外壁や屋根の塗装リフォームは工事が完了したとしてもそれで終わりではなく、塗装工事後も外壁や屋根に劣化現象が起こっていないか定期的に点検し続けなくてはなりません。
外壁塗装後の経年劣化による塗膜の劣化現象や施工不良による劣化現象などを見逃さないために、
- 塗装後の点検がなぜ必要なのか
- 素人が見る場合、どのような点検を行えばいいか
- 定期点検を実施してくれる業者を選ぶコツ
などについて知っておきましょう。
目次
■外壁を長持ちさせるためには定期的な点検が必要
建物をより長持ちさせるために外壁や屋根の塗装リフォームを定期的に行う必要がありますが、建物が保護された状態を維持するためには塗装リフォームを行っただけでは十分ではありません。
塗装された外壁や屋根に異常がないかを定期的に点検し、問題があればそれをできるだけ早く補修することによって塗装の耐久性をより長持ちさせることができるのです。
1.定期点検を行えば施工不良が起きていても早めに発見できる
業者の不手際があるなしにかかわらず、外壁塗装の施工不良は、工事の直後の数週間よりも、工事から半年から3年ほどの時間が経ってから発覚する場合が多いです。
次の塗装リフォームの時期まで定期点検をせずに外壁や屋根を放置してしまうと、施工不良が発生していた場合でもそのまま長期間放置してしまうことになります。
すると、本来塗料によって守られていたはずの外壁が保護されないまま紫外線や雨風に晒されることになってしまい、次の塗装リフォームで発覚した際にはより手間のかかる高額な補修作業が必要になってしまうのです。
参考:外壁塗装の必要性は?放っておくとどうなるかと追加工事費用
ただ、定期点検は家主自身で頻繁に行う必要はなく、ほとんどの優良業者が塗装リフォーム工事完了から1年後、3年後、5年後などに定期点検を行ってくれますので(業者によって点検の間隔は違います)、施工不良が出ていたとしてもすぐに補修をしてもらえるでしょう。
■定期点検をしてくれる外壁塗装業者に依頼しよう
塗装リフォーム工事後に定期点検を行ってくれる外壁塗装業者を選んでおくと、施工不良による劣化や不具合が進行する前の適切なタイミングで補修を行ってもらえます。
すべての外壁塗装業者が定期点検を行っているわけではありませんし、点検内容がずさんで不適切な外壁塗装業者も存在します。
適切な定期点検をしてくれる外壁塗装業者かどうかは、
- 工事保証書を発行してくれる(紙の発行が望ましい)
- 外壁塗装工事後の点検を積極的に行ってくれる
- 地域で長く営業している業者
という3点を念頭におきながら判断しましょう。
1.工事保証書を発行してくれる業者
外壁塗装工事における工事保証とは、塗装リフォーム工事を行った業者が独自に提供している保証(「自社保証」や「アフター保証」などと呼ばれます)のことを指します。
施工した業者に塗装リフォーム工事後の定期点検や緊急時の点検を依頼するために、保証は口約束だけではなく紙の保証書を作成してもらったほうが確実です。
工事後の対応を「工事後になにかあれば言ってください」などの口約束で終わらせてしまうと、いざという時に「その不具合は弊社の保証対象外です」と外壁塗装業者に言われてしまい、保証が十分に受けられない可能性があります。
工事後の保証の範囲が明記された保証書や書類を発行してもらうことができれば、保証の範囲に関する業者とのトラブルを減らすことができるのです。
また、施工した外壁塗装業者によって保証の内容や範囲は異なるため、
- 保証の対象はその業者が施工した箇所だけか
- 雨樋や雨戸などの付帯部も保証範囲に含まれているか
- 保証箇所によって保証期間が3年や5年など違いがないか
など、保証の内容についてもしっかり質問し、不明点はなくしておき、可能であれば保証範囲に関して詳細に明記してもらうようにしましょう。
2.外壁塗装工事後の点検を積極的に行ってくれる
外壁や屋根に大きなひび割れや広範囲の塗膜の剥がれなどの「目に見える不具合」が起きていない場合、点検を後回しにしてしまう方が多く、自ら業者に連絡をして外壁や屋根の定期点検を依頼する人はあまりいません。
