外壁の劣化状態と種類を知って外壁塗装の効果を高めよう

外壁塗装を成功させるためには、外壁の劣化具合を見極めて外壁材の種類に適した塗料や工法を選ぶことがポイントで、劣化がひどくなるほど施工価格も高くなり工期も延びますので、手遅れになる前に早めに塗り替えを済ませなくてはなりません。

 

お住まいの外壁や屋根に現在起きている劣化や、将来的に起こる可能性のある劣化の種類を知って、ご自宅の外壁塗装にどのくらいの補修費用がかかるか予測しましょう。

■外壁で起きている劣化は3パターン

外壁で起こる劣化には様々なものがありますが、

  • 外壁表面に汚れが付着している状態
  • 塗装が劣化している状態
  • 建物自体が劣化している状態

の3パターンに分けて考えることができます。

劣化がどこで起きているかで使用する道具や処理方法は異なりますので、原因と症状を基礎知識として知っておきましょう。

1.外壁表面に付着した汚れによる劣化

外壁や屋根の表面に付着したほこりや土、カビやコケ、藻などの汚れは、付着してすぐの状態であれば劣化とまでは行かず、特殊な洗剤を使わなくてもホースの水洗いだけでほとんど除去できます。

しかし、付着した汚れを何年間も水洗いせず放置してしまうと、簡単なホースの水洗いや威力の弱い洗剤では落とせないほど、外壁表面や目地、隙間などに強力にこびりつき、様々な劣化を引き起こしてしまいます。

●ほこり、土、排気ガス

大気中に含まれるほこりや土は、風に乗って外壁表面に徐々に蓄積されていきますし、車の交通量が多い大きな道路の近くに建っている家や、高速道路付近の家などは、近くを通る車から出た排気ガスによって外壁や屋根が汚れてしまいます。

 

これらの汚れは外壁材や屋根材をすぐに傷めるものではありませんが、雨が降ると筋状の汚れを作り家の見た目を大きく落としてしまいます。

●カビ、コケ

以前に田んぼや沼地だった場所を埋め立てて作られたような、水捌けが悪い土地に建てられた家や、お風呂の近くや換気口付近の外壁などは、湿気が溜まりやすいため、カビやコケなどの湿気を好む微生物が繁殖しやすくなっています。

なお、同じ湿気を好む微生物でも、カビは日当たりが悪く薄暗い位置にある外壁などで繁殖し、コケは比較的日当たりの良い位置で繁殖する傾向があります。

カビやコケが生えた外壁や屋根は、表面が黒または濃い緑色で覆われ、建てたばかりの新築の住宅でも何十年も経って老朽化したような見た目になってしまいますし、湿気を好む微生物が繁殖する外壁や屋根は、塗膜の防水性が低下している可能性もあります。

 

先述の通り、付着してすぐであれば自分たちで簡単な水洗いをして繁殖を防ぐこともできますが、長期間放置し続けると外壁材や屋根材の内部に根を張ってしまい、水洗い程度では落とせなくなってしまいます。

 

威力の強い洗剤や硬いスポンジで磨くと外壁や屋根材まで傷つけてしまう恐れがあるため、カビやコケなどの除去はプロの業者に依頼することをおすすめします。

外壁塗装で行われる高圧洗浄作業の詳細に関しては、「高圧洗浄で知らないと損な作業時間、圧力、単価、水道代の話」のページもご覧ください。

2.塗装が劣化している状態

表面の汚れや外壁・屋根本体だけではなく、塗料自体も劣化しますし、塗料が劣化してしまうと、塗装の大切な役割である「建物の保護機能」が失われて外壁材そのものが劣化してしまい、塗替えをしても耐久性を元に戻せなくなってしまいますので、塗膜に劣化が起きている段階で早めに新しい塗料で塗り替えておきましょう。

●剥がれ、浮き

塗料は外壁や屋根の表面に塗膜を形成して、紫外線や雨風などの外的刺激から本体を守ってくれる外壁や屋根のコーティングのような存在ですが、外壁や屋根の下地と塗料が何らかの原因で密着力が落ちると、剥がれや浮き(剥離現象)が生じぼろぼろと破れたような見た目になってしまい、家本体を守ることができない状態になります。

 

剥がれや浮きは塗料そのものの経年劣化によって起こることもあれば、建物に何らかの異変が生じて起きることもありますし、

  • 塗装中に下塗りを行わなかった
  • 塗装前に高圧洗浄や下地調整で外壁表面の異物を除去しなかった
  • 気温5℃以下・湿度80%以上などの塗料の使用ルールを守らなかった

