外壁や屋根が緑色のコケで覆われてしまうと、新築から数年しか経っていない家でも、長い間手入れされず老朽化してした建物のように見えてしまいます。コケの発生は、すぐに塗り替えが必要というほど緊急性は高くありません。
しかし、発生原因をよく突き詰めてみると、建物に重大な劣化が潜んでいるケースもありますので油断はできません。
この記事では、外壁に生える厄介なコケの特徴と、除去方法などの対策について解説します。
目次
■外壁にコケが発生したときの対処法

コケを除去するためだけに、何度もメンテナンスを行わずに済ませるためには、コケの除去方法だけでなく、コケを再び発生させない予防方法も知っておきましょう。
1.コケの除去方法
基本的に、外壁の表面というものは、非常に繊細です。
そのため、清掃の知識がない状態で水洗いなどをしてしまうと、外壁や塗膜の表面を傷つけて、余計に被害を拡げてしまう恐れがありますので、おすすめできません。
コケの除去は、外壁の状態や塗装の劣化状況に詳しい、塗装の専門業者に依頼するのがベストです。
コケの除去をしてから外壁塗装を考えている場合は、外壁塗装業者がコケの除去をやってくれるところもあります。
コケの除去を合わせて行ってくれる優良な外壁塗装業者を無料で紹介します!
もし、軽度のコケをご自身で除去する場合は、必ず以下の内容を守りましょう。
●柔らかいスポンジで水拭き
コケがほんの少ししかなく、外壁の広範囲や高い所に繁殖していないときは、やわらかいスポンジを使って軽く水拭きをしてみましょう。
付着したばかりのコケであれば、ある程度は除去が可能です。
ただし、コケの繁殖力は非常に強く、除去してもわずかな組織さえ残っていれば、再生してしまうことがあります。
このとき、コケが落ちないからといって、硬いタワシやモップなどで力を入れてこするのは絶対にやめましょう。
劣化していない塗膜まで傷ついてしまい、保護機能や防水効果を失ってしまう恐れがあります。
また、外壁の高い箇所にあるコケを、脚立や屋根の上に登って不安定な姿勢で除去しようとすると、転落の恐れがあり非常に危険です。
高い位置や広範囲にコケが発生しているときは、無理せずプロの専門業者を呼んで、足場を組んで除去してもらいましょう。
●バイオ高圧洗浄で根ごと除去
外壁塗装では、外壁や屋根の表面を高圧洗浄機で水洗いし、土やホコリなどの汚れを落としたうえで作業が行われます。
高圧洗浄機は非常に強い水圧で汚れを落としますが、そのような機械を使っても、水だけではコケが完全に除去できないことがあります。
そのため、コケが何度も発生する外壁や、広範囲に青黒く繁殖しているコケなどは、防カビ・除菌機能を持つ特殊な洗浄剤を使って「バイオ高圧洗浄」が行われます。
バイオ高圧洗浄は個人でやることは難しいため、まずはこちらからご相談いただき、バイオ洗浄ができる優良業者に依頼するようにしましょう。
バイオ洗浄法の注意点として、コケだけでなく周辺の植物まで枯らしてしまうことがあります。
そのため、行う際は必ず、ご自宅だけでなく隣近所のお家の植樹も、ビニールシートで養生しておかなければなりません。
なお、家庭用高圧洗浄機などもホームセンターで購入できますが、威力は業務用を大きく下回りますので、コケの除去効果はほとんど期待できません。
参考:高圧洗浄で知らないと損な作業時間、圧力、単価、水道代の話
2.コケの予防方法
コケを予防する方法は、主に3つに分けて考えることができ、具体的な行動をまとめると以下のようになります。
| コケの予防方法 | 具体的な行動 | 
|---|---|
| 外壁の防水性を落とさない | 
 | 
| コケの発生原因を知る | 
 | 
| コケに強い外壁を作る | 
 | 
※1…光に当たると外壁表面の汚れを分解する塗料。分解された塗料は雨水とともに洗い流される(参考:光触媒塗料の価格相場、メリット・デメリット)。
●コケが繁殖しやすい季節を知っておく
コケは、主に春や夏に繁殖し、空気が乾燥して湿気が少ない冬場は発生しにくくなります
そのため、春や夏にコケが活動し出す前に、外壁の点検を行い、防水性の低下や塗膜の劣化などがあれば、メンテナンスを済ませておくことが大切です。
可能であれば、ご自身の家に付着しやすいコケの種類も知っておくことをおすすめします。
コケにも、春から夏にかけて繁殖するものや、秋に繁殖するものなどがありますので、該当するコケが活動期を迎える前に、業者に点検して除去をお願いしましょう。
■外壁に発生するコケの正体

