外壁は、紫外線を含んだ直射日光と雨風に毎日晒されているため、日々劣化し続けており、外壁や屋根の塗装に生じた色あせや、カビ・コケなどの汚れは数年から十数年の時間をかけて蓄積され、さらにそのまま何もせずに数十年放置すると家は老朽化し、人が住めない状態になってしまいます。
大切な家をそんな状態にしないためにも、外壁や屋根のリフォーム工事は約10年に1度行うことがよいとされています。
この記事では新築の家は何年目で外壁塗装を考えるべきなのか、または、一度塗り替えを実施した家であれば、次は何年後に塗装を行うべきなのかなどについて解説します。
目次
■外壁と屋根の塗装は何年目にするべきか
外壁、屋根を塗装する際は、
- 新築から初めて塗装する場合
- 一度塗装リフォームが行われた家を塗装する場合
では、何年で塗装リフォームを行うべきかという目安の年数が異なります。
お住まいの最適な塗装時期を把握するためには、家の築年数、リフォーム歴、実際の損傷具合など家の状況に照らし合わせて考えることが大切であり、それは外壁塗装業者が現地調査をして始めて正確にわかるものと考えておきましょう。
1.新築後初めての塗装は5年後に行う
家は新築から約5年経ったタイミングで塗装を行うことをおすすめですが、その理由は、新築時に外壁に使われている塗料のグレードが低いことが影響しています。
新築の家は、アクリル樹脂塗料という最も耐用年数が短く価格も安い塗料で塗装されていることが多く、家を建てるときに家主が希望していない限りはアクリル樹脂塗料が使われていると考えてよいでしょう。
●新築住宅がアクリル塗料で塗装されている理由
家は、木やコンクリートなどの様々な建材を使って組み立てられており、家に使われている木やコンクリートなどの素材は建材として加工された後も、湿度、温度、気圧などの影響を受けて、わずかに膨張や収縮を繰り返しています。
そのため建てたばかりの家は、建材の膨張、収縮によって建物自体も少しずつ膨張、収縮を起こしており、それが築年数が経つにつれて収まっていくのです。
外壁塗装用の塗料には、
などのグレードが存在し、グレードが高くなるほど価格も高くなり(フッ素樹脂塗料が最も高い)、塗料の耐久性も高くなります。
しかし、高い耐久性を持つシリコン樹脂塗料やフッ素樹脂塗料は施工した後に硬い塗膜が形成されるため、先述の家の膨張や収縮などの動きによって塗膜が割れるリスクがあります。
弾性塗料のような粘り気がある塗料をはじめ、どのような塗料を使っても、家の骨組みが大きく動いてしまえば、塗膜表面のクラック(ひび割れ)を防ぐことはできません。
これらの理由から、家の膨張と収縮が大きい新築したばかりのころはできるだけ安いアクリル樹脂塗料で表面を保護しておき、家の膨張と収縮が収まった頃に、シリコン樹脂塗料やフッ素樹脂塗料などの丈夫な塗料で塗装するというのが一般的な流れなのです。
新築工事でアクリル樹脂塗料が使われる理由には、家を新しく建てる際に非常にお金がかかるため、塗装費用を安くして総費用を抑えるという狙いも多少はあるかもしれませんが、新築したばかりの膨張収縮が大きい家の塗膜を守ることが一番の目的です。
そしてこの新築時に塗装されるアクリル樹脂塗料の耐用年数(寿命を表す年数)が5~8年ですので、新築時は5年後に塗装リフォームを行うのが良いとされています。
参考:塗料の耐用年数について
2.塗替え済みの家は以前使用した塗料の耐用年数で考える
一般的に一度塗り替えを行った家ならその次の塗装を行うのは10年後がよいといわれますが、一度塗り替えを済ませたことがある家の塗装リフォームのタイミングは、以前の塗装リフォームで使われた塗料のグレードを考慮する必要があります。
●今塗られている塗料によって次の塗装リフォームをするタイミングが変わる
外壁の塗り替えに使われる塗料には、先述のアクリル樹脂塗料やウレタン樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、ラジカル樹脂塗料、フッ素樹脂塗料だけではなく、
- 屋外と室内の熱移動を抑制して暖かい家にする断熱塗料