などの手抜き工事が行われた場合は、塗装後すぐに塗膜剥離が起きる恐れもあるため、塗装工事の直後でも剥がれないとは限りません。

付着力を失って剥がれてしまった塗膜層は再利用できませんので、高圧洗浄機などで全て除去したうえで、もう一度新しい塗装で塗り直すことになり、最初に塗った塗料の施工費が無駄になってしまいます。

参考:外壁塗装が剥がれる原因と補修方法

●チョーキング現象

チョーキング現象とは、外壁や屋根の表面を手で触れたときにチョークのようなサラサラの粉が手に付着する状態のことで、「白亜化現象」とも呼ばれます。

粉の正体は塗料に含まれている「顔料(塗料の色を作る成分)」で、塗料が長年紫外線のダメージを浴び続けたことによって結合力を失うと、顔料が粉状になって塗膜表面に現れ始めるのです。

つまりチョーキング現象は塗料の保護機能や防水機能が失われているサインですので、塗り替えを検討すべき最も良いタイミングといえるでしょう。

参考:外壁塗装のチョーキング現象が起こる原因と対策

3.建物自体の劣化

劣化が建物や壁自体に起きて塗料でも保護できないほど劣化してしまったときは、外壁材の張り替えなど大規模な工事が必要になってしまいますので、建築材が家を守れなくなる前に、劣化の初期段階で塗替えを行って保護しておきましょう。

●サイディングボードの反り

窯業系サイディングボードは外壁内部への浸水や構造体内部に溜まった湿気が原因で、反ってしまうことがあり、サイディングボード自体が反ってしまうと、部材同士の継ぎ目に隙間が生じて雨水が浸水してしまいます。

 

反りが生じたサイディングは塗装や補修では元に戻すことはできませんので、新品と交換する大規模な改修工事を行わなければなりません。

●シーリングの劣化

窯業系サイディングボードは張り合わせて使用しますので、目地というつなぎ目の部分ができるため、この目地を塞いでおかなければ雨水がどんどん外壁内部に入ってきてしまいます。

サイディングボードの目地部分にはシーリング材(コーキング材)という樹脂性の防水材を注入しますが、シーリング材は紫外線に弱く耐久度は外壁材よりも低いため、約5年に1度は点検をして劣化した場合は交換しなければなりません。

 

紫外線や雨の影響でシーリング材自体が劣化するとひび割れが生じ、雨水が建物内部やサイディングボードに浸水しやすくなりますので、シーリングの打ち替えや増し打ちなどの防水工事が行われます。

参考:目地のコーキング材補修は専門業者が存在するほど難しい作業

●外壁材内部の湿気の発生

誤った気密化工事による結露や土壌に含まれる水分の蒸発などが原因で、建物内部に湿気が発生することがあり、この建物内部で発生した湿気は外壁下地材や構造部分の腐食の原因となったり、シロアリなどの害虫を呼び寄せたりして建物躯体の寿命を縮めてしまいかねません。

 

外壁内側の下地部分に防水シートを張ったり外壁工事をやり直したりして、湿気を滞留させないようにするリフォームが必要です。

●ひび割れ

モルタル壁には最後にスプレーガンで塗材を吹き付けて、リシン吹付仕上げやスタッコ仕上げなどの多彩な模様仕上げを作ることができるというメリットがありますが、サイディングボードに比べると非常にひび割れが起きやすいというデメリットがあります。

 

外壁で起きるひび割れには、割れ目が外壁表面の4㎜以内に留まっている小さな「ヘアークラック(ヘアクラック)」と、外壁の下地層まで割れが到達している「構造クラック」の2種類があります。

ヘアークラックは髪の毛のような非常に細いヒビ割れですので、微弾性フィラーという厚みのある下塗り材で塗るだけでほとんど埋めてしまうことができ、割れの再発を防ぎたい場合は、割れの原因となる外壁の動きに柔軟に動く「弾性塗料」を使った塗り替えが行われることもあります。

※弾性塗料の特徴や効果は「外壁の劣化症状をカバーできる機能性塗料を使う」で詳しく解説します。

一方、構造クラックは割れ目の深さが5㎜で幅も0.3㎜以上という、建物の防水性に関わる比較的深刻なひび割れで、放置しておくと割れから雨水が外壁内部に浸水してしまい、外壁下地や鉄筋コンクリートの鉄部の錆びを引き起こす恐れがあります。

