外壁塗装の色は自由に決めていいと言われても、外壁の色としてどのような色が人気があるのかというのも気になりますよね。
しかも、選ぶ選択肢は、一つの塗料では20~40色あり、日本塗料工業会(日塗工)が作成している色見本に関してはなんと624色もあります(2015年度H版)。
例えば、ベージュと一般的に呼ばれる色だけでも彩度、色相、明度の違いから複数の種類が存在します。
その中から選ぶのは好みだけでは決めきることは出来ないでしょう。
近所の家に溶け込むような無難な色を選ぶのか、周りとは違った色にするのか(常識的範囲で)は人それぞれです。
こちらでは色の選び方というよりも、今の時勢ではどのような色が選ばれているのかをまとめていきたいと思います。
外壁や屋根をリフォームするときに色についても考えてみましょう。
■同じ色でも微妙に違うものがたくさんある
色を名前で言えば、ブラウン、ベージュ、ホワイト、グレー、ピンク、オレンジ、ブルーなど有限のように思われます。
しかし、実際色という物は無限に存在しており、その中から最も好きな色を正確に表すことは実質不可能でしょう。
色選びの際に出来る事は、与えられた選択肢の中から、最も自分にとって好みの物を探す、と言う事に終始してしまうのです。
最も好きな色を無限にある色から選ぶのが難しいという事をおわかりいただくため、まずはこちらの画像をご覧ください。
こちらは日本塗料工業会が作成している色見本から、ブラウンと呼ばれる色味の物を選び並べた物です(こちらの色見本はフォトショップで作成したため、若干実際の色とは異なります)。
ブラウンと呼べる色だけでも様々な色があることがおわかりいただけると思います。
外壁塗装業者が基準にしているこの日本塗料工業会が作った色見本における色は、色相、彩度、明度の三つの要素から決められています(マンセル値という数値で表します)。
例えば、上の画像の最も左上の色「19-60F」はマンセル値で表すと10YR5/4と表示し、色相10YR(YRはイエローとレッドの間、つまり黄赤系の色)、明度5 彩度4という意味となります。
この色相、明度、彩度が違う色が工業会の色見本だけでまず624色あります。
その中には上記のような、口で言ってしまえば「ブラウン系、茶色系」と言ってしまえるような色であっても、実に様々な色があるのです。
「色見本は雰囲気を知るときにしか使えない」という記事でもお話ししましたが、この日本塗料工業会の色見本は一般家庭の外壁用の色を収録したものではありません。
色見本の説明には以下のような説明が記載されています。
建築物・構造物・設備機器・景観設備・インテリアカラー・ファッションカラーや日本工業規格(JIS)で定められた色など、一般に多く用いられる実用色を収録しています。
つまり、これらの色は一般的な住宅用に絞ったものではなく、様々な建物の塗装色としてよく用いられるという意味なので、全ての色が家の外壁に合うとは限らない、という事になります。
「日本塗料工業会の色見本の色でお好きな色があればお作りします」という業者さんもいますが、一般住宅向けではない色も含まれるために、色選びに失敗する可能性が高くなってしまうのです。
■塗料の色見本から好みの系統を探す
色を選ぶ際は日本塗料工業会の色見本ではなく、実際に塗る塗料のカラーサンプルから色の系統を考えましょう。
塗料メーカーのカラーサンプルの場合は、その時の流行りなども考慮しつつ、一般的な外壁に合うように色が決められています。
他の家の色とは全く違ったオリジナルの色を使いたい、と言う場合は、日本塗料工業会の色見本は今現在624色あるので、他の人とかぶる可能性は少なくなります。
しかし、その分、家の外壁としてはあり得ない色を選んでしまったり、価格が高くなってしまったりなどのリスクもあるので、それを考慮した上で選ぶようにしましょう。
日本ペイントなどのメーカーに調色してもらえば、カラーサンプルや色見本の624色とは言わずに、どのような色でも基本的に作成可能ですが、先に述べたとおり、家の外壁には合わない色になってしまう可能性が高くなるので、まずはカラーサンプルの雰囲気を頼りに決めていくのが良いでしょう。
また、外壁塗装業者さんの中には色の組み合わせが合うかどうかなどを専門的な立場から色の相談に乗ってくれるカラーコーディネーターが在籍している所もあります。
専門家にカラーコーディネートしてもらえれば、かなり理想に近い色の家に近づけることが出来るでしょう。
外壁や屋根については以下で述べていきますが、サッシや雨樋など、面積が小さい部分に関しては、「色の選び方」の記事で詳しく解説しています。
ちなみに外壁や屋根などは面積が広いのでベースカラーといい、軒天、破風板、雨樋、サッシなどは面積が小さいけれども、全体の色のバランスを取ってくれるのでアクセントカラーという場合もあります。
■外壁で人気がある色は?
