外壁塗装の色見本は外壁塗装業者が所持しているもので、塗料の色を決める際に参考程度に使うものです。あくまで参考程度でのみ使うことにして、色見本を指さしながら「この色でお願いします」と色を決定する際に使うものではない、ということをしっかりと認識しておきましょう。
こちらでは外壁塗装の塗料の色見本に関するメリット、デメリット、使用上の注意点などについて書いていきます。
目次
色見本(カラーサンプル)はいくつか種類があります
色見本と呼ばれるものにはいくつか種類が有り、主に使われているのが日本塗料工業会(日塗工)が作っている色見本と、塗料メーカーが作っている色見本です。日本塗料工業会が作る色見本は数は多くありませんが(年度とワイド・ポケットぐらい)、メーカーの色見本に関しては、塗料ごとに作成されています。一部の塗料、メーカーに関しては色見本が作成されていない場合もあります。
色見本はどれが良い、というものではないのですし、どれかしか使ってはいけないというものでもありませんが、日本塗装工業会と塗料メーカーの色見本のメリットとデメリットを見てみると以下の通りです。
メリット | デメリット | |
日本塗装工業会 | 様々な色を見ることができる 塗料の中立機関の色見本 |
外壁に向いていないものもある 希望の色を出せる塗料がない可能性がある 年度によって色味が違うものもある |
塗料メーカー | 実際の塗料を再現したサンプル その塗料の詳細がわかる 時流を考慮したものを選べる |
塗料ごとに作成されているので数が多い 冊数が多いとかさばる 塗料を先に考える必要がある |
塗料メーカーの色見本はあくまで個別の塗料の塗装例のようなものなのです。塗料によってメーカーがだしている色には幅があるので(一色しかなかったり、たくさん色があったりします)、塗料に合わせて色を選ぶ必要があります。
日本塗装工業会の色見本は塗料関係なく色を見て考えることができます。しかし、選んだ色見本の色が完璧に再現できるとは限りません。なぜなら外壁に塗るのはあくまで塗料であり、色見本を貼り付けるわけではないからです。色見本を再現できるかどうかはメーカーが作った塗料の再現力次第となるのです。
色見本自体のデメリット
色見本は万能なものではなく、むしろ使い方を間違えてしまうと失敗の種となることが多いです。ここではまず色見本自体のデメリットについて考えてみましょう。
まず色見本はどの色見本でも、実際に家に塗料を塗った場合と色味が違って見えてしまいます。これは様々な要因があるので、大きい要因を解説いたします。
色見本と実際に塗った外壁では違って見えます(面積効果)
面積が小さいものと大きいものでは見え方が違います。例えば、色見本は数cmの非常に小さいですが、家の壁は何メートルと大きいです。同じ塗料を塗っているのにもかかわらずこの二つは見え方が違って見えるというのは面積効果です。
人の目には、小さいものは色が濃く見え、大きいものは色が薄く見えるという現象が起こってしまうのです。
これにより「サンプルで選んだ色よりも、実際に壁に塗った色が非常に薄く見えるので、もっと濃い色を塗っておけば良かった」と後悔する人も多いです。また、塗った色が違うのではないかと塗装店とトラブルになる方もいます。塗装店はそのようなトラブルを避ける為にも、この面積効果ができるだけ起きなくするように、大きいサイズの色見本を用意したり、実際に塗装をする壁に塗料を試し塗りしたりなどのサポートを行う必要があります。
室内と屋外では全く見え方が変わります(光源の違い)
暑い季節、寒い季節になると、屋外に出るのが億劫ですし、見積もりなどお金の話になると、どうしても建物の中の方がやりやすいですよね。最初に色見本を渡される場合ももしかしたら室内かもしれません。しかし、色見本を見て色を考える際は必ず屋外に出て確認しましょう。
実は色というものは、光源(光の源)によって見え方が全然違うように見えてしまうのです。これをメタメリズム(条件等色)と言います。
例えば、カラフルな色の紙は太陽光、蛍光灯の下ではきちんとカラフルに見えますが、黄色のライトのトンネルの中で見ると色が変わって見える、というような感じです。もちろん色見本にも同じ事が言えます。
家の外壁が見られるのが太陽光の下なのに、蛍光灯の下で見ると色は若干違うものになってしまいます。太陽の光は太陽にしか出せないのです。「うちの事務所内は太陽光と似た電球を使っています」と外壁塗装業者に言われたとしても、それは太陽光とは異なるので、外で確認するようにしましょう。さらにに言えば晴れの日、曇りの日など天候によっても変わってくるのでいろいろな環境下で確認しておくとさらに良いでしょう。
最初は色見本で選んでも徐々に実際の環境に近づけましょう
色選びのコツに関する記事でも書かせていただいているのですが、色見本は非常に小さい上に、実際の外壁とは違う部分が多すぎるのが現実です。はじめに色見本から好みの色を選ぶとしても、それだけで色を決めてしまってはいけません。色見本を少しずつ大きくしていきましょう。
- 塗料メーカーの色見本(カラーサンプル)を確認
- 通常の色見本を大きくしたA4サイズの色見本を見る
- 色を塗る家の外壁に試し塗り
- 実際に家に塗る塗料を決定
という流れになります。
注意点としては、必ず様々な天気、時間帯で色を確認するという事です。朝、昼、夕、夜で色の見え方は全く違いますし、快晴、晴れ、曇り、雨などでも違います。また、東西南北の家の面によっても違います。ありとあらゆるパターンを確認しておくとさらに間違いが減っていくでしょう。
色を選ぶ際はカラーシミュレーションではなく色見本を使いましょう
カラーシミュレーションに関する記事に書かせていただきましたが、カラーシミュレーションによる色選びは、その結果を表示するディスプレイや、印刷する紙などによって大きく変わってしまうので、オススメは出来ません。
つまり色を選ぶときはどうしてもメーカーの色見本を使う事になります。なぜなら色見本は塗料を作ったメーカーがその塗料を実際に再現して作った物なので、色が限りなく本番に近いからです。
しかし、先にこれまでに述べてきたとおり、色見本だけで色を決めてしまうと必ず失敗してしまいますので、上述の課程を踏みながら色を選ぶようにしましょう。