外壁や屋根の塗装リフォームを行う際に、窓枠、軒天、笠木、庇、雨樋、雨戸などの付帯部分も合わせて塗装するのが一般的な塗装リフォーム工事です。
これらの付帯部分が色あせていたり、湿気などの影響で劣化していたりすると、家全体の見栄えが悪くなるだけでなく、劣化が深刻な場合は建物の耐久性を下げてしまうこともあります。
この記事では、付帯部分の中でも窓枠サッシ部分の塗装に重点を置いて解説しています。
目次
■窓枠の塗装について
窓枠は、
- 木製サッシ
- アルミサッシ
- 樹脂サッシ
などの外壁に使われる素材とは違う素材でできたサッシが使われますが、外壁や屋根と同じようにこれらのサッシ部分も汚れやひび割れなどの劣化が発生します。
ただ、サッシ部分に使われる耐久性の高い金属や樹脂を塗装するための塗料がこれまであまり普及していなかったため、劣化した窓枠を塗装してリフォームするのではなく新しいサッシと交換することでリフォームを行っていました。
リフォームの際に、家のすべての窓枠を交換すると、窓の数の分の交換費用が発生し、施主の負担が大きくなるため、窓枠の交換リフォームはあまりされてこなったのです。
しかし最近ではアルミサッシや樹脂サッシに塗ることができる耐久性の高いサッシ専用塗料が開発され、塗装技術も向上したため、交換ではなく塗装による窓枠リフォームが増えています。
■アルミ製窓枠サッシの塗装
アルミ製窓枠サッシは、アルミニウム合金を用いた窓枠サッシのことで、腐食に強く、安価で設置できるため日本では多くの住宅で採用されている窓枠サッシですが、年数が経っていくと他の材料と同じように経年劣化を起こします。
10年ほど前までは樹脂製窓枠サッシと同様、アルミサッシが劣化してしまった場合、塗装をして塗り替えても塗料が剥がれてしまうため、サッシごと取り替えてしまうことがほとんどでした。
しかし、最近ではアルミ製窓枠サッシに塗装しても剥がれにくい塗料が開発されたため、塗り替えによる補修が広く行われるようになってきました。
1.白い斑点がでたらアルミ製窓枠サッシ塗り替えのサイン
アルミ製窓枠サッシにおいて一番多い劣化現象は、
- 窓枠表面に白い斑点ができる
- 窓枠表面が粉がふいたような状態になる
などであり、これはアルミ製窓枠サッシ表面に何かがぶつかって傷がつき、そこに水分が入り込んで腐食したことにより発生する現象です。
その他にも、アルミ製窓枠サッシに強い日光が当たって熱が加わり、サッシが膨張してクラック、気泡、塗膜剥離が発生するという劣化現象もあり、このような症状が発生しているようであれば、アルミ製窓枠サッシの塗り替えをおこなう必要があります。
■木製窓枠サッシの塗装
木製サッシは、古い住宅で使われていることが多いですが、自然な雰囲気や素朴な雰囲気を出したいという施主の希望により、新築の住宅に使われる場合もあります。
木という建材は、呼吸するように水分を吸ったりはいたりして収縮する性質を持っているため、木で作られた窓枠などの部分は金属や窯業といった他の建材で作られた箇所と比べると劣化の進み方が早いという特徴を持っています。
そのため、木製サッシにフッ素塗料などの耐久性が高い高級な塗料を使って塗装をしたとしても、5〜6年で防水効果が落ちてしまい、雨水などの水分が木製サッシ内部に入り込んで腐食し、劣化してしまいます。
木製サッシの塗替え時期は、
- 塗装面が色褪せてしまった
- 塗装面の剥離や脱落
- かびによる汚れが顕著に現れている
- 雨水をあまりはじかなくなってきた
などの症状が木製サッシに現れた場合に行うと良いでしょう。
1.木製サッシは下地調整が重要
木製サッシの塗装作業では、塗料を塗る塗装工程よりも下地調整の工程の方が重要です。
木目の模様が残っている無垢材に塗装する場合は、特殊な薬品をつかって木部についたシミや汚れを落とす必要がありますし、木目の模様などを塗りつぶしてある通常の塗装が行われている場合でも、古い塗膜をヤスリやサンダーといった工具をつかって削り落とすという重要な作業が塗装前の下地調整の工程内で行われます。
もし、下地調整が不十分で、古い塗膜が木製サッシの表面に残っていると、塗料がうまく付着せずに塗料の剥離や膨れなどの原因となってしまうことがあるため、塗装前に窓枠表面に下地調整を行うことが重要です。
窓枠サッシ以外のところも含めて、木部の塗装に関して詳しくおしりになりたい場合は、木材、木部に外壁塗装を行うときの注意点を徹底解説という記事をご覧ください。
2.木製サッシも3度塗りをおこなう
木製サッシには、床材にも使うような木部専用の溶剤塗料や水性塗料を使い、基本的には3回に分けて塗装作業を行います。
ただし、長期間再塗装していなかったなどで木製サッシの劣化が進行している場合、3回以上塗り重ねていくこともあります。
