外壁塗装リフォームに珪藻土を使うメリット・デメリット

天然素材を使った家づくりが見直されている昨今、珪藻土の効果に注目が集まっています。

 

珪藻土は、素材の特徴が快適な住空間作りにそのまま繋がる素晴らしい素材ですが、どのような素材も、メリットの裏にはデメリットが存在するものです。

「せっかく天然素材の珪藻土を使ったのに、残念なリフォームになってしまった」という結果にならないように、珪藻土のメリット・デメリットと、外壁塗装に使用するときの注意点を知っておきましょう。

■外壁材の一種・珪藻土とは

自然から採れる珪藻土は、建築物や内装材など、身の回りのあらゆる物に、大昔から利用されてきました。

1.珪藻から作られた天然素材

珪藻土の正体は、植物性プランクトンの死骸「珪藻」です。

死骸と聞くとなんとなく抵抗を感じてしまうかもしれませんが、珪藻土の成分は、植物性プランクトンの死骸が化石となり、水中で堆積して泥土になったものです。

2.人類に馴染み深い内外装材

珪藻土は、大昔から建築物や生活用品に使われてきた素材で、現在でも建物を仕上げる素材として使われ続けています。

 

サイディングボードや金属、ビニールクロスなど、様々な内外装仕上げ材の種類が登場してもなお、珪藻土が人気を集めている理由は、化学成分が少ない天然素材である点が大きいと言えるでしょう。

さらに、後述しますが、珪藻土には調湿作用や脱臭作用、カビ抑止作用といったクリーンな効果があるため、コースターやバスマットといった水回りアイテムにも、珪藻土を使ったものが登場し、注目を集めています。

■珪藻土のメリット・デメリット

良い面だけを見るのではなく、悪い面も知ることによって、長所をさらに伸ばすことができます。

珪藻土のメリットとデメリット両方を把握することができれば、リフォーム工事の際に、より適切な使い方が見いだせるようになるでしょう。

1.珪藻土のメリット

「珪藻土は自然素材」と聞くと、つい「なんとなくエコでクリーンな良い素材」と思って安心してしまいますが、珪藻土は何といっても、住空間に使ったときのメリットが非常に多い素材です。

●調湿作用を持つ

珪藻土は、無数の小さな穴を多くもつ多孔質素材です。

珪藻土の周りで湿気が多く発生しているときは、穴の中に水分を取り込み、反対に空気が少ないときは、内部の水分を吐き出して湿度を調整しようとします。

このはたらきを、調湿作用(調湿性能)と呼び、同じ天然素材の代表格・木材にも同様の効果があります。

 

なお、伝統的な塗り壁仕上げ材の一種・漆喰にも調湿作用はありますが、珪藻土ほどではなく微々たるものですので、期待しすぎないように注意が必要です。

●脱臭作用をもつ

珪藻土の穴は、空気中の臭いや二酸化炭素、有害成分なども吸収してくれますので、脱臭作用だけでなく、カビの発生も抑止することができます。

そのため、ペットを室内飼いしているご家庭で、内装に珪藻土を使うと臭いが少なくなり、小さいお子様や身体が弱い人が家族にいれば、アレルギーのリスクも軽減することができるでしょう。

●吸音効果を持つ

音は、物質に吸収されて威力が弱まり、反響しにくくなります。

このように音の反響を抑止する効果のことを、「吸音」と呼びます。

音を吸音する素材としては、発泡スチロールやウレタンスポンジなどがありますが、これらの素材が吸音できるのは、本体にたくさんの穴を持つためです。

つまり、多孔質な珪藻土も、吸音材としての特徴を持っていますので、内外装の仕上げ材に珪藻土を使うことで、防音効果ももたらすことができます。

●耐火性が高い

珪藻土は、燃えにくい素材としても親しまれてきました。

1,250℃までであれば、高温に晒されても溶けずに残り続けるため、れんがや七輪など、耐火性が必要な物を作る材料としても使われています。

 

また、素材自体が天然成分ですので、プラスチック系素材のように、火事で燃焼しても、ダイオキシンなどの有害成分を発しません。

2.珪藻土のデメリット

●化学成分を含む商品もある

採れたばかりの珪藻土は、ポロポロの土のような状態ですので、結合力はありません。

そのため、そのままの状態では壁に接着させることができませんので、接着剤となる物質で固めて糊のようにすることで、塗料として扱えるようになります。

しかし、この接着剤に樹脂などの化学成分が含まれていると、せっかく天然素材の珪藻土を使う意味がなくなってしまいます。

つまり、珪藻土と呼ばれる商品だからといって、絶対に安全とは限らないのです。

 

