「そろそろ外壁を塗り替えたいけど、もうすぐ梅雨なので、塗装ができるか心配」という方も多いのではないでしょうか。
梅雨は雨の日が多くなる分、塗装が途中で中断したり、工事が長期間行えなかったりすることがあります。
また、塗料は雨で品質が低下しやすいため、雨の日にむりやり塗装を行うと、本来の耐久性を持った塗膜が形成されなくなってしまいます。
しかし、雨の日を避けて適切な工事スケジュールを組むことができれば、梅雨の時期でも塗装は可能です。
この記事では、雨の日に外壁塗装が行えない理由や、梅雨に外壁塗装を行う時の注意点やポイントについて解説します。
目次
■梅雨に塗装が行いにくくなる理由
雨が降っていると、外壁や屋根などの屋外設備は、塗装を行うことができません。
そのため、雨天が多い梅雨は、必然的に塗装を行いにくくなってしまいます。
なぜ、雨が降っていると塗装が行えなくなってしまうのでしょうか?
1.雨による塗料への悪影響
空から降ってくる雨は、外壁や屋根の塗膜硬化に悪影響を与えます。
乾ききっていない絵の具の上に水がこぼれると、絵の具が溶けてにじんでしまうように、外壁や屋根に塗る塗料も、雨水が当たるとその部分が溶け出してしまいます。
雨で塗料が溶けてしまった箇所は、塗りムラや斑点になってしまうため、再塗装しなければなりません。
●塗膜の強度が雨水で低下する
もともと、塗料は水分の影響を受けやすい部材です。
真水で薄めて使う水性塗料も、希釈率を誤ると、仕上がりの品質が悪くなってしまいます。
誤った希釈率で調合された塗料や、雨で薄まってしまった塗料は、塗膜の剥がれや膨れ、浮き、収縮など、様々な施工不良が生じ、本来の強度を発揮することができません。
●塗膜を阻害する水分は雨だけではない
空から降ってくる雨だけでなく、高圧洗浄時の水や、冬場の霜なども、塗料の施工不良を引き起こす原因となります。
そのため、塗装前に、これらの水分を乾燥させる時間をしっかり設けるのが、優良業者に求められる施工品質と言えるでしょう。
2.多湿による塗料への悪影響
各塗料には、施工環境の条件が定められています。
基本的に
- 湿度85%以上
- 気温5度以下
の施工環境では、塗料が通常通り乾燥できなくなるため、ほとんどの塗料メーカーで、塗装を避けるよう指示しています。
基本的に、雨の日は湿度が85%を上回りやすくなります。
湿気が多いと、空気中に含まれる水分が、塗料の硬化を阻害して施工品質が落ちるため、施工することができません。
気象庁の資料によれば、6~7月は平均湿度が75~80%前後、8月は86%前後になることも多く、梅雨から夏場にかけては、塗装が可能かどうかを決める時に、湿度条件も確認する必要があります。
参考にしたページ:気象庁ホームぺージ2016年の気象データを参照
http://www.jma.go.jp/jma/menu/menureport.html
■梅雨でも外壁塗装は行える
梅雨は、雨が降りやすく、塗装を行えない環境になりやすい時期ですが、決して外壁塗装が行えないわけではありません。
外壁塗装工事自体は、台風シーズンやよほどの積雪がない限り、一年中行える工事です。
そのため梅雨も、塗装のベストシーズンとまでは行きませんが、気候条件に左右されることはあっても、適切に工事スケジュールを計画して安全に配慮した施工管理を行えば、外壁塗装を行うことはできます。
また、建物の状態によっては、雨期こそ外壁塗装を行わなければならない恐れがあります。
1.梅雨の前こそ外壁や屋根の点検を
梅雨の時に多くの人が心配になるのが、屋根や外壁からの雨漏りです。
雨が多い梅雨の時期は、これまで気づかなかったような雨漏りが見つかることも多く、雨が何日も続いて、室内の壁にいつのまにか雨水でシミができていたり、天井の思わぬ箇所から水が漏れてきたりすることもあるでしょう。
そのため、梅雨が明けるまで外壁塗装を我慢していると、雨漏りや塗料の劣化がますます進行してしまうため、梅雨に差し掛かる時期に、雨漏り点検や屋根修理だけでも済ませておくことをおすすめします。
2.梅雨に塗装を行うメリット
あらかじめ天気予報通りに工事スケジュールを組んでいれば、雨による急な工事の中断や施工ミスが起きる心配も減らすことができます。
むしろ、梅雨はスケジュールに空きが出やすく、他の季節に比べて作業性が増すケースもあるため、塗装業者によっては梅雨の施工を歓迎する所もあります。
●業者の予約を取りやすい
雨で工事が中断している時でも、打ち合わせや室内の雨漏り点検などは行うことができます。
そのため、雨が続いていても、室内で起きた不具合の診断に関しては、地域内の業者の施工予約を取りやすくなります。
また、他のお客さんが梅雨の塗装を避けやすくなるため、業者も比較的スケジュールが軽くなっていることが多く、繁忙期に比べると、梅雨の時期は比較的容易に業者のスケジュールを押さえることが可能です。
●真夏や冬場に比べて作業が行いやすい
真夏の外壁塗装では、職人は炎天下の中で何時間も作業を行わなくてはなりません。
