延床面積も建物面積も大きい60坪の住宅は外壁塗装費用も当然高額になります。
ただし高額といっても相場費用というものが存在しますので、必ず複数業者から見積もりを取って適正価格で工事を依頼しなければならないという点では他の建物と変わりはありません。
この記事では60坪の家の塗装費用相場や、実際に外壁塗装を行うときの注意点などをご紹介します。
目次
■60坪の家は平均よりも大きな建物である
日本の住宅の平均的な坪数は約35坪前後です。
40坪前後の家もありますが都心に向かうほど住宅の大きさは限られて30坪が平均値になることもあります。
つまり60坪の家は平均の倍近い大きさであり、外壁塗装業者を選ぶときは他の住宅とは異なる考え方が必要になるでしょう。
1.60坪は延べ床面積にするとどのくらいか
60坪と聞いても具体的にどのくらいの広さかイメージしづらい方も多いかと思います。
まずは60坪を延べ床面積に変換して㎡(平米)数にしてみましょう。
1坪は3.3㎡ですので60坪を㎡にするときは以下の計算で求めます。
60坪×3.3=198㎡
よって60坪の家の延床面積は198㎡ということになります。
●延床面積と建築面積の違い
延べ床面積とはその建物の床面積の合計値です。
例えば1階の床面積が50㎡で2階の床面積が45㎡の建物なら、延べ床面積は95㎡ということになります。
一方、建築面積とは建物を真上から見下ろしたときに見える部分の面積のことで「水平投影面積」とも呼ばれます。
どちらも似た単語ですが示す面積は全く異なりますので、リフォームの際は必ず区別して認識しておきましょう。
2.60坪の家は全国平均的に見ても大きい
60坪の家は全国平均的に見ても大きな家と言えます。
国土交通省の調査によれば、平成25年に調査対象となった一戸建て住宅の平均的な大きさは122.32㎡というデータが出ています。
上記は全国の平均値ですが、エリア別の数値を見ても
- 関東地方:97㎡(約30坪)
- 東海地方:99㎡(約40.3坪)
- 近畿地方:91㎡(約34.8坪)
となりますので、60坪の家の198㎡という数値は極めて大きいと言えるでしょう。
■60坪の家の塗装費用の求め方
平均値よりも大きい60坪の住宅は施工事例が若干少ないため、30坪や40坪の住宅に比べると塗装の全国相場もあまり出回っていません。
また相場費用だけを見てもなぜその金額になっているのかわからなければ、費用が正しいかどうか判断することはできないでしょう。
塗装面積の求め方や外壁塗装の施工単価相場を知って、実際の塗装費用に近い金額の算出方法を知っておくことが大切です。
1.60坪住宅の塗装面積の求め方
住宅の塗装面積は単純に建物のタテヨコだけで求めることはできません。
なぜなら住宅の壁には窓や玄関など塗装しない箇所があるため、タテヨコで面積を求めてしまうと塗装しない部分まで計算することになってしまいます。
窓やドアを除く塗り面積は延べ床面積に係数を乗じて求めることができます。
係数は1.1~1.4の範囲を使用しますが、60坪など大きな家は小さな係数を使います。
60坪の家の延べ床面積は198㎡ですので、
198㎡×1.1=217.8㎡
となり塗装面積は約217㎡と予測できます。
2.60坪住宅の塗装費用の求め方
塗装面積に対し塗料の施工単価を乗じることで塗装費用を求めることができます。
施工単価とは㎡あたりの作業にかかる費用のことです。
●塗装費用の施工単価
塗料の施工単価は使用する塗料の種類やグレードによって異なります。
グレードが上がるにつれ耐久性も高く耐用年数も長くなりますが、施工単価相場も高くなります。
※金額はあくまでも㎡あたりの目安ですので、実際の塗料代が常にこの金額通りになるわけではありません。
- アクリル塗料:1,500~1,800円/㎡
- ウレタン塗料:1,800~2,200円/㎡
- シリコン塗料:2,800~3,100円/㎡
- ラジカル塗料:3,200~4,000円/㎡
- フッ素塗料:4,500~5,500円/㎡
近年の外壁塗装で最も使われているグレードはシリコン系塗料です。
シリコン塗料の施工単価に対し60坪の家の塗装面積を乗じてみましょう。
2,800~3,100円×217㎡=60~67万円
以上が60坪住宅の塗装のみの費用ですが、外壁塗装では他にも足場代や養生費用、高圧洗浄費用など他の工程の費用が発生します。
●外壁塗装の諸費用の内訳
- 足場費用:700~1,200円/㎡
- 高圧洗浄費用:150~200円/㎡
- 下地処理費用:900~1,500円/㎡
- 養生費用:300円/㎡
60坪分の合計価格:約40~63万円
●60坪住宅を塗装するための総費用
シリコン塗料の塗装費用と諸費用を合計すると60坪住宅の外壁塗装費用は、101~130万円となります。
戸建住宅の平均的な塗装費用は約80~90万円ですので、面積が大きい60坪住宅は塗装費用も高額になることがわかります。