コケは「コケ植物」の一種で、「蘚苔類(せんたいるい)」に分類されます。
盆栽や日本庭園の世界では、その神秘的な見た目から鑑賞用に親しまれているコケですが、意図せず建物に発生してしまったコケは、建物の美観を損ねるばかりか、耐久性にも悪影響を及ぼしかねません。
コケを外壁や屋根に拡げてしまわないためにも、コケの発生条件や、発生したときの悪影響について知っておきましょう。
1.コケの特徴
コケは、湿った岩や地面、木、そして外壁など様々な場所に生息できる生物です。
わずかな栄養分と湿気さえあれば、水分の吸収と光合成によって成長していきます。
また、一度根を張ったあとは、枯れて弱ることはあっても剥がれ落ちずに外壁表面に留まり、日光や湿度が再び当たるようになれば元に戻るという、非常に高い生命力も持ち併せています。
●藻やカビとの違い
外壁表面が緑、または青黒くなっていても、必ずしもそれがコケとは限らず、藻、またはカビの可能性も考えなくてはなりません。
なぜかと言うと、藻やカビは、コケとは繁殖方法や発生条件が異なりますので、除去や予防においても別のアプローチが必要になるからです。
まず、コケと藻は同じ植物ですが、カビは菌類の仲間ですので、日光が当たらない外壁に発生しやすいという特徴があります。
また、藻は基本的に水分が豊富な場所で光合成が行えなければ繁殖できませんが、コケはわずかな光でも成長するので、水分量と日光の当たり具合でおおよそ見分けることが可能です。
2.コケが外壁に与える影響

コケはすぐに外壁に悪さをすることはありませんが、長期間放置すると、取返しがつかない事態を招く恐れがあります。
「見た目が悪くなるだけならコケぐらい平気」と判断してしまわず、なぜその外壁・屋根にコケが生えてしまったのか、外装リフォームの専門家を呼んで、一度原因を調べておくことをおすすめします。
●お住まいの美観を損ねる
コケが繁殖してしまった外壁・屋根は、表面が緑または青黒く覆われてしまいます。
また、コケは水分が多い箇所に繁殖しますので、窓サッシや換気口の下など、雨が流れ落ちる箇所にコケも繁殖しやすくなります。
そのような状態のまま、水洗いをせずに放置してしまうと、雨だれとコケの両方が外壁に筋を作り、建物は一気に老朽化したような見た目になってしまうでしょう。
コケが生えにくい外壁にするためには、塗装してある塗料を変えることも一つの手です。
コケが生えにくい外壁にするためにはどうするべきか、こちらからご相談ください!
●コケは防水性低下のサイン
コケ自体が塗膜や外壁を傷めることはありませんが、コケが発生しているということは、その部分の水はけが悪くなっていると考えられます。
外壁用の塗料は、基本的に防水性を持っていますが、長期間、紫外線を浴び続けたり、水はけが悪い箇所に放置されたりして、経年劣化と共に防水性は低下していきます。
つまり、コケが繁殖している箇所は、塗膜が威力を失っている恐れがありますので、塗装の塗替えを検討することをおすすめします。
■コケが発生する原因