屋根の上や屋根裏は特に高温になり、現場によっては日陰がない建物もあるため、補水液の準備や休憩時間の確保など、熱中症対策にも注意を払う必要があります。
また、冬場は寒さに耐えながら屋外で作業を行うことになり、寒さで手元が狂ってしまったり、集中力を欠いたりする恐れがあります。
また、暖を取る場所も基本的にはトラックなどの移動車両の中になるため、職人にとって非常に厳しい施工環境となってしまいます。
これらの夏場や冬場に比べると、春や秋、そして梅雨の時期は、比較的温度も安定しており、雨さえ降らなければ、業者側としても、非常に施工しやすい環境と言えるでしょう。
■梅雨に外壁塗装を行う時の注意点
これまでご説明した通り、外壁塗装は、梅雨でも実施することは可能です。
ただし、工事が長期間中断する可能性や、塗料が雨や湿度の影響を受けやすいという点を理解したうえで、適切に工事工程を組んでくれる業者を選ぶ必要があります。
1.長期間の工事中断に備える
梅雨の時期に最も気を付けなければならないのが、雨で何日も工事が中断してしまうケースです。
工事が長期間中断すると、中断しているあいだも、足場や養生シートで家が覆われ、窓が開けられなくなり、ただでさえ湿気でじめじめしやすい時期に、暗い室内で何日も過ごさなければなりません。
●天気予報を参照するのは外壁塗装業者の基本
工事期間の長期中断は、優良業者であれば、前もって回避しようとします。
そもそも、雨が降りやすい季節かどうかに関わらず、施工期間中の天気予報をあらかじめ把握しておく作業は、外壁塗装業者にとって基本の作業です。
そのため、雨が長期間続きそうな時は、工事スケジュールを決定する前に、開始日を遅らせたり、雨でも行える工事内容を盛り込んだりと、できるだけ何も行えない期間が少なくなるよう配慮してくれる業者かどうか、打ち合わせの時に確認しておくとよいでしょう。
2.降雨時の施工は避けてもらう
施工品質の低下が危ぶまれる天候にも関わらず、むりやり工事を強行しようとする業者にはくれぐれも注意が必要です
工事がスタートしている以上、既に業者との契約は済んでしまっているので、もし、雨の日に無理に塗装を行おうとする業者と契約してしまった時は、なんとしても塗装を避けてもらうよう相談しなくてはなりません。
●優良業者は雨の日は工事を行わない
雨の日に塗装を強行することは、施工業者にとっても、施主にとってもデメリットの多い判断です。
傘を差しながら工具を持って塗布するわけにもいかず、レインコートを着ていても、外壁や屋根は雨で濡れてしまいます。
また、手元や足元も不安定になるため、当然、塗膜の質も低下すると考えられます。
さらに、濡れた足場を移動していて、転倒や落下の危険が高まるため、事故防止の観点から見ても、雨の日の塗装は非常に危険です。
●悪徳業者が雨の日に塗装を強行する理由
塗料の質も低下し、危険な作業環境になってしまう雨の日に、悪徳業者が塗装を強行したがる理由は、受注量を少しでも増やすためです。
一棟での工事が長期間に及んでしまうと、業者は、他の工事に取り掛かることができず、利益優先の業者にとっては、厳しい状態と言えます。
そのため、施工品質や施主の希望は無視し、「このくらいの雨なら大丈夫ですよ」「他の業者は工事を中断してしまいますが、我々なら行えますよ」と巧みに誤魔化して、塗装を強行しようとするのです。
少しでもポツポツ雨が降り始めている時は、業者の口車に乗らず、絶対に施工を中止してもらいましょう。
もし、雨で施工を行ったことによる施工不良が生じても、悪徳業者から「施主の意向で作業を決行した」と主張され、補修を行ってもらえない恐れがあります。
●雨で中断しても追加工事費用は発生しない
気象条件による工事の遅延は、誰の責任でもありません。
そのため、雨で工事が長期間中断したからといって、追加の工事費用を請求されることはありませんので、ご安心ください。
もし業者から「このまま工事を中断すると、追加費用が発生するので、小雨の時に施工しましょう」と提案された時は、そもそも追加費用の請求自体が間違っていますので、決してGOサインを出してはなりません。
ただし、足場をレンタルして使っている業者は、工事を延長した期間分、足場のレンタル代が発生してしまうことがあります。
優良業者なら、このようなことが起こらないよう、足場を組む期間も含めて、雨で作業が中断しないよう工事予定を組んでくれますので、梅雨の外壁塗装は、工事開始前の業者との打ち合わせが非常に重要になります。
■おわりに
雨が降りやすい梅雨は、外壁塗装が行えない時期ではなく、業者によっては施工を歓迎されることさえある時期です。
雨や湿気による塗料の劣化や施工環境の安全性低下なども、梅雨の季節以外でも起こりうることですので、梅雨だからと言って、これらの不安材料が常に揃うわけではありません。
ただし、施主の意思を無視して一つでも施工件数を稼ごうとする業者は、雨でも塗装を強行しようとするため、雨の多い梅雨はふだんよりも危険性が増してしまいます。
梅雨の外壁塗装は、いつも以上に、雨を見越した工事予定を組んでくれる、優良業者選びが不可欠と言えるでしょう。