また、元々の板目を活かしたい場合であれば、透明のクリアー塗料を使って塗装することで、木目の風合いを活かした塗装を行います。
■樹脂製窓枠サッシの塗装
樹脂サッシは主に塩化ビニール樹脂を材料としたサッシを指し、アルミ製のサッシと比べて熱伝導率が低く断熱性も高いため、特に寒冷地で多く使われています。
樹脂製サッシは木製と比較すると耐久力が高いのですが、年数が経ってくると紫外線などの影響で色あせや変色が発生したり、サッシ表面のひび割れやチョーキング現象が発生します。
樹脂製サッシをこのような劣化した状態で放置していると、雨水が室内や建物の内部に入り込み、建物の耐久性を下げる原因となってしまうのです。
樹脂製サッシの塗装は大変難しいため、10年前まではきちんと塗装したとしても剥がれ、膨れ、反りなどの施工不良のような現象が発生してしまうこともありましたが、今現在は樹脂サッシ専用の塗料や塗装技術の向上により、塗り替えを比較的容易に行うことができるようになりました。
樹脂サッシの塗装も木製サッシと同様に下地処理をしっかりと行い、汚れや脂分をしっかりと落とした上で塗料を塗る必要があり、きちんと手順に沿った正しい塗装を行わないと、10年前と同様、剥がれ、膨れ、反りなどの施工不良が起こってしまいます。
■窓枠サッシの塗装工程
アルミ製、木製、樹脂製とどの窓枠サッシであっても、基本的な塗装工程は同じです。
1.窓枠サッシの養生
窓枠サッシの塗装は、外壁や屋根など同じように塗装しますが、窓ガラスに塗料がかかってしまわないように、窓ガラスの部分にシートやテープを貼って養生を行います。
窓枠サッシは、細かい部分が多く、養生作業に時間がかかるため、その分人件費も上がり、施工費用が高めになる箇所の一つです。
2.窓枠サッシの下地調整
窓枠サッシに発生してしまった古い塗膜の剥離などをサンドペーパーという目の細かい紙やすりを使ってきれいに磨きます。
後の工程で新しく塗った塗料が剥がれないようにするために、この工程では古い塗膜以外にも、窓枠サッシに付着した汚れ、油脂、ばい煙(排気ガスなどによる汚れ)を念入りに落としていきます。
3.窓枠サッシの下塗り
窓枠サッシを保護するための塗料(次の中塗り、上塗り用の塗料)の密着性を良くするために、防虫防腐着色塗料と呼ばれる下塗り用の塗料を塗っていきます。
4.窓枠サッシの中塗り、上塗り
前工程の下塗りで塗った塗料が完全に乾燥したら、次は窓枠の素材に合わせた上塗り塗料を塗ります。
- 塗料がその窓枠の素材にきちんと付着するか(付着性)
- きちんと雨風から窓枠を守ってくれるか(耐水性、防水性)
- 長い間窓枠を守ってくれるか(耐候性)
などを考慮した塗料の選択を行うことが重要であるため、施工する外壁塗装業者のその地域での経験や知識が必要です。
その地域の特色などを熟知している地域密着型の外壁塗装専門業者に窓枠サッシの塗装を依頼したい場合は、外壁塗装駆け込み寺にご相談ください。
■窓枠サッシのコーキング材も外壁塗装工事とあわせて補修する
建物の内部の中に雨水が入り込むのを防ぐために窓枠サッシと外壁の間には、コーキング材(シーリング材)というゴム製の樹脂が詰められています。
このコーキング材も年数が経つと紫外線や風雨などの影響で経年劣化を起こし、痩せ、ひび割れをおこし、そのうち防水の役割を果たさなくなってしまいます。
劣化したままにしておくと、その劣化が原因で建物の内部に雨水を浸入させることとなってしまうため、外壁塗装工事とあわせて、窓枠周りのコーキング材の補修も行いましょう。
■窓枠サッシの色は外壁や屋根とのバランスを考えよう
窓枠サッシに塗る塗料の色選びは、外壁や屋根の色とのバランスを考えて調和のとれた色を選ぶのが重要です。
例えば外壁がクリーム色であれば、
- それに近い同系色を選ぶ
- あえて大きく違う色を選ぶことでメリハリをつける
などの色の選び方があるので、外壁塗装業者とよく相談して決めましょう。
窓枠サッシの色も含めた塗装の色選びに強い外壁塗装業者を探す場合は、外壁塗装駆け込み寺にご相談ください。
■さいごに
窓枠サッシは外壁や屋根に比べて塗る面積が小さいですが、外からよく見えるため付帯部の中でも重要な部分であり、材質が木、金属、樹脂など、どの素材だったとしても塗装が非常に難しい箇所です。
業者選びの際は、その業者さんの窓枠サッシに関する施工事例を見て、窓枠サッシがどのような色で塗られているのか、どのような材質にどのような技術で塗られているのかを確認し、技術力のある業者さんに頼むようにしましょう。
窓枠サッシを適切に塗ることができる技術力の高い近所の外壁塗装業者を探したい場合は、外壁塗装駆け込み寺にご相談ください。