外壁塗装は完成するまでどのような仕上がりになるのか完全に予測することは難しく、工事にかかる費用も高額になるため、外壁塗装工事を考える人は誰でも「外壁塗装リフォームを失敗したくない」と考えます。
そして全国には非常に沢山の外壁塗装業者が存在しているため、どの業者に工事を依頼すればよいかわかりにくく、また、どんな優良業者に任せても失敗が起きてしまう可能性もあります。
この記事では、外壁塗装を実施する前に知っておきたい外壁塗装工事の失敗例を、解決策と合わせてご紹介します。
目次
■外壁塗装のよくある失敗例4つ
失敗例1.塗装費用が予想よりも高額になってしまった
現在の戸建て住宅の外壁塗装においてもっともよく使われているシリコン樹脂塗料を使って塗装した場合、外壁塗装リフォーム全体の費用は、架設足場設置や清掃といった諸工事の費用を含めても約70~90万円が相場です。
しかし、家の大きさや外壁の劣化具合などの状況によってはそれ以上の費用がかかる場合があります。
自身の家の外壁塗装工事費用が相場以上に高くならないようにするためにも、費用が高額になるケースとその原因を知っておきましょう。
●原因1:建物の定期点検を怠ったために補修箇所が増えた
外壁に塗られている塗膜のひび割れや外壁内部への水漏れといった建物の劣化は、放置するほど進行して範囲が広がってしまいます。
外壁塗装工事では、このような外壁に起こっている劣化症状を先に補修しなければ塗装作業が行なえないため、補修作業分費用が上乗せされ、外壁塗装工事の総費用は高くなります。
例えば、外壁や屋根の表面の劣化は、初期のうちに補修しておけば、塗料の塗り替えや小さな部材の交換だけで済ませることができます。
しかし、表面の劣化が進行して外壁材などの内部まで劣化してしまうと、塗装やパーツの交換では手に負えず、外壁材・屋根材の張替えや下地材の補修などの追加工事が発生してしまい、約100万円以上の大掛かりな工事になってしまいます。
ご自宅の塗装で必要以上の工事費用を発生させないためにも、近隣の外壁塗装業者に定期的な点検を依頼し、5~10年間隔で雨漏りや外壁の劣化具合の調査を依頼しておくことが大切です。
参考:外壁塗装の必要性は?放っておくとどうなるかと追加工事費用
●原因2:不当に儲けようとする悪徳塗装業者に依頼してしまった
外壁塗装のリフォーム費用が高額になるパターンの中で最も避けたいのが、悪徳業者に依頼してしまい法外な費用を請求されることです。
悪徳業者は、外壁塗装リフォームを行う方が、工事費用の相場などを知らないことを利用し、様々な手口で不当に利益をあげようとします。
よくある悪徳外壁塗装業者の手口では、
- 外壁塗装に使用する塗料を相場よりも高い値段で売る
- 必要のないリフォーム工事まで行おうとする
- 工事の途中で追加費用が必要な工事を勝手に始めて事後請求をする
などが挙げられます。
悪徳外壁塗装業者の多くは、訪問販売業者であり、家に突然訪問し、様々な言葉で住んでいる人を丸め込んで、高額な契約をさせようとします。
外壁塗装のリフォームに関する知識を持っていないと、この突然現れた悪徳業者のセールストークにまんまと引っかかってしまう恐れがあるのです。
このような訪問販売を行う悪徳業者に狙われないためにも、こちらの記事を参考にしながら悪徳業者の手口を知っておきましょう。
参考:外壁塗装の悪徳業者を寄せ付けないために知っておくこと
外壁塗装で失敗しない為の対策と悪徳業者の手口、見抜き方
●原因3:元請け業者の中間マージンで費用が高くなってしまった
多くの大手リフォーム会社、ハウスメーカー、工務店などでは、自社で工事を行う社員がおらず、契約した物件の工事を下請けの外壁塗装業者や足場設置業者に委託しています。
下請け業者に外壁塗装工事を依頼した際、元請け業者は中間マージンという仲介料を差し引いた上で下請け業者に委託するため、この工事には必要ない中間マージンを施主が負担しなければなりません。
この中間マージンで外壁塗装費用を高額にならないようにしたいのであれば、外壁塗装工事をすべて自社で行う外壁塗装専門業者に依頼するのがよいでしょう。
依頼する外壁塗装業者のホームページで以下のような文を探し、自社で工事を行う業者を探すようにしましょう。
- 「営業・打ち合わせ・塗装工事・工事後点検などすべて弊社のスタッフが行います」
- 「ひとつの現場に一人の担当者が付き、見積もりから工事まで同じ人物が担当します」
- 「スタッフは全員塗装職人ですので、職人目線で見積もりなども対応します」
- 「自社施工なので中間マージンは発生しません」
●原因4:複数社から相見積もりを取らなかった
複数の外壁塗装会社に現地調査を依頼して、見積書を受け取り、
- 外壁塗装リフォーム工事全体の費用
