外壁塗装用の塗料は、複数のメーカーから様々な商品が発売されています。
現在、外壁塗装では、日本ペイント、関西ペイント、そして今回ご紹介する、エスケー化研の3社が代表的な大手塗料メーカーとして知られています。
今回は、エスケー化研から販売されている塗料の特徴や、人気商品の特徴、さらに、他メーカーとの違いについてご紹介します。
■大手塗料メーカー・エスケー化研
エスケー化研は、大阪に本社を置く塗料メーカーです。
外壁塗装用の塗料の取り扱いが非常に多く、内装用塗料や屋根塗料など、様々なタイプの塗料が豊富に取り扱われていることから、多くの住宅や事業用建物の外壁塗装に使用されています。
1.施工価格が安く済む
エスケー化研の塗料には、他の大手メーカーに比べて、価格相場が比較的安いという特徴があります。
例えば、同じく大手塗料メーカーである、日本ペイントの水性ラジカル塗料で比較しても、平方メートルあたりの設計価格は約2分の1となっています。
もちろん、施工方法や塗料の使い方によって塗料の使用量は異なるため、必ずしもエスケー化研の塗料を使えば、施工費用が安くなるとは限りません。
また、外壁塗装の工事内容は、表面の塗り替えだけでなく、下地調整や足場調整、高圧洗浄など複数の工事が含まれるため、塗料選びだけでは、見積もりの金額を大きく減らす効果はないかもしれません。
しかし、平方メートルあたりの塗料の価格が1,000円でも上がれば、10平方メートルに施工した時の合計費用は10,000円高くなります。
業者から見積もりを取る時は、複数のメーカーの塗料で、平方メートルあたりの施工費用を比較してみると良いでしょう。
2.シリコン樹脂塗料の豊富なラインナップ
シリコン樹脂塗料は、塗装の中でも比較的グレードが高く、高級塗料のフッ素樹脂塗料とほとんど耐久性に違いもありません。
シリコン樹脂塗料は、「アクリルシリコン樹脂塗料」とも呼ばれます。
アクリル成分を基材としていますが、最もグレードの低いアクリル樹脂系塗料とは異なり、シリコン成分と強固に結合してできたアクリルシリコン塗膜が、高い耐久性を生み出します。
参考:外壁塗装で使うのはシリコン塗料ウレタン塗料どちらが良い?
エスケー化研では、アクリルやウレタンに比べると、シリコン樹脂塗料の取り扱い数が多く、水性塗料を中心に、弾性タイプの水性塗料や、クリヤー塗料や低汚染タイプなど、幅広いラインナップとなっています。
水性塗料とは、水で希釈して使う塗料です。
油性塗料のようにシンナーを使わないため、塗装中の刺激臭が少なく、人体や環境にも優しいことから、近年では主流の塗料になりつつあります。
参考:水性・油性、1・2液型、ツヤ等の塗料タイプは何が良い?
■エスケー化研の塗料の種類
エスケー化研では、内装用塗料や、鉄部専用の塗料など、幅広い種類の塗料が取り扱われています。
ここでは、外装用塗料から商品をピックアップしました。
1.エスケー化研で人気の塗料ランキング
エスケー化研には多くの塗料がありますが、作業性が高く、耐久性にも優れた、現場で特に人気が高い商品を選りすぐってご紹介します。
●1位『エスケープレミアムシリコン』
エスケープレミアムシリコンは、「シリコン」という名前が付いていますが、グレードとしては「ラジカル塗料」に分類されます。
塗料には、
- アクリル樹脂
- ウレタン樹脂
- シリコン樹脂
- フッ素樹脂
という4つのグレードに分かれていましたが、2010年代に入り、多くのメーカーで次々にラジカル塗料という新しいグレードの塗料が販売され始めました。
エスケー化研の水性シリコン塗料シリーズには、水性コンポシリコンや水性セラミシリコンなどがありますが、このエスケープレミアムシリコンは、次世代塗料・ラジカル塗料の特徴を備えた、従来品よりも高い耐久性を持つ最新塗料です。
ベースはシリコン成分ですが、高い対候性を持つハイブリッドシリコン樹脂となっており、塗膜の劣化を抑制する働きによって、紫外線や雨などのダメージを防ぎ、上位塗料のフッ素樹脂塗料に劣らない、優れた対候性を発揮します。
『外壁をしっかり守りたいけれど、価格が高額なフッ素樹脂塗料では予算オーバーしてしまう』という時などに、おすすめの塗料です。
●2位『水性セラミシリコン』
主成分はシリコンですが、セラミック成分が配合された「セラミックシリコン樹脂」で出来ているため、価格が安価でありながら、強固に結合する塗膜が低汚染性を持つため、一般的なシリコン樹脂塗料よりも高い耐久性を発揮します。
非常にオーソドックスな塗料で、モルタルやサイディングなど様々な外壁に使用できるだけでなく、期待耐用年数が非常に長いことから、住宅だけでなく、公共施設や工場など、大規模な塗装が必要になる建物でも使用されています。
水性セラミシリコンシリーズには、弾性塗料タイプの「水性弾性セラミシリコン」もあります。
弾性塗料タイプは、塗料が伸びる性質を持っていて、ひび割れしにくいという特性があります。
参考:弾性塗料とは
●3位『クリーンマイルドウレタン』
クリーンマイルドウレタンは、乾燥すると、透湿性の塗膜を作ります。
透湿性とは、塗料の内側に溜まった湿気を外に放出しながら、外から入ってくる水分を防ぐはたらきのことです。
