倉庫の外壁塗装を行う時の基礎知識と税務上の注意点

倉庫も戸建て住宅やアパートと同様に、適切なメンテナンスを行わなければ劣化が進行し資産価値が低下してしまいます。

倉庫は住宅とは違い、常に人が生活しているわけではないため、外壁にあらわれる劣化のサインに気づきにくく、屋根・外壁のメンテナンスもおろそかになりがちです。

しかし、倉庫の外壁塗装リフォームを適切に行うことができれば、倉庫自体だけではなく倉庫に保管されている資材や機械などの品質も維持することができます。

 

この記事では倉庫の外壁塗装を行うメリットや注意点など、塗装リフォームを行う前に知っておきたいポイントをご紹介します。

■倉庫の外壁塗装を行うメリット

先述しましたが、倉庫は住宅のように人が住んでいたり、オフィスや店舗のように常に人の出入りがあったりするわけではないので、倉庫の持ち主であっても見た目を気にすることは少ないかもしれません。

しかし、倉庫も日が経つにつれて、色あせ、汚れ、塗装の剥がれなどのダメージが進行し、そのまま放っておくと建物の寿命が短くなってしまう恐れがあるため、適切なタイミングで外壁や屋根の塗装リフォームを行う必要があるのです。

 

倉庫のメンテナンスを継続して行えば、倉庫を保有する会社やそこで働くスタッフにとって以下のようなメリットを期待できます。

1.倉庫利用者の安全性や作業効率を高められる

倉庫の外壁塗装リフォーム工事では、塗装だけでなく建物の外壁・外構の全面的な点検と修繕が行われるため、利用者でも気づきにくいようなサビ・カビ・汚れなどの除去・洗浄も行われます。

 

塗装工事に加えて

  • ドア・ゲート・シャッターなど人や車両の出入りがある部分
  • 外階段・外廊下など人が通行する部分
  • 屋上・窓枠・雨樋(あまどい)など人目につきにくい部分

など倉庫の外構全体の点検・補修を行えば、

  • 倉庫の老朽化による崩落を未然に防ぐ
  • 不要なものを撤去して階下に落下するのを防ぐ
  • 邪魔なものを整理できるので動線を確保できる

などの効果が期待できるため、倉庫の利用者・作業者の安全性や作業効率を向上させることできます。

2.倉庫の資産価値を高められる

外壁塗装リフォームは、単に元の状態に戻したりダメージを受けた部分を修繕したりするだけでなく、倉庫の資産価値を向上させる機会にもなります。

外壁塗装工事を計画する際は

  • 外観を現代的な色で塗装して企業イメージを刷新する
  • 断熱・遮熱性のある塗料で塗装し、倉庫全体の省エネ性能を高める
  • 汚れが付着しにくい「セルフクリーニング機能」のある光触媒塗料で塗装し、将来的なメンテナンスの手間や費用を軽減する

などの方法で倉庫の資産価値の向上を図ることができます。

 

断熱塗料や光触媒塗料などグレードの高い塗料での塗装は費用も高額になりますが、倉庫という資産の長期的な管理運営の観点からは、大いに検討する価値があるといえるでしょう。

3.印象と防犯性を高められる

倉庫の外壁や屋根を長い期間メンテナンスせずに放置し、塗装の剥がれやサビなどができてしまっている場合、

  • 倉庫がある街並みの景観が損なわれる
  • 会社の運営がうまくいっていないような印象を持たれる
  • 倉庫に出入りする取引先や顧客からの信頼度が低下する
  • 人があまり出入りしていないような寂れた印象を持たれる

などのデメリットが考えられます。

 

外壁塗装で倉庫の外観を美しく保てば、倉庫を目にする地域の人や取引先に与える印象も良くなりますし、見た目の新しさから部外者や侵入者が寄り付きにくくなり防犯性も高まることが期待できます。

●倉庫に適した色の選び方

倉庫の外壁はグレーやホワイトなどの無彩色で塗装されていることが多いですが、

  • 濃いブラウン系
  • 薄いグリーン系
  • 薄いブルー系

などの落ち着いたアースカラー(自然界に多く見られる色)で塗装するなら周囲の景観を損ねず、会社や倉庫の印象も良くなるでしょう。

 

