付帯部の外壁塗装費用と相場

外壁塗装について調べていて「付帯部」という言葉を聞いたことのある方も多いかもしれません。

付帯部には雨戸や雨樋といったメジャーなものから、破風板や鼻隠しなど、普段は聞きなれないものもありますが、いずれも建物を守るために取り付けられているものばかりです。

 

付帯部の名称と費用相場を知って、見積書の見方を覚えておきましょう。

■付帯部の種類

外壁や屋根にはたくさんのパーツが付いています。

それらをまとめて「付帯部(ふたいぶ)」と呼びます。

 

雨樋や雨戸などの付帯部はほとんどの方が知っているでしょう。

毎日目にする玄関ドアや窓サッシなども、外壁塗装においては付帯部に分類されます。

そのほか、破風板や鼻隠し、笠木なども外壁塗装ではよく付帯部塗装が行われる箇所です。

 

それぞれのパーツがどこにあるのか、なぜ設置されているのか理由を知っておくと、付帯部塗装の重要性も理解できるようになるでしょう。

部位 説明
軒天(のきてん) 外壁から突き出した屋根の裏側を指す。
破風板(はふいた) 屋根の妻側に設置されている板のこと。

鼻隠し(はなかくし) 屋根の桁側に設置されている板のこと。

雨樋が取り付けられている。

霧よけ 庇のこと。

窓の上に取り付けられている。

雨樋(あまどい) 屋根の桁側に設置されている排水設備。
笠木(かさぎ) ベランダ、バルコニーの手すり部分天面に設置されている板のこと。
水切り 基礎と外壁の境界に設置されている板のこと。

換気フード 換気ダクトの排出口上部をカバーする部材。
雨戸 窓サッシに取り付けられている保護用の戸。
戸袋 使わない時に戸を収納しておく部分。
シャッター 上下に昇降する保護用の戸。
玄関ドア 玄関に設置された戸。
ベランダ、バルコニー 2階以上に設置されている屋外スペースのこと。

屋根があるものをバルコニー、ないものをベランダと呼ぶ。

窓枠 窓ガラスがはめ込まれている枠のこと。
手すり 屋外階段やベランダ、玄関アプローチなどに設置されている。
フェンス 敷地の境界部分に設置される。
化粧胴差 1階と2階の境界部分に設置される化粧板のこと。

■付帯部はなぜ塗装が必要なのか

付帯部塗装が重要と言われる理由は、付帯部の多くが建物の防水性を司っているからに他なりません。

壁や屋根だけしっかり塗装しても、付帯部の劣化を見過ごすと建物の防水性は上がりませんし、塗装後の美観も損ねてしまいます。

 

1.付帯部塗装で建物の劣化を防ぐ

例えば雨樋の破損を放置すると、屋根からの雨が外壁に直撃してしまい、外壁の塗膜の劣化が早くなってしまいます。

さらに、雨が一箇所にまとめて排水されなくなり、敷地の周りや隣家に飛び散ってしまうこともあるでしょう。

 

また、破風板や鼻隠しといった屋根の周囲に貼られている板が腐食すると、屋根の内部に雨水が入り込むようになり、雨漏りに繋がってしまいます。

 

そのほか、一見重要性が低そうに見える軒天は、雨水が当たらないからと放置しやすい箇所です。

しかし台風や強風を伴う大雨でいつのまにか腐食していることもあり、放置すると外壁への漏水を招いてしまうでしょう。

 

このように、付帯部の多くは建物の防水性を維持しているのです。

●鉄部の腐食を防いで安全性を高めることも重要

付帯部塗装で忘れてはならないのが、鉄部の補修です。

付帯部の中には金属製のものがあります。

鉄部は、普段は塗装で表面が保護されていますが、塗膜の劣化や傷でサビが生じることがあります。

錆びは進行を放置すると腐食して部材自体に穴が空く恐れがあり、部材の耐久性を著しく落とします。

防水性が損なわれることはもちろん、手すりや鉄骨階段など重量がかかる部分では重大な事故を招く恐れがあるため必ず補修しておかなければなりません。

 