では外壁塗装において人気がある色はどのような色でしょうか。
選ぶ塗料によって出せる色合いは微妙に変わってきますし、塗料メーカー間でも色の呼び方が違います。
例えば、日本ペイントではND-281、ND-460などNDから始まる番号で色を表していますが(カタログ内には白が「クールホワイト」のようなわかりやすい日本語の名前がついていることもあります)、関西ペイントではKP-111、KP-50、エスケー化研ではSR-102、RC-145などと表します。
それぞれに色の共通の呼び方がないために、日本塗料工業会が基準となる色を作りました。
ここでは色を感覚的にとらえていただくため、赤色、緑色などと断定するのではなく、赤系、緑系などの「系」という言葉を使っておすすめカラーを紹介をさせていただきます。
画像も合わせて掲載していますが、それもイメージをわきやすくする補助的な物とご認識ください。
1.ベージュ系、クリーム系の色が最も人気の外壁色
外壁に選ばれる色の中で最も人気があるのは、ベージュ系の色です。
ベージュとは完全な真っ白ではなく、少し黄色が入っている色で、wikipediaでは「極めて薄い黄色ないし茶色」と表現されています。
しかし、明確な基準があるわけではないので、業者によって言い方はかなり曖昧な物となっています。
例えばベージュ系という業者も居れば、クリーム色、ホワイト系、アイボリー、ベイジュ、オフホワイトなどという言い方をする業者さんも居るので、かなり分かりづらいです。
「真っ白ではなく少し黄色が入った色」が人気があると言う事で覚えておきましょう。
なぜベージュの外壁が人気があるのかと言えば、
- 「シンプルで無難ですが、ほっとする色」
- 「周りとの調和を取りやすい」
- 「無難で目立たず溶け込む色」
などの意見があり、シンプルさ、無難さ、調和などを重視して家の外壁に選ぶ方が多いようです。
真っ白(ピュアホワイト)の外壁は、雨だれ後や、空気中のゴミなどがくっつくなどの汚れが目立ちやすいという欠点がありますが、ベージュの外壁はそこまで汚れは目立ちません。
外壁は10年ほどはそのままの色を維持する必要があるので、飽きが来ない、長く使えるベージュが人気というのはうなずけます。
2.ブラウン系で落ち着いた雰囲気を出す
暗めで落ち着いた風合いを出したいという方にはブラウン系の色が人気です。
シックなブラウンの塗料を選べば、落ち着いた高級感のある家に仕上がります。
しかし、「思ったよりも暗くなってしまった」「思ったよりもブラウンじゃなかった」など、色見本と実際に塗った色合いの違いから色選びの失敗を訴える人もいます。
先の例でもブラウンというだけでも非常にたくさんの色があるのをおわかりいただけたかと思います。
例えば、日本ペイントの塗料の一つ「サーモアイウォール」というシリーズの塗料の場合、カラーサンプルには以下のようなブラウン系の塗料が存在します。
人によってはブラウンではないという方もいらっしゃるかもしれませんが、ブラウンといってもこのように複数の種類があるので、ブラウン系の色が好きで、人気もあるから選ぼうという場合は、これらの似たような色で大きめのカラーサンプルを作ってもらう必要があります(A4サイズ以上はないと色合いがわかりにくい)。
