外壁塗装は仕上げ用塗料の耐久性がそのまま塗装の耐用年数になります。
エスケー化研の『プレミアムシリコン』は近年仕上げ用塗料として登場した、「ラジカル塗料」という新しい種類の塗料です。
この記事ではラジカル塗料の解説と併せて、プレミアムシリコンの特徴や選ぶときの注意点などについてご紹介します。
目次
■エスケー化研のラジカル塗料『プレミアムシリコン』

画像引用:http://www.sk-kaken.co.jp/products/data/premium_silicone.html
プレミアムシリコンは大手塗料メーカー・エスケー化研が販売しているラジカル塗料の一種です。
同じラジカル塗料の中では日本ペイントの『パーフェクトトップ』と並んで注目されています。
プレミアムシリコンの特徴を知る前に、ラジカル塗料が外壁塗装リフォームで注目されている理由について知っておきましょう。
1.ラジカル塗料は登場したばかりの塗料
ラジカル塗料は「ラジカル制御型塗料」とも呼ばれる2010年代に開発されたまだ新しい塗料です。
アクリル塗料やシリコン塗料など従来の塗料は成分に使われた樹脂が名前になっていますが、ラジカル塗料は塗料のはたらきが名前になっています。
●ラジカルを制御して塗装の劣化を防ぐ塗料

外壁塗装は紫外線や雨水で劣化すると言われますが、それは紫外線などの外的要因が塗膜に「ラジカル(劣化因子)」を作るためです。
塗料は樹脂の結合力によって耐久性を保っていますが、ラジカルが発生すると結合力が低下して耐久性を失います。
すると顔料が粉になって外壁表面に付着するチョーキング現象が起きたり色あせたりして様々な劣化症状を引き起こすようになります。
このラジカルを抑制するしくみを備えた塗料がラジカル塗料です。
劣化因子そのものを封じ込めて劣化を防ぐという点が、従来品の塗料と大きく異なる特徴といえるでしょう。
なお各メーカーによってラジカルを制御するしくみの紹介方法に違いはありますが、ラジカルを抑える力と封じ込める力が組み合わさっている点は共通しています。
2.塗料には5段階のグレードがある
外壁塗装では下塗り用塗料と仕上げ用塗料を使って塗装します。
この仕上げに使用した塗料の耐久性がそのまま完成後の塗膜の耐久性になりますが、仕上げ用塗料には現在、以下の5段階のグレードが存在します。
- アクリル塗料
- ウレタン塗料
- シリコン塗料
- ラジカル塗料
- フッ素塗料
※数字が大きい物ほどグレードは高くなります。
ラジカル塗料はこのうち4段階目という高いグレードに位置しますが、3段階目に位置するシリコン塗料と並んで高い人気を得ています。
グレードが低いアクリル塗料は低価格ですが耐久性が非常に低く、耐用年数も5~8年程度しか期待できないため塗ってもすぐに塗り直しが必要になります。
そしてグレードが高いフッ素樹脂塗料は非常に高い耐久性と約15~20年という長い耐用年数を誇りますが、価格が高く一回の工事費用が100万円を超えることもあるため気軽に選べるものではありません。
一方ラジカル塗料は耐用年数が約12~16年と安定しており、機能性も最高級グレードのフッ素塗料に引けを取りません。
そのうえ施工価格も手頃ですので、一般的な戸建住宅であれば外壁塗装のみで100万円を超えることはまれです。
これまでは同じ理由でシリコン塗料が人気を得ていましたが、ラジカル塗料はシリコン塗料よりも価格がやや高くなるだけでより高い耐久性を発揮することから、徐々にシリコン塗料に代わって使われ始めています。
そしてこのラジカル塗料の中でも特に人気を得ているのが、今回ご紹介するエスケー化研のプレミアムシリコンです。
以下からは各塗料別の施工価格と特徴をカンタンに紹介します。
ラジカル塗料との比較資料として参考にしてみてください。
※耐用年数と施工価格はあくまで目安であり、施工価格は㎡あたりの金額です。
●アクリル塗料
耐用年数:5~8年
施工価格:1,500~1,800円/㎡
メリット:ツヤがよく価格が安価
デメリット:耐用年数が短く劣化が早い
●ウレタン塗料
耐用年数:8~10年
施工価格:1,800~2,200円/㎡
メリット:柔らかくヒビ割れが起こりにくい
デメリット:耐用年数は長くない
●シリコン塗料
耐用年数:10~15年
施工価格:2,800~3,100円/㎡
メリット:コストパフォーマンスがよく人気が高い
デメリット:塗膜が固く衝撃が加わったときのひび割れに弱い
●ラジカル塗料
耐用年数:14~16年
施工価格:3,000~4,000円/㎡
メリット:耐候性(紫外線や雨に耐える力)が高く耐用年数が長い
デメリット:フッ素塗料ほどではないが施工価格がやや高くなる
※ラジカル塗料のメリット・デメリットについては後の項目で詳しく解説します。
●フッ素塗料
耐用年数:15~20年
施工価格:4,200~4,500円/㎡
メリット:耐候性・耐久性ともに非常に優れ耐用年数も長い
デメリット:施工価格が高く一棟の塗り替えで100万円を超えることがある
■エスケープレミアムシリコンの特徴
エスケー化研の『プレミアムシリコン』は水性ハイブリッドシリコン樹脂です。
高い耐候性と汚れにくさ、艶の美しさを備えていながら作業性もよくほどよい価格帯であることから、施主・施工店両方から高い支持を得ています。
1.耐候性に優れている
先述の通り、耐候性とは紫外線、雨、温度変化などの外的要因によるダメージに対抗する力のことです。
エスケー化研のプレミアムシリコンはラジカルを抑制するはたらきにより耐候性が非常に高くなっており、紫外線による色あせやチョーキング、塗膜のひび割れを他の塗料よりも防ぎやすくなります。
2.汚れにくくカビが生えにくい

