外壁や屋根の汚れを強力な水圧で洗い落とす「高圧洗浄」は、外壁塗装工事では絶対に欠かせない作業の一つです。
しかし、「汚れを落として外壁や屋根をきれいにするためだけなら高圧洗浄は省いてしまっても良いのではないか」と思う人も多いかもしれません。
水しぶきがたくさん飛びますし、周辺もずぶ濡れ、時には近所の家にも飛ぶこともあるでしょう(飛散防止シートをしますが)。
そこまでして高圧洗浄をする必要はあるのでしょうか?もちろんあります。
このページでは外壁塗装の高圧洗浄に関する必要な知識をしっかりとまとめています。
水道代はどうするのか、いくらぐらいかかるのか、作業時間はどれくらいか、圧力はどれくらいかなど外壁塗装をお願いする前に絶対に知ってほしい内容です。
■外壁塗装ではなぜ高圧洗浄が必要なのか
家の大きさによって数万円の規模になる外壁塗装の高圧洗浄ですが、実は非常に重要な役割を担っています。
もちろん、昔は電動の高圧洗浄機というものは存在しませんでしたので、外壁や屋根洗浄専用の機械がなくても、手作業で行おうと思えばできる作業なのです。
今でも「高圧洗浄機は必要ない」と言ってくる業者さんも存在します。
しかし時代は変わり、今では外壁塗装において専用の機械を使った高圧洗浄作業は必要なものとなりました。
1.高圧洗浄によって塗料が外壁に密着する
外壁や屋根の表面に塗装してできた塗膜は、毎日屋外で紫外線、雨風、排気ガスなどにさらされているので、年月とともに耐久性が劣化していきます。
劣化した場合は、そのままボロっと丸ごととれるわけではなく、少しずつ粉化していくのです。
これを塗料の「チョーキング現象(白亜化現象)」といい、外壁の表面を手で触ると塗装と同じ色の粉が手につくようになりますので、自宅の外壁にチョーキング現象が起こっているかどうかはすぐに見つけることができます。
チョーキング現象が起こっている外壁にそのまま塗料を塗っても、チョーキングが起きているような劣化した塗膜には粘着力がなくなっていますので、一緒に新しく塗った塗料まで剥がれてしまいます。
そうすると、塗装から年数が経過していなくても本来の耐用年数を迎える前に外壁は修復が必要な状況になってしまうのです。
実際、外壁塗装駆け込み寺にいただくお問い合わせの中にも、「塗装から1年しか経っていないのに塗装がすぐに剥がれてしまった」というご相談がよく寄せられます。
つまり、外壁塗装における高圧洗浄作業は、せっかく塗装した塗料がたった数年で剥がれてしまわないように、外壁の表面にある古い塗膜を取り除くために行われているのです。
もちろん古い塗膜以外にも、カビ、藻、コケ、汚れ、チョーキングの粉など外壁表面の様々な汚れをまとめて落とすことも高圧洗浄の目的です。
よって、外壁塗装における高圧洗浄作業は「汚れを洗い落とすため」というよりも、「旧塗膜などをまとめて削り落とすため」といった方が作業の目的を表すうえでは正しい表現といえるでしょう。
●高圧洗浄機には人をケガさせる威力のものも
高圧洗浄機というのは私たちの想像がつかないぐらい高圧なものもあります。
高圧洗浄の水は人の身体を貫通させるほどの威力がありますので、実際に死亡事故が発生したり、人に向けて発射して傷害罪で逮捕されたりするほど危険な威力を持つ機械です。
●高圧洗浄の水はバケツやタンクに溜めて使う
外壁塗装用の高圧洗浄機は、塗装を行う住宅の水道と洗浄機本体を直接繋いで水を噴出するわけではなく、大きなバケツやタンクに高圧洗浄用の水を溜めておき、そこから機械で水を吸い上げて内部で圧縮し発射するというしくみになっています。
高圧洗浄機がこのようなしくみになっている理由は、水道に機械を直接繋いでも水の出が遅いため高圧の水を安定的に噴出できないからです。
そのため高圧洗浄用の水をためる時は、バケツやタンクに水道から水が出しっぱなしの状態で放置されていることがあります。
一見水が出しっぱなしで無駄なように感じてしまいますが、あくまで高圧洗浄の作業効率を上げるために水を出し続けているのです。
