終わるはずの外壁塗装工事は、DIYで行った場合、最低1~2ヶ月はかかりますし、長くて半年以上かかる方もいます。しかもそれだけの時間をかけたのにもかかわらず、おそらく塗料のムラなどから、プロが行った時のような10~15年のような非常に長い耐久年数は期待できません。苦労して塗ったとしてもまた数年後には部分部分に修復を必要とする箇所が出てくる可能性が高いのです。
時給で考えてみるとさらに費用対効果が悪いです
「DIYは全部自分でするから安く済む」という考えについてもう少し掘り下げてみましょう。厚生労働省の発表によると、平成26年の日本の男性の平均年収は329.6万円なので、一月当たりに換算すると27.4万円です。1日当たりで9,155円なので、9時間労働と仮定すると1時間あたり1,000円ほどと仮定します。
そして外壁塗装における作業時間はDIYだと調べながらやったとして1日8時間でも50日かかったとします。すると、8時間×50日で400時間。時給換算すると40万円となります。80万円の外壁塗装工事をDIYで40万円に抑えたとしても、その分40万円分の作業を行う必要があるのです。
わかりやすくまとめると、外壁塗装業者に頼んだ場合は80万円で、自分でやった場合は40万円の材料費(足場代含む)と40万円分の労働と50日の作業時間がかかるというわけです。DIYが楽しい、と思える方以外にはオススメできません。
転落等で命を落とす場合があります(死亡など事故事例)
外壁塗装工事で死亡事故なんてニュースで見たことがない、という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際に外壁塗装工事現場で命を落とすことは十分にあり得ます。しかも、素人のDIYでの転落事故ではなく、外壁塗装業者、リフォーム業者による施工中の事故が多発しているのです。死亡事故の多くは、安全対策を十分に行っていない事による場合が多い(安全措置の不履行といいます)のですが、DIYではその安全対策が十分かどうかもわからない事が多いため、安全対策への知識を十分に得ておく必要があります。
転落の他にも火災、中毒、感電など様々な事故が起こりえますので、十分に注意しましょう。
厚生労働省が運営しているサイト「職場のあんぜんサイト」において、様々な事故の状況を確認することが出来ます。いくつかの事例をわかりやすく端的に抜き出したので確認しておきましょう。
安全対策不備による転落死亡事故
1階の屋根から約3m下のコンクリートに転落し、脳挫傷により死亡
解説:2階からの転落ではなく、1階の屋根部分からの転落でも打ち所が悪い場合は死亡する事があります。
「何階の高さから落ちると死亡する」という明確な基準はなく、飛行機が空中分解して10,160mの高さ(2400階の高さ)から落ちても生存していた記録もある一方で、地上で転倒し死亡するケースもあるため、どのような高さの建物であったとしても転落自体を防止する安全対策は行う必要があります。
安全フックの誤用による転落死亡事故
落下防止用の安全フックの使用を誤り足場から転落し死亡
解説:安全フックを使っていたのにもかかわらず死亡した事例です。安全フックは一つだけでは足りず、二つ必要です。付け替えることで仮設足場上を移動するのです。常に一つは安全フックをつけた状態で、安全フック用の手すりのつなぎ目で、付け替える、という作業が必要なのですが、二つ目をつけるまえに一つ目を外してしまったが為に起きてしまった事故です。少しの不注意と一瞬の無防備状態で死亡事故は十分に起きえます。
感電による死亡事故
足場用の鋼管を近くの電線に接触させ感電死
解説:素人目にはどの電線が高圧電流かどうかはわかりませんし、基本的に電線は危険です。しかし現在の日本の住宅には電線があるところも多いです。絶縁防護具を使用すれば良いと言う訳ではありません。この場合、DIYで出来る範囲を完全に超えていますので、塗装は絶対に行わないようにしましょう。
有機溶剤の発火による焼死事故
有機溶剤の蒸気が何らかの原因で発火し、火災に。屋内で消火活動をしていた作業員が瓦礫の下敷きになり焼死
解説:びっくりするような事故ですが、本当にあった事故です。有機溶剤というのは非常に気化しやすく、さらに発火もしやすいので、気体の状態で充満すると非常に危険です。また火元がなくても直射日光等により発火する危険性はもちろんあるので、有機溶剤の使用には細心の注意を払って使用する必要があります。
溶剤塗料吸い過ぎでで失神(気絶)
有機溶剤の混合気体が許容量の三倍の濃度となり、それをすった作業員が気絶し倒れた