構造クラックはヘア―クラックと違って上から塗装しただけでは補修できませんので、塗装前の下地調整の段階で、割れを埋めておかなければなりません。

補修の流れとしては、構造クラックが起きている部分を工具で削り、削った部分にプライマーを塗布して補修材が割れ目に密着するようにしておき、最後にエポキシ樹脂を注入して周りの外壁と模様を合わせて完了です。

建物に起きるクラックの危険性や補修方法について、さらに詳しく知りたい方は、「外壁塗装におけるクラック補修の重要性」のページもご覧ください。

 

またALCボード(軽量気泡コンクリートボード)でもクラックが起きますが、クラックから浸水した雨水がコンクリート内部にある鉄筋やボルトの錆びを引き起こすことがあり、錆びが拡がると錆びの体積で内部からコンクリートが押されて剥がれ落ち、「爆裂」という劣化を引き起こすことがあります。

参考:ALCパネルの外壁塗装工事について、塗装の時期と塗装材料

●サビ

家の外壁や屋根には金属や鉄でできた部材が使われていることがあり、外壁塗装では「鉄部」と呼ばれ、点検や補修が必要な箇所となっています。

建物に取り付けられている鉄部の例としては、屋根の桁側にある「鼻隠し」や、屋根の妻側にある「破風板」、雨樋といった付帯部と呼ばれる箇所や、鉄製の屋外階段やフェンス、手すり、雨戸やシャッター、ポスト、金属系サイディングボードやトタンなど非常に沢山あります。

鉄部は新品の状態であれば表面が塗装で保護されていますが、塗装の耐久性が低くなってくると、雨や塩害によって徐々にサビができやすくなって行きます。

 

サビが生じている鉄部をそのまま塗装しても、塗膜の内部で錆びは増殖し続けてせっかく塗った塗料まで剥がれてしまいますので、鉄部は塗装する前に「ケレン作業」が行われます。

ケレン作業とはブラシやヤスリでサビをしっかり落とす作業のことで、ケレン作業の後はサビ止め材を塗布してから塗装に進みます。

ケレン作業には第一種から第四種まで種類があり、サビの範囲や量が多いほど費用が高い種類のケレン作業を行わなければなりませんので、早めの点検で錆びが拡がる前に塗装しておき、外壁塗装のたびに必ず鉄部塗装も済ませておくことが大切です。

ケレン作業の種類や費用に関する詳細は「外壁塗装はケレン作業が命!ケレンの大切さや作業内容」をご覧ください。

 

またガルバリウム鋼板などの金属製サイディングボードは、施工中にサイディングボードを壁に合わせて切断することがあります。

断面が剥き出しになっていると、どんなに表面が強力なめっき層になっていても、断面が水に濡れて白サビが発生する危険性があり、塗装やケレン作業でも表面を保護できないほどサイディングが錆びで劣化してしまった場合は、サイディングボードそのものの張替え工事が必要になります。

ガルバリウム鋼板の特徴や価格、リフォーム方法については「ガルバリウム鋼板を屋根に使うメリット、デメリットを徹底解説」をご覧ください。

■より劣化に強い外壁を作るために

外壁や屋根の塗装は年数の経過とともにいずれ耐久年数を迎え、塗替えや補修工事が必要になりますが、汚れの付着や劣化が起きるたびに洗浄や再塗装を行うと、家の外装にかけるメンテナンスコストは膨大になってしまいます。

 

塗装の手間と維持費用を減らすためには、その建物の立地や環境に最も適した工法で初期症状のうちに補修することが大切です。

1.外壁の劣化症状をカバーできる機能性塗料を使う

外壁塗装用の塗料の中には、日差しの熱をカットする遮熱性や、汚れが外壁に付着しにくくなる防汚性、カビが繁殖しにくい防カビ性など、特別な機能を持った機能性塗料と言われる種類があります。

家の立地や劣化の種類に対して最も関係性が高い機能性塗料を選ぶことができれば家の耐久性はより長く保たれるでしょう。

●断熱塗料

断熱塗料で外壁や屋根をコーティングしておくと、断熱効果によって冬場は室内で温めた空気が屋外に逃げにくくなるため、暖房が効きやすくなって光熱費も抑えられるなどの効果が期待できます。

