新築から10年以上経てば、さまざまなリフォーム工事が必要になり始めますが、建物を雨や太陽光から守るためにも、外壁の塗装は特に優先して行った方がよいです。
しかし、約80~100万円にもなる高額な外壁塗装費用を一括で支払うとなれば、生活費にも大きな負担が加わるため、外壁塗装工事の資金を準備できずいつかやろうと考えて後回しにしてしまう方も多いでしょう。
この記事では、外壁塗装工事を行いたいけど高額な工事費用を用意できないという方に向けて、外壁塗装工事でも利用できる「リフォームローン」について、住宅ローンとの違いや申し込むための条件などを解説します。
目次
■ローンを活用して建物を早めにメンテナンスしよう
約40㎡の戸建て住宅では、外壁塗装工事に約80万円~100万円という高額な費用がかかり、屋根も併せて塗装すればさらに30万円必要になり、雨樋やカーポートの交換などが加わればさらに工事費用は膨らんでしまいますが、費用を準備できないことを理由に適切なメンテナンス時期を逃してしまうと、建物がどんどん傷んでしまいます。
例えば、外壁の塗膜が剥がれて外壁材がむき出しになってしまったり、塗料の耐久性が無くなって顔料が粉となって表れる「チョーキング現象」を起こしたりしている塗装では、外壁や屋根を保護できず建物の傷みが進行してしまうでしょう。
また、サイディングボードや窓サッシ周りの目地に充填されているシーリング剤(コーキング剤)は、本体にひびが入ったり縮んだりすると雨水が隙間から浸水するようになるため、新しい部材に打ち替えて補修しなければ、家の基礎や骨組みそのものが長期間雨水に晒されることになり、建物躯体の劣化や室内への雨漏りに繋がってしまいます。
劣化したタイミングで、塗替えやシーリング補修、屋根の高い位置の点検や防水工事を行いたいが費用が用意できないという場合は、リフォームにも使えるローンを検討しましょう。
リフォームローンを利用すれば、高額な工事費用を分割で支払うことができ家計にも優しく、大事な住まいのメンテナンスを、適切なタイミングで行うことができます。
■外壁塗装の工事費用の支払い方法は?
外壁塗装は大きな工事費用がかかるため、「そもそも支払いはいつ発生するの?」「現金以外の支払い方法はないの?」などの点が気になる方も多いかと思いますので、まずは外壁塗装工事を施工業者に支払うタイミングや、工事費用の支払い方法にどのような種類があるか確認しておきましょう。
1.外壁塗装費用を施工業者に支払うタイミング
外壁塗装工事費用を支払うタイミングは施工した業者によって違い、
- 工事がすべて終わった後に全額を一括で支払う
- 契約時に手付金として一部を支払い、工事が完了した後に残金を支払う
- 契約時、工事中、工事完了後の3回のタイミングに分けて3分の1ずつ代金を支払う
などがありますが、工事完了した後に全額支払いを求めるのが一般的です。
●工事をしてもいないのに全額を前金で支払うのはNG
まだ工事が終わってもいないのに、契約を結んだと同時に工事費用を全額前払いする支払い方法は、悪徳業者が詐欺を行う際によく使う手口ですので、全額を前払いするようお願いされても絶対に応じてはいけません(いかなる理由でもだめです)。
半額でも1/3でも全額でも、持ち逃げされるリスクを考えると、工事前に支払う形は避け、工事がすべて完了した後に支払うのが、最も安心できる方法です。
契約前に悪質な業者かどうかを見抜けなければ、全額前払いを強制されたり、契約にない追加料金を突然請求されたりしてトラブルに繋がる恐れがあります。
外壁塗装などの大きなお金の支払いは、支払うタイミングをきちんと把握した上で契約に進みたいものですが、外壁塗装を初めて行う人にとっては契約金を支払うタイミング以前に、どんな工事業者を選んでよいかさえわからず不安になってしまうものです。
外壁塗装駆け込み寺では、ローン対応可能な業者はもちろん、外壁塗装が初めての方にも支払いの流れをわかりやすく説明してくれる業者をご紹介していますので、お気軽にご利用ください。
2.外壁塗装工事費用の支払い方法
外壁塗装工事の費用の支払い方法には、
- 現金
- 銀行口座に振り込み
- クレジットカード支払い
- リフォームローン
などがありますが、本ページではリフォームローンに絞って解説します。
まとまった資金がないけれど、外壁塗装などの住宅リフォームを済ませておきたいという方におススメの方法が、リフォームローンです。
リフォームローンは10年などの長期間で少しずつ返済できるため、数十万円のリフォーム費用を30回、60回、120回などに分けて毎月数万円ずつ支払うのみでよく、月々の家計への負担は一括で支払った時よりも非常に少なくなります。
ただし、リフォームローンを利用するためには工事契約前に金融機関の審査に通過することが前提となっており、もし審査に落ちてしまうとリフォームローンは利用できず、リフォームローン以外の支払い方法を選ばなければなりません。