解説:死亡するような事故でなくても危険な事故は常についてまわります。より高い耐久性を求めて有機溶剤の塗料を使用した場合は、換気に気をつけないと有毒ガスの濃度が上がり、吸い続けた作業者や家族などの健康被害に繋がります。気絶したまま転落、という事ももちろんあり得ます。
その他の事例を確認したい場合は、厚生労働省「職場のあんぜんサイト」で見ることが出来ます。業種を建設業にするか、キーワードに「塗装」と入れて検索すれば様々な事例が出てきます。
外壁塗装DIYの課程と必要な道具
DIYだからといって外壁塗装業者と違う事を行うわけではありません。ほとんど同じ工程で行います。つまり外壁塗装業者が用意する物とほとんど同じ道具が必要になってきます。必要な課程と道具を一つずつ見て行きましょう。
足場の設置
必要な物:仮設足場、飛散防止ネット
門塀や手すりなど低所の作業のみの場合は不要ですが、屋根を含むある程度の高さがある部分の塗装を行う場合は必ず足場が必要ですので、設置するようにしましょう。簡易的な足場を推奨していたり、はしごで塗装が出来ると伝えたりするホームページもありますが、足場は「両足で立って姿勢を安定させる事が出来、塗装作業の際は両手を使う事が出来る足場」を使う事が作業効率的にも安全面の確保的にも必須となります。
はしご、ロープブランコ、脚立などの簡易的な足場で作業するのは危険で作業効率も悪いので絶対に避けましょう。転落等でケガや死亡事故に繋がる可能性があります。もちろん高所作業車をレンタルすることは費用的にも(安くても1日50,000円ほど)、スペース的にも(一般邸宅に入りきらない)、免許が必要な事を踏まえても(労働安全衛生法による技能講習修了証を持つ必要があります)、DIYを超えているので除外します。
足場の入手方法はレンタルか足場設置のみ委託
一般的な人間にとって足場は普段使う物ではありませんので、購入はしません。基本的にレンタルとなります。レンタルの場合は近所で借りるのであればトラックを借りて運搬するのか、もしくはその業者さんが届けてくれるのかで料金は変わってきます。レンタル先は仮設足場専門業者、外壁塗装業者、リフォーム業者などに依頼します。専門業者以外を選択した場合はもちろん中間マージンが発生して割高となります。
仮設足場設置専門の業者は設置まで行ってくれるので、料金を支払って足場の設置まで依頼する、という方法もあります。その場合は結局、工事を依頼する事になるので、工事業者の人件費等が発生し、DIYにおける費用的な恩恵が薄くなってしまいます。しかし、仮設足場設置専門の業者は法令を遵守し、安全管理をしっかりしているところもあり、安全に作業を行いたいのであれば、外せない事項です。
足場は安全に作業する為の物なので、省こうとしないようにしましょう。塗料が近隣に飛び散らないように飛散防止ネットも必ずつけましょう。飛散防止ネットをつけず、近隣住民の車に塗料がつきトラブルになるケースが多いです。
外壁の洗浄
必要な物:高圧洗浄機、もしくは、長いホースとブラシ
外壁は様々なゴミや汚れがたくさんついており、塗膜も経年劣化で白亜化(外壁の表面に粉がつくこと:チョーキング)しています。それをきれいに洗い流して、後から塗る塗料の接着率を高めます。
業者はここで業務用の高圧洗浄機を使いますが、一般家庭に業務用の高圧洗浄機はないので、家庭用高圧洗浄機か、ホースの水を当ててきれいにしていきます。家の外に水道栓があるご家庭は珍しくはないですが、それでも家の様々な所まで届くようなホースはないかとおもいます。その場合は、家の隅々まで届くような長いホースを用意します。また、汚れをなどを落とすためのブラシも合わせて用意しましょう。
ホースに関しては、ホース同士をつないでくれるパーツも市販されているので、今持っているのに追加で使用するか、そもそも長いものを購入するのも良いかと思います。2階建ての平均的な家の場合に必要なホースの長さは40~60mほどかと思われます。家の構造に応じて上下しますので、必要に応じて購入しましょう。高圧洗浄機を持っている場合でも、長さが足りないことがほとんどだと思うので、長い洗浄機用ホースを用意するか、家の各面に水道栓がないか確認しましょう。
ちなみに一般家庭用の高圧洗浄機と、業務用の高圧洗浄機の性能の違いを以下にまとめます。
業務用と家庭用の高圧洗浄機
業務用高圧洗浄機 | 家庭用高圧洗浄機 | |||
上位モデル | 下位モデル | 上位モデル | 下位モデル | |