ただ、表面的には見えない不具合が外壁や屋根の中で進行している可能性があるので、家主側から連絡をとらなくても積極的に定期点検を行ってくれる外壁塗装業者が望ましいのです。
優良な外壁塗装業者であれば工事後も高頻度で点検を行ってくれますが、1カ月後、半年後、1年後、2年後など、点検の頻度は業者によって異なりますので点検頻度も契約前に確認しておきましょう。
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アフターサービスは品質に自信があるからこそ設けられている
「工事後の点検などのアフターサービスに力を入れているということは、工事品質に自信がなく、クレームややり直しが多い業者なの?」というお声を聞きますが、実はアフター保証は品質に自信があるからこそ設けている制度なのです。
もし、施工不良ややり直しばかり起きるような外壁塗装業者がアフター保証を行おうとすれば、無料補修で材料費や人件費を大損してしまうため、絶対にアフター保証を用意しようとは思わないでしょう。
優良業者が塗装後に問題が起きないようしっかり施工するからこそ、堂々とアフターサービスを用意できるのであり、顧客により安心してもらうために用意しているものなのです。
3.地域で長く営業している業者
一回の工事費用が80~100万円以上かかる外壁塗装リフォーム工事は頻繁に行うものではなく、早くとも工事後10年間は再工事しないように品質を維持する必要があります(シリコン樹脂塗料の場合)。
つまり、外壁塗装後の定期点検は再工事を行う必要がある10年後までは行ってもらいたいサービスといえます。
設立したばかりで10年以上の実績がない業者の場合、10年後倒産などの理由で会社がなくなっていて点検も補修もしてもらえないかもしれません。
しかし、同じ地域で10年以上営業している外壁塗装業者やリフォーム業者であれば、経営も安定しており、塗装後10年以上点検してもらえる可能性は高くなるのです。
また、自宅から遠い場所に事業所がある外壁塗装業者は頻繁に点検に来ることができない恐れがあるため、定期的に点検をお願いしたいのであれば、住居から車で30分〜1時間程度の距離に事業所がある業者が望ましいでしょう。
■定期点検で見つけられる外壁の劣化のサイン
外壁塗装リフォームを行った業者が定期的に点検を行い、その際に異常を発見し補修してくれるというのが通常の定期点検の流れですが、住んでいる住民が外壁や屋根の異常を発見できれば、さらに早く補修し、補修費用を安く済ませることが出来ます。
ここでは専門家でなくてもわかる外壁や屋根の劣化のサインを解説していますので、
- 数ヶ月ごとなどの定期的に
- 台風や地震などの災害が起こった後に
などのタイミングで以下のような現象が起こってないかを見てみると良いでしょう。
1.チョーキング現象
チョーキング現象は塗装の劣化を示す最もわかりやすいサインで、屋外にある建物の外壁に手で触れたときや洋服が当たったとき、外壁と同じ色の粉が付着する状態のことを指します。
塗装したばかりの塗料は成分同士が強力に結合していますが、経年劣化によって結合力を失うと粉状になってしまい、手で触れただけで塗料が落ちてしまうのです。
チョーキング現象が起こっているということは、塗料の膜が外壁や屋根を守れていないということなので、できるだけ早めに外壁塗装業者に連絡し、新しい塗料への塗替えを相談しましょう。
2.構造クラック
構造クラックとは、外壁の下地部分まで到達している幅0.4mm以上の深いひび割れのことで、この構造クラックを補修せずに放置してしまうと雨水や害虫が外壁の内側に入り込み、建物が内側から劣化することで耐久性が下がってしまいます。
構造クラックは建物の歪みや地盤沈下などが原因で起きることもあり、その場合、割れ目の補修だけでなく建物全体を点検する必要がありますので、大きなひび割れを発見した場合は、前回外壁を塗装した業者に調査してもらいましょう。