また、過去に住宅ローンを使ってマイホームを購入した時の返済がまだ残っている場合は、住宅ローンとリフォームローンを毎月同時に返済することになるため、月々の支払いが増えて生活に負担がかかる恐れがあります。
そして10年以上の長いローンを組んでしまうと、前回の塗替え費用の支払いが終わっていないタイミングで次の塗替え時期が訪れてしまう可能性もあります。
例えば、リフォームローンを10年で組んでも、塗料の劣化速度によっては、8年ほどでもう次の外壁塗装リフォームを行う必要が出てくる可能性もあり、その時にまたローンを組むと二重に支払う期間ができてしまいます。
リフォームローンは少しずつ支払えるというメリットがありますが、利用する際は無理のない返済計画を立てて完済までのスケジュールをしっかり計画し、一括での支払いも視野に入れたうえで利用を検討する慎重さが大切です。
■リフォームローンの申し込み方法
リフォームローンといっても、申し込み先には複数の選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットもありますので、ご自身にとって最も良い申し込み先を決めておきましょう。
1.住宅ローンと同じ金融機関にリフォームローンを申し込む
住宅取得のために住宅ローンを利用しており、その返済が続いているという場合は、住宅ローンを申し込んだ金融機関にリフォームローンも同時に利用できるか相談してみましょう。
住宅ローンの申し込み内容や借入状況によっては、低金利でリフォームローンを組むことができたり、リフォームローン一体型の住宅ローンに借り換えができたりすることがあります。
また、すでに金額が大きく審査も厳しい住宅ローンに通っている状態であれば、金額が小さいリフォームローンの申し込みが若干有利になることもあります。
2.住宅ローンと別の金融機関でリフォームローンに申し込む
住宅ローンを返済している金融機関がリフォームローンを取り扱っていないときや、審査に落ちてしまったときは、別の金融機関で外壁塗装用のリフォームローンのみを新規で申し込むことになります。
ただし、銀行のリフォームローンは単体で利用すると、住宅ローンよりも金利が高いというデメリットがあるため、住宅ローンとリフォームローンの支払いで、利息を余分に支払うことになります。
もし住宅ローンを返済している金融機関でリフォームローンを利用できない場合は、リフォームローンを利用できる金融機関で住宅ローンの借り換えを行い、リフォームローン一体型に変更するとよいでしょう。
ただし、住宅ローンの借り換えを行うと、既存の住宅ローンに設定されていた担保を取り消すための「抵当権設定費用」が数万円の発生しますので、忘れずに予算に入れておきましょう。
3.外壁塗装業者が提携するクレジット会社のリフォームローン
クレジットカード会社のリフォームローンは、外壁塗装業者の方で、申し込み書の記入や必要事項の調査を進めてくれるため、金融機関への申し込みに比べると、スムーズに手続きができる点がメリットです。
ただし、クレジット会社と業務提携を結んでいない施工業者と契約してしまうと、クレジットカードのリフォームローンは選択できませんし、金利も銀行よりも高くなってしまいます。
■リフォームローンの担保と金利
リフォームローンは銀行やクレジット会社などによって、担保の有無や返済時にかかる金利などが違いますので、利用する時は特徴をよく比較しておきましょう。
1.リフォームローンの担保の有無
土地や建物を担保にする「有担保」のリフォームローンは、「無担保」のローンに比べると審査が厳しくなりそうに感じてしまいますが、有担保と無担保は状況に応じて有利・不利が変わります。
●無担保型のローン
金融機関によっては、不動産などの担保となる資産がなくても利用できる「無担保」のリフォームローンがあり、担保設定がない分、審査も若干優しく、手続きがスムーズというメリットがあります。
ただし、金融機関によっては無担保型のリフォームローンには金利を高く設定していますので、有担保型よりも合計の支払額が高くなります。
●有担保型のローン
有担保、いわゆる「担保あり」のローンは、担保があることによって信用力が増すため金利も無担保型に比べて低く設定されており、外壁塗装工事の総支払額が抑えられるというメリットがあります。
ただし、有担保のリフォームローンを申し込む時は「抵当権設定費用」が数万円発生するため、無担保型に比べると初期費用がかかりますし、無担保型よりも金利が低いという有担保型のメリットも、そもそも融資額が少なければ発生する金利も少ないため、利率が低いことの恩恵をあまり受けられない場合もあります。
また、有担保型ローンの審査は厳し目で、万が一審査に落ちると、融資が受けられず外壁塗装が行えなくなるだけでなく、「審査に落ちた」という履歴が金融機関の信用情報に残ってしまい、今後申し込む他のローンも利用できなくなる恐れがありますので、手当たり次第に審査を申し込むのは避けておきましょう。