先にご紹介したベージュはそもそもが薄い色なので間違えたとしてもそこまで印象が変わるものではありませんが、ブラウンが思った色と違っていた場合、見た目かなり違った家になってしまいます。
失敗しない色選びの方法を確認し、ブラウンを選ぶ際は大きく塗った時にどのように見えるのかについてしっかりと確認しましょう(参考:失敗しない色選び)。
3.ホワイト系は人気があるが、汚れやすさに注意
ベージュや、アイボリーとは異なる、完全なる白の外壁も人気があります。
ただし、ホワイトは真っ黒な家などとと同じように汚れやすいというデメリットがあります。
真っ黒な家というのはやりたがる人はほぼいませんが、真っ白な家というのはいつの時代も魅力的で人気がある色といえます。
ホワイトの塗料に塗り替えると家の雰囲気がガラッと変わり、新築になったかのように錯覚するほどです。
真っ白なだけではなく、白とグリーン系、グレー系、ブラウン系などの他の色とのツートンカラーも人気があります。
白い色に塗った場合は、定期的に水洗いを行うなどで汚れを目立たなくする為の努力も必要なので、メンテナンス方法なども頭に入れておきましょう(参考:汚れにくい外壁塗装づくり)。
4.オレンジ系、黄系、ピンク系などの暖色系の色で暖かな印象
外壁の色でその他に人気があるのが、オレンジ、ピンクなどの暖色系の色です。
暖色系はその名前の通り、暖かみがある色の事で、アットホームな印象を与えることが出来ます。
実際の外壁に使うのは、クレヨンのようなオレンジ、ピンクではなく、もっともっと薄い色を使用します。
ほとんど白に近いピンク系の色や、白に近いオレンジでも良い印象を与えるでしょう。
5.ブルー、グレーなどの寒色系の色でクールな印象
ブルー、グレー系の色、もしくは中間のブルーグレーの外壁などもクールな印象を与えてくれて人気があります。
6.クリア塗料で今のサイディングを生かす
サイディングボードの場合、クリア塗料といって無色の塗料を使う場合もあります。
上の写真のようなサイディングボードで、ブロック一つ一つの色が違うような場合、上から再塗装をして模様を再現することは出来ません。
塗りつぶすか、レンガ調の外壁の2色の塗り分けぐらいなら可能ですが、3色、4色と使ったサイディングボードの場合、非常に手間がかかるのです。
その場合に役立つのが透明のクリアー塗料で、サイディングボードの模様はそのままに、外壁を保護する事が出来ます。
しかし、クリアー塗料には気をつけるべき点があります。
サイディングボードが劣化してしまっている場合、その劣化した外壁の上に保護膜を作ってしまうことになるので、次に塗装するまではその劣化した見た目のままとなってしまうのです。
それを避けるために、クリアー塗料を使用するようなサイディングボードの場合は、外壁が劣化してしまう前に(具体的には旧塗膜が剥がれてきた段階で)、塗装を行う必要があります。
人気の色に変えることは出来ませんが、サイディングボードは塗装には出せない雰囲気を持っているので、好みに合わせて塗りかえましょう。
もちろん、単色で塗りつぶすことも可能です。
その場合は、周りの家や他の部分との調和を考えて人気の色から選ぶようにしましょう。
■屋根で人気がある色は?