例えば、もったいないと思った客が「水がバケツに溜まるたびに水道の栓を止めてください」とお願いしてしまうと、間違いなく作業時間と作業員の手間がかかり、本来半日で完了する高圧洗浄が長時間に及んでしまうでしょう。
もちろんこまめに水道を止めてくれる節約を考えた業者さんもいますので、高圧洗浄の方法については施工業者のスタイルに任せることをおすすめします。
2.昔ながらの業者の中には高圧洗浄をしたがらない業者も
先に少し触れましたが、高圧洗浄機は昔は当然存在していませんでした。
ニューヨークにある『自由の女神像』などを高圧洗浄機で洗った実績を持つケルヒャー社のホームページによれば、ヨーロッパで初めて高圧洗浄機が開発されたのは1950年ですが、日本に高圧洗浄機のメーカーが登場したのはそれから約40年後の1988年の事でした。
つまり高圧洗浄機が登場してから30年ほどとあまり時間が経っていないため、機械で建物の洗浄を行わない昔ながらの塗装業者さんがいても不思議ではないかもしれません。
しかし、時代の流れで、便利なもの、必要なものは取り入れるべきで、高圧洗浄機は絶対に取り入れるべき技術の一つです。
「高圧洗浄機なんて必要はない」という業者は柔軟性に欠くので、一旦お願いするのを保留しておいた方が無難です(手抜き業者とは限りません)。
昔はブラシ、サンドペーパー、ワイヤーブラシを使って汚れを取りながら塗装を行ったのですが、チョーキングの粉を取り除きづらいですし、リシンなどのデコボコトゲトゲした壁には高圧洗浄機が適切です。
もちろん、ブラシ、サンドペーパー、ワイヤーブラシといった道具も、塗装前に鉄部の錆びを落とすためにケレンで使いますので、建物を清掃する上で必要ではあるのですが、建物一棟を洗浄することにおいては、
- 水分を乾燥させるための時間を確保する必要がある
- 水道代がかかる(水道代は家主負担)
といったデメリットを考慮しても、効率や作業員の手間を考えれば高圧洗浄機は取り入れなくてはならない機械なのです。
■外壁塗装に必要な高圧洗浄機のスペック
外壁塗装に高圧洗浄機が必要だからといって、Amazonや楽天で低価格で購入できるような家庭用高圧洗浄機では外壁塗装工事で求められる作業を行うことは出来ません。
当然ですが高圧洗浄で最も重要なのが水圧です。
水圧が低い高圧洗浄機を外壁塗装前に使っても、汚れや古い塗膜、コケなどを完全には落としきれませんので自前で行おうとせず、外壁塗装業者が持っている高圧洗浄機に任せるようにしましょう。
テレフォンショッピングや、インターネット通販が普及してきたことにより、高圧洗浄機が身近なものになってはいるのですが、外壁塗装工事に必要な高圧洗浄機は全くの別物のグレードです。
「超」高圧洗浄機と言った方がわかりやすいかもしれません。
一般的な家庭用高圧洗浄機は8~12MPa(メガパスカル)で、外壁塗装工事においては最低でも14.7MPa以上は必要です。
外壁塗装業者さんが使っている高圧洗浄機は基本的に問題ありませんが、まれに全く高圧ではない洗浄機でただ流している悪徳業者がいることもありますので、気圧計が、15MPa以上を指しているか確認しておきましょう。
ちなみに高圧洗浄機によっては、MPaという単位ではなく、kgf/㎠と表す場合があります。
これは「1㎠に対し、何キログラム重の圧力がかかっているか」を表す単位で、MPaが普及する前まではよく使われていました。
14.7MPa=150kgf/㎠に直すことが出来るので(1 kgf/cm2 = 98.0665 kPa )、業者が使う高圧洗浄機に求めるスペックとしては14.7MPa以上、または150kgf/㎠以上の水圧のものとなります。
1.外壁塗装で業者がよく使うメーカーの高圧洗浄機
メーカー名 | Wagner | 清和 | フルテック |
型番 | WZ13-150NSSPⅡ | JC-1516GP | GB160 |
価格 | オープン | 664,000円 | 588,600円 |