モルタルやコンクリートは、水分・セメント・骨材(砂や砂利など)が材料になっています。そのため、施工後も外壁内部で水分の移動が起きやすく、ひび割れや湿度の変化が起きると、この水分が外壁の劣化を早める原因となってしまいます。
それを防いでくれるのがこのクリーンマイルドウレタンの持つ透湿性なのです。
また、こちらは水性塗料ではなく、溶剤系の塗料です。
溶剤型塗料は、使用時には、各溶剤メーカーが販売している、専用のシンナーで希釈しなければなりません。
しかし、クリーンマイルドウレタンは、溶剤系の中でも「弱溶剤系」に分類されるため、使用するシンナーは、比較的臭いが少なくなっています。
外壁との密着性は、溶剤系塗料の方が、水性塗料よりも優れています。
そのため、水性塗料を弾いてしまうような、ガルバリウム鋼板や金属系部材にもしっかり塗装することができます。
2.タイプ別・おすすめ塗料
以下からは、外壁のタイプ別におすすめの特殊塗料を、3種類ご紹介します。
●クリヤー塗料『SKセラミファイントップ』
SKセラミファイントップは、シリコン樹脂塗料系のクリヤー塗料です。
クリヤー塗料とは、顔料を含まない、無色の塗料です。
そのため、スタッコ仕上げやリシン仕上げ、意匠系サイディングのように、表面に模様やテクスチャーがある外壁への吹き付け塗装に適しています。
そのほか、戸建て住宅の、木目調の軒天の表面保護として使用されることもあります。
開封したばかりのSKセラミファイントップは、薄く着色されています。
これは、施工中に塗り残しやムラを防ぐためのもので、施工後、塗料が乾燥すると色は消えて透明になります。
また、クリヤー塗料には表面保護の効果はありますが、外壁の汚れや傷をカバーすることはできません。
そのため、施工から約10年以内の、比較的保管状態が良い外壁への使用をおすすめします。
●クールテクトシリーズ
クールテクトシリーズとは、外壁に遮熱効果を追加する塗料のシリーズで、微弾性の下塗り材と、遮熱塗料の上塗り材があります。
遮熱とは、屋外から届く熱をカットし、室内の温度上昇を防ぐはたらきのことです。
下塗り・上塗り塗材ともに、水性系と弱溶剤系の2種類が用意されていますので、水性塗料が適していない金属系外壁材でも、遮熱塗装が可能です。
下塗り材は、外壁と塗料の密着性を高める微弾性タイプです。
ただし、微弾性塗料との相性が悪い窯業系サイディング材には、「水性クールテクトプライマー」と呼ばれる専用の下塗り材を使用します。
また、上塗り材は、アクリルシリコン樹脂とフッ素樹脂の2種類から選ぶことができます。フッ素樹脂タイプを選ぶと、アクリルシリコン樹脂タイプの約2~3倍の予算が必要になりますが、ハイグレードなフッ素樹脂で、遮熱しながら外壁をより長く保護するという選択も可能です。
●弾性塗料『水性弾性セラミシリコン』
こちらは、先ほどご紹介した、水性セラミシリコンの弾性タイプです。
弾性塗料の注意点として、サイディング外壁には使用できないという点があります。
参考:ゴムの性質でクラックを防止する複層、単層、微弾性塗料とは
サイディング外壁に弾性塗料を塗装すると、サイディング材に溜まった熱が塗膜の品質に悪影響を与え、膨れや剥がれなどの施工不良を引き起こす恐れがあります。
また、弾性塗料の水性弾性セラミシリコンは、標準タイプのセラミシリコンに比べると塗料代が割高になってしまいます。
しかし、弾性塗料はモルタル外壁用上塗り材として、非常に高い効果を発揮します。
ひび割れが多いモルタル外壁やコンクリートでは、ゴムの性質を持つ弾性塗料で表面を保護することで、外壁に加わった衝撃に追従して、割れの発生を防ぐことができます。
弾性塗料の施工方法は、「複層弾性工法」「単層弾性工法」「微弾性工法」の3種類です。
以下でそれぞれを簡単に解説いたします。
複層弾性工法
複層弾性工法とは、下塗り材の上に、弾性塗料を中塗材として2回、その上に上塗材を2回ずつ塗装して仕上げる工法のことです。
単層弾性工法
単層弾性工法は、弾性塗料で中塗りと上塗りをそれぞれ1回、「微弾性工法」では、下塗り材に微弾性フィラーを使い、弾性ではない中塗り塗料と上塗り塗料を1回ずつ塗装します。これら2つの工法は、複層弾性工法よりも施工回数が少ないため、耐久年数も短く、弾性塗料の効果を十分に発揮することができない恐れがあります。
複層弾性工法
複層弾性工法は、施工の手間が増える分、他の弾性工法よりも施工費用が高額になり、時間もかかります。
しかし、予算はある程度かかっても良いので質が高い工事にしたいという方は、弾性塗料の効果を高めるためにも、できるだけ選択しておいた方が良い工法です。
参考:ゴムの性質でクラックを防止する複層、単層、微弾性塗料とは
■まとめ
エスケー化研の塗料は、多くの外壁塗装業者で使用されていますので、複数業者から見積もりを取ると、必ず一度は名前を目にすることがあるでしょう。
施工価格は比較的落ち着いていますが、金額だけでなく、塗料別の品質や施工方法の違い、ご自身の家の外壁材など、総合的な情報を元に塗料を選ぶ必要があります。
外壁リフォームの際は、見積もりの内容によく目を通し、わからない塗料名や作業内容があれば、専門業者に質問し、必ず説明してもらいましょう。