家を建ててから、もしくは前回の外壁塗装工事から10年以上経過した家は、徐々に外壁や屋根の汚れが目立つようになり、雨漏りや塗料の色あせといった劣化も生じるようになるためできるだけ早く外壁塗装工事を行う必要がありますが、大掛かりな工事を行うことで「近所の人や外壁塗装業者とのトラブルに巻き込まれそうで怖い」というご相談を外壁塗装駆け込み寺ではよくお聞きします。
この記事では、
- 外壁塗装工事で起きやすいトラブル
- それぞれのトラブルを回避するためのポイント
- 実際にトラブルが発生したときの対策
について解説します。
目次
■外壁塗装工事を含めたリフォームのトラブルは年々増加している
国民生活センター、消費者センター、住まいるダイヤルなどの公的な相談窓口に寄せられる住宅リフォームに関する相談件数は毎年増加傾向にあり、外壁塗装駆け込み寺でも毎日多くのご相談をいただきます。
画像引用:http://www.chord.or.jp/tokei/pdf/soudan_web2018.pdf
上記のグラフは住宅リフォーム・紛争支援処理センターが開示している資料で、リフォームのトラブルに関する相談は2011年ごろから多くなっており、2017年だけでも7,000件近くの相談が寄せられています。
上記数字は住宅リフォーム・紛争支援処理センターだけの数字であり、消費者センターや、外壁塗装駆け込み寺などの相談機関も含めると毎年、非常に多くの方が相談しなければならないほどのトラブルに遭遇しています。
1.訪問販売を行っている外壁塗装業者との契約時のトラブルが最も発生しやすい
画像引用:http://www.chord.or.jp/tokei/pdf/soudan_web2018.pdf
外壁塗装工事のトラブルが起こりやすいのは主に訪問販売の営業を行っている外壁塗装業者とのトラブルであり、上記のグラフを見ても分かるように、契約に関するトラブルの相談が全体の約7割と非常に多いです。
なぜ、訪問販売の営業を行う外壁塗装業者との契約に関するトラブルが多いのかというと、訪問販売業者の営業マンは、
- 「今日中に契約すれば値引きします」
- 「すぐに工事を始めなければ外壁が危険な状態です」
- 「お客様以外の家はとっくに工事を済ませていますよ」
などのように、住んでいる人の不安を煽ったり、急がせたりして、必要のない工事や高額な契約をその場で行うよう勧めてくるからです。
2.外壁塗装工事の契約に関するトラブルを回避する方法
飛び込みの訪問販売業者の営業マンの意見を聞いて自宅の外壁に関する不安を感じたとしても、決してその場で工事請負契約書には押印せず、その営業マンには帰ってもらい、後日地域の優良外壁塗装業者に改めて自宅の外壁や屋根の調査を依頼するという方法が最もトラブルを回避できるでしょう。
3.もし訪問販売業者と契約してしまったらすぐに相談窓口へ相談を
もし訪問販売業者とその場で契約してしまった場合は、見積書や契約書の内容に疑問を感じていなくても、契約内容を無料で診断してくれる外壁塗装駆け込み寺などの第三機関や住宅リフォーム・紛争処理支援センターなどの公的機関の相談窓口にすぐに相談することをおすすめします。
無料の見積もりや住宅診断と違って、工事の依頼契約は一度交わしてしまうと取り消しできないのではないかと思われるかもしれませんが、契約からあまり時間が経っていないのであれば、クーリングオフ制度を利用して契約を解消できる可能性がありますし、上記機関に相談すれば手元の見積書や契約書が適正であるかどうかも確認することができます。
参考:外壁塗装について電話で相談できるオススメの相談先と、避けるべき相談方法
■塗料の色選びに関するトラブル
外壁塗装の色選びでは、「最初にカラーサンプルで決めた色と、仕上がりの色味が違う」というトラブルが頻繁に起きるため外壁や屋根の色を決める際には業者さんのアドバイスを聞きながら慎重に色を決定する必要があります。
1.目の錯覚による見え方の違いに注意
同じ色の塗料を使用したとしても、その塗料が塗られた面積が大きいか小さいかによって色の見え方に違いがでるため、色見本などの小さなサンプルを見ただけで色を決めてしまうと先述の「仕上がりの色味が違う」というトラブルに発展してしまいます。
大きい面積に塗られた色は明るく、白っぽく見えますが、小さい面積に塗られている色は濃く、暗めに見えているように目が錯覚する「面積効果」という現象が起こるのです。
2.色選びのトラブルにあわないためには大きなサンプルを作ってもらう
2~3cmの小さな塗料のサンプルがたくさん掲載されたカラーサンプル表である程度の色を決めたら、その色をA4サイズ以上に大きく塗った色見本を業者さんに依頼して作ってもらいましょう。
