おしゃれな外壁にするテクニックの一つに、ツートンカラーで塗り替えるという方法があります。
しかし、複数の色で塗り分けるツートンカラーは、デザインに自信がない人にとっては、難しそうに感じてしまうものです。
特に、完成するまで仕上がりの状態がわからず、やり直しができない外壁塗装において、慣れないデザインに挑戦するのは勇気がいることでしょう。
そこで、この記事では、カラーコーディネートの専門知識がなくても、ツートンカラーを成功させるためのコツやテクニック、注意点について解説します。
目次
■ツートンカラーとは
ツートンとは「two-tone」という意味で、2つの色を使う配色テクニックのことです。
2つの色を使って配色することにより、単色では生み出せないデザイン性が生まれます。
さらに、ツートンカラーで塗装をしても、塗装費用が通常よりも割高になることはないため、塗替えの際は、ぜひ取り入れたいテクニックです。
1.単色よりもおしゃれになるツートンカラー
外壁を2色にすることで、デザインにリズム感が生まれ、おしゃれな印象がアップします。
このとき、単に違う色を2つ選ぶだけではなく、調和する色同士を組み合わせなければ、ツートンカラーにはなりません。
つまりツートンカラーとは、「異なる色同士が一つの雰囲気を生み出すこと」と覚えておきましょう。
2.ツートンカラー塗装の費用
ツートンカラーで塗装しても、使用する塗料のグレードが一緒であれば、費用は単色仕上げとほとんど変わることはありません。
基本的な外壁の塗装費用は、塗料の㎡あたり単価に、外壁の面積を乗じて算出します。
そのため、塗料を2色用意したからといって、塗装費用が跳ね上がることはありませんので、「人気のツートンカラーなので、手間賃は2倍必要です」などと言って、相場の倍以上の費用を請求してくる悪徳業者にはくれぐれも注意しましょう。
■ツートンカラー外壁にはテクニックがある
さきほど、ツートンカラーは「調和する色同士を組み合わせること」とご説明した通り、やみくもに好きな色を2つ選ぶだけでは、おしゃれなデザインにはなりません。
色彩学の専門知識を学ぶ必要はありませんので、ツートンカラーを考えるときに知っておきたい、基本的な色彩テクニックを押さえておきましょう。
1.色は配色次第で印象が大きく変わる
色の組み合わせには、一定のパターンがあります。
似た雰囲気を持つ同系色同士を組み合わせて調和させるテクニックもあれば、テンプレートの組み合わせを選んで、特定の雰囲気を演出するテクニックもあります。
そのため、お気に入りの色を手あたり次第に選んでしまうと、失敗の組み合わせに当たる確率は、自ずと高くなってしまいます。
調和する組み合わせの色を選ぶためにも、まずは、ツートンカラーでどのような雰囲気やテーマを生み出したいのか決めておきましょう。
●組み合わせる色によって雰囲気が異なる
例えば、大抵の色と調和する「白」でも、組み合わせる色次第で、全く異なる雰囲気を持つようになります。
イエロー、ピンク、ベージュ系などとの組み合わせは、穏やかで優しい雰囲気になり、白と黒の組み合わせであれば、シャープでモダンな印象に、白とネイビーで組み合わせると、洗練されていながらどこか優しい、北欧風の印象を作ることができます。
2.ツートンカラーはメリハリが大切
ツートンカラーにするときは、建物全体のメリハリを意識しましょう。
建物全体にメリハリを生み出すためには、最初にベースとなるカラーを決め、そのベースに対し、組み合わせる色をアクセントとして使いましょう。
●ベースカラーと配分を決める
外壁全体の6~7割をベースカラーとし、残りの3~4割にアクセントとなる色を組み合わせることで、メリハリのあるツートンカラーを作ることができます。
色の配分を5:5にしてしまうと、メリハリが薄れてまとまりのない外壁デザインになってしまうので注意しましょう。
ベースカラーには、アイボリーホワイトなど穏やかな色が使われることが多く、アクセントとして、ダークブラウンやネイビーなどの濃い色と組み合わせるツートンカラーが定番となっています。
また、ワンランク上の配色テクニックとして、セパレーションカラーと呼ばれる3つ目の色を全体の1割以下に少しだけ加える方法もあります。
