外壁塗装でウレタン塗料を選ぶメリットはある?

ウレタン塗料は、外壁・屋根塗装で使われる塗料のうち、下から2番目のグレードに位置する塗料です。

上位2種類のグレードが登場するまでは、ウレタン塗料は最新の塗料として多くの住宅に使われていました。

 

しかし、断熱塗料や光触媒塗料など、付加機能をもつ多機能塗料が次々に登場している今、ウレタン塗料を外壁・屋根塗装に使うメリットはあるのでしょうか?

 

この記事では、ウレタン塗料のメリット・デメリットや、他の塗料と比較した時、ウレタン塗料が優れている点などについてご紹介します。
 

■塗料のグレードと普及率

ウレタン塗料のメリットや選び方を知る前に、まずは、塗料のグレードと順番について知っておきましょう。

 

1.塗料の4つのグレード

冒頭でも触れた通り、外壁・屋根塗装用の塗料には、現在、アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素という、4つのグレードが存在します。

 

塗料別の耐用年数と、平米あたりの価格相場は以下の通りです。

  • アクリル:約5~10年、約1,000~1,500円
  • ウレタン:約8~10年、約1,500~2,000円
  • シリコン:約10~12年、2,500~3,500円
  • フッ素:約12~15年、4,000~6,000円

 

このように、グレードが高くなるにつれ、塗材価格は高くなり、耐用年数は長くなります。

 

なお、2010年代に入り、ラジカル塗料という新しい塗料が、塗料メーカーから発売されました。

 

ラジカル塗料は、耐用年数・施工価格ともに、シリコン塗料とフッ素塗料の中間に位置します。

 

●グレードの順番が存在する理由

このように、塗料にグレードが存在する理由は、塗料の開発が進んだことに他なりません。

 

塗料の開発が進むまでは、外壁塗装用の塗料は「アクリル樹脂塗料」が使われていました。

 

その後、ウレタン塗料やシリコン塗料など、高性能な塗料が開発され、技術革新とともに最新塗料が手頃な価格で購入できるようになったことから、初期に使われていたアクリル塗料は、徐々に使われなくなっていきました。

 

2.グレード別の普及率

4つのグレードのうち、現在最も多くの現場で使われている人気の塗料が、「シリコン塗料」です。

参考:外壁塗装におけるシリコン塗料の特徴と他塗料との比較まとめ

 

高性能でコストパフォーマンスにも優れたシリコン塗料が普及したことにより、下位グレードのアクリル塗料は、耐用年数・耐候性の低さ、コストパフォーマンスの悪さなどが原因で、塗料代の安さにも関わらず、外壁・屋根塗装では現在ほとんど使われなくなりました。

 

一方、同じ下位グレードの塗料でも、ウレタン塗料は、上位グレードの塗料が適さない場面で今でも活躍しています。

●なぜシリコン塗料は普及率が高いのか?

シリコン塗料は、耐候性・耐久性ともにアクリル塗料・ウレタン塗料以上の性能を持っている塗料ですが、なんといってもコストパフォーマンスの高さが普及率を高めています。

 

最高位グレードのフッ素塗料になると、耐久性は高いのですが、それに伴って施工価格も上がってしまいます。

そのため、シリコン塗料のような普及率にまでは至らないというのが現状です。

 

また、シリコン塗料とフッ素塗料の中間に位置するラジカル塗料は、シリコン塗料よりも耐用年数がやや長く、フッ素塗料に比べると手が届く施工価格である点から、非常にバランスの取れた塗料です。

しかし、登場して間もないこともあり、未だシリコン塗料の普及率を越えることはできていません。

 

■ウレタン塗料の特徴

塗料のグレードと普及率を踏まえて、ここからは、ウレタン塗料の特徴について掘り下げてみましょう。

 

ウレタン塗料とは、ウレタン樹脂を成分とする、外壁・屋根の仕上げ用塗料です。

 

外壁・屋根の仕上げ用塗料は、主成分の違いによってグレードが分かれていますが、成分が持つ特徴によって塗料の強度や性質にも違いがあります。

 