- 屋外からの暑い日差しをカットする遮熱塗料
- 外壁表面の汚れを分解して汚れにくい家にする光触媒塗料
- 無機質を塗料中に含むことによって長持ちする無機塗料
など、特殊な機能を持った様々な塗料があります。
これらの塗料はそれぞれ耐用年数が異なりますので、劣化するスピードも、次に外壁塗装を行うタイミングにも違いがあります。
仮に、前回の塗装で予算をかけられないためにアクリル塗料を選んでいれば、アクリル塗料の5~8年という耐用年数に合わせて、次の塗装を計画しなくてはなりません。
耐用年数が10~15年と言われるシリコン塗料が前回の塗装で使われていれば、次の塗装も10~15年後で済むことになります。
そして耐用年数が長いときは20年というフッ素塗料が使われていれば次の塗替えが20年後で済む場合もあるのです。
また、外壁よりも太陽光のダメージを強く受ける屋根は、外壁よりグレードが高い塗料で塗り分けられていることがありますが(例えば外壁はシリコン、屋根はフッ素で使い分けるなど)、もし外壁と屋根に同じ塗料が使われていれば屋根の方が早く劣化してしまいますので屋根の劣化にあわせて工事を行う必要があります。
このように、前回の塗替えで使われた塗料の種類は、次の塗替え時期に非常に深く関わりますので必ず調べておきましょう。
もし今の外壁や屋根の状況がわからない場合は、外壁塗装駆け込み寺にご相談いただき、地域の優良業者の調査を受けることで調べることができます。
- 前回の塗装を施工した業者でもタイミングは変わる
前回の外壁塗装でどのような外壁塗装業者が施工したかでも、劣化速度や症状は大きく変わります。
優良業者の塗装の基本に忠実な塗装は、塗料に設定されている耐用年数の間、十分に機能します。
しかし、高圧洗浄や下地処理などの塗装に欠かせない工程を省くような手抜き業者や、塗料を規定の希釈率よりも薄めて工事費用を節約しようとする悪徳業者に施工された場合、塗装がすぐに剥がれたり割れたりして耐用年数よりも早く劣化してしまいます。
元請けから予算がもらえなかった下請け業者が少ない材料費と人件費で切り詰めて施工した場合も当然、完成後の塗装は本来の強度を発揮できず、耐用年数が短くなってしまうでしょう。
今現在の外壁や屋根の塗装が十分に機能しているか、次いつ外壁塗装リフォームを行うべきかわからない場合は、外壁塗装駆け込み寺にご相談ください。
■再塗装の時期が近付いてきたら
家は10年を目途に塗装されることが多いため、家を建てたハウスメーカーや、以前塗装を依頼した塗装業者などは、約10年たった頃にメンテナンスの連絡をしてくれることがあります。
このとき、急に塗装を打診されて不安に感じたり、保証がなくなると言われて焦って高額な業者と契約したりしないように、再塗装時期に差し掛かったときの心構えについて知っておきましょう。
1.新築から10年経つと外壁塗装を勧められるようになる
新築の家の塗装は5年後が目安ですが、外壁塗装の費用がもったいないということで5年後に塗装リフォーム工事を行うという人は実はあまり多くありません。
家を建てたハウスメーカーや工務店は、家を訪れて建物の内部や表面に不具合がないかアフター点検を行ってくれることが多く、10年目の点検で「そろそろ外壁塗装をした方がよいですよ」と提案されます。
このときに、
- 「なぜ建てて10年しか建っていないのに、外壁を塗装しなければならないのか?」
- 「10年後にリフォームの契約を取れるように、わざと質が低い工事をしたのではないか?」
のように、なぜ工事を勧められたか理由がわからず、本当に工事を実施すべきか不安に感じてしまう方が多いのです。
しかし新築の場合は約5年、そうでない場合は約10年で外壁や屋根の塗装リフォームを行うというのが建物を長持ちさせる最適な塗装の間隔なのです。
●外壁は10年目に劣化が起きやすい
外壁や屋根に塗装されている塗料は、平均して10年ほどで耐用年数を迎え、色あせたり剥がれたりして保護機能を失ってしまう場合が多いです。