最大吐出圧力 | 14.7MPa | 14.7MPa | 16Mpa |
最大吸水量 | 13リットル/分 | 15.6リットル/分 | 12.0リットル/分 |
騒音値 | 61dB | 63dB | – |
重量 | 51kg | 80kg | 48kg |
業者さんが使っているメーカーのもので、14.7MPaのものを例としてあげております。
家庭用高圧洗浄機としてはケルヒャーが有名で人気ですが、業者さんは主にWagner、清和産業、フルテックなどのものを使用しています。
表には載っていませんが、高圧洗浄機には噴出口からぐるぐると回りながら出てくるトルネードタイプ(回転式)と、通常の扇もしくは円錐状に出てくるタイプがあります。
普通に噴出するよりも、トルネードで噴出した方が、機械の圧力がそのまま外壁に届く、という事でメーカーが作成しているようです。
●高圧洗浄機の使用中は騒音が発生する
住宅地で使うものなので、静音(防音)タイプのものが望まれます。
静音タイプの高圧洗浄機は60デシベルほどの音しか発生させませんので、作業中も比較的音が気になりません。
ちなみに環境省が出した騒音の目安によれば、60デシベルは「銀行の窓口周辺」や「博物館の館内」に該当する静けさとなっていますので、住宅の工事で発生する騒音としては静かなレベルと言えるでしょう。
静音タイプでないものはオープンタイプ、もしくは開放型と言って、80~90デシベルほどで、目安としては「航空機の機内」「ゲームセンター店内」「パチンコ店内」くらいなので強烈にうるさいです。
外壁塗装業者は基本的に、閑静な住宅地が主な作業現場になりますので、当然、防音タイプの高圧洗浄機を持っているはずですが、高圧洗浄機を所有していない業者の場合は機械をレンタルすることがあり、レンタル品の中にはエンジン部がむき出しになっていて大きな音が発生するオープンタイプもありますので、必ずしも静音タイプが使われるとは限りません(ご近所に騒音で迷惑をかけたくない、という方はお願いする業者が静音タイプの高圧洗浄機を所有しているか確認しておくのもよいでしょう)。
また、騒音値は本体のエンジン音の事ですが、高圧洗浄時には水が外壁を洗ったときの音も発生し、これもそれなりに大きな音がします。
工事前には施工業者が近隣に挨拶をしてくれますが、高圧洗浄作業中に騒音が発生することは欠かさず伝えてもらうようにしましょう。
■高圧洗浄作業の費用相場について
外壁塗装における高圧洗浄の単価相場は、屋根でも外壁でも1㎡あたり100~300円です。
洗い方も特に関係なく、後述するバイオ洗浄だとしてもこの相場内に収まるべきです。
洗浄する外壁の面積が一般的な住宅の100~120㎡だと仮定すると、一つの工事あたりの高圧洗浄の総費用は安くても10,000円、高くても36,000円ぐらいに収まると考えられます。
高圧洗浄は外壁塗装に欠かせない工程であり、さらに高額な機械を導入して家一棟を洗浄する手間を考えればもう少し費用が高くなるように感じてしまうかもしれません。
しかし、もし100~300円/㎡という相場を上回るような高額な高圧洗浄費用の見積もりを作る業者がいた場合は、ぼったくり業者や悪徳業者の可能性を視野に入れなくてはなりません。
高すぎる場合はもちろん、高圧洗浄費用は無料などと言う業者にも十分に注意しましょう。
1.高圧洗浄費用「無料サービス」の業者に注意
高圧洗浄機は上記の通り、かなり高額で50万円以上するものもあります。
外壁塗装業者側からしてみれば、高圧洗浄機購入にかかった高額な経費を、顧客が支払う工事費用から回収したいと考えるはずです。
それを無料で提供すると言う事は、塗料代、足場代、下地処理代など高圧洗浄以外の部分に上乗せされているだけなのです。
