ガルバリウム鋼板は、メタリックな質感とシャープな見た目で人気も高く、次の張替えリフォームに使用を検討している方も多いですが、ガルバリウム鋼板の価格を調べるときは、部材の安い・高いだけでなく、施工する業者のやり方や施工方法で変動する、材料費以外の費用についても把握しておく必要があります。
この記事では、ガルバリウム鋼板の価格帯と併せて、施工の総費用を調べるときのポイントについて解説します。
目次
■ガルバリウム鋼板の商品価格
まずはガルバリウム鋼板の平均的な商品価格について見てみましょう。
1.メーカー別・ガルバリウム鋼板の価格
ガルバリウム鋼板は多くの各外装材メーカーから、断熱性を向上させたものやスタッコ吹き付け風の模様が施されたものなど、様々な種類が販売されています。
なお、リフォームの際は、メーカーのホームぺージやカタログに記載されている定価ではなく、業者側でやや割引された価格になるのが一般的です。
●ニチハ
※2018年2月時点の税抜きの定価です
金属系外壁材『センターサイディング』
- Iシリーズ:7,000円/㎡
- t-colorシリーズ:5,730円/㎡
- プレミアムシリーズ:4,670~円/㎡
- モノカラーシリーズ:4,000~円/㎡
- ベーシックシリーズ:3,830~円/㎡
金属製屋根材センタールーフ
- 横暖ルーフα プレミアムS:6,710~円/㎡
- 横暖ルーフプレミアムS:6,710円/㎡
- 横暖ルーフα S:5,720~円/㎡
- 横暖ルーフS:5,720~円/㎡
●ケイミュー
※2018年2月時点の税抜きの定価です
金属サイディング『はる・一番』
- ナロースパン柄:4,690~円/㎡
- 細石柄2:4,860~円/㎡
- 雅石柄2:4,860~円/㎡
- 長石柄2:4,860~円/㎡
- 長石柄3:5,210~円/㎡
金属屋根材『スマートメタル』:3,080~円/㎡
●旭トステム
※2018年2月時点の税抜きの定価です
金属Danサイディング
- スチール超深絞りシリーズ:6,229~円/㎡
- スチール深絞りシリーズ:3,713~円/㎡
- スチールニュースタンダードシリーズ:4,099~円/㎡
- スチールスタンダードシリーズ:3,394~円/㎡
- アルミ深絞りシリーズ:7,348~円/㎡
- アルミスタンダードシリーズ:5,159円/㎡
2.外壁リフォームは商品価格の他にも費用がかかる
ガルバリウム鋼板に張り替えるリフォームは、商品価格のみ支払えば終わりではなく、商品をメーカーから取り寄せる運送費や、張替え作業を行う職人の人件費といった様々な費用が組み合わさって、ガルバリウム鋼板に張り替える総費用が決まりますので、どのような費用が、どのくらい発生するかというしくみを知っておくことが、ガルバリウム鋼板の施工費用の相場を知るために必要です。
外壁塗装業者の中には、施主が相場を知らないことにつけこみ、工事費用を不当に高くする業者もいますので、業者選びを慎重に行うことがガルバリウム鋼板を適切な費用で購入する鍵ともいえるでしょう。
■ガルバリウム鋼板張替え価格の内訳
ガルバリウム鋼板など、外装材を張り替えるリフォームでは、以下の費用が発生します。
- ガルバリウム鋼板の部材費
ガルバリウム鋼板の商品価格 - 人件費
古い外壁材を撤去したり、ガルバリウム鋼板を壁や屋根に張り付けたり、部材を現場加工したりする、作業員の手間賃 - 運送費
ガルバリウム鋼板を現場まで運ぶためにかかった配送料や車両費の合計金額で、施工場所が遠いほど高くなる - 諸費用
商品代にも人件費にも該当しない費用のことで、ここに業者の利益や、交通費や駐車場代といった細かい経費が含まれて請求される
外壁塗装業では、工事にかかった塗料代や人件費といった経費だけを契約金額から回収するだけでは足りず、利益をもらわなければ営業を続けることができません。
そのため業者の利益分も、リフォームを行うためには必ず発生する費用と考えておく必要がありますが、あまりにも利益を上乗せし過ぎるとお客さんが遠ざかってしまいますので、業者が設定する利益はあくまでも業界内の適切な範囲内に留められています。
1.人件費が増えるほど施工価格は増える
人件費はリフォーム工事を行うために欠かせない費用ですが、作業を行う人員が増えるほど人件費も増えることになり、人件費が発生するタイミングは工事だけでなく契約前の営業や商品の仕入れなど様々です。
リフォーム業者の種類別に発生する人件費を以下で比較しました。
- 職人が営業も施工もする店
部材費+職人への人件費+運送費+諸費用 - 施工と営業を別のスタッフが行う店
部材費+職人への人件費+営業スタッフへの人件費+運送費+諸費用 - 営業は自社スタッフが行い、施工は外注スタッフが行う店
部材費+営業スタッフへの人件費+施工スタッフへの外注費+中間マージン+運送費+諸費用 - 営業、施工も外注スタッフが行う店
部材費+営業スタッフへの外注費+施工スタッフへの外注費+中間マージン+運送費+諸費用
このように、特定の作業を行えるスタッフが在籍しておらず、他の外注業者に任せなければならない業者(受注するだけで工事は下請けに任せる訪問販売業者など)ほど、人件費や中間マージンが増え、工事の総費用も膨らんでしまいます。
同じガルバリウム鋼板を使って施工しても、選んだ業者によって発生する費用は異なるので、商品価格の安さだけで工事を決めてしまわないようにしましょう。
