車の交通量が激しい道路沿いや、繁華街の近くで昼夜を問わず通行人の話し声が聞こえるような環境で、家の中で安心して過ごすためには、防音リフォームが効果的です。
防音リフォームは、壁や床に吸音材を設置する方法以外にも、防音効果を持つ塗料で外壁や屋根を塗装するという方法もあります。
この記事では、防音効果を持つ外壁塗装のしくみや、防音リフォームの種類や費用相場、効果的な防音効果を得るためのコツなどをご紹介します。
目次
■防音には2種類の方法がある
防音には、「遮音」と「吸音」という、2つの方法があります。
防音効果の高い家を作るためには、この2つの方法の違いを理解しておかなければ、ねらい通りの効果を得られない恐れがあります。
遮音と吸音それぞれの意味やメカニズムについて理解しておきましょう。
1.遮音のメカニズム
「遮音」とは、「遮る」という文字の通り、音自体が届かないようにすることです。
音は、空気の中で振動が広がることによって伝わりますが、この振動そのものを、物で跳ね返したり、通さないようにしたりする遮音を行うことで、音が部屋まで入ってくるのを防ぐことができます。
●具体的な遮音対策
鉄やコンクリート、石膏など、密度がぎっしりしている物体ほど、音を反射しやすくなりますので、遮音効果は高くなります。
なお、遮音カーテンや遮音マットなど、軽くて扱いやすい遮音グッズも登場していますが、若干の音漏れが発生してしまい、完全な遮音性は期待できない恐れがあります。
2.吸音のメカニズム
「吸音」は、空気中で伝わってきた音を吸収して、反響しないようにすることです。
遮音は、伝わってきた音そのものをカットしますが、吸音は、伝わってきた音の威力を抑制するという点において違いがあります。
音は、物にぶつかって反射すると「反響」し、ぶつかる壁が多いほどあちこちで反響するようになります。
山で叫んだとき、自分の声が遅れて聞こえる「やまびこ」も、声が反響して起こる現象です。
音が反射しにくい素材を壁や天井に設置することで、音が物質に吸収され、反響音が減り、静かな空間にすることができます。
●具体的な吸音対策
内部に空気の穴が沢山ある(多孔質という)物体ほど、音を吸収しやすくなります。
代表的な吸音材の例としては、グラスウールや発泡スチロールなど、柔らかいスポンジ状の素材などがありますが、フェルトなどの布製品にも吸音効果があります。
歌や声を録音する部屋などでは、これらの素材でできた吸音材を壁や床に敷き詰めて、音の反響を減らし、歌声や話し声をマイクで拾いやすくしています。
3.遮音と吸音の両方を利用して防音対策を
遮音と吸音はそれぞれ働きが異なりますので、2つのうちどちらか一方だけを高めても、完全な防音対策にはならないことを押さえておきましょう。
まず、遮音には音を小さくする効果はありませんので、音が伝わってきてしまった場合は、なす術がありません。
また、吸音には音を跳ね返す効果はないため、吸音してしまえないほど大きな音が伝わってくるようであれば、大きな吸音効果は期待できない恐れがあります。
つまり、遮音と吸音は、両方がバランスよく機能するように利用することが大切です。
■防音効果を持つ塗料が存在する
家の防音リフォームは、遮音や吸音効果を持つ内装材を敷き詰める方法だけではありません。
防音効果を発揮する塗料で、外壁を塗装することも、防音リフォームの方法のひとつです。
1.日進産業の『ガイナ』の防音効果
断熱塗料として有名な、日進産業の『ガイナ』は、騒音対策に効果を持つ塗料としても知られています。
ガイナで外壁や屋根を塗装することで、屋外の車の音や人の声をカットして、室内に届きにくくする防音効果を得ることができます。
●ガイナの防音のメカニズム
ガイナはセラミック塗料の一種に分類されます。
セラミック塗料とは、セラミックが配合された塗料のことですが、このセラミックの働きによって、一般塗料にはないプラスアルファの効果が生み出されます。
ガイナに含まれるセラミックビーズ(中空ビーズ)は、外壁に塗装すると塗膜表面に広がります。
すると、外壁の表面に広がったセラミックビーズの面積分、音を反射する面積が増え、外壁や屋根に音が当たっても、音が塗膜の中で、空気を含む球体に反射して小さくなり、室内まで届きにくくなります。
これが、ガイナによる防音のメカニズムです。
ガイナについては「ガイナの費用相場や効果、評判のわけを徹底解説!」にてさらにくわしく解説しています。
2.防音塗料と一般塗料の価格差
ガイナのように、防音性や断熱性などの効果を持つ機能塗料は、一般塗料に比べると、やや値段は高くなります。
足場の設置費用や下地処理費用など、外壁塗装の付帯工事の費用と含めて、防音塗料の代表格であるガイナと、一般塗料の価格差を把握しておきましょう。
●ガイナ(防音塗料)の価格相場
- ㎡あたりの塗料単価相場…約3,000~5,000円
- 100㎡(30坪)の戸建住宅を塗装したときの総費用相場…約90~110万円
