家の見た目を大きく印象付ける、外壁や屋根の色は特にこだわりたい所です。
外壁・屋根材として人気のガルバリウム鋼板にも、豊富なカラーやデザインが用意されていますが、外装材にガルバリウム鋼板を選ぶときは、表面の色と、素材の光沢感をいかにマッチさせるかが鍵となっています。
ガルバリウム鋼板で選べる色の種類を知って、作りたい外観イメージに近づけましょう。
目次
■ガルバリウム鋼板は色の種類も豊富
「金属系」と聞くと、ついメタリックな色ばかりを想像してしまいがちですが、ガルバリウム鋼板は、カラー展開も豊富な外装材です。
窯業系や無機系など、他の外装材に比べると金属の光沢感が強調されてしまう点は否めませんが、選んだ色次第で、様々な外観を手に入れることができるでしょう。
1.ガルバリウム鋼板は色と模様の組み合わせが楽しめる
一部商品の中には、数色しか色がないものや、オーソドックスなストライプ柄しか選べないものもありますが、レンガやタイル風の模様が掘られたものや、モルタル壁のスタッコ仕上げ風の、ざらざらした表面処理が施されたものもあります。
これらの様々な模様と、選べるカラーを組み合わせることで、何通りもの外観デザインを生み出すことが可能です。
2.まずは全体のイメージを確定させよう
外観デザインを成功させるために大切なのは、好きな色や模様のガルバリウム鋼板を先に選んでしまうことではありません。
何よりもまず大切なことは、作りたい外観イメージをしっかり決めておくことです。
ガルバリウム鋼板のサンプルを見ただけで外装材を決めてしまうと、外壁や屋根全体に張り終わった後に、理想のイメージと大きく異なってしまう恐れがあります。
「ダークブラウンの落ち着いた色味のガルバリウム鋼板を選んだはずが、縦葺きのストライプ模様を選択したためシャープな印象が強くなってしまった」
「ネイビーのシャープなガルバリウム鋼板を選んだのに、ネイビーが光に当たると爽やかな青になってしまい、かわいらしい印象の外観になってしまった」
など、施工後にイメージが違うことに気づいても、変更のしようがありません。
使いたいガルバリウム鋼板の色が、仕上げたい外観のイメージにふさわしいかよく検討し、状況に応じて別の外装材に変更する慎重さも、リフォームにおいては重要です。
■カラーが豊富なガルバリウム鋼板商品の例
ガルバリウム鋼板は沢山のメーカーから販売されており、保証内容や施工方法、断熱機能、熱伝導率なども、メーカーによって違いがあります。
好みの色のガルバリウム鋼板を見つけたら、保証や性能面についても、しっかり調べたうえで購入しましょう。
1.旭トステム
旭トステムの『金属Danサイディング』シリーズは、定番のストライプ模様だけでなく、レンガ風、タイル風、木目風など、表面仕上げの種類が豊富な金属系サイディングです。
それぞれのシリーズ内のカラー展開も充実しており、色と表面仕上げの組み合わせを心行くまで検討することができるでしょう。
●シリーズごとの色展開が充実
画像引用:http://www.asahitostem.co.jp/product/dan/lineup/index.php?serid=16
画像引用: http://www.asahitostem.co.jp/product/dan/lineup/list.php?id=148&serid=16
金属Danサイディングには、表面仕上げの特徴が異なる6種類のシリーズが用意されており、それぞれのシリーズ内で、耐久性や保証内容ごとに商品グレードが分かれています。
上記の画像は、「スチール深絞り」シリーズの「ソリッドボーダーSF」の画像です。
大理石調の表面仕上げが、ニュアンスが異なる4色から選択できるようになっています。
表面仕上げのイメージを決めたあと、わずかな色の違いもこだわって選ぶことができますので、ある程度外観イメージが決まっている方におすすめのガルバリウム鋼板です。
2.アイジー工業
