カラーシミュレーションとは、住宅の外壁を塗装する前に、塗装完了後の住宅をイメージするための手段であり、主にパソコンの画面上などで使用するソフトのことを指します。
外壁塗装をしようと考えたときに多くの人が悩むのはどのような色で外壁や屋根を塗るべきかということです。
例えば、服を購入する時はどの色の服が自分に合うか、試着をして自身の目で確認してから選ぶ事ができますが、外壁の色は服と違い、試し塗りをしてみて気に入らないから他の色にするというようなことはできません。
そこで、外壁を塗装する前に塗装完了後の住宅を具体的にイメージして、自身の目で確認するカラーシミュレーションが行われることが多いのです。
この記事では
- カラーシミュレーションを行うメリットとデメリット
- ウェブ上で使用できるカラーシミュレーションソフトの紹介
などについてまとめています。
■カラーシミュレーションを行うメリット
1.大型モニターがあるショールームなどではみんなで見ることができる
塗装業者によっては、店内のショールームにある大型モニターでカラーシミュレーションを行ってくれます。
大型モニターで塗装完了後のカラーシミュレーションを確認することで、施主一人だけではなく塗装する住宅に住む家族全員で、塗装工事完了後の住宅の色をイメージすることができます。
2.結果を紙に印刷することで家族でゆっくり相談できる
カラーシミュレーションを行って選んだ色は、紙に印刷することもできます。
紙に印刷したシミュレーション後のイメージ画像を家に持ち帰る事で、外壁塗装業者がいない場所でゆっくり相談したり、ショールームに来店する事ができなかった家族と相談したりすることができます。
3.具体的な完成後のイメージが湧く
ウェブ上に公開されている外壁塗装のカラーシミュレーションでは、自身の家の構造と大きく違うため、具体的なイメージはしにくいですが、一部業者は、顧客の家の写真を元に塗装後の完成イメージを作成してくれます。
塗料が印刷された色見本帳などを眺めるだけよりも、自身の家の外観をもとに作られたカラーシミュレーションを行うことでより具体的な塗装工事後の自身の家のイメージすることができるのです。
4.自分の好みの色を業者に伝えやすい
自分の好みの色を言葉で伝える事は難しいため、外壁塗装業者に自身の希望の完成後イメージを伝えるのも難しいことなのですが、事前にパソコンでカラーシミュレーションを行い、印刷した用紙を業者に提出する事で、外壁塗装業者に希望の色をスムーズに伝えることができます。
また、外壁塗装業者側で、いくつかのパターンの完成イメージ画像を並べて比較し、その中から自分の好みの画像を選ぶ事で色の好みを伝える事もできます。。
5.周りの家などと自身の家とのバランスを見られる
近隣の住民との人間関係を悪くしないためには、周りの家の色と自身の家の色とのバランスを考慮することが大切です。
自身の家の色を、近隣の住民の家と極端に異なる色を選択してしまうと、「地域の雰囲気を考えていない」などと近隣の住民からクレームがくる可能性があるためです。
近隣の住民と良い人間関係を築くためにも、近隣の住民の家と色のバランスをカラーシミュレーションで確認し、業者と相談するようにしましょう。
■カラーシミュレーションのデメリット
1.ディスプレイや紙で見る色と実際に塗る塗料の色は、色の見え方が異なる
カラーシミュレーションの結果をディスプレイや紙で見る色と実際に外壁に塗る塗料の色は、色の見え方が異なるというデメリットがあります。
ディスプレイの色は、
- Red(赤)
- Green(緑)
- Blue(青)
を組み合わせであり、紙に印刷する色は、
- Cyan(シアン)
- Magenta(マゼンタ)
- Yellow(イエロー)
を組み合わせであるため、様々な色の元から作られる塗料の色とは大きく異なるのです(ディスプレイは加法混色、紙は減法混色という表現方法が用いられています)。
ディスプレイや紙で見た色がそのまま住宅の外壁に反映されると信じてしまうと、実際に外壁塗装をした色が思い描いていたイメージと異なるという失敗を招いてしまいます。
また、実際に塗る塗料の色をカラーシミュレーションの塗料と同じにしたとしても、
- 外壁の質感
- 塗料の質感
- 時間帯による日の当たり方
- 近隣の住民の家とのバランス
- 近隣の住民の家からの光の反射
- 天候
などによって、色の見え方が異なります。
カラーシミュレーション結果を表示したディスプレイ、印刷した紙の色は「塗装完了後の住宅の色のイメージをつかんで、自身の好みの色を業者に伝える」程度の認識にとどめておき、シミュレーションと同じ塗料を使ったとしても、完成後の家が全く同じ色になることはないと考えておきましょう。