フッ素系塗料や光触媒塗料、断熱塗料、セラミック塗料など耐久性・機能性ともに高い機能塗料や特殊塗料を使えば料金は150万円を超えることもあるでしょう。
なお外壁だけでなく屋根も塗装する場合はプラス30~50万円見積もって130~180万円の合計費用になるとお考えください。
■60坪の家を塗装する前に知っておきたいこと
60坪の住宅は塗装費用相場が高いだけでなく、業者選びや見積もり比較の際に通常とは異なるアプローチが必要になります。
高額な塗装費用が必要になる60坪の外壁塗装で失敗しないためにも、工事を依頼する前にいくつかの注意点を知っておきましょう。
1.わずかな価格差が塗装費用を大きく左右する
先ほど塗装費用は塗装面積に施工単価を乗じて計算するとお伝えしましたが、施工単価は依頼した業者や塗料のメーカーによって開きがあります。
そして塗装面積が大きい60坪住宅は施工単価に開きがあるほど負担する額も大きくなります。
例えば30坪(塗装面積が約99㎡)の家であれば施工単価に1,000円の開きがあっても総費用の差額は10万円以内です。
しかし60坪(塗装面積が約198㎡)の家になると1,000円の価格差は約20万円となりますので少しの価格差が塗装費用に大きく影響するでしょう。
●複数業者から見積もりを取って比較すること
1社の提示金額だけで決めてしまわず複数社から見積もりを取って、費用差や工程の適切さをチェックすることは外壁塗装工事においては基本の考え方です。
しかし60坪の住宅はわずかな価格差が総費用に大きく影響しますので、複数社からの相見積もりは普段より重要性を増します。
外壁塗装駆け込み寺でも相見積もりを優良業者のみからとることが可能ですので、こちらからご相談ください。
2.作業が長期間になることがある
60坪分の面積を施工するためにはそれなりの時間が必要です。
さらに外壁塗装には塗装作業の前に足場の設置や高圧洗浄、下地処理なども行われますのでこれらすべてを含めた合計の工事期間を知っておかなければなりません。
平均的な住宅の大きさは30~40坪ですので60坪の住宅は工期が1.5倍かかると考えておくとよいでしょう。
●30坪と60坪の外壁塗装の工期比較
30坪の住宅と60坪の住宅で外壁塗装にかかる工事を表で比較してみましょう。
30坪 | 60坪 | |
足場工事 | 半日 | 1日 |
高圧洗浄作業 | 半日(乾燥に1~2日) | 1日(乾燥に1~2日) |
下地調整 | 1日 | 1~2日 |
養生 | 半日 | 1日 |
塗装 | 6日 | 6~8日 |
片付け | 半日 | 1日 |
合計 | 10~11日 | 12~16日 |
坪数が2倍になることで単純に工期が倍になるわけではありませんが、それでも面積が大きい分やや日数が長くなる可能性は否めません。
シーリング工事の量やケレン作業の有無など工事内容次第では上記の表よりも工事期間が長くなることも十分考えられます。
あるいは雨で工事が行えない期間が続けば工事は2週間以上かかることもあるでしょう。
3.依頼できる業者が限られる恐れがある
60坪となると施工業者の規模によっては依頼できない恐れがあります。
例えば少数精鋭の塗装専門点などは1現場に何人も派遣していると他の現場の手が回らなくなりますので、1現場に向かわせる人員を1~2人にして1日に2棟こなすことがあります。
しかし60坪の建物となると1現場に1人では到底通常の作業量では間に合いませんので、他の現場より多く職人を向かわせなくてはなりません。
そうすると工事を同時進行している他の建物に人員が回せず、業者のスケジュールも圧迫されてしまいます。
ただし建物の大きさによって業者の態度が変わるわけではなく、60坪の大きな建物だからといって受注してくれる業者がなくなるわけではありません。
しかし上記のような理由で工事開始日をずっと先に設定されてしまう可能性もあるため、60坪の建物を塗装するときは希望日よりも早めに業者選びを始めた方がよいでしょう。
中には60坪住宅で塗装をすれば施工金額が高額になるのをよいことに、受注できる余裕もないのに契約だけ先に取ってしまおうとする悪質な業者もいます。
このような業者に任せてしまうと「快く依頼を承諾してくれたのにいつまで経っても工事を始めてくれない」となり、建物の劣化を放置することになってしまうでしょう。
■おわりに
基本的に外壁塗装工事は数十万円の高額な工事金額が発生しますが、60坪の大きな建物ともなれば100万円以上の非常に高額な工事金額になることもあります。
わずかな見積もり価格の違いが大きな費用差を生むこともありますので、業者選びは特に慎重に行わなければなりません。
見積書の金額が高額だと感じても慌てず、算出に使われた塗装面積や施工単価の妥当性を他の業者の相見積もりと比較して一項目ずつチェックしていきましょう。