アイジー工業には、外壁・屋根ともに使用できる意匠性に優れたガルバリウム鋼板が販売されています。
●外壁材『アイジーサイディング』
アイジーサイディングには、定番のストライプ模様があしらわれた「シンプルモダンシリーズ」と、レンガや大理石風の模様で仕上げられた「ナチュラルシリーズ」、スタッコ仕上げ風のリーズナブルな「ベーシックシリーズ」の3種類があります。
商品ごとに約3~4色のカラーを選択できますが、「SF-ガルスパン」など、8~12色が用意されている商品もありますので、「希望の色が選べるガルバリウム鋼板が見つからない」という方にぴったりの商品です。
●金属屋根材『アイジールーフ』
アイジールーフには、フッ素樹脂で塗装された「スーパーガルテクトフッ素」と、ちぢみ塗装が施された「スーパーガルテクト」「スーパーガルテクトC」の3種類があります。
カラー展開は外壁材よりも少なくなっていますが、あえてシワを作って微妙な質感を持たせる金属専用の塗装・ちぢみ塗装(結晶塗装)が施された「スーパーガルテクト」「スーパーガルテクトC」は、屋根に重厚感をもたらします。
3.ニチハ
ニチハの金属製外壁材「センターサイディング」は、表面仕上げの種類とカラー展開ごとに、6種類の商品がラインナップされています。
画像引用: https://www.nichiha.co.jp/wallsearch/pattern/ids:424
画像は、プレミアムシリーズの商品のひとつ「NS型ネオスパンプレミアム」のカラーラインナップです。
ガルバリウム鋼板商品の中では少ないワインレッドやイエローオーカーの他、人気のネイビーブルーやメタリックシルバーも用意されています。
また、メタリック塗装だけでなく、艶を抑えたマット塗装も選択できますので、日当たりの強い立地や光沢をあまり強調したくないときなど、希望するイメージに柔軟に対応できる商品となっています。
■ガルバリウム鋼板の色を上手く引き出すコツ
各メーカーからは、豊富なカラーのガルバリウム鋼板が販売されていますが、ただ外壁や屋根に張り付けただけでは、その色味や表面仕上げを活かしきれない恐れがあります。
お住まいの外観を仕上げる外装材として、ガルバリウム鋼板が相応しいかどうか見極めるためには、以下の2つのコツを押さえておきましょう。
1.ガルバリウム鋼板と相性のいいシルエットがある
ガルバリウム鋼板の特徴は、なんといっても、表面の美しい光沢です
片流れ屋根や陸屋根の家など、建物全体のシルエットが四角に近い建物であれば、ガルバリウム鋼板の光沢がよりスタイリッシュさを増す要素になるでしょう。
一方、金属の光沢感が、家の外観イメージを邪魔してしまうことも考えられます。
「屋根も外壁もガルバリウム鋼板に張替えたら、金属でつぎはぎされたトタンのガレージのような見た目になってしまった」という失敗例もあります。
●家のシルエットとガルバリウム鋼板の相性を調べる方法
ガルバリウム鋼板とご自宅の相性を調べる最もよい方法は、自宅のシルエットに似た建物で、ガルバリウム鋼板を使って外装を仕上げた状態を確認することです。
しかし、近隣の建物をひとつずつ見て探すのは効率が悪く、ガルバリウム鋼板かどうか見極められない可能性があります。
このようなときは、外装リフォームの専門業者などで、ガルバリウム鋼板を使って施工された事例の写真を見せてもらうとよいでしょう。
参考にする写真の数が絞られますので、ご自宅のシルエットに近い施工例を、効率よく見つけることができます。
リフォームショップによっては、外装リフォームよりも内装リフォームを得意とするためガルバリウム鋼板の施工例が少ないこともありますので、相談する前に、業者のホームぺージなどで工事傾向を調べておくこともおすすめします。
2.日当たり具合を調べる
日当たりがよすぎると、ガルバリウム鋼板が太陽光を反射して、色が見えづらくなることがあります。
そのため、ブラックの重厚感のあるガルバリウム鋼板で仕上げたはずが、ぎらついて色がよく見えず、重厚感よりも派手な印象になってしまったということもあり得ます。