2.外注業者が増えるほど施工価格は高くなる
自社に工事の専門部署がないため工場を行えるスタッフがおらず、外注業者を使わざるを得ない会社もあり、そのような会社と契約すると、外注業者に支払う中間マージンが業者の数だけ上乗せされて、外注業者を介さなかった場合のリフォーム費用よりも割高になります。
施工業者の中に、施工するスタッフが在籍していれば外注費は発生せず、職人だけで構成された塗装専門会社などは、この「外注していないから費用が安い」という点をメリットとして掲げている所も少なくはありません。
また、足場の設置や電気工事といった専門資格を持つ会社であれば、ほとんどの外装リフォームを自社スタッフで行えますので、これらの資格を持つスタッフが在籍しているかどうかも、業者を選ぶときのポイントです。
●外注業者が悪いとは限らない
もちろん、外注業者を使うことは必ずしも悪いことではなく、元請けと下請け同士に長年の信頼関係が築かれており、抜群のフットワークで高品質なリフォームを行うような業者もいますが、そうではない悪徳業者の場合は平気で中間マージンを相場よりも上乗せしておきながら、下請け業者に支払う報酬は安く設定し、自分たちの元に契約金額の多くが残るよう仕組んでいることがあります。
さらに、安い賃金のもとでは、下請け業者は予算がないため満足に工事が行えず、施工ミスや手抜き工事を誘発してしまいかねません。
もし、工事部門を持たないリフォーム業者にガルバリウム鋼板の張替えを依頼するときは、これまでの施工事例などを見せてもらい、下請け業者と正しく連携が取れているかよく観察しましょう。
■ガルバリウム鋼板で張り替えるときの施工価格
ガルバリウム鋼板の張替えは、平米あたり4,000〜6,000円程度が施工価格の相場となっており、30坪の家であれば70〜100万円で、屋根葺き替えも合わせて行う場合は、プラス30〜50万円を見ておいた方がよいでしょう。
1.カバー工法なら約2割安くなる
カバー工法とは、既存の屋根または外壁材を残したまま、新しい外装材を上から張って仕上げる外装リフォームのことで、この工法では既存外装材または既存屋根材には何も手を加えずリフォームが完了しますので、外装材の撤去費用や産廃処分費用が発生せず工事費用の総額が安くなります。
また外装材が二重になることにより建物の防音性や断熱性が多少アップするメリットもありますが、施工が正しく行われなければ、無理に外装材を追加したために外壁の内部で結露が起きたり、外装材が増えた分だけ家の重量が重くなって、地震で揺れやすくなって耐震性が低下したりするなど、逆効果となる場合があります。
そのほか、施工の際に既存外装材を剥がさないため外壁下地材で密かに起きている劣化を見逃す恐れがあるなどのデメリット面も指摘されています。
●ガルバリウム鋼板はカバー工法と相性がいい
屋根の部分、つまりてっぺんが重い家ほど地震で揺れやすくなるため、家財が倒れやすくなったり建物に揺れの負荷が強くかかったりして家の耐震性が低下してしまいますが、ガルバリウム鋼板は軽量な外装材で、カバー工法のデメリットである「躯体の負荷」を、軽減する効果があります。
また、ガルバリウム鋼板やトタンなどの金属板は、スレートや瓦、サイディングなどの外装材よりも熱伝導率が高く熱を溜め込みやすい性質があり、断熱材とセットでの使用が大前提ですが、既存の外装材に断熱材が入っている家でのカバー工法であれば、断熱材の効果が残っていれば、ガルバリウム鋼板を貼るだけで断熱効果を残すことができます。
2.ガルバリウム鋼板リフォームには施工業者の技術力が欠かせない
ガルバリウム鋼板は外装材の中でも特に施工中の取扱いに繊細さを伴う外装材なので、施工基準が守られなければ、本来の耐久性を引き出せず、保証期間や耐用年数を迎える前に耐久力が落ち、メーカーの保証も付かなくなってしまう可能性もあります。
例えば、現場でガルバリウム鋼板の長さをカットし、漏水の恐れがあるにも関わらず切断面の防錆や防水処理を怠ったために、雨水が断面から浸水し、ガルバリウム鋼板が錆びてしまった事例もあります。
また、カバー工法を選ぶ場合も、下地の劣化状況をきちんと見極めて行わなければ、せっかくガルバリウム鋼板でカバーしても、躯体の劣化を進めてしまうことになります。
「施工が楽」という理由だけでカバー工法を勧めようとする、手抜き業者の可能性もあるため、安易にガルバリウム鋼板のカバー工法を選ぶのは避けておいた方がよいでしょう。
業者選びの失敗をなくすために、依頼する施工業者が、カバー工法の施工経験を持つか確認し、できれば約5年以上経過した施工事例を見せてもらい、建物の現在の状況を見ておくことをおすすめします。
■おわりに
外装材の張替えリフォームは、塗料で塗替えるリフォームよりも割高になってしまいますが、ガルバリウム鋼板であれば、割安なカバー工法を選んでも家の耐久性を落とすリスクが減らせますので、張替えリフォームに適した外装材といえるでしょう。
また、ガルバリウム鋼板に張替える際は、商品の販売価格だけでなく、張り替えに当たって、施工費や人件費などがどのくらいの発生するかまでしっかり予測することも大切です。
自社に在籍しているスタッフだけでほとんどの作業が行える外装工事専門の業者や、外注業者との信頼関係が築かれている実績豊富なリフォーム会社を見つけて、適正価格でガルバリウム鋼板のリフォームにしましょう。