※総費用は、足場工事や下地処理作業の費用を含めた価格の相場です。
●塗料別・価格相場
※足場設置工事や下地処理作業の費用を含めた、100㎡(30坪)における相場価格です。
- アクリル塗料…約40~60万円
- ウレタン塗料…約60~70万円
- シリコン塗料…約70~90万円
- ラジカル塗料…約85~95万円
- フッ素塗料…約90~120万円
ガイナの塗装費用は、ラジカル塗料やフッ素塗料など、グレードの高い塗料と同程度となります。
3.防音塗料と一般塗料どちらを選ぶべきか
ラジカル塗料やフッ素塗料は、約15~20年という耐用年数の長さや、塗膜の高耐候性、色あせしにくく艶が長持ちする光沢保持率など、非常に性能のよい塗料ですが、防音効果や断熱効果はありません。
一方ガイナは、防音性だけでなく、断熱性や防臭効果など、様々な機能を持っていながら、約15~20年と、ハイグレードな一般塗料と変わらない長寿命さも持ち併せています。
そのため、どちらの施工方法を選ぶべきかについては、その家のリフォームのタイミング次第となります。
●塗料は家のリフォーム予定に合わせて選ぶ
例えば、10年以内に、家を建て替えたり、外壁材を新しいもので張り替えたりするような、大規模な外装工事を予定しているのであれば、ガイナで塗装してしまうと、せっかくの高耐久性と長寿命が無駄になってしまいます。
一方、建て替えや内外装リフォームの予定はなく、次の再塗装が迫っているという状態であれば、防音効果と高耐久性を持つガイナで塗装しておくと、外壁のメンテナンスと防音対策を、タイミングよく同時に行うことができるでしょう。
このように、塗料を選ぶときは、塗料のスペックだけでなく、将来的なリフォームの計画期間に合わせることも大切です。
■防音塗料で塗装するメリット
内外装リフォームにも、防音塗料にも、選んだタイミングによってメリット・デメリットの両方があります。
ここでは、あえて内外装リフォームではなく、防音塗装を選ぶことにどのようなメリットがあるのか、他の方法と比較しながらご紹介します。
1. 外壁工事よりも塗装費用は安い
部屋や建物の防音対策をするためには、遮音性の高い重い建材や、吸音性の高い素材を壁や天井に敷き詰める必要があります。
そのため、防音リフォームでは、壁や床などの内装材をいったん解体する工事が発生しますので、作業費用と部材代も含めると、6~15畳の部屋だけでも約20万円の費用となります。
さらに、家全体で本格的な防音リフォーム行うと、約120~250万円以上の費用も覚悟しなければなりません。
また、壁や床だけでなく、窓を二重にしたり、室内ドアを防音性の高いものと交換したり、傷んだ外壁材を新しいものと交換したりすれば、部材費と産廃処分費用なども発生し、約70~90万円の工事費用が追加されてしまうでしょう。
一方、ガイナなど防音効果を持つ塗料で塗装すると、よほど外壁面積が広い家でない限り、総費用が250万円になるケースは少なく、一般的な外壁塗装よりも、約1~2割ほど高い費用のみで済ませることができます。
2.塗装なら工事期間中も室内で過ごせる
内装材や外装材を張替え、新たに防音材を敷き詰める工事を行うと、工事期間中は室内で過ごせなくなり、不便な思いをしてしまいます。
特に、窓サッシの追加工事や玄関ドアの交換などを家全体で行うことになれば、冬場は工事期間中、寒い家の中で待機していなければなりません。
しかし、外壁塗装は基本的に屋外で行う作業ですので、工事期間中に室内で待機する必要はなく、作業が終わるまでのあいだ外出することも可能です。
3.屋根の雨音を抑えることができる
屋根も防音塗料で塗装しておくと、建物の外から届く人の話し声や車の音などだけでなく、屋根に当たる雨音も軽減することができます。
●金属屋根の雨音対策として
ガルバリウム鋼板やトタンなどの金属製の屋根材は、屋根に落ちる雨音が反響しやすい点がデメリットとして挙げられることがあります。
これらの金属系の屋根材を防音塗装しておくと、屋根に当たる激しい雨音を緩和することができるでしょう。
さらに、ガルバリウム鋼板などの金属系外装材は、断熱性能が他の外装材に比べて劣るというデメリットも持っています。
防音機能と断熱機能を併せ持つガイナであれば、屋根材を交換するよりもはるかに安く、防音効果と省エネ効果を得ることができるでしょう。
■おわりに
遮音と吸音が、片方だけでは完璧な防音効果を発揮しないように、防音リフォームも、何かひとつの効果だけを信頼し過ぎるのは危険です。
そのため、ガイナなど防音効果を持つ塗料で塗装するだけでは、お住まいの状況によっては、思った通りの防音効果を得られない恐れもあります。
「高級塗料ガイナを塗るだけで防音できますよ!」という、営利目的の悪徳業者の言葉を信じてしまわずに、吸音材や遮音材を内外装に設置するなどの方法も検討して、効果的な防音リフォームを計画することが大切です。
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