ラジカル塗料には劣化を抑止する効果だけでなく、汚れにくくする効果もあります。
完成した塗膜の丈夫さを示す言葉に「架橋」というものがあります。
架橋とは橋を架けることであり、架橋効果が高い塗膜は重い車が乗っても耐える橋のように外壁表面をしっかり保護することができます。
エスケー化研のプレミアムシリコンは塗膜の架橋効果も高いため、空気中の塵や排気ガスといった汚染物質が外壁に触れても定着させずに跳ね返しやすくなります。
さらに外壁表面に根を張って繁殖するコケやカビも架橋効果によりブロックしますので、防汚・防カビ効果によって汚れにくい建物にします。
3.光沢のある仕上がり
プレミアムシリコンに限らずラジカル塗料は仕上がり後に非常に強いツヤを作ります。
外壁にツヤがあると新築のような綺麗な見た目になりますので、塗り替えでマイホームをピカピカに蘇らせたいという方におすすめです。
レンガ調やブロック調など凹凸の多いサイディングボードを外壁材に使用されている家であれば、ツヤで凹凸が強調されてより意匠性が増すでしょう。
またツヤがあるということは汚れを弾きやすい状態でもありますので、泥などが外壁表面に付着しても雨で洗い流されやすくなります。
4.手が届きやすい価格帯
エスケープレミアムシリコンの設計価格は㎡あたり2,050円です。
設計価格(または設計単価)とは
- 塗料代
- 職人の人件費(施工費)
をすべて含めた㎡あたりの材工価格のことです。
つまりプレミアムシリコンを100㎡に塗装した場合は、
2,050円×100㎡=20万円
となります。
なお設計価格はメーカーが目安として公表している数値ですので、必ずしもこの金額内に収めなければならないという決まりはありません。
また施工地域によって設計価格の相場は異なります。
実際の外壁塗装ではメーカー提示の設計価格に対し、㎡あたり約800~1,000円プラスして考えておくとよいでしょう。
ここにさらに足場代や養生費用といった諸費用が加わって外壁塗装の総費用となります。
ラジカル塗料で平均的な戸建て住宅の外壁全体を塗装した場合、総費用は約75~90万円が相場です。
5.塗装できる外装材の種類が多い

プレミアムシリコンは下地に使用する下塗り材との組み合わせ次第で、ほとんどの外装材に塗装できる塗料です。
外壁材であれば
- コンクリート
- モルタル
- ALC(軽量気泡コンクリート)パネル
に「弾性プレミアムフィラー」を下地材にして塗装できます。
フィラーとは下地材の一種で、弾性とはゴムのように伸縮するはたらきのことでこの機能が付いた塗料はひび割れが起きそうになっても追従して割れを防ごうとします。
そして窯業系サイディングボードの外壁や屋根用スレート材には「水性SDサーフエポプレミアム(エポキシ樹脂系サーフェサー)」という下地材がメーカーにより勧められています。
サーフェサーも下地材の一種で、サイディング材の旧塗膜と新しい塗膜の密着性を高める効果と仕上がり後のムラを防ぐ効果があります。
そのほか塗料が付着しにくく塗り替えが難しいとされる、光触媒塗料や無機塗料などが塗られた外壁でも「エスケーハイブリッドシーラーEPO」などのシーラーを塗布すれば塗装できるようになります。
このような塗装場所を問わない柔軟性によって、プレミアムシリコンは戸建て住宅に留まらずアパートやマンションなどの集合住宅のほか、学校や店舗などの公共設備の塗装にも採用されています。
6.水で希釈できる水性塗料
エスケープレミアムシリコンは水性塗料です。
塗料には溶剤塗料(油性塗料)と水性塗料の2タイプがあります。
このうち溶剤塗料は施工箇所に強力に密着して丈夫な塗膜を作るというメリットがありますが、シンナーで薄めて使用するため塗装中に周囲に強い刺激臭が広がってしまうというデメリットがあります。
一方、水性塗料は清水で薄めて使用できますのでシンナーをプラスで追加しなくて済む分、工事中の臭いがはるかに軽減されます。
全く塗料の匂いが消えるわけではありませんが、環境にも人体にも優しいため夏場など換気ができない時期の外壁塗装におすすめです。
■外壁塗装にプレミアムシリコンを使うときの注意点
高い耐久性を持つプレミアムシリコンですがデメリットが全くないわけではありません。
近年登場したばかりの新しい塗料という点を忘れずに、リフォームを依頼する前に注意点をしっかり覚えておきましょう。
1.仕上げでつやが出過ぎる