1.ウレタン塗料の成分

塗装で使われるウレタン塗料の「ウレタン樹脂」とは、「ポリウレタン」のことです。

 

ポリウレタンは、1930年代にヨーロッパで工業用に使われ始め、1950年代に世界中で普及して行きました。

 

●現在の主流は「アクリルウレタン塗料」

ポリウレタンは、「イソシアネート」と「ポリオール」が反応し、ウレタン結合してできた樹脂です。

 

このとき、「ポリオール」ではなく「アクリルポリオール」と反応してできたものは「アクリルウレタン」になりますが、アクリルウレタンもポリウレタン樹脂の一種です。

 

そのため、塗装業者からの見積もりに、「アクリルウレタン樹脂」と記載されていても、ウレタン塗料の下位グレードにあるアクリル塗料とは別の塗料ですので、ご安心ください。

 

2.ウレタン塗料の性質

シリコン塗料が普及したにも関わらず、ウレタン塗料が未だ現場で使われている理由は、ウレタン塗料が、上位グレードの塗料にはない2つの性質を持つためです。

 

この、ウレタン塗料の性質を知っておくと、塗料選びや業者との打ち合わせで大きく役に立ちますので、ぜひ覚えておきましょう。

 

●柔らかい弾性の塗膜を形成する

ウレタン塗料の最大の特徴は、「弾性」を持つ点です。

 

弾性とは、衝撃が加わっても元に戻ろうとする力のことで、ゴムやスポンジなどが弾性を持つ素材として知られています。

 

弾性を持つウレタン塗料を塗装しておくと、軽度のひび割れが起きそうになっても、塗膜が柔らかく動いて割れを抑止することができます。

 

もちろん、あまりにも強い力が加わると、ウレタン塗料の弾性だけではカバーできませんので、より高い弾性を持つ「弾性塗料」と呼ばれる機能性塗料を用意しなくてはなりません。

 

●密着性が高く、屋外部材と相性がいい

ウレタン塗料は、非常に密着性が高い塗料として知られています。

 

密着性とは、塗料が下地にしっかり付着する力のことですが、ウレタン塗料はこの性質が非常に高いことから、雨樋や雨戸など、複雑なパーツで構成された設備の塗装に適しています。

 

■ウレタン塗料にすべきか迷ったら

ウレタン塗料を選ぼうか悩んでいる人は、ほぼ同じグレードの、シリコン塗料とも迷っていることが多いようです。

 

一般的に考えて、耐用年数・耐候性ともに高いシリコン塗料を選んだ方が、外壁・屋根の耐久性を長持ちさせられることは間違いありません。

 

しかし、必ずしもすべての現場でシリコン塗料がよいとは限らず、場合によっては、ウレタン塗料で問題ないケースもあります。

 

「シリコンは万能塗料ですよ!」と、大げさに表現する業者に惑わされないように、ウレタン塗料が適しているケース・適さないケースも知っておきましょう。

参考:外壁塗装で使うのはシリコン塗料ウレタン塗料どちらが良い?

1.ウレタン塗料が適しているケース

ウレタン塗料が適しているのは、先ほど紹介した、「ウレタン塗料の性質」を最大限に生かせる箇所です。

 

また、10年後に再塗装を予定しており、塗料の耐久性にそこまでこだわりがないときなどは、ウレタン塗料で一時的に価格を抑えるという方法もあります。

 

●ひび割れを防ぎたいとき

ウレタン塗料は先ほど説明した通り、弾性を持つ塗料です。

 

そのため、ひび割れが起きやすいモルタルやコンクリート、調湿作用で収縮・膨張を繰り返す木部でも、比較的塗膜を長持ちさせることができます。

 

通常、塗装をするときは、上から塗る塗料が密着しやすいように、シーラーやプライマーといった、接着剤となる下塗り塗料を最初に塗装します。

この作業を「下塗り」と呼び、次の「中塗り」「上塗り」を成功させるためには欠かせない工程です。

 