ちなみに外壁で起きるひび割れには、耐久性には問題がない幅0.3mm以下のヘアークラックと呼ばれるひび割れもあり、見ただけでは構造クラックなのかヘアークラックなのか判断がつかない場合もありますので、気になるひび割れを見つけた場合は外壁塗装業者に相談しましょう。
3.色あせ
外壁や屋根の表面の塗装が紫外線や雨水で劣化し、色あせている状態も外壁塗装リフォームを行う目安になります。
色あせが起きる大きな原因は紫外線であり、色あせてしまった塗装は紫外線で大量のダメージを受けているため、そのまま放置してしまうと塗装で守られていない外壁や屋根そのものも紫外線によるダメージを受けてしまいます。
ただ、毎日見ている家の変化というものは気づきにくく、外壁が色あせてきたかどうかは意識しなければわかりにくいです。
前回塗装を依頼した外壁塗装業者に点検を依頼すれば、点検するスタッフが「前回来たときよりも色あせてきましたね」と外壁や屋根の色の変化を教えてくれるでしょう。
4.錆び
ベランダの手摺、階段の手すり、トタンの屋根などの鉄部は経年劣化により錆びてしまい、機能的な劣化だけでなく、見た目も非常に悪くなってしまうため、できるだけ早く塗装リフォームを行いましょう。
鉄部は外壁や屋根よりも劣化しやすいため、劣化した鉄部の塗装リフォームだけで終わらせられる可能性もあるため、錆びている部分を見つけた場合は外壁塗装業者に検査を依頼しましょう。
優良な外壁塗装業者による点検であれば錆びの原因まで突き止めてもらうことができますし、どのようにすればその後、きれいな状態を長期間保つことができるのかなどもアドバイスしてくれます。
参考:外壁塗装では鉄部が劣化しやすいので必ずケレン処理や錆止めを
5.屋根全体の劣化
屋根に登って全体をくまなく点検するということはありませんし、意識していたとしても屋根の上は見づらいため、屋根は建物の中でも劣化を見落としやすい箇所の一つです。
また、普段から高所作業に慣れている職人でなければ、屋根に登ってバランスを取りながら移動するのは難しく、転落する恐れもあるため、自身で屋根の点検を行うことはおすすめできません。
屋根の点検に関しては命にかかわるため、自身では行わず、屋根の点検を無料で行ってくれる近隣の外壁塗装業者に依頼しましょう。
6.コーキングの劣化
コーキング材(シーリング材)とは、外壁の目地部分から雨水などが入り込まないように詰められている樹脂性の防水材のことで、主にサイディングパネル同士の間や窓の継ぎ目に注入されているので、脚立などを使わなくても劣化状況を確認することができます。
コーキング材も塗料と同じく紫外線や雨水で劣化し、裂け目や割れ目が生じたり、体積が縮んで目地から剥がれたりすることがあり、コーキング材の割れ目や隙間から雨水などが建物の中に入り、建物の内側から劣化してしまいます。
外壁塗装リフォームを行うタイミングであれば、必ず外壁塗装業者が劣化状況を確認してくれますが、日頃からコーキング材の部分を見て割れ目などがないか確認しておきましょう。
7.カビ・藻
外壁や屋根に広がる緑や黒のカビや藻は見た目が精神的に不快ですので、業者を呼ばずに自力で除去しようとする方も少なくはありません。
しかし、市販の薬品は外壁材や屋根材を傷めてしまう種類もありますし、硬いブラシなどでゴシゴシ磨くと建物を傷つけてしまいますので、自力での除去は避けた方が賢明です。
カビや藻が発生するということは、外壁や屋根に塗られている塗料の保護機能がなくなってきている可能性もありますが、業者による洗浄作業だけで済む場合もあるので、カビや藻を見つけたら業者に点検を依頼し、お住まいの外壁材に適した除去方法を考えてもらいましょう。
参考:外壁にカビが生えてしまう原因と状況別対策方法
外壁のコケは放置厳禁!定期メンテナンスや塗装で予防
■おわりに
建物の外壁や屋根は塗装によって保護されていますが、経年劣化によりいつかは耐久性を失ってしまいます。
耐久性を長持ちさせるためには、クラックや錆び、カビ・藻などの劣化を早期に取り除き、劣化を進行させないことや、外壁や屋根全体を塗装リフォームすることが重要です。
自身による点検を行いながら、気になることが少しでもあれば、気軽に近隣の外壁塗装業者にも点検を依頼をしましょう。