業者さんから大きい色見本を受け取ったら、家の外壁に貼り付けてその外壁面が日の光に当たったときや日陰になったときにどのような色に見えるか確認し、それが自身の納得のいく色であるのかを判断しましょう。
3.家の外壁に実際に試し塗りをしてもらおう
A4サイズの色見本を使って大体の好みの色が決まったら、依頼している外壁塗装業者にお願いして、塗装を行う外壁に実際の塗料を使って試し塗りをしてもらうとさらに工事後の外壁の色をイメージしやすくなります。
絶対に失敗しない外壁や屋根の色の選び方に関しては、外壁塗装の色選び方法の注意点と絶対に失敗しないコツと流れをご覧ください。
■追加料金に関するトラブル
リフォーム工事の途中で、契約時には聞かされていなかった追加工事の料金を請求されて、トラブルになることがあります。
1.やむを得ず追加費用が必要な工事が発生する場合もある
優良な外壁塗装業者は、契約前に工事が必要な箇所をすべて施主に伝えてくれるので、あとから勝手に工事を追加して見積金額以上の代金を追加請求するということはありません。
ただし、工事を進めていく上で着工時にはわからなかった不具合などが見つかる場合もあり、優良な外壁塗装業者の場合は、追加工事が必要になったとしてもすぐに施主に報告して追加工事分の見積もりを作成してくれますので、
- 追加工事の費用
- どのような工事を行うか
- なぜ最初に調査したときにはわからなかったのか
などを業者に確認し、納得した上で追加工事分の契約を行いましょう。
2.悪質な業者は勝手に工事を追加して後から請求してくる
悪質な外壁塗装業者はあえて不完全な工事の契約書を最初に作成し、施主に説明せずにあとから勝手に工事を追加し、リフォーム工事がすべて終わった後に、最初の見積りとは大きく変わった高額なリフォーム工事費用を請求してくることがあります。
このような悪質な追加費用を発生させないためには、悪徳業者に依頼しないようにするというのが最も効果的であり、複数の外壁塗装業者に事前に見積もりを行ってもらって見比べることで悪徳業者に依頼してしまう可能性を十分に減らすことができます。
地域の有名な外壁塗装業者をいくつか選択しても良いですし、外壁塗装駆け込み寺のような第三者機関に連絡しておすすめの業者を聞くのも良いでしょう。
3.追加費用がかかる工事を未然に防ぐには
優良な外壁塗装業者でも起こってしまう追加費用の発生ですが、発生させないためには外壁塗装業者が見積り前に行う事前診断に自身も立ち会うことでできるだけ減らすことができます。
- どの部分を塗るのか、塗らないのか
- なぜ、どのような補修が必要なのか
などの対策しなければならない箇所を工事開始前の現地調査でしっかり把握し、家に関するどのような些細な不安であっても予め業者にすべて伝えておくことで補修が必要な箇所を最初から特定しやすくなり、それをもとに見積書を作成することができます。
また、
- 追加工事の費用はどこまで施主が負担しなければならないのか
- 追加料金が発生するのはどのような場合なのか
- 追加料金に関する取り決めが契約書に記載されているか
など、契約内容の費用に関することで気になる点があれば、事前にすべて確認しておきましょう。
■近隣の住民とのトラブル
外壁塗装工事中は作業員が一日中建物の周りを出入りし、作業時の騒音が発生したり、塗料が周囲に飛び散ったりする状態が、約2週間は続くことになるためご近所に住んでいる方とのトラブルが発生する可能性があります。
1.近隣の住民とのトラブルの事例
外壁塗装駆け込み寺にご相談いただいた近隣の住民とのトラブルの例をあげると、
- 足場工事の音が響いてうるさいため家でゆっくりできない
- 工事が行われていることを知らされておらず屋根工事中の作業員と目が合った
- 急に足場が組まれて、部屋に日光が入らなくなった
- 出かけようとしたら、工事車両が停まっていて車を出しにくかった
などがあり、一部どうしても避けられないトラブルもありますが、近隣の住民とのトラブルのほとんどは「外壁塗装工事に関して事前に何も知らされていないのに勝手に工事を始められた」という不満から苦情に繋がるケースがほとんどです。
2.近隣の住民とのトラブルを回避するために
近隣の住民とのトラブルを回避するために、工事前に必ず済ませておかなければならない大事な作業が、ご近所への事前の「挨拶回り」です。
外壁塗装工事前のあいさつ回りでは外壁塗装業者の担当者が下記の内容を伝えてくれます。
- 作業期間と作業時間
- どのような作業を行うのか
- 足場の設置時には大きな音が出ること
- 高圧洗浄機の使用時は、周囲に水が飛ぶ可能性があること
- 塗料が風に乗って飛散する恐れがあること
- 塗料の臭いが部屋まで届く恐れがあること
- 工事期間中はなるべく洗濯物を部屋干ししてもらうこと
- 車やバイクに専用の養生シートをかけさせてもらうこと
- 作業後は速やかに撤去しきちんと清掃を行うこと