- 外壁塗装工事で行う修復や塗装などの工程
- 現地調査を行う担当者や職人の雰囲気、対応力
などを比較した上で契約先を決めることが、外壁塗装リフォームを失敗しない最も有効な方法です。
外壁塗装業者を決める方法には、
- 知人に紹介された
- 知人、友人、親戚などが勤めている
- 家から業者の営業所が近い
- ネットのクチコミなどで有名
など様々な決め方があり、それぞれの決め方が間違っているわけではありません。
ただし、一つの外壁塗装業者しか見ずにリフォーム工事を依頼する業者を決めてしまうと、相場を把握できず、費用を多めに支払ってしまう可能性もあります。
複数の外壁塗装業者から見積もりをもらって比較するという作業は、塗装業者の提案内容や工事金額を比較するために必要ですし、法外なリフォーム工事費用を請求したり、手抜き工事をしたりする悪質な業者かどうかを見抜くのにも効果的です。
他の塗装業者の見積書と比較して、一つの業者の工事費用だけあまりにも高い場合や、安すぎる場合は、その業者を依頼先の候補から外しましょう。
また「塗装一式○○円」など、塗料の使用量が曖昧な見積書を作る業者も、
- 何を根拠にその工程の費用が計算された費用かわからない
- 行われる工事内容が適切かどうかも判断できない
などの理由から、まずは選択肢からは除外した方がいいでしょう。
失敗例2.満足した仕上がりの塗装にならなかった
外壁塗装リフォームが完成するまで仕上がりに満足できるかわからないという点は、外壁塗装の楽しみでもあり、不安でもあります。
外壁塗装工事の前に頭の中で考えたイメージと実際の仕上がりの状態を近づけるためにも、塗装前には効果的なカラーシミュレーションや試し塗りを十分に行うことが重要です。
●原因1:色を決めるためのカラーシミュレーションが不十分だった
家に塗る色を選ぶときに外壁塗装業者からもらえるカラーサンプル(色見本)には、
- 3cm×3cm程度に小さく切り取られたもの
- A4サイズ(21cm×29.7cm)の大きなボード
など、様々な大きさのものがあるため、できるだけ大きなカラーサンプルを用意してもらうようにしましょう。
小さなカラーサンプルに塗られた塗料の色と、実際に家に塗った塗料の色では、同じ塗料であっても、見た時の感じ方が変わる「面積効果」といわれる目の錯覚が起こるため、「思っていた色と違う」という事態が起こってしまいます。
参考:外壁塗装の色選び方法の注意点と絶対に失敗しないコツと流れ
●原因2:周囲の景観に配慮して色を選ばなかった
近隣の家や周囲の建物の色や雰囲気を考えずに自分の家の色を選んでしまうと、周囲から自身の家の色が必要以上に目立ってしまい、どんなに自身が気に入った色で外壁や屋根を塗装できても違和感が生じてしまいます。
外壁や屋根の色選びでは、自分たちの家の色だけではなく、近隣の建物や植木、公共物などの色や配色に似ていないか、周りと比べて目立ちすぎないかまで考慮する必要があります。
参考:外壁塗装の色選び方法の注意点と絶対に失敗しないコツと流れ
失敗例3.近隣住民から工事に関するクレームが届いた
外壁塗装工事中は様々な騒音や、塗料の飛散などが考えられ、それが近隣の家まで届くと、近隣住民とのトラブルに発展してしまう場合があります。
近隣住民とのトラブルを起こしてしまうと、外壁塗装工事後が終わったあとも気まずい思いをし続ける可能性もあるため、施工現場の近隣には事前のお詫びや、工事工程の説明で挨拶に伺うなど、特に入念な配慮が必要です。
●原因1:工事前の近隣へのあいさつが不十分だった
外壁塗装工事開始1週間前までには、工事を担当する外壁塗装業者が近隣の家々にタオルなどの粗品や工事工程が書かれたチラシを持って挨拶回りを行ってくれますので、あらかじめ近隣に住む人たちに外壁塗装工事中の注意点や騒音などで迷惑をかける可能性などを事前に伝えることができます。
外壁塗装業者が、挨拶回りで近隣住民に伝えてくれる注意事項は、
- 工事の内容について(工事期間、工事の範囲、土日祝日の作業の有無)
- 騒音について(足場工事時、作業員の掛け声、工事車両の移動音)
- 臭いについて(臭いが発生する期間、臭いの持続時間)
などですが、塗装業者によって工事前の挨拶回りの内容や流れは若干異なる場合があります。
施主も事前に外壁塗装業者が挨拶回りで近隣に配布する挨拶状や連絡する内容などのチェックをおこない、伝え忘れている内容や、地域内に住んでいる人しか気づかないような見落としがないか確認しておきましょう。
●原因2:トラブル発生後すぐに近隣住民に謝罪をしなかった
近隣住民からクレームやお叱りを受けたときはすぐに謝罪しなければさらなる怒りを招いてしまう可能性があるため、塗装工事中に近隣住民からクレームを受けたときはすぐに施工している外壁塗装業者に報告し、クレーム内容に対して然るべき対応をしてもらうことが肝心です。