価格 | 1,700,000円ほど | 250,000円ほど | 50,000円ほど | 8,000円ほど |
重さ | 128kg | 29kg | 13kg | 5.1kg |
吐出水量 | 500~900リットル/時 | 600リットル/時 | 430リットル/時 | 330リットル/時 |
吐出圧力 | 50Mpa | 15Mpa | 12Mpa | 8Mpa |
モーター出力 | 16kW | 3.4kW | 1.4kW | 1kW |
燃料タンク | 15リットル | 2リットル | 電気駆動 | 電気駆動 |
上記の様に高圧洗浄機は業務用と家庭用で性能が全く違います。また汚れなどの落ち方も全く違ってきます。
家庭用高圧洗浄機に関しては、下位モデルは外壁や屋根の洗浄を目的としておらず、自転車やバイク、家具などの洗浄を主な用途としています。つまり、下位モデルの場合は、外壁洗浄には向かないので、わざわざ外壁塗装の為に買うのはやめておきましょう。
もし車の洗浄など他の使い道があって購入を検討しているということであれば、上位モデルを購入するようにしてください(例えばケルヒャーであればベランダクリーナーという2万円強ぐらいの価格帯のもの)。
養生
必要な物:ビニール、マスキングテープ、マスカー、車専用の飛散防止カバー、テーププライマー、ラスター
外壁塗装において塗りたいところに塗装することも大事ですが、塗っては行けない場所、塗料がついてはいけない場所に塗料が飛ばないようにする作業が必須です。自分の敷地内だけなら多少飛んでしまっても目をつぶることが出来ますが、近隣の方の家や車に塗料が飛べば重大な近隣トラブルに発展しかねません。細心の注意を払って養生を行いましょう。
車は高額なものなので、特に専用の塗料飛散防止カバーを購入し、近隣住民には配慮しましょう。カバーを掛けられるのをよく思わない方もいるので、必ずあらかじめカバーをかける旨を伝えましょう。カバーをつけない場合は、高確率で細かい塗料がついてしまう旨も合わせて説明しておきましょう。
その他、養生における注意点としては「安物を使わないこと」です。昨今、100円均一ショップには本当に様々なものが販売されており、DIYセットの品揃えも豊富です。しかし、外壁塗装のDIY用の道具に関しては、100円均一のものではなく、きちんとホームセンターなどで購入するようにしましょう。なぜなら、100円均一の製品はそれ相応の品質のものがおおく、例えばビニールであればすぐ破れたり、マスキングテープであればべとべとになったりしてしまいます。ビニールの代わりに新聞を代用する方もいるようですが、新聞紙は塗料がしみてしまいますので、ビニールの代わりにはなりません。
ちなみに少し価格は高くなりますが、ビニールとマスキングテープが一体になっている「マスカーテープ」と呼ばれる物があります。ビニールを貼り合わせ、そこにマスキングテープを後からつけていくというのは、実はプロでも困難な作業です。必要に応じてマスカーテープも使いましょう。
また、マスキングテープがつきにくいデコボコした部分に関しては、テーププライマーというテープをくっつきやすくする薬剤を吹き付けます。ゴミがついている場合はラスター(小さいほうき)で取り除くようにしましょう。
下地処理
必要な物:ワイヤーブラシ、サンドペーパー、ナイロンタワシ、ハンドパッド
下地処理はとにかく後から塗る塗料がくっつきやすいように、塗装面のいろいろなものをいろいろな道具を使って取り除いていく作業となります。取り除くだけでなく、軽度のクラックなどを埋める作業もここで行います。軽度のクラックはクラックに薬剤を注入して修復します。「ダイレクトシールミニ」という製品が、補修道具とセットで販売されているので、そちらをインターネットか塗装店で購入しましょう。
大きなクラックなどに関してはU請うカッター等の専用の機械と薬剤を用いて丁寧に補修作業を行う必要があるのですが、DIYでは限界があるので、塗装店に部分補修を依頼する方が良いかと思います(補修の種類や相場についてはこちらの記事をご覧ください)。
下塗り
必要な物:上塗り塗料に適切な下塗り塗料、刷毛、ローラー、ローラーバケット、スプレーガン、ローラーハンドル、
下塗りに使う塗料は上塗り塗料によって決まりますので、上塗り塗料を先に決めてから、メーカーのホームページで確認し、下塗り塗料も購入しましょう。下地の状態のよって使う塗料には若干変更があります。