コケはどの家でも決まって発生する劣化というわけではなく、一定の条件が揃ったときに、外壁や屋根に発生するようになります。
1.立地が原因で発生するコケ
お住まいの立地によっては、他の家よりもコケが発生しやすくなることがあります。
もし、以下のような立地に当てはまる場合は、塗装の際にしっかりコケを除去し、コケを発生させにくくする塗料を選ばなくてはなりません。
●水場が近くにある家
コケは地球上のあらゆる場所に生息していますが、池や川、または畑や田んぼなど、水場が近くにある家は、外壁が濡れやすくコケも届きやすいため、特にコケの被害を受けやすくなります。
●日当たりが悪い家または壁
コケは、日中あまり日光が当たらない、北側の壁や、他の建物で影ができてしまう壁などに繁殖します。
コケが発生した外壁の事例を並べて見るとわかるのですが、いずれも、日中でも比較的暗く、日光が届きにくいという共通点があります。
そのため、外壁だけでなく、日光が入り込みにくいベランダ内部側の手すりにもコケが繁殖することがあります。
●樹木の近くにある家または壁
コケを飛ばす樹木の近くにある外壁や家は、風に乗って飛んだコケが付着しやすくなります。
1本だけの植樹など、植物の量がわずかであればコケのリスクはそこまで高くありませんが、家の周りに整地されていない雑木林などがあると、樹木側の外壁・屋根でコケが繁殖しやすくなってしまいます。
2.施工条件が原因で発生するコケ
立地だけでなく、建物の施工条件が原因で、コケを呼び寄せてしまうこともあります。
以下のような建物でも、コケが発生しやすい立地と同様のメンテナンスや予防方法が必要です。
●結露が発生しやすい構造の建物
断熱材で囲まれた部屋で、夏場にエアコンで室内を冷やすと、外壁材と外壁下地材のあいだに暖かい空気が発生します。
暖かい空気は上に向かって移動しますので、遮るものが何もなければ、建物の壁全体にどんどん行き渡ります。
すると、外壁の屋外側で結露が発生し、水分を帯びた状態になり、コケを発生させやすくなってしまいます。
きちんと施工された家であれば、この暖かい空気が上昇しないように「気流止め」が作られていますので、空気の移動が防がれ、断熱効果もアップします。
しかし、気流止めがないと、空気はどんどん逃げて断熱効果は得られず、外壁表面にコケやカビが繁殖しやすくなってしまうのです。
もし、コケが何度も発生し、その原因が断熱材の施工だったときは、上からの塗装だけでは大きな効果は得られませんので、外壁内部の補修工事を検討することをおすすめします。
●塗れやすい構造の外壁
庇(ひさし)が短い、または設けられていない外壁は、当然、雨で濡れやすい構造をしています。
その面がさらに、日当たりが悪かったり植物に近かったりすると、コケが生えやすくなります。
3.外壁の素材が原因で発生するコケ

凹凸が多い、または模様が付いている外壁などは、コケが内部にどんどん溜まってしまいます。
凹凸が多くコケが発生しやすい外壁としては、リシン、スタッコなど、表面にランダムな凹凸を持つ、吹付け仕上げのモルタル壁が代表的です。
特に、モルタル壁は外壁材自体が水分を吸水しやすいため、コケにとって非常に繁殖しやすい環境と言えるでしょう。
そのほか、撥水剤の性能が低下している、打ちっぱなしのコンクリート壁や、細かい模様が付いた窯業系サイディングボードの壁などもコケには注意が必要です。
●コケが発生しにくい外壁材もある
撥水性が高く汚れが付着しにくい外壁では、コケは栄養が得られず繁殖しにくくなります。
コケが繁殖しにくい代表的な外壁材としては、ガルバリウム鋼板などの金属系サイディングボードや、吸水率が低いレンガやタイル仕上げの壁などがあります。
4.外壁の劣化が原因で発生するコケ
冒頭でも少し触れましたが、外壁・屋根材の防水性が低下し、湿気が溜まりやすくなると、コケも繁殖しやすくなります。
外壁材や屋根材など、外装材の劣化を防ぐためには、定期的な塗装で表面を保護しなければなりません。
しかし、外壁塗装用の塗料の耐用年数は、シリコン塗料で約10~13年、フッ素塗料でも15~20年前後と言われます。
つまり、塗膜が経年劣化して防水性が低下すれば、再びコケが生えやすくなってしまいますので、コケを防ぐためには定期的に外壁塗装を行わなければなりません。
●何度もコケが発生する場合は施工方法の見直しを
業者から、10年間はコケが発生しないと言われる塗料を使ったにも関わらず、またすぐにコケが生えてしまった、と言ったケースでは、提案された施工方法が、お住まいに合っていない可能性があります。
合わない施工方法で何度塗装を行っても、すぐにコケが生えて効率が悪く、塗装回数分の足場代や職人の人件費も発生して、コスト面でも負担が大きくなってしまいます。
もし、過去に施工した業者でコケの予防効果を得られなかったときは、別の2~3業者からも見積もりを取り、金額やコケ対策の内容を比較してみましょう。
その際、外壁塗装の施工費用の相場や、適切なコケの除去方法・予防方法などの予備知識を知っておき、悪徳業者や手抜き業者に騙されないように対策することも大切です。
■おわりに
コケは建物の見た目を落としてしまいますが、コケが発生しているということは、外壁の劣化が始まっている兆候でもありますので、早めに塗替えを検討しましょう。
また、一度広がったコケを完全に落とすのは大変ですので、専門業者を呼んで、お住まいの外壁材に相応しい方法で、しっかり根ごと除去してもらうことが大切です。
何度もコケの除去で悩まされることがないように、お住まいで発生したコケの原因を突き止めて、確実に除去と予防を行ってくれる、信頼できる塗装業者と契約しましょう。



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