2.色は面積の大小によって見え方が異なる
色は面積の大小によって見え方が異なるため、カラーシミュレーションの色と塗装完了後の外壁の色は、見る色の面積の違いにより見え方が異なるというデメリットがあります。
面積の大小による見え方の異なりを少しでも防ぐため、A4サイズの色見本を用意してくれたり、外壁を試し塗りしたりしてくれたりする業者もいます。
外壁はカラーシミュレーションの結果画面より面積が広いため、塗装完了後の外壁はカラーシミュレーション結果画面とは見え方が異なるという認識を持っておきましょう。
3.カラーシミュレーションで用意されている住宅の形が自身の住宅の形と異なる
ウェブ上に公開されているカラーシミュレーションには様々な住宅の形が用意されていますが、自身の住宅の形と異なるため具体的なイメージがつかみにくい場合があります。
自身の住宅の形に近いカラーシミュレーションを探すか、外壁塗装業者に依頼して自身の住宅の写真を元に行うカラーシミュレーションを行ってもらい、具体的な塗装工事後の完成イメージをつかみましょう。
ボタン:自宅写真からカラーシミュレーションをしてくれる業者を探す
■ウェブ上に無料公開されているカラーシミュレーションソフト
ウェブサイトで公開されているカラーシミュレーションソフトを紹介します。
こちらの記事で紹介しているカラーシミュレーションは全て無料で簡単に使用できます。
1.日本ペイント株式会社 HANA COLLECTIONのカラーシミュレーション
http://www.hanacole.com/simulation/index.html
日本ペイント株式会社 HANA COLLECTIONのカラーシミュレーションには
- お気に入りから理想のライフスタイルを提案する「LIFE STYLE診断」
- 住宅外観の特徴から配色を提案する「住宅外観から配色」
- 自宅の写真を使用して仕上がりイメージを確認する「自宅写真で配色」
の3種類があります。
●お気に入りから理想のライフスタイルを提案する「LIFE STYLE診断」
HANA COLLECTION の「LIFE STYLE診断」では、
- 庭に植えるとしたらどれを選びますか?
- 次の配色のうち、あなたの理想の暮らしのイメージに近いものをひとつ選んでください。
- 次のイスの中からあなたの好きなものをひとつ選んでください。
- 次のドアの中からあなたの好きなものをひとつ選んでください。
- 休日の過ごし方はどれが理想でしょうか?
- あなたが住まいに求めるのは、どんなイメージでしょうか?
と、配色や家具、休日の過ごし方や住まいに求めるものなどに関する6つの質問に難しく考えずに回答するだけで、おすすめの外壁の配色やライフスタイルを提案する診断です。
●住宅外観の特徴から配色を提案する「住宅外観から配色」
HANA COLLECTIONの「住宅外観から配色」では
- 自身の住宅の形に近いモデル
- 自身の住宅のサッシ色に近い色
- 外壁塗装後のイメージ
と、自身の住宅の形やサッシ色を選んだ後に、希望の外壁塗装後のイメージを選びます。
①、②で選んだ自身の住宅の特徴を外壁塗装後のイメージに反映させて、おすすめの外壁の配色を提案する診断です。
●自宅の写真を使用して仕上がりイメージを確認する「自宅写真で配色」
HANA COLLECTIONの「自宅写真で配色」では、自身の自宅の写真を使用して外壁や屋根に配色を行うことができます。
自宅の写真を使用して外壁や屋根に配色を行うことで、外壁塗装後の完成イメージを作成する事ができる診断です。
「自宅写真で配色」は
- 「壁の色を指定」または「屋根の色を指定」で外壁か屋根の希望の色を選択する
- 自宅写真の上で、左クリックで塗りたい範囲を囲って指定する事で、指定された範囲が希望の色で塗られる
- 「確定」ボタンを押して、指定された範囲の希望の色を確定する
という手順で行います。
2.関西ペイント株式会社 Re:pantのカラーシミュレーション
https://www.kansai.co.jp/repaint/
関西ペイント株式会社 Re:pantのカラーシミュレーションは、まず4種類のHOUSE TYPEから住宅の形を選び、
- 外壁
- 屋根
- 破風・軒天
- 玄関柱
の配色をする事で、外壁塗装後のイメージを作成できるカラーシミュレーションです。
配色に迷った時は、画面下にある「ジャンル別おすすめ配色」を選ぶことで
- 楽しくいきいきとしたカジュアル
- 落ち着いた安らぎのあるナチュラル
- 上質で建物に風格を感じさせるトラディショナル
- スタイリッシュでシンプルなモダン
- 都会的でエレガントなシック