もし塗装工事中に近隣住民からクレームを受けたのにも関わらず、施工している外壁塗装業者にすぐ伝えず、クレーム内容を改善しないまま放置して塗装工事を続けてしまうと、近隣住民の精神的苦痛や怒りはますます大きくなり、さらにひどいクレームやトラブルに発展してしまうでしょう。
外壁塗装駆け込み寺に実際にあったご相談で、「近隣住民が塗装作業員にクレームを入れたにも関わらず、塗装作業員がそのことを施主に伝えておらず、あの家はクレームを入れたのに謝りもしない、と余計な怒りを招いてしまったというケースがありました。
近隣住民からのクレームが発生したときにすぐ施主と業者が連携できるように、塗装業者を選ぶときは意思疎通のしやすさやフットワークの良さ(業者事務所と施工した家の距離も含む)なども判断材料にするとよいでしょう。
●原因3:現場管理が不十分な業者に依頼してしまったため近隣に迷惑をかけた
戸建ての一般的な外壁塗装では、
- 塗装を行う建物の周りに架設足場を設置する
- 架設足場の周りに飛散防止ネットを張る
- 敷地内の植木や車をビニールシートを取り付ける
- その他の細かい部分にマスキングテープやシートを貼り付ける
などで、近隣の住居や道路などの住宅周辺へ水しぶきや塗料が飛ばないよう養生を行いますが、現場管理が不十分でずさんな養生を行うような外壁塗装業者に任せてしまうと、塗料や汚れた水しぶきなどを周囲に飛散させてしまうことがあります。
外壁塗装工事で養生を済ませておくべき箇所は、基本的に外壁塗装業者側が判断して保護してくれますが、普段その家に住んでいる施主にしか気づけない箇所の養生漏れが起こる可能性もありますので、塗装が始まる前に建物の周りを一周し、塗料や汚れた水しぶきが飛び散っては困る場所などをチェックしておきましょう。
失敗例4.施工ミスが発生して仕上がりが悪くなってしまった
外壁塗装工事において施工ミスは、建物の耐久性低下や外装材の劣化に繋がってしまうためあってはならないことであり、様々な施工ミスを防ぐために最も効果的なのは、信頼できる外壁塗装業者に工事依頼を行うことなのです。
ここではなぜ施工不良が起きてしまうのか、外壁塗装駆け込み寺に実際にあった相談で多い失敗例をまとめています。
●原因1:下地処理工程が不十分だった
外壁塗装では塗料を塗る作業の前に、
- 外壁や屋根表面の汚れを高圧洗浄で落とす
- ひび割れや傷、コケなどの異物を手作業で取り除く
- 鉄部の錆びを落とす(ケレン作業)
- サイディングボード目地のコーキング材(シーリング材)を打ち直す
などの下地処理作業(下地調整作業、下地補修作業ともいいます)を十分に行う必要があります。
もし外壁や屋根の塗装前の上記の下地処理作業を十分に行わない場合、耐久性が高い塗料で塗装しても、外壁表面に残った汚れやひび割れに邪魔されて塗料が外壁や屋根に密着できず、塗装工事後数週間や数ヶ月などの短期間ですぐに剥がれてしまうでしょう。
外壁塗装専門業者の中には、「塗装工事で最も重要な工程は、塗装作業ではなく下地処理作業」という業者もいるほど、塗装前の下地処理作業は、耐久性の高い塗膜を作り外壁塗装工事を成功させるために欠かせない工程の一つなのです。
参考:外壁塗装はケレン作業が命!ケレンの大切さや作業内容
下地処理の外壁塗装費用と相場
●原因2:手抜き塗装を行う業者に依頼してしまった
外壁塗装工事は素人にはわかりにくい工事であるため、客を騙すような悪徳業者だけでなく、見た目にはきちんとした工事と変わらない手抜き工事を行う業者も外壁塗装業界には数多く存在します。
前項の下地処理作業不十分にしか行わないような手抜き業者ももちろんいますし、その後に行う塗装工程でも「3回塗るべき塗料なのに2回しか塗らない」などの手抜きは非常に行われやすいです。
手抜き業者を避け、優良業者に外壁塗装工事を依頼するには、複数の業者に相見積もりを依頼したり、外壁塗装駆け込み寺などのリフォーム業者紹介サイトに相談したりするのが効果的です。
■おわりに
外壁塗装の失敗は優良業者を選ぶことでほぼ全て回避できるといっても過言ではありません。
近隣住民からのクレームや職人の不注意による施工ミスなど、施主側では対策のしようがない失敗もありますが、優良外壁塗装業者であれば、クレームや事故といったトラブルが起きても、早期解決のために迅速に動いてくれます。
ご自身の家の塗装で避けられたはずの失敗を起こさないためにも、外壁塗装の工程や各工程の意味、費用相場や業者の選び方といった、基本的な知識を身につけて、外壁塗装駆け込み寺などの第三者機関を使って、信頼できる外壁塗装業者を見つけましょう。