メタリックなダークカラーや原色に近いブルーなどを倉庫全体に塗装すると景観を損ねる恐れがあるため避けるべきですが、シャッターや窓枠など外観に占める割合の低い部分の塗装であれば、目立つ色での塗装も良いアクセントとすることができます。

3.倉庫内に保管する資材を保護できる

倉庫や屋根にはガルバリウム鋼板やトタン(亜鉛メッキ鋼板)などの金属系サイディングがよく使用されていますが、金属系サイディングには

  • 塗装の剥がれや傷の入った部分にサビが発生しやすい
  • 断熱性・遮熱性が低く空気調和が難しい

というデメリットがあるため、デメリットを理解した上でメンテナンスを行う必要があります。

 

金属系サイディングのデメリットへの対処を怠ると

  • サビで屋根・外壁に穴が空き雨漏りが発生する
  • 夏場に倉庫内が高温になる

などによって、倉庫内で使用・保管する機械、資材や荷物が故障したり劣化したりする恐れがあるので、

  • 防錆塗料でサビの発生を抑える
  • 断熱塗料で倉庫の断熱・遮熱性能を高める

といった対策で、倉庫内に保管する商品や資材の品質管理を適切に行えるようにしましょう。

●倉庫の屋根形状が「陸屋根」なら防水工事をしっかり行おう

倉庫の屋根がほとんど勾配(こうばい)のない「陸屋根(ろくやね)」であれば、屋根の防水性能の点検を特にしっかり行う必要があります。

 

陸屋根には屋上スペースを有効に活用できるというメリットがありますが、勾配がほとんどないため他の形状の屋根に比べて水はけが悪く雨漏りが発生しやすいというデメリットもあるため、倉庫が陸屋根なら塗装とセットで屋上の屋根防水工事も併せて計画しましょう。

参考:屋上防水工事の工法の違いや価格相場

■倉庫を外壁塗装する時の基本知識

倉庫の外壁塗装リフォームを計画する際には、

  • 塗装を行うタイミング
  • 倉庫の塗装工事の費用相場
  • 倉庫の塗装工事の流れ

という3つの基本的な知識を覚えておけば、無駄な出費を抑えた最適な外壁塗装を行うことができます。

1.塗装の目安時期

外壁塗装リフォームの目安は一般的な住宅と同じ「10年に1度」ですが、立地条件や使用している外壁材・塗料の種類によって外壁の劣化のスピードは異なります。

  • 10年以上外壁塗装塗装を行っていない
  • 錆び、ひび割れ、汚れなどが目立つようになってきた

などの条件に当てはまるなら外壁塗装業者に早めに外壁の点検を依頼しましょう。

 

外壁の劣化を示すサインである

  • 外壁に広範に広がった汚れ
  • ひび割れ
  • 外階段や手すりなどのサビ
  • 雨漏り

などの症状は放っておけば悪化する一方ですし、劣化が進行すればするほど補修に多額の費用がかかるようになりますので、対策は早めに講じる必要があるのです。

参考:外壁塗装の必要性は?放っておくとどうなるかと追加工事費用

2.倉庫を外壁塗装する時の費用相場

倉庫の外壁塗装は住宅に塗装する時と同じ塗料を使用しますが、倉庫の外壁材は金属製であることが多く、金属にも塗装可能な

  • ウレタン塗料
  • シリコン塗料
  • 防水塗料
  • エポキシ樹脂サビ止め塗料

などがよく使われますが、その他にも

  • 断熱・遮熱塗料
  • 汚れが付着しにくい光触媒塗料
  • 約20年の耐用年数を期待できるフッ素塗料

などのメリットの多い特殊塗料を選ぶこともできます。

ただし、高品質・高機能な塗料はそれだけ工事価格も高額で、大規模な倉庫の塗装であれば、金額の差が大きいため、業者には複数の塗料で見積もりを依頼するとよいでしょう。

倉庫の外壁塗装の費用は大まかにいうと塗装面積1㎡あたり2,500〜6,000円ほどであり、農機具や業務用資材を保管するような中規模の倉庫であれば総工費は50〜80万円ほどです。

外壁や屋根の塗装のメンテナンスが適切に行われていないためにサビやクラック(ひび割れ)などが広範に見られるような倉庫では、下地処理にかなりの手間がかかるため総工費が100万円を超えることもあります。