しかし、それでも相性によっては塗装がおすすめできない素材もあります。

 

例えば、シリコン樹脂塗料は、乾燥すると非常に硬く丈夫な塗膜を形成しますが、その性質がかえって、衝撃に対して弱いというデメリットに転じてしまいます。

 

●付帯部を塗装したいとき

さらに、ウレタン塗料はその柔らかさによって、細かい箇所にも密着する塗料です。

 

雨どいなどの細かいパーツが多い付帯部でも、隙間までしっかり密着するため作業性がよく、外壁・屋根以外の付帯部は、ウレタン塗料で処理するという現場もあります。

 

このとき、外壁や屋根だけフッ素樹脂塗料など高寿命の塗料を使い、付帯部だけウレタン塗料、という塗り分けをすると、付帯部の塗料の寿命が、外壁・屋根よりも前倒しで来てしまう点に注意しましょう。

 

ウレタン塗料で付帯部を塗装するときは、できるだけ、外壁・屋根の次の塗り替え時期と重なるよう、選ぶ塗料の耐用年数を調節することがポイントです。

 

2.ウレタン塗料が適さないケース

一回の塗装で10年先まで塗料を長持ちさせたいときや、光沢のある外壁・屋根を保ち続けたいときなどは、ウレタン塗料は避けた方がよいでしょう。

 

 

●10年以上塗料を持たせたいとき

ウレタン塗料の期待耐用年数は、約8~10年と言われますが、建物の立地や気候によっては、10年以内に劣化してしまう可能性があります。

 

また、ウレタン塗料は耐熱性が低いため、太陽熱を最も浴びる屋根では、外壁よりも先に劣化し、塗り直しが必要になると考えられますので、屋根塗料にはおすすめしない業者もあります。

 

もし、次の塗装を10年後に予定しているのであれば、最低でもシリコン塗料を選んだ方がよいでしょう。

 

このように、耐久性を優先するときは、一回限りの工事費用が多少高くなっても、グレードの高い塗料を選ぶ慎重さが大切です。

 

ただし、上位塗料を希望していることに付け込んで、相場以上の施工費用で見積もりを作ろうとする悪徳業者もいますので、塗装費用の相場も知っておくことをおすすめします。

 

●光沢を長持ちさせたいとき

光沢を長持ちさせる力のことを、光沢保持率と呼びます。

 

光沢は、紫外線のダメージによって徐々に失われていきますが、紫外線に強い塗料ほど、光沢保持率は高くなります。

 

ウレタン塗料の光沢自体は、シリコン塗料に劣らないものがありますが、光沢保持率で比較すると、耐候性が高いシリコン塗料には、どうしても劣ってしまいます。

 

色艶が目立つ外壁にしたい、光沢を長持ちさせたい、というときはシリコン塗料を選んだ方がよいでしょう。

 

3.最終的には業者の誠実さが命運を分ける

どんなによい塗料を選んでも、高圧洗浄や下地処理、塗装の3回塗りといった、基本の作業がしっかり行われなければ、塗料の効果は発揮できません。

 

高圧洗浄作業で外壁表面の異物を取り除き、補修が必要なひび割れをしっかり下地処理して、塗料が効果を最大限発揮できるよう整える技術も、外壁塗装業者には求められます。

 

見積もりを取るときは、塗料名だけでなく、塗装前の準備項目にも目を通し、どのような下地処理がどのくらいの工期で行われるのかもチェックしておきましょう。

 

 

■おわりに

塗装後の外壁と屋根の耐久性は、選んだ塗料のグレードで左右されます。

 

グレードが高い塗料ほど、耐久性・耐用年数ともに長くなりますが、塗料には、グレードの他にも性質の違いが存在し、その点も選ぶときのポイントになります。

 

ウレタン塗料は、下位グレードに位置する塗料ですが、密着性や弾性、価格の安定感などは、上位グレードにはない魅力があります。

 

外壁・屋根に求める性能に対し、ウレタン塗料で補えるかどうか、優良業者との打ち合わせの中で決めていくとよいでしょう。

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