下塗り塗料を下地に塗っていきますが、その際に、刷毛、ローラー、スプレーなど塗る場所に応じて使い分けるようにしましょう。刷毛、ローラーは非常にたくさん種類があり、適切な大きさ、種類のものを選んだ方が塗膜が安定しますし、丁寧に塗る事が可能です。丁寧に塗る事が出来れば、長期間もつので、丁寧に塗るための道具は多くそろえておきましょう。
次の上塗りの塗料を含めて、下塗り塗料は安全な三大メーカー(日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研)のものを使用しましょう。外壁がシリコン樹脂塗料の場合、屋根も同様にシリコン樹脂にしておくと、次回の塗り替えのタイミングが合い、結果として塗装する回数が少なくて済みます。
上塗り×2回(中塗り、上塗り)
必要な物:上塗り用塗料、下塗りで使った物とは別の同様の道具をそろえる(刷毛、ローラー、ローラーバケット、スプレーガン、ローラーハンドル)
道具は出来れば下塗りで使ったものは使わないでください。使った道具に塗料(特に有機溶剤)が残っていると、別の塗料をつけたときに適切に塗る事が困難になり、中毒になる危険性も高まります(有機溶剤における人体への影響はこちらをご覧ください)。
上塗りは全体を塗って、乾いてから2回目を塗るようにしましょう。塗り直しをする場合も、乾いてから行います。乾かないうちにさらに塗ってしまうと、塗膜が偏ってしまい、剥がれ等の原因になります。
その他の部分の塗装
軒天、雨戸、破傷風、鼻隠し、戸袋、雨戸など、外壁と屋根以外の部分にも塗装を行っていきます。これらの部分を付帯部といいますが、この付帯部の色次第で家の印象が変わってきますので、全体のバランスを考えながら色を考えましょう(付帯部の色の選び方はこちらの記事をごらんください)。
後片付け
必要な物:ゴミ袋、ゴミ運搬用の軽トラ
塗料の残り、廃材、剥がれた塗膜など外壁塗装後には様々なゴミが出てきます。これらはそのまま家庭ゴミで捨てるわけにはいかず、必ず市区町村の指示に従って捨ててください。
特に塗料が有機溶剤塗料だった場合、発火等の恐れがあるので、密閉された空間に放置する、と言う事がないようにしてください。産業廃棄物の処理を専門とする業者に頼む場合、必ず厚生労働省の認可を受けている業者にしておきましょう。悪徳な産業廃棄物処理業者は不法投棄など問題行動を起こす可能性があり、その場合、ゴミを出した側が責任を問われる可能性もあります。認可を受けている業者かどうかは、厚生労働省の産業廃棄物業者検索システムより検索が可能です。
ちなみにゴミを運搬する際は有機溶剤がついて臭いがするものを車内などの密室にいれないように注意しましょう。
安全対策道具を一式用意しておきましょう
外壁塗装は高所からの転落だけでなく、有機溶剤中毒など危険がたくさんある工事です。それ故、安全には万全を期し、そろえられる道具は全てそろえるようにしましょう。
身につける物としては、頭にはヘルメット(保護帽)、目にはゴーグル、鼻と口には防毒マスク、滑らないゴム靴、作業着(ニッカポッカ、タイベックヤッケなど)、手袋、安全ベルト(安全帯)です。防毒マスクはしっかりとしたものを選び、毒への耐性が低い簡易マスクは使用しないようにしましょう。同様に手袋はきちんと塗装作業用の物を購入し、軍手を使用しないようにしましょう。ゴーグル、防毒マスクなどは有機溶剤を使用するときに装着すれば良いですが、ヘルメットやその他の安全器具は常に身につけるようにしましょう。「暑いから」「邪魔だから」といって怠った時に死亡事故が発生しています。
服装だけではまだ不十分で、設備にもある程度安全対策が必要になってきます。足場に手すりをつける、親綱(安全フックを引っかけるひも)を設置することなどが求められます。厚生労働省は、これらの設備をしっかりと用意し、さらに安全教育が必要としています。
DIYは最終手段で、出来るだけ専門業者に依頼しましょう
ここまでお読みいただいたのに、「この結論はなんだ」と思われるかもしれませんが、安さをとるよりも安心安全を優先すると、やはりDIYよりも専門業者に依頼する方が良いでしょう。DIY作業では気をつけることが多く、危険性が高い為、手すりや門塀など簡易的なものにとどめておくのが良いです。特に足場を使っての2階部分や屋根の塗装が危険です。平屋、プレハブ、ベランダなどであれば上記の方法でDIYを行っても良いかと思います。
安全対策に関して道具等をそろえるのは可能ですが、安全に関する教育を受けることはDIYでは出来ません。そして「安全教育を受けなくてもだいたいわかっている」などの少しの油断がケガや死亡事故に繋がるため、DIYで大規模な塗装を行うのは最終手段にしておきましょう。