 

大量の資材を保管する目的で建てられた大規模な倉庫であれば、屋根・外壁の塗装面積も広く、点検項目も多くなるために規模に応じて総工費は200〜500万円ほどになることも考えられます。

3.倉庫の外壁塗装の流れ

倉庫の外壁塗装工事は、外階段、屋上、シャッターなどの金属部分に特別な処理が必要になることもありますが、基本的に一般住宅の塗装工事と同じ手順で進行します。

●現地調査・見積もり

まず、塗装業者の作業員が塗装する倉庫を現地調査します。

外壁の劣化具合の点検や施主の要望のヒアリングなどを行い、

  • 使用する塗料
  • 塗装方法
  • 日程

などを取り決め、見積もりが提出されます。

 

倉庫は建物の規模や用途が一般住宅とは異なるため、倉庫の塗装に慣れた業者に依頼した方が調査、見積もり、打ち合わせなどの全ての工程がスムーズに進むでしょう。

倉庫の外壁塗装に慣れた業者を見つけるには、塗装業者の自社WEBサイトから倉庫の施工事例が載せられているかどうか調べるという方法や、一括見積もりサイトを利用して担当スタッフに倉庫の塗装を希望と伝え、要望にかなう業者を紹介してもらうという方法があります。

外壁塗装駆け込み寺でも倉庫の塗装が得意な優良業者を紹介していますので、こちらのページからお申し込みください。

●足場・養生(飛散防止シート)の設置

  • 高所作業を安全に行う
  • 近隣への塗料の飛散を防ぐ

などのために架設足場と飛散防止シートを工場の周りに設置します。

 

倉庫の周囲に架設足場を設置するための十分なスペースがなければ単管足場のような簡易的な足場を設置することもありますが、ほとんどの業者は安定した足場を簡単に設置できる「くさび緊結式足場(「ビケ足場」の名称で有名)」を使用しています。

参考:外壁塗装に足場は必要?足場の重要性と費用相場について

●高圧洗浄

一般住宅と同様に業務用の高圧洗浄機を使って、倉庫の屋根や外壁の汚れ・カビ・コケ・古い塗膜・軽度のサビなどを除去します。

 

外壁に水分が残っている状態で塗装すると塗装の色ムラ・浮き・剥がれなど施工不良の原因となるため、洗浄の後は1〜3日間ほど乾燥期間をおきます。

参考:高圧洗浄で知らないと損な作業時間、圧力、単価、水道代の話

●下地調整(ケレン作業)

高圧洗浄では除去できないこびりついた汚れやサビなどは手作業で落とします。

ケレン作業とは金属部分のサビを落とす作業のことですが、見積書では下地の素材を問わず外壁・付帯部分全体の下処理をまとめて「ケレン作業」と記載する業者もあります。

 

また、下地調整工事には劣化したシーリング材の打ち替え工事や防水施工が含まれていることもあります。

参考:外壁塗装はケレン作業が命!ケレンの大切さや作業内容

●塗装

倉庫の塗装工程では一般住宅の塗装と同様に、下塗り用の塗料と、メインである上塗り塗料の2種類が使用されます。

下塗り塗料を塗らずに上塗り塗料を外壁に塗っても壁面にしっかり密着しないため、耐久力のある塗膜を形成するためには下塗りが必要です。

下塗り塗料が乾いた後に上塗り塗料を2回塗ることにより塗料がしっかりと壁面に密着し、強固な塗膜を作ることができます。

 

このように外壁は下塗り・上塗り2回の合計3回に分けて塗装されますが、それぞれの塗装の後に十分な乾燥期間を置く必要があるため、塗装の工程だけでも最低3日間の工事期間が必要です(大規模な倉庫の場合は3日以上必要)。

参考:外壁塗装は三度塗りが基本!手抜き工事を防ぐためには?
外壁塗装の工程

4.保険が充実した業者を選んでおくほうが良い

塗装工程が終わり、乾燥させた後は架設足場や飛散防止シートが撤去され、施主へ引き渡しとなり、塗装リフォームの全行程が終了となります。

 

ただ、倉庫を塗装した業者の不手際でもし施工不良があると、塗装後1〜2年という非常に早い段階で色ムラ・塗装の剥がれなどの不具合が生じることがあります。

そのような場合に備え、工事終了後も適切な保障やアフターサービスを受けられる業者を選び、発行される工事保証書を工事後も保管しておくようにしましょう。

参考:外壁塗装の保証は業者や団体で内容が全く異なるので注意!