鉄部の補修では「ケレン作業」と「防錆塗装」が行われます。

ケレン作業とは、工具を使って錆びを落とす作業のことです。

錆びのレベルによって4段階が使い分けられ、戸建て住宅で行われるのは3種ケレンと4種ケレンのどちらかです。

3種ケレンではサンドペーパーで磨くなどして手作業で錆びを落とします。

4種ケレンはハケなどで簡単に清掃をするのみですので、費用もあまりかかりません。

まれに戸建て住宅でも2種ケレンが行われることがありますが、2種になると電動工具で錆びを削り落とす作業になり費用もかかります。

 

このように鉄部のケレン作業は錆びが進行するほど大規模になり費用も高くなりますので、早めに付帯部の状態を確認して補修に着手することが大切です。

2.付帯部もセットで塗装すると仕上がりの品質が向上する

外壁や屋根が塗り替えられてピカピカになっても、付帯部が古いままだとそこだけ目立ってしまいます。

特に、雨戸や窓サッシ、雨樋は目立つ箇所に設置されていますので、これらの塗装を省くと非常に目立ってしまうでしょう。

満足な仕上がりにするためには、付帯部も忘れずにしておくことが肝心です。

●付帯部も含めてカラーコーディネートしよう

既存の色と大きく異なる色で塗り替えると、それまで外観に馴染んでいた付帯部が急に目立つようになる恐れがあります。

塗り替え後の仕上がりをイメージするときは、付帯部も含めて考えなくてはなりません。

 

例えば、同じ白い窓サッシでも、ベージュの外壁にあるときとネイビーの外壁にあるときでは印象が全く異なります。

ベージュのような淡い色の中では目立たなかった白い窓サッシも、ネイビーのような濃い色の中にあるとコントラストが発生してはっきり目立つようになるからです。

 

付帯部塗装に使う塗料の色を提案されたときは、付帯部だからと安易に決めてしまわずじっくりシミュレーションしましょう。

■付帯部の塗装費用相場

以下は付帯部塗装の費用相場です。

※付帯部の大きさによって、単価を㎡あたりとしているものと、メートルあたりにしているものがあります。

部位 単価
軒天(のきてん) 1,200~1,500円/㎡
破風板(はふいた) 650~800円/m
鼻隠し(はなかくし) 650~800円/m
霧よけ 2,200円/m
雨樋(あまどい) 550~3,500円/m
笠木(かさぎ) 800円/m
水切り 200円/m
換気フード 500円/個
雨戸 2,000~3,000円/枚
戸袋 2,600円/枚
玄関ドア 3,000~4,000円/枚
ベランダ、バルコニー 4,000~6,000円/㎡
窓枠 600~1,100円/m
手すり 600~3,500円/m
フェンス 木部:600~1,100

鉄:600~3,000円/m

シャッター塗装 1,500円/㎡
化粧胴差 650~800円/m

■付帯部が見積もりに含まれていることをチェックしよう

付帯部は外壁塗装の中でも重要な工程です。

しかし、悪徳業者などは施主に外壁塗装の知識がないと踏んで、付帯部塗装を省いてずさんな手抜き工事の見積もりを作ってくる恐れがあります。

 

業者から提出された見積もりを見るときは、工程の中に付帯部塗装が含まれていることを必ず確認しておかなければなりません。

見積もりに付帯部塗装が含まれているかチェックする方法を知っておきましょう。

1.付帯部の名前が見積もりに含まれているか

業者によって見積書の作り方や形式は異なります。

そのため、「付帯部塗装」と記載している業者もあれば、付帯部の名称をひとつずつ記載している業者もあります。

いずれにしても、付帯部の名前が一か所でも記載されていれば、付帯部塗装が行われると考えてよいでしょう。

 