外壁だけではなく、屋根も立派な家の一部で、下から見える面積的には小さいとはいえ、見た目の印象を十分に左右します。
屋根の色選びは外壁の色との調和を考えながら行う必要があります。
また、屋根は日光がそのまま当たる部分の為、屋根が何色なのかによって家の中の温度が若干変わってしまう場合もあるのです。
1.色が明るい方が(白っぽい方が)、断熱、遮熱効果が高い
上の画像は日本ペイントのサーモアイUVという塗料で選べる色と、日射反射率(日光をどれだけ反射してくれるか)ついての資料です。
クールホワイトと呼ばれる白い塗料の日射反射率は91.0%でほとんど跳ね返してくれているのに対し、クールネオサファイアブルーというかなり暗い青い色の塗料の場合は日射反射率が43.0%ということで日光の光をかなり吸収してしまうのだという事が分かります。
これらの色のバリエーションは日本ペイントが長年で培ってきたノウハウで、屋根に合う色をそろえているので、それぞれの色が日本の家の屋根にあった色味を出してくれるのは間違いありません。
しかし、色には塗料の成分がどうのこうの以前に、色による光の反射率があるのです。
白い色からかけ離れれば離れるほど、日射を反射する率は下がってきてしまい、光の熱が家の中に入りやすくなり、部屋の温度も上がってしまいやすくなるという事を念頭に入れて、屋根の人気の色を見ていきましょう。
ちなみに白い屋根の家というのはあまりありませんが、屋根を白に出来るのであれば、断熱塗料や遮熱塗料に頼らなくても家の中の温度を下げる効果があるとする業者さんも居ますし、屋根を白く塗る事が地球温暖化への手っ取り早い手段の一つだとするノーベル賞受賞科学者もいるほどです。
(参考:スティーブン・チューはこちらの記事(英語)で、屋根を白くすることが地球温暖化対策になると主張しています)
周りとの調和や、好み的に問題なければ、上記写真のような屋根が白い家でも地球温暖化的に、暑くなりすぎないので夏の家の中の快適さ的には良いかもしれません。
ちなみに白い色が温暖化に役立つというのは屋根の話だけではなく、外壁にももちろんいえることです。
またマンションやアパート、公共施設など、面積が大きい建物が白色に塗られれば、その分エネルギー消費を抑えることが出来るので、より地球温暖化に貢献できます。
日本では以下で説明するように色が濃い屋根が人気ですが、地球温暖化の為にも薄い色が流行ってくれれば良いなとも考えてしまいます。
2.グレーの屋根や、黒っぽいブラウンが人気
他の色が一切入っていない完全な黒色の屋根は、かなり重い印象を与えますし、日光の熱を反射せずに蓄えてしまうので、部屋の中の温度が上がるなどの影響が出てしまう可能性があります。
しかし、黒よりも少し薄いグレーや、茶色がかった黒であれば、重すぎる印象はありません。
屋根は外壁に比べて色が濃いものが好まれる傾向にあります。
ただ、先に挙げたとおり、濃くすると、日光の反射が悪くなるので、その分、室内が暑くなってしまう可能性がある事を忘れないでおきましょう。
かなり色の濃い屋根にした場合、部屋はともかく屋根裏部屋などは非常に暑くなってしまう可能性があります。
外壁内に十分に断熱材が入っているなど、家自体の断熱対策がしっかりなされていればさほど気にしなくても良いです。
3.赤っぽいブラウンやオレンジで暖かい印象を与えることが出来る
外壁の色選びで暖色は暖かい印象を与えることが出来るとお伝えしましたが、屋根も同様で、赤みがかったブラウン(赤茶色)や、オレンジ色など、暖色系の色にすれば、暖かい印象を与えることが出来ます。
屋根の色は、外壁よりも濃くしても違和感がないので、画像のように外壁には使えないような濃い色でも使う事が可能です。
4.青色、紺色もはっきりとしたクールな印象を与える
外壁の人気色にブルーがかったグレーを薄くしたような色がありますが、屋根もブルー系の色は人気です。
家を目立たせたい、という場合には青い屋根は間違いありません。
ちなみに日本瓦にも青緑瓦と書いてせいろくがわらというものがあり、日本人が昔から好きな色と言えるかもしれません。
最後に
外壁塗装で人気がある色がどのような印象を与えるのか、その色を選ぶ上で気をつけるべき点はあるかなどについて解説してきました。
最終的には施主の好みで決定するべきですが、様々な色の決め方があり、決めた色をきちんと塗り上げる技術も必要です。
色選びから施工までしっかりとこなす優良塗装業者を探したい、という場合は外壁塗装駆け込み寺にご相談下さい。
日本どこでも無料で優良外壁塗装業者をおさがしします。