もし高圧洗浄の費用がなぜ無料なのか質問したとき、「無料で譲り受けた機械ですよ」「先代から使っている機械なので購入費用はとっくに回収しました」「正直負担になっていますがサービスで無料にしています」など無料にした理由はいくらでも創作できますので、安くなって嬉しいなどと思ってしまわず、本来かかるはずの費用が無料になった経緯を必ず疑うようにしましょう。
■悪徳業者の高圧洗浄に関する手口
悪徳業者だけではなく、お客様の為によくない事なのにそれを自覚していない「あまり良くない」業者の情報を高圧洗浄の項目に絞ってまとめます。
上記の高圧洗浄無料サービスもその一つです。
1.高圧洗浄の作業時間が非常に短い
高圧洗浄の時間が非常に短く2~3時間ほど家の周りを回っただけで終わり、という業者がいます。
高圧洗浄というのは専用の機械を使いながら家全体を洗浄する作業です。
先に書いたとおり水を使って洗い流すというよりは、非常に高い水圧を使って旧塗膜などを削り落とす作業となります。
つまり一回さっと水でなでただけで削り落ちるわけがありません。
高圧洗浄作業をたった2~3時間で終わらせてしまうような業者だった場合、下地調整作業や塗装作業といった他の塗装工程も手を抜かれてしまう恐れがあります。
洗浄担当者が新人でまだ不慣れ、とかならまだいいですが、会社全体が良くない可能性もあります。
高圧洗浄の作業は外壁と屋根合わせて7~8時間かかります。
つまり、外壁塗装日程の1日を高圧洗浄のみで消化するのです。
その後、一日乾燥時間を作ってから、次の工程にはいります。
2.洗浄中は室内に水が浸入する恐れがある
高圧洗浄の作業は常に高水圧で行うわけではありません。
最高出力15MPaが必要という事でしたが、外壁の状態に応じて水圧を調整する必要があります。
高圧洗浄の水圧を調節しなければならない箇所には、窓やサッシ周りのコーキング部、金属系サイディングボードの表面、大きなクラック(ひび割れ)が入っている箇所などがあります。
サッシ周りに強力な水圧をかけてしまうと、隙間から屋内に水が入ってしまいますし、薄い金属系サイディングボードは表面が水圧でへこんでしまうでしょう。
クラックが起きている部分に関しては、高圧洗浄機の水圧で壁に衝撃が加えられ、クラックが大きくなったり、クラックから外壁の内側に水が入って外壁下地材が塗れたりする可能性があります。
つまり高圧洗浄を担当している人間が、家の構造や補修箇所を把握していない場合に「室内に水が浸入する」という事態がおきてしまうのです。
室内に入ってきた水を見つけた段階で、業者の上司や社長に相談するようにしましょう。
基本的に、高圧洗浄作業中に室内に水が入ってくるのは仕方のないことではなく、業者の不注意による施工ミスです。
ちなみに、瓦スレートなどの屋根材や、サイディングボードなどの外壁材というものは、上から当たる雨水を想定して作られてはいますが、下から吹き上げる強い水を想定しては作られていませんので、高圧洗浄の際に下から強い水圧を当てたときも室内への水の浸入が予想されます。
外壁や屋根にはどの方向から高圧洗浄水をかけるべきかの方向があるので、それを熟知している職人が家の状態に合わせて行うべきです。
高圧洗浄はかなり高度な技術が必要なので、経験の浅い職人がするべき作業ではないのです。
3.見積書に「洗浄一式」と記載して費用を誤魔化す
高圧洗浄をするにしてもきちんと㎡当たりの単価を決めて広さに応じて行わないと家の大きさによって不公平が出てしまいます。
中には、きちんと費用を計算したうえで「一式」とまとめて記載している業者もいるかもしれませんが、そのような一式見積もりは外壁塗装について詳しくない人にとっては不親切と言わざるを得ないでしょう。
計算根拠が明らかなわかりやすい見積もりを作る優良業者も増えてきましたが、依然として「一式」としか記載ない業者は残念なことに後を絶ちません。
もし業者から渡された見積書に「高圧洗浄一式○○○○円」と書かれていた場合は、一式の計算根拠(洗浄面積はどれくらいで、単価はいくらなのかなど)を明らかにしてもらう必要があります。