参考:外壁塗装での断熱は誇張表現が多いので騙されないように注意

●弾性塗料

弾性とはゴムのように伸縮する性質のことで、弾性塗料で施工すると弾性を持った塗膜を作ることができます。

弾性を持つ塗膜は建物が揺れても塗膜そのものが揺れの動きに追従して伸縮するため、塗膜表面やひび割れが起きやすいモルタル面のクラックを防ぎます。

 

お住まいの外壁が、ひび割れが起きやすいモルタル外壁であれば、伸縮性が高い弾性塗料で表面を塗装しておくと、外壁の動きに塗膜が追従してひび割れが起きにくくなり、もし割れても塗膜が伸びて雨水をシャットアウトするため、防水効果も外壁に付与できます。

参考:ゴムの性質でクラックを防止する複層、単層、微弾性塗料とは

●光触媒塗料

光触媒塗料とは、紫外線に反応して汚れを分解する機能を持つ塗料で、排気ガスが多い立地であれば、外壁に光触媒塗料を塗っておくと塗料が紫外線に反応して外壁表面の汚れを分解し、汚れを浮き上がらせて雨水で流れ落ちやすい状態を作ります。

汚れが目立ちにくくなるだけでなく、外壁を水洗いする手間も省けて、見た目も長持ちさせられるでしょう。

参考:光触媒塗料の価格相場、メリット・デメリット

2.塗替えサイクルを意識して塗料を選ぶ

外壁・屋根を長持ちさせて汚れにくく綺麗な家にするためには、外装材の表面を守っている塗料が劣化してしまう前に、劣化を発見して新しい塗料で再塗装する必要があります。

参考:外壁塗装をする時期には3つの考え方がある

 

ご自宅の外壁や屋根に塗られている塗料がいつ劣化するかは、前回の塗替えで使用した塗料のグレードから予測できます。

外壁・屋根の塗装に使われる塗料のグレードと、それぞれのグレード別の耐用年数を知って、次の塗替えのタイミングを予測できるようになっておきましょう。

●塗料を選ぶときは価格よりも耐久性を重視しよう

最もグレードが低いアクリル樹脂塗料は施工費用も非常に安価ですので、アクリル塗料で塗装すれば工事費用を節約できるように思ってしまいますが、アクリル塗料の耐用年数は約5~8年と最も短く、塗膜の耐久性も非常に弱いため、塗装してもすぐに次の塗替えを行わなければならず、塗膜の耐久性も低いためひび割れやカビ、色あせなどの劣化が次々に起こりかねません。

 

一方シリコン系塗料・ラジカル系塗料・フッ素系塗料という上位3つのグレードで塗装すると、塗料代が高いため施工費用は高額になってしまいますが、上位グレードの塗料は耐久性も非常に高いため、約10年以上は塗膜が防水性や耐候性(紫外線や雨などに耐える力のこと)、防汚性などを発揮して、劣化に強く長持ちする外壁となるでしょう。

約10年間に必要な塗装回数で比較してみると、耐用年数が約5~8年のアクリル系塗料は2回分の塗装費用が必要になり、耐用年数が10年以上持つシリコン・ラジカル・フッ素樹脂塗料であれば、1回の塗装費用のみで済みます。

また外壁塗装工事には足場設置工事や下地処理作業、高圧洗浄作業など、塗装以外の作業費用が塗装のたびに発生しますので、外壁塗装工事を行う回数が少ないほどリフォーム費用を節約することができます。

 

もし、「20年近く持つフッ素塗料を選びたいけれど、塗装費用が高額で選べない」というときは、最低でも10年間は塗替えずに済むシリコン塗料を選んでおくと、塗装から10年間は小さなひび割れやサビといった劣化の補修のみで建物の耐久性を長持ちさせられるでしょう。

■おわりに

外壁や屋根に起きている劣化は、すぐにリフォームが必要ではないものもあれば早急に塗替えや外装工事が必要な緊急性の高いものまで様々です。

建物の立地や、外壁・屋根材の種類ごとに生じやすい劣化の種類を知って、進行度に応じた塗料を選ぶなどして対処法を考えておきましょう。

 

注意点として、外壁や屋根の劣化は見た目ではわからないものもあるため、劣化に気づかずリフォームのタイミングを逃す可能性があります。

「前回の塗替えから10年近く経ったかな」と感じたら専門の業者に相談して、リフォームが必要な劣化があるかしっかり調べてもらいましょう。

 

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