2.リフォームローンの金利
利用するローンを比較する時に、特によく調べておきたいポイントが、返済時に発生する「金利」であり、金利が高いローン商品ほど、利息の分だけ月々に返済する金額も高くなり、元金と利息を合わせた合計の返済額も高くなってしまいます。
リフォームローンの金利タイプは、申し込み時に「固定金利」と「変動金利」のどちらかを選べ、ローンを申し込むタイミングや返済期間の長さによってメリットとデメリットが変わります。
●固定金利タイプ
固定金利タイプとは、申込み時に適用されていた金利が、完済まで変わらず適用され続ける金利タイプのことで、固定金利タイプを選んでおくと、経済情勢が変わって急に高い金利に変更されて返済額が高くなってしまうリスクがなく、申し込み時に予想した金利のまま支払いを続けることができます。
ただし、反対に申し込み時の金利が世間の相場に対して高くなってしまった場合、高い金利のまま支払い続けなければならないケースもあるため、金融機関担当者のアドバイスを聞くなどして、長期的な見通しの元どちらを選ぶべきか判断しなければなりません。
●変動金利タイプ
変動金利タイプとは、その時の市場に応じてローンに設定されている金利の見直しが行われるタイプで、もし申し込み時に設定された金利よりも市場の金利相場が安くなれば、見直しによってローンの金利も安くなりますので、固定金利のように高い金利のまま支払い続けずに済みます。
しかし、金利の変わり方を確実に予測する方法はないため、借り入れの時に最終的な返済額がいくらになるか計算できないというデメリットがあります。
ちなみに見直しが行われるといっても、変更のタイミングと変更額には制限がありますので、その時の金利に合わせて目まぐるしく変動するわけではありません。
●固定金利と変動金利のどちらを選ぶべきか
固定金利と変動金利のどちらを選ぶべきかについては、ケースバイケースであり、金融機関が作成してくれる予想返済スケジュールなどの使用を元に、ご自身の資産状況に最も適した方法を選ばなくてはなりません。
- 例1:繰り上げ返済が行えるようであれば、金利が安い内に早めに完済できるように「変動金利」を選んでおく
- 例2:月々の返済額と最終的な総支払額を申込時に知って、完済までのスケジュールを最初に立てておきたいという場合は「固定金利」を選んでおく
■リフォーム支援制度も活用しよう
まとまったリフォーム資金がなくても、リフォームローンを使えば外壁塗装が行えますが、さらに工事費用を抑えることができる、各種支援制度の利用も検討しましょう。
1.国や自治体の補助金制度を利用する
国や自治体の中には、ご自宅で行った工事の内容に応じて補助金が受けられる、リフォーム支援制度を設けている所があります。
お住まいの自治体によって補助金制度の種類や内容は異なりますが、例えば、外壁や屋根に断熱塗装を施して気密性と断熱性が高い窓に交換した場合などには、「省エネリフォーム工事」の補助金をもらえることがあります。
2.住宅ローン減税
「住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)」とは、年末のローン残高に応じて翌年の所得が控除され、所得税や住民税が減税される制度のことで、新築住宅をローンで購入した時だけでなく、ご自宅のリフォームを行うためにローンを組んだ場合にも利用できます。
- 自身が所有する住宅の、主要構造部分の増改築工事ための借り入れであること
- 工事費用が100万円を超えていること
- ローンの返済期間を10年以上に設定していること
- リフォームを行う面積が50㎡以上であること
住宅ローン減税を利用するためには、ご自身で残高証明書などの書類を揃えて、「住宅ローンを利用して住宅を購入したこと」「住宅ローンの残高が残っていること」を申告しなければ、自動的に控除されることはありません。
特に、必要書類のうち注意しなければならないのが「増改築等工事証明書」(リフォームを行った業者にしか発行できません)と「工事着工前の状態を記録した写真」(工事をしてしまうと手に入らない)です。
以上のことから、住宅ローン減税を受けるためには、工事前の手続きと施工する業者との連携が非常に重要です。
その他にも、減税を受けるルールや控除額の計算には細かい注意点がありますので、詳しく知りたい方は外壁塗装駆け込み寺にご相談いただければ、リフォームローンの利用実績を持つ優良業者をご案内します。
■おわりに
まとまった資金が手元に用意できなくても、リフォームローンを利用できれば、大事なマイホームのメンテナンスである外壁塗装を、適切な時期に済ませることができます。
リフォームローンを上手く利用して、高額な外壁塗装費用を少しずつ安全に返済していくためにも、リフォームローンの借り入れ方法や金利タイプのメリット・デメリットなどをよくチェックしておき、自治体の補助金や減税制度の中にも外壁塗装工事に利用できるものがないか調べておきましょう。