■事業用倉庫を塗装する時の注意点

事業に使用している建物(店舗、オフィス、倉庫など)のリフォームにかかる費用は確定申告に含めなければならず、事業用倉庫のリフォーム費用は確定申告の「修繕費」もしくは「資本的支出」のいずれかに該当します。

●外壁塗装工事費用は「修繕費」か「資本的支出」か

外壁塗装工事が関係する確定申告の2つの項目については

  • 「修繕費」…物件を元の状態に戻すため(原状回復)の費用
  • 「資本的支出」…物件の資産価値を高めるための費用

という意味があります。

 

外壁塗装の工事内容が

  • 傷んでいる場所の部分的な補修
  • 3年以内の短い周期で定期的に行われるメンテナンス
  • 総工費が20万円未満の小規模な工事

であれば、原状回復のための「修繕費」とみなされる可能性が高く、

  • 倉庫の外観を刷新する塗装工事
  • 前回使用した塗料よりもグレードの高い塗料を使用する塗装工事
  • 総工費が60万円を超える工事

であれば、資産価値を高めるための「資本的支出」とみなされる可能性が高くなります。

 

そして、確定申告の際には

  • 「修繕費」は全額を一度に費用として申告できる
  • 「資本的支出」は何年かに分割して経費として申告しなければならない

というルールが適用されます。

参考:外壁塗装を修繕費や資本的支出で費用計上する場合の注意

1.確定申告の「減価償却」とは

資本的支出は確定申告の際に「減価償却」という計算方法で申告する必要があり、支出額は国税庁の定める「法定耐用年数」に応じて年ごとに分割して申告します。

●資産の法定耐用年数

法定耐用年数とは減価償却に要する年数のことで、簡単に言うと「一つの資産のために支払った費用を何年に分けて申告するか」を国税庁が指定するものです。

法定耐用年数は資産の品目ごとに法律によって細かく設定されており、塗料がどのくらいの期間品質を保てるかを示した「期待耐用年数」とは意味合いが全く異なります。

 

法定耐用年数はこちらから調べることができます。

国税庁『耐用年数表』

https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34353.php

●外壁塗装の法定耐用年数

ほとんどの外壁塗装工事は「資本的支出」とみなされるので減価償却によって費用を計上しなければなりませんが、国税庁の耐用年数表に「外壁塗装」という項目はありません。

そのため、外壁塗装工事費用の減価償却の計算には、塗装する建物自体の法定耐用年数が適用されます。

 

建物の法定耐用年数は構造や用途に応じて細かく設定されており、例えば鉄筋コンクリート造の建物は

  • 事務所であれば50年
  • 工場・倉庫であれば38年

となっています。

2.減価償却のデメリット

確定申告の際に倉庫塗装リフォーム費用を「修繕費」として計上できれば経費が増えるので翌年の所得税を抑える事を期待できますが、「資本的支出」とみなされれば費用は何年間も分割して申告しなければならないため、節税効果はほとんど期待できません。

そのため、外壁塗装工事費用が「修繕費」になるか「資本的支出」になるかで、会社にとっての費用効果に大きな差が生じます。

 

事業に使用する倉庫の外壁塗装を計画する際には、行おうとしている工事の費用が「修繕費」になるか「資本的支出」になるかを予測し、どちらかわからない場合、可能なら税理士や収益物件の塗装に慣れた塗装業者などにも相談するとよいでしょう。

■まとめ

一般的な戸建て住宅とは違い、倉庫は人や荷物の出入りが多く、近隣住民の目にも付きやすい建物です。

 

住宅と倉庫で、外壁塗装工事の手順や使用する塗料に大きな違いがあるわけではありませんが、住宅よりも規模が大きく確定申告の処理も関係する工事になるため、地元で倉庫の外壁塗装に慣れた外壁塗装業者に依頼し、満足のいく外壁塗装リフォームにしましょう。

 

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