など、あらかじめ配色の組み合わせが設定されたいくつかのジャンルから気になるジャンルを選択して、関西ペイントがおすすめする外壁や屋根の配色を見られます。
3.エスケー化研株式会社のカラーシミュレーション
https://www.sk-kaken.co.jp/simulation/
エスケー化研株式会社のカラーシミュレーションは、
- 戸建住宅5種類
- 集合住宅3種類
- 集合住宅の開放廊下1種類
- 工場1種類
の合計10種類から住宅の形を選んで、外壁や屋根に配色を行うことで、外壁塗装後のイメージを作成できるカラーシミュレーションです。
エスケー化研株式会社のカラーシミュレーションは他のカラーシミュレーションと比較して、選べる住宅の形が戸建住宅のみでなく
- 集合住宅
- 開放廊下(マンションなどの玄関が並んでいる廊下)
- 工場
なども選べる点が特徴です。
4.小林塗装のカラーシミュレーション
https://www.yuzu-tosou.com/simulator/
小林塗装のカラーシミュレーションは
- エレガント住宅2種類
- 洋風モダン住宅1種類
- 3階建て住宅1種類
- ALC住宅1種類
- モダン住宅3種類
- 和風住宅1種類
- 和モダン住宅1種類
- トラッドな住宅2種類
合計12種類の豊富な住宅種類の中から住宅の形を選び、外壁や屋根に配色を行い外壁塗装後のイメージができる診断です。
小林塗装のカラーシミュレーションは他のカラーシミュレーションと比較して、建物を真横から描いた図面が東西南北の方向から用意されており、様々な角度から外壁塗装後の住宅の色の確認ができるのが特徴です。
5.株式会社ガーデンプラスのさくら外壁塗装店のカラーシミュレーション
https://www.gaiheki-tosou.shop/index.php?action=public_static&path=colorsimulation.html
株式会社ガーデンプラスのさくら外壁塗装店のカラーシミュレーションは、
- 切妻造屋根の洋風建築の住宅※1
- 寄棟造屋根の洋風建築の住宅※2
- 陸屋根の洋風建築の住宅※3
- 切妻造屋根の和風建築の住宅
- 寄棟造屋根の和風建築の住宅
の合計5種類から住宅と屋根の形を選び、外壁や屋根に配色をすることで外壁塗装後のイメージを作成できます。
※1切妻造屋根→山形の形状の屋根
※2寄棟造屋根→4方向に傾斜する面をもつ屋根
※3陸屋根→屋根が傾斜の無い平面状の屋根
株式会社ガーデンプラスのさくら外壁塗装店のカラーシミュレーションは、切妻造屋根、寄棟造屋根、陸屋根と選べる屋根の種類が多い点が特徴的です。
また、洋風建築の住宅を選んだ場合、1階と2階の外壁をそれぞれ配色することでツートンカラーのカラーシミュレーションができます。
6.ホームテック株式会社のカラーシミュレーション
https://www.hometec-inc.com/13046-2/
ホームテック株式会社のカラーシミュレーションでは、
- 外壁を塗装する色を1色だけ選ぶ洋風建築の住宅
- 外壁を塗装する色を2色選ぶ洋風建築の住宅
- 2階部分の外壁の色を選ぶ洋風建築の住宅
- 陸屋根の洋風建築の住宅
- 切妻造屋根の和風建築の住宅
- 寄棟造屋根の和風建築の住宅
の合計6種類から住宅様式や屋根の形を選び、外壁や屋根に配色をすることで外壁塗装後のイメージを作成できます。
ホームテック株式会社のカラーシミュレーションは、住宅のイラストではなく、住宅の写真が使用されているため、イラストのカラーシミュレーションよりも外壁塗装後のイメージをしやすい点が特徴です。
洋風建築の住宅を選んだ場合、1階と2階の外壁をそれぞれ配色してツートンカラーのカラーシミュレーションをすることができます。
7.グッドホーム株式会社のカラーシミュレーション
http://www.goodhome-web.com/colorsimulation.php
グッドホーム株式会社のカラーシミュレーションでは、
- 外壁を塗装する色を2色選べる洋風建築の住宅が3種類
- 外壁を塗装する色を2色選べる和風建築の住宅が3種類
の合計6種類から外壁塗装後のイメージを作成できます。
グッドホーム株式会社のカラーシミュレーションは、用意されている住宅が全て2階建てであり、1階と2階の外壁をそれぞれ配色してツートンカラーのイメージを作成できる点が特徴です。
■さいごに
カラーシミュレーションは事前に外壁塗装完了後の住宅をイメージするのに便利な手段ですが、カラーシミュレーションのみで外壁の色を決定してしまうと思い描いていたイメージと異なる可能性があります。
カラーシミュレーションで表示される色はあくまでもイメージや雰囲気をつかむものと考え、塗装業者と相談して慎重に最終的な外壁や屋根に塗る塗料の色を決定しましょう。