「弊社の高圧洗浄の単価は㎡当たり○円で、洗浄する建物の面積が○㎡だから、単価と面積を乗じた結果この金額になりました」と計算の過程を聞くことが出来れば、その業者の高圧洗浄の費用単価が市場の相場に対してどのくらい高いか・安いか判断でき、建物のどこからどこまでを洗浄しようと計画しているのかも知ることができます。
業者からしたら簡単な「一式」という表現、家主側としてはわかりにくいだけなので是非改めてもらいましょう。
■高圧洗浄の基礎知識
1.高圧洗浄後は2日間(48時間)の乾燥期間が必要
塗料を下地にしっかりと密着させるには、ゴミや旧塗膜を取る高圧洗浄が非常に大事というのはおわかりいただけたかと思いますが、その次に大事になってくるのが「乾燥」です。
高圧洗浄はもちろん水なので、乾燥させて乾いた状態にしてから塗装などをしないと、後から塗膜のふくれなどの原因になる場合があります。
高圧洗浄の後は、季節にもよりますが最低でも24時間、出来れば48時間は空けておいた方が良いと考えてください。
例えば、1日目足場設置、2日目高圧洗浄だとすると、土日の休業日などを利用して3日目と4日目を乾燥に使う、などが良いでしょう。
1日も乾燥期間を作らない事がどういう事かというと、高圧洗浄が終わるのが夕方だとして、その日の夜は太陽が出ていないので乾きにくい状態です。
そして次の日の朝に次の工程にいっても、外壁はまだ乾ききっていないでしょう(18時に終わったとしても次の日の朝だと15時間ぐらいしか経ってません)。
外壁に水分が残ったまま高圧洗浄の次の工程である下地調整や塗装に移っても、仕上がり後に塗膜の不具合が出て、塗膜が剥がれたり気泡ができたりしてあっという間に劣化してしまう可能性が大いにあります。
2.高圧洗浄だけで対応出来ない汚れもある
高圧洗浄だけで全ての汚れなどが取れるということはありません。
その場合は、職人が手作業で薬剤などをつかいながらこすり落とすなどの作業が必要な場合があります。
塗膜に浮きや剥がれが起きている箇所も、高圧洗浄だけで終わらせず、金属製のヘラなどでこすって完全に除去することが重要です。
高圧洗浄のあと、さらに手作業で徹底的に旧塗装を除去する業者ほど、塗装の仕上がりを重視している良心的な業者と言えるでしょう。
また、チョーキングが起きて粉が着いている外壁を高圧洗浄しても、乾燥後に粉が若干残っているケースがあります。
これは手抜きということではなく(もちろん手抜きの場合もあります)、高圧洗浄では取り除けなかった旧塗膜が粉化したものです。
粉化したものが完全になくなるまで高圧洗浄を続けてしまうと、今度は下地にまで影響を及ぼす可能性があるので、よいタイミングで洗浄をとめる必要があるのです。
高圧洗浄後に粉が残ってしまった外壁に塗料をしっかり外壁に密着させるためには、プライマー、フィラー、シーラーといった密着性を高めるための下地材を塗ります。
3.劣化したコーキングの補修を先に済ませる
サイディングボードのパネル同士の目地や、窓サッシの周りに充填されているコーキング材は、紫外線や雨で劣化するとひび割れたり縮んだりすることがあり、そのまま高圧洗浄を当てるとコーキングを通り抜けて水が外壁下地に浸水してしまいます。
そのため、高圧洗浄より先にコーキング補修作業(打ち替え)を済ませておかなければなりません。
本来の外壁塗装の工程としては、足場設置→高圧洗浄→下地処理→塗装→コーキングが正しい順序ですが、コーキング材が劣化してる場合、本来の順序通りに高圧洗浄を行ってしまうと、高圧洗浄によってさらに建物にダメージを与えることになってしまいます。
そういう場合は、コーキング補修作業を先に行います。
優良業者であれば、最初の打ち合わせの段階で確認済みなので問題ないですが、コーキング後にも乾燥期間が必要となるので、工程を根本的に見直す必要が出てきます。
高圧洗浄している最中にボロボロのコーキングに気づいた、などの業者の場合は、根本的に工事のやり直しをお願いするべきです。
4.高圧洗浄で使用した水道代は家主負担なの?