また、あまりにも太陽光を反射し過ぎると、隣近所に迷惑がかかってしまう恐れもあります。
近年のガルバリウム鋼板は、ぎらつきを抑えた塗装を使用したものや、マットタイプを選択できるもの(ニチハのセンターサイディングなど)もありますので、施工業者に相談して、反射率が低い商品を調べてもらいましょう。
■ガルバリウム鋼板を塗り替えるときの注意点
ガルバリウム鋼板といえども、雨や紫外線で耐久性が落ちてしまいますので、10年に1度は、メンテナンスのために再塗装が行われることもあります。
ただし、ガルバリウム鋼板は塗装に技術を要する外装材ですので、塗替えを行うときは、確かな技術を持つ優良業者に依頼するよう注意しましょう。
1.防錆処理は必ず行う
塗装が必要な時期に差し掛かったガルバリウム鋼板は、サビが発生している可能性も高くなります。
外壁塗装では、塗装の前に「下地処理」という作業が行われ、この工程で、外壁表面のひび割れや傷、サビなどを必ず補修・除去しておきます。
もしこれらの劣化を残したまま塗装でカバーしても、劣化箇所から塗料が傷んでしまうためです。
そして、金属系外装材であるガルバリウム鋼板は、ひとつのサビが外壁・屋根全体の耐久性を低下させる恐れがあるため、下地処理の際に、徹底して防錆処理を済ませておかなければなりません。
2.最適な塗料を使って下塗りを必ず行う
ガルバリウム鋼板は、塗料をはじきやすい外装材です。
そのため、せっかく塗替えをしても、塗料がすぐに剥がれてしまい、カラーチェンジどころか外壁材の保護効果も得られないという事態になりかねません。
●塗料を密着させるために欠かせない工程がある
塗料が弾かれないようにするためには、塗装前に高圧洗浄などの下地処理をしっかり行い、下塗りで、ガルバリウム鋼板と相性のよい下地材を選ぶことが大切です。
外壁塗装では、下塗り・中塗り・上塗りという、合計3回の重ね塗りが行われます。
この下塗りは、上から塗る中塗りと上塗りの塗料が、外壁にしっかり密着するための、接着剤としての役割があります。
ガルバリウム鋼板の下塗りでは、フィラーやプライマーと呼ばれる下塗り材が使われますので、塗替えの際は、見積もりの中に上記の塗料名が記載されていることを必ず確認しておきましょう。
なお、悪徳業者などは、外装材に適さない下塗り材を使ったり、下塗りそのものを省いたりすることがありますので、施工業者選びは慎重に行いましょう。
3.表面仕上げが塗料で潰れることがある
ガルバリウム鋼板の表面の模様は、金属を加工して、表面に凹凸を付けたものです。
商品の中には、この凹凸が浅いものもあり、塗装をすると溝の中に塗料が入り込んでしまい、凹凸が埋まって表面仕上げが無くなってしまうことがあります。
このような、表面仕上げが塗料で埋まってしまう外装材の塗装では、無色のクリヤー塗料による保護塗装が行われます。
しかし、先述した通りガルバリウム鋼板は塗料を弾きやすい塗料で、なおかつ、クリヤー塗料は下塗り材を使わず、中塗り・上塗り塗料の力だけで外壁に密着させなければなりません。
そのため、密着力の強い、フッ素樹脂系のクリヤー塗料を使って塗装する必要がありますが、密着力が高い塗料は、施工価格も割高になってしまいます。
表面の意匠性を優先するか、リフォームの予算を優先するか、塗替えリフォームの前に施工業者とよく打ち合わせましょう。
■おわりに
ガルバリウム鋼板には豊富なカラーが用意されており、表面仕上げのタイプと組み合わせることで、外観をモダンでスタイリッシュなデザインにすることができます。
しかし、好みの色というだけで外装材を選んでしまうと、外観のイメージと大きくかけ離れてしまったり、塗替えリフォームの時に思わぬ予算が発生したりすることも考えられます。
施工前に、ご自身の家とガルバリウム鋼板の相性をしっかり見極め、数年後に必ず発生する外壁メンテナンスの際に、どのような作業が発生するか知っておきましょう。