満足のいくリフォームにするためにも、業者から見積もりを提示されたときは、使用する珪藻土のメーカー名や製品名まで記載されていることを確認し、ご自身で、商品の原材料名までよく調べておきましょう。

●衝撃に弱い

珪藻土は衝撃に弱い素材ですので、施工に問題がなくても、強い力が加わると、傷や凹みができてしまいます。

また、強い力で表面をこするとボロボロと剥がれてしまいますので、小さいお子様がいるご家庭では、内装に使うときに注意が必要です。

 

さらに、接着剤の効果が弱まるにつれ、剥がれた珪藻土が粉のように周囲に落ち、衣服や手が触れたときに、付着してしまうようになります。

この点は、どんな珪藻土を使っても避けられないデメリットですので、使用する前に把握しておかなくてはなりません。

■外壁を珪藻土で仕上げる前に知っておくべきこと

珪藻土は、外壁仕上げ材にも使える素材ですが、デメリット面を把握しておかなければ、せっかくの外壁塗装が、納得いかない仕上がりになってしまう恐れがあります。

 

デメリット面も把握したうえで、かつ、外壁塗装業者から珪藻土使用時の注意点についてアドバイスをしっかりもらい、それでも、他の外壁材よりも珪藻土が適していると判断できた状態で、使用を決めることをおすすめします。

1.塗料の剥がれ落ちに注意

先述の通り、珪藻土は衝撃に弱い素材です。

また、外壁は家屋の中でも、特に傷つきやすい箇所です。

しかし、珪藻土の外壁に、上から保護用に有機系塗料などを塗ってしまうと、珪藻土独自の趣ある質感はなくなり、様々なメリットをもたらす穴も有機系塗膜で埋まってしまい、調湿作用や消臭作用が失われてしまいます。

 

外壁を珪藻土で仕上げるときは、植樹や物干し竿、門扉やフェンスなどのエクステリアアイテムが、できるだけ外壁の周りに物が当たらないように配置するとよいでしょう。

また、強い風や激しい雨を伴う台風接近時は、外壁のまわりに置いた私物を必ず片付けるなどして対策しておきしましょう。

●湿気が多すぎる箇所は耐久性が低くなる

珪藻土は調湿作用を持つ素材ですが、多すぎる湿度があると、体内に水分を溜め込みきれなくなり、結露が生じたり、珪藻土の成分である接着材が劣化したりすることがあります。

こうなると、抑えきれない結露がカビを繁殖させてしまい、珪藻土自体も急速に剥がれが進行してしまいます。

 

珪藻土のメリットである調湿作用を活かすためにも、自然発生結露が生じるような多湿な場所への施工は避け、通気性を確保した施工方法を提案してくれる業者に依頼しましょう。

2.熟練の職人に施工を頼むこと

珪藻土の外壁は、表面を自由な模様でアレンジできるという楽しみがあります。

ただ単に均一に塗るだけでも、不規則な凹凸が味わいのある意匠性をもたらしますが、コテやハケを使って、曲線や伝統模様などを加えれば、この世でひとつだけの外観デザインを手に入れることができるでしょう。

 

しかし、納得のいくデザインになるかどうかは、職人の技術にかかっているため、100%希望通りの模様にならない可能性もあることを理解しておかなければなりません。

●珪藻土の施工に優れた職人を見つける方法

そうは言っても、せっかく外壁塗装を依頼するのであれば、失敗しない熟練の職人に頼みたいものです。

しかし、職人の技能が優れているかどうかは、営業担当者と会って話しただけでは、永遠に知ることはできません。

 

職人の技術力を確かめる最もよい方法は、その会社が過去に、珪藻土で施工した事例の写真を見せてもらうことです。

理想の施工事例を見つけたら、同じ職人に、自分たちの家の施工も依頼できるか、リフォーム会社の営業担当者に確認しておきましょう。

■おわりに

天然素材として注目されている珪藻土は、調湿作用や消臭作用など、人体にとってよい効果をもたらす、優れた建材でもあります。

また、職人が手作用で塗って仕上げるため、既製品のパネルでは表せない、味わいのあるテクスチャーも手に入れることができます。

 

しかし、天然素材という点ばかりに注目し過ぎると、衝撃に弱いというデメリットや、商品に含まれている化学成分を見落としてしまう恐れがあります。

より天然に近い成分で作られた珪藻土を使って、熟練の技術で塗装してもらえるように、信頼できる優良業者を見つけていきましょう。

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