結論から言えば高圧洗浄の水道代は家主負担です。
しかし、外壁塗装費用全体を見ても、高圧洗浄にかかる水道代はそこまで高いものではありません。
高圧洗浄にかかる水道代を、具体的に計算してみましょう。
業務用高圧洗浄機の吐出水量(出す水の量)を毎時600リットルとします。
高圧洗浄は1日かかります。
仮に、朝から夕方まで10時間ぐらいかけて高圧洗浄作業を行ったとすると、使用した水道量は、1時間で600リットルですので10時間で6,000リットルとなります。
一見すると非常に大量の水が高圧洗浄で使われたかのように感じてしまいますが、意外にも水道代自体はそこまで高額になりません。
もし1リットル100円のペットボトルを買った場合は合計6万円になりますので、家主が6万円も負担するという困った事態になるのですが、水道代はペットボトルの水に比べると非常に安いものです。
全国の水道局によって水道代にばらつきはありますが、ここでは東京都23区の水道料金を使って計算してみましょう。
参考:料金自動計算(23区)
すると6000リットル=6立方メートルで税込み1,556円が高圧洗浄にかかった水道代という結果となりました。
10時間ぶっ続けで水を出し続けると言う事はありませんので、それよりは安くなると考えられます。
無料ではないので軽視しているわけではありませんが、日本の水道代が安いおかげで、数千円の負担で高圧洗浄をしてもらえます。
●外壁と屋根以外も洗浄してもらえるか交渉してみよう
せっかくなので、高圧洗浄をしてもらっているときは、塗装をしない部分も洗浄してもらえるかお願いしてみましょう。
例えば家の窓や網戸、ベランダ部、玄関の床、小さな塀などは、外壁や屋根のついでに洗浄してもらえることがあります。
ただし、快く洗浄してくれる業者は一部で、見積もりで打ち合わせていない箇所を洗浄する義務は業者になく、設備の破損といったトラブルを避けるために建物以外の洗浄は別途相談としている業者もいますので、無理にお願いするのは避けておきましょう。
■薬剤を使ったバイオ洗浄もある
バイオ洗浄は「外壁や屋根において汚れている原因の多くが、細菌によるもので、水で洗浄するだけでは細菌は全部取り除けるわけではない」という考えの元に開発されました。
外壁や屋根にこびりついたコケ、藻、青カビや黒カビといったカビを完全に取り除くために、薬剤を水に混ぜたバイオ洗浄を取り入れる塗装業者も増えてきました。
1.バイオ洗浄と高圧洗浄の違い
バイオ洗浄は高圧洗浄中の水全てにバイオ洗剤を混ぜるというものではなく、高圧洗浄をする前に、洗浄する面全体にバイオ洗剤を散布して、細菌を分解した上で、高圧洗浄を行う、というものです。
細菌を減らすことが出来るので、洗浄中の外壁の臭いなども抑えられ、洗浄液自体は人体に無害なので近隣の人にも迷惑がかからない、というものです。
あくまでバイオ洗浄用に考えられた薬剤を使用するのであって、車を洗うときなどに使う洗剤を使用するわけではありません。
悪徳業者の中には泡立ちが良い、不向きの洗剤を使う所もあるので、気をつけましょう。
バイオ洗浄を行うのであれば、どのメーカーのどの薬剤を使うのかを確認し、それがどういうものなのかをしっかりと事前に調べておきましょう。
2.バイオ洗浄は絶対必要ではない
バイオ洗浄用の薬剤はローラーやスポンジを使って塗るよう指示しているメーカーもあり、実際にそのようにして薬剤を壁に塗布する業者も居ますが、その場合は家全体に薬剤を塗るために工程と作業時間が非常に増えて費用もかかってしまいますので、薬剤の手塗りを提案された場合はバイオ洗浄はお断りしましょう。
そうしてまでバイオ洗浄が必要な理由が今現在の所ありません。
見積書でバイオ洗浄の文字を見つけたら、「どういう工法で薬剤を外壁に散布するのですか」と質問して確認しましょう。
薬剤は高圧洗浄機を使って散布できるタイプのものを使用し、バイオ洗浄は「そこまで費用や手間がかからないならお願いする」くらいのスタンスにしましょう。
バイオ洗浄にしたとしても単価の相場は100~300円/㎡と変わらないので、もし相場を超えるようであれば、その場合も、バイオ洗浄を断りましょう。
3.バイオ洗浄を拒否する業者もいる
バイオ洗浄はまだ新しい手法の一つなので、「意味がない」「薬剤が残って悪影響」など否定的な見解を締めてしている業者さんも居ます。
バイオ洗浄用の薬剤を作っている側は薬剤が残っても影響が出ない、もしくは出にくいものを原料にして作っているはずですし、そもそも水でもしっかり乾かさないとサビやコケなどの問題が出るものです。
この点については家の立地や建物の築年数によって結果が異なり、絶対にどちらが良いという答えは出せないため、バイオ洗浄を行うべきかどうかは外壁の汚れの深刻度で判断しなければなりません。
「バイオ洗浄をしてくれるからこの業者にしよう」などと安易に決定せず、業者からバイオ洗浄の必要性を説明されて、納得できたときに採用すると良いでしょう。