外壁塗装業者によって内容は異なりますが、上記のことが書かれた紙を用意し、近所の方に外壁塗装工事による騒音などを理解してもらうことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
外壁塗装業者とあいさつ回りではどのような事柄を説明するのかを共有し、住居周辺で特に気をつけなければならない事柄があれば業者に伝えておきましょう。
3.挨拶回りをしてもトラブルが起きたてしまったら
どれだけ入念に挨拶回りを済ませていても、近隣の住民から苦情が来てトラブルが発生する可能性があり、どのような苦情であってもまずは工事を行っている外壁塗装業者に相談しましょう。
外壁塗装業者の多くはリフォーム工事に関する保険に加入しているので、例えば近隣の住民の車や建物に被害が生じたとしても、業者側で費用を負担して修理が行ってくれるので、施主が費用を負担する必要はありません。
ただし、リフォーム工事中のトラブルを保証してくれるような保険に入っていない外壁塗装業者もいますので、保険にきちんと加入している業者を探したい場合は外壁塗装駆け込み寺にご相談ください。
■外壁塗装業者の職人とのトラブル
優良な外壁塗装業者は社内のマナー教育が普段から徹底されており、施工時の注意点などもマニュアル化されていますが、マナーが徹底されていない外壁塗装業者に依頼してしまった場合は、工事を行っている職人とトラブルになる場合もあります。
1.外壁塗装業者の職人とのトラブル事例
外壁塗装業者の職人とのトラブルは施工品質に関する内容だけでなく、職人のマナーに関する問題が多く見受けられます。
外壁塗装駆け込み寺にご相談いただいた外壁塗装業者の良くない職人のマナーでは、
- 外壁塗装工事中や休憩中に家の周りでタバコを吸っている
- 工事とは関係ない雑談を大声で行う
- タバコのポイ捨て
- 邪魔な場所に停車するなどの車両のマナー違反
- 敷地内の私物を勝手に使う
- 態度が悪い
などが挙げられました。
上記のようなことをする職人が在籍している外壁塗装業者は、施工品質も低い場合が多いため依頼しないようにしましょう(マナーも施工品質も良い業者を探したい場合はこちらからご相談ください)。
2.トラブルを招くような職人を避けるためには
トラブルを招くような職人を避けるためには、下請けの塗装業者を使わずに会社に在籍している職人が直接工事を行う外壁塗装専門業者を選ぶようにしましょう(ただし、下請け業者を使う業者がすべて悪いというわけではありません)。
自社に職人が在籍しているかどうかは、ほとんどの外壁塗装業者がホームページなどで積極的にアピールしており、
- 「自社スタッフが施工します」
- 「スタッフは全員が塗装職人です」
- 「下請け業者は使っていません」
のように記載している会社であれば、自社に職人が在籍していると考えて問題ないでしょうし、ホームページから判断できない場合は思い切って質問してみると良いでしょう。
3.悪質な職人に当たってしまったときの相談先
もし、現場に訪れた職人のマナーが良くない場合は、契約した外壁塗装業者に状況を説明し、職人を替えてもらうなどの対応を行ってもらいましょう。
ただ、マナーが悪い職人がいる外壁塗装業者の場合は、連絡しても改善されない場合も多く、その場合は工事契約の途中解約が可能かどうかを下記のような公的機関の専門家に相談してみましょう。
■施工ミスに関するトラブル
外壁塗装工事後、数ヶ月や数年といった短期間のうちに外壁や屋根にトラブルが起きたときは、施工業者の手抜きや施工ミスの可能性があります。
1.施工不良に備えて工事の保証書を作成してもらう
施工不良や手抜き工事があると、塗装後の数ヶ月から数年の短期間のうちに、外壁に膨らみ、剥がれ、チョーキング現象などが生じるようになります。
施工を行ったのが優良な外壁塗装業者であれば施工不良はほとんど起こりませんが、万が一起こった時に外壁塗装業者の費用負担で補修を行ってもらうために、工事に関する保証書を発行してもらいましょう。
ただし、保証内容は工事を行った業者ごとに異なるため何年後まで保証や点検が行ってもらえるかについて確認しておきましょう。
参考:外壁塗装の保証は業者や団体で内容が全く異なるので注意!
保証してもらう内容に関して不安があったり、しっかりと保証してもらえる外壁塗装業者を探したいという場合は外壁塗装駆け込み寺にご相談ください。
■おわりに
外壁や屋根の塗装リフォームは安い金額で行える工事でないので、工事中や工事後に後悔しないためにも本ページで解説したトラブルの事例をしっかり頭に入れた状態で外壁塗装業者に工事を依頼するようにしましょう。
外壁塗装駆け込み寺などの第三機関による見積サービスを利用して複数社からの見積りを比較したうえで、慎重に契約業者を決めることが後のトラブルを防ぐ最も効果的な方法です。