注意すべき見積もりは、「その他」と書かれている見積もりです。

その他や一式のように、詳細が書かれていない見積もりでは付帯部塗装がどこまで行われるのかわかりません。

あいまいな表記の見積もりは業者に必ず質問し、どこまで作業が行われるのか明確にしておきましょう。

●付帯部塗装の量は家によって異なる

設置されている付帯部の量や種類は家によって異なります。

さらに、塗装や補修が必要なほど劣化しているかどうかも現場によって様々です。

そのため、「外壁塗装では絶対に〇〇と△△の付帯部塗装が行われる」と定義することができません。

 

ご自宅がどこまで付帯部塗装が必要かは、複数の業者で見積もりを取って判断しましょう。

  1. すべての業者で塗装が必要と判断された付帯部
  2. いくつかの業者で塗装が必要と判断された付帯部
  3. 一社しか塗装が必要と判断しなかった付帯部

の順にレベルを分けると、適切な付帯部塗装の作業量が見えてきます。

2.適切な工程で付帯部塗装が予定されているか

外壁塗装は下地処理が肝心です。

下地処理とは、塗料を塗る前に、塗装する面の状態を整えておく作業のことです。

もしそのまま塗料を塗っても、汚れや劣化に邪魔されて塗料が密着できず、塗装から数年で剥がれたり破れたりひび割れたりしてしまいます。

 

下地処理が必要なのは付帯部も同様です。

そのため、見積もりを見るときは付帯部にも下地処理が行われていることを確認しなければなりません。

 

下地処理には様々な作業が存在しますが、付帯部で行われるのは主に工程です。

  • ケレン作業
  • ひび割れ補修
  • 下塗り

このいずれかが付帯部塗装の工程に含まれていれば、下地処理が正しく行われると考えてよいでしょう。

下塗りとは、仕上げ用塗料が塗装する面に密着するように下地材を塗る作業のことです。

下地処理で塗装面を整え、仕上げ用塗料を接着させる下地材を塗ることによって初めて、塗装ができる状態になります。

●適切な塗料が選ばれていることを確認

塗料には塗装できる素材とそうでないものがあります。

ほぼすべての素材に塗装できるタイプもありますが、金属やプラスチックなどには塗装できない塗料もありますので、塗料選びでは素材と相性のよい種類を見極めなければなりません。

特に、付帯部には様々な素材が使われていますので、相性が悪い塗料を塗ってしまうと耐久性の低い塗装になってしまいます。

 

例えば鉄製の雨樋やフェンスなら、塗料メーカーが鉄部への使用を許可している塗料を使う必要があります。

塗料には水性塗料と溶剤塗料(油性塗料)がありますが、溶剤塗料にしっかり密着できるのは溶剤塗料です。

水性塗料でも鉄部に密着できるタイプが登場していますが、耐久性は溶剤塗料の方がやや上回ります。

 

また、木部は特に塗料の種類が限られる素材です。

木部は周りの湿気に反応して収縮と膨張を繰り返すため、塗装しても木材の動きで塗膜が割れてしまいます。

そのため木部塗装では素材自体に塗料を浸透させるタイプの塗料が選ばれることがあります。

 

もちろん、見積もりを見ただけでは正しい塗料が選ばれているかどうかわかりません。

ですが、塗料名をメーカーホームページで調べれば「屋外鉄部用」や「防錆性塗料」などと書かれていますので、外壁塗装に詳しくない方でも効果はわかるはずです。

見積もりに塗料名やメーカー名が記載されていなければ調べられませんので、塗装業者には詳細な見積書を作るようお願いしましょう。

■おわりに

付帯部はただの装飾ではなく、外壁の耐久性を守る重要なパーツです。

外壁や屋根のあちこちに設置されており種類も様々ですが、付帯部も外壁や屋根と併せて塗装しておかなければならない箇所です。

 

最低でも、見積もりを見たときに付帯部の名前かどうか判断できるようになっておくとよいでしょう。

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