さらに、外壁の窓サッシの周囲やサイディングボードに注入されているシーリング材(コーキング材)は、雨や紫外線によって劣化してひび割れたり縮んだりしますので、7~10年目には防水効果を失い、外壁内部への水漏れの原因になってしまうことがあります。
塗装やシーリング材などの外壁材の耐用年数から見ても、10年というタイミングは、家のどこかで何らかの劣化が起きてもおかしくありません。
先述の通り、新築住宅の場合は外壁に使われているアクリル樹脂の保護効果が5~8年であり、新築から10年経てば既に塗装の耐久性を失っている恐れがありますので、新築住宅の場合は5年目を目途に外壁や屋根の点検を行いましょう(優良業者を探したい場合は外壁塗装駆け込み寺へご相談ください)。
外壁や屋根を家主自身が確認した際に、見た目には綺麗で何の問題もなく、雨漏りや外壁材の割れといった顕著な不具合が発生していなければ塗装や修繕を行う必要がないように感じてしまいますが、外壁塗装業者の専門家が点検してみると意外な場所に雨漏りの兆候や外壁材の劣化が見つかることが多いです。
そのため、外壁塗装業者の専門家の目視による定期的な家の点検は、劣化症状をできるだけ早く発見し補修することで家を長持ちさせるためには欠かせない作業なのです。
■訪問業者から伝えられる耐用年数に注意
悪質な外壁塗装の業者や訪問販売系の営業マンなどは、通常であれば心配しなくてもいいような外壁や屋根の劣化について大げさな説明をして、客を焦らせることで契約を結ばせようとします。
顧客の意志を無視して自分たちの利益を優先するために提示された耐用年数は決して鵜呑みにせず、正しい情報を自分たちで手に入れるよう心がけましょう。
1.訪問販売業者は耐用年数を大げさに伝えることがある
訪問販売業者がよく使う手口で「30年間次の塗装をしなくてもよくなります!」という謳い文句がありますが、このような塗料は現在ありませんし、最新の最高級塗料であるフッ素樹脂塗料でも耐用年数は20年なので、今後しばらくは作られないと考えられます。
このようなセールストークをしてくる訪問販売の外壁塗装業者はちゃんとした知識を持っていない悪徳業者であると判断しましょう。
外壁塗装駆け込み寺にあったお客様のご相談では、「30年持つどころか10年以内に不具合が生じ、補修や塗り直しを頼もうとしても、その業者は会社ごといなくなっていた」ということがありました。
訪問販売業者は嘘や大げさな魅力的な提案をする傾向にあるので、その場で即決せずに、まずは外壁塗装駆け込み寺などの第三者機関や地域の外壁塗装業者に相談してみましょう。
2.手抜き業者が施工するとメーカーが提示している耐用年数までもたない
「大手塗料メーカーの○○という塗料は、メーカー側が耐用年数は20年なので安心して施工をお任せください」という説明を業者からされることがあり、嘘ではない情報を提示してくる訪問販売業者もいます。
このセールストーク自体には全く問題はないのですが、訪問販売業者が行う外壁塗装の施工が
- 経験不足で未熟なため塗料を均一に塗っていない
- 塗料をメーカーが指定する以上に薄める
- 正しい施工手順を守らない
などの場合は耐用年数20年どころか数ヶ月や数年で塗料の剥がれやチョーキング現象などの劣化が起こる可能性があります。
もちろんすべての訪問販売業者が手抜き業者や悪徳業者であるということではないのですが、インターネット集客や口コミ紹介などが主流の今、訪問販売という形式で営業を行っているということを一つの不安材料と考えておきましょう。
訪問販売業者がたとえ何をいってきたとしても、その場で契約を即決せずに、外壁塗装駆け込み寺などの第三者機関に相談してください。
■おわりに
外壁塗装リフォームは以前の塗装内容や家の築年数によって、行うべきタイミングが変動します。
急にやってきた訪問販売業者に焦って依頼して高額な塗装費用で施工不良だらけの塗装を行わないためには、ご自身でお住まいの次の塗装時期や前回使用した塗料の耐用年数を把握しておくことが大切です。
もし今の外壁や屋根の状況で少しでも不安があるのであれば、まずは地域の優良外壁塗装業者に調査を依頼するか、外壁塗装駆け込み寺などの第三者機関に相談してみましょう。