ラジカル塗料の特徴といえば従来品よりはっきりとわかる美しいツヤです。
しかし艶のないマットな外壁にしたい方には艶ありタイプの塗料は向いていません。
あるいはテカテカし過ぎて周囲の建物から浮いてしまったり、高級感が出るどころか安っぽくなったりする可能性もありますので、試し塗りや大き目のサンプルを光に当てるなどして仕上がりの状態をできるだけ事前に確認しておきましょう。
●プレミアムシリコンには「艶消し」は無い
ちなみにプレミアムシリコンは「半艶」または「3分艶」いずれかのツヤ抑え仕上げを選ぶことができますが、完全な艶消しは選べません。
同じラジカル塗料の日本ペイント『パーフェクトトップ』や菊水化学の『ロイヤルシリコン』は艶消しタイプも選べますので、「ラジカル塗料の耐久性は欲しいけれどツヤを一切出したくない」というときはこれらを選ぶとよいでしょう。
ただし塗料は艶を抑えると低汚染性や耐水性がやや低下してしまうため、もともと艶のあるタイプの塗料にツヤ抑えを行う工法はできれば避けた方がよいでしょう。
2.新しい塗料のため施工例が少ない

ラジカル塗料は2010年代に登場したばかりの新しい塗料です。
様々なメーカーから続々とラジカル塗料が販売されるようになりましたが、いずれも登場から日が浅く長期間使用した実績がまだ多くありません。
また施工業者がラジカル塗料を取り扱っていないことも多く、塗料をメーカーから取り寄せても使用に慣れていないため施工ミスを招く可能性があります。
プレミアムシリコン含めラジカル塗料を使って塗装するときは、過去に同じ塗料商品を使って塗装した経験を持つ業者に依頼するとよいでしょう。
3.永久に塗り替え不要になるわけではない

外壁塗装は塗料が耐用年数を迎えれば必ず塗り替えが必要になります。
高耐久性のラジカル塗料『プレミアムシリコン』といえども、一度塗り替えれば永遠に塗り替えが必要なくなるわけではありません。
特に最近開発されたばかりのラジカル塗料は悪徳業者の手口に利用されやすいため警戒しておきましょう。
●悪徳業者からラジカル塗料を提案されたら
何度も塗装リフォームを行うと数十万円の塗装費用が発生してしまいますので、できるだけ耐用期間が長い塗料を選んで塗装回数を増やさないようにすることが大切です。
悪徳業者などはこの点に付け込んで「永久にメンテナンスフリーになるラジカル塗料です」などと言って相場よりも高額な契約金額で訪問セールスをかけてくることがあります。
もし見知らぬ業者から見積もりを渡されても必ず見積もり内に記載された塗料のメーカー名に目を通しましょう。
『プレミアムシリコン』や『パーフェクトトップ』など各メーカーの本物のラジカル塗料が記載されていればメーカーホームページで設計単価を調べることができます。
商品名さえ記載されていない見積もりは設計単価を調べられないどころか、安物の塗料をラジカル塗料と偽っている恐れもありますので決して契約してはなりません。
■おわりに
エスケー化研のラジカル塗料『プレミアムシリコン』は、従来品のシリコン塗料よりも耐候性・耐久性ともにすぐれたおすすめの塗料です。
シリコン塗料よりも施工価格はやや高くなりますが、最高級グレードのフッ素塗料に劣らない耐久性と艶がフッ素塗料よりも割安な価格で手に入ります。
施工実績が少ないという最新塗料ゆえのデメリット面もしっかり把握して、塗り替えに使用する塗料の候補に考えておくとよいでしょう。



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