セパレーションカラーは、ベースカラーに近い色を選んで全体の調和を取ることもできますが、赤や黒などインパクトのある色を差し色として使うコーディネートもおすすめです。
●塗り分ける位置もまとまりを意識する
ベースカラーとアクセントカラーを塗り分けるときは、外壁の形に合わせて区切ることを意識しましょう。
外壁の形を無視して、窓サッシのやや上やど真ん中など、中途半端な位置で塗り分けると、違和感が出て統一感が薄れてしまいます。
ベランダなど外壁の出っ張った部分や、窓サッシの角に合わせて塗り分けると、配色と外壁の形が調和し、秩序の取れたデザインとなります。
3.区切る向きによって雰囲気が変わる
塗りたい場所を塗りたい色でばらばらに塗り分けても、おしゃれな配色にはなりません。
また、水平方向に区切るか、垂直方向に区切るかによって、外観の印象は全く異なります。
塗る色の組み合わせが決まったら、区切る向きも複数パターンを比較するとよいでしょう。
●水平方向に区切る
水平方向に上下で色を区切ると、上の色と下の色が色の流れを作ります。
例えば、下半分に濃い目の色、上半分に薄い色を置くと、家の下部分が膨張したように目が錯覚し、ずっしりとした大きな家のような重厚感が生まれます。
●垂直方向に区切る
垂直方向に左右で色を区切ると、スタイリッシュな印象が生まれます。
よりスタイリッシュな雰囲気を強調したいときは、ネイビー×茶や黒×白など濃い色をアクセントに使う組み合わせを選ぶとよいでしょう。
反対に、スタイリッシュな雰囲気を抑えたいときは、ベージュ×薄い茶色、白×パステルブルーなど、穏やかな色同士を組み合わせると、鋭さがなくなり、優しい洋風のデザインにすることができます。
●出っ張った部分で区切る
ベランダや外壁の出隅など、出っ張った部分を使って塗り分けるテクニックもおすすめです。
建物の形状に対し、ベースカラーとアクセントカラーがきれいに調和し、立体感も生まれますので、最もシンプルでまとまりのあるデザインになります。
■ツートンカラーにするときの心構え
単色での塗装と違って、複数の色で塗り分けるツートンカラーには、いくつかの注意点があります。
色の選び方の基本的な注意点はもちろん、ツートンカラーにするときのコツも併せて押さえておきましょう。
1.実際に塗装するまで仕上がりはわからない
ツートンカラーにするときも、単色で塗るときも、実際に塗装してみるまでは、仕上がりの印象は分かりません。
色を選ぶときは、実際に塗装した状態に近い色見本を作ってくれて、納得できるまでカラーシミュレーションを手伝ってくれる、施工実績が豊富な業者を選んでおくことが大切です。
●大きな色見本を用意する
明るい色は、小さな面積に塗られたときよりも、大きな面積に塗ると鮮やかな色味に見えることがあります。
反対に、暗い色は、小さい面積に塗られていると濃く見えるように目が錯覚します。
このように、塗られた面積によって明度や彩度が違って見える現象を、色の「面積効果」と呼びます。
また、太陽光の下や影になったときでも色の見え方は異なります。
これらのことを知らずに、小さなカラーサンプルや色見本帳の色を信じて塗装してしまうと、「白に近いクリーム色かと思ったら黄色っぽくなってしまった」「濃い黒かと思ったらグレーに近い色になってしまった」のように、イメージと違う結果にがっかりしてしまうかもしれません。
色見本は、A4サイズなどできるだけ大きなものを作ってもらい、その色見本を光にかざしたり、遠くから眺めたりして、実際に塗装された状態に近い環境で色を確かめましょう。
参考:外壁塗装の色見本は塗料の雰囲気を知るときにしか使えない
●施工経験に基づくアドバイスを参考にする
塗装前のイメージと実際の仕上がりを誰よりも知っているのは、何百~何千件も建物の塗装をしてきた塗装業者です。
また、コンピューターによるカラーシミュレーションは、あくまで画面上のシミュレーションであり、何よりも信頼できるサンプルは、実際に塗装が行われた家に他なりません。
ツートンカラーの配色を考えるときは、依頼する業者が実際に行った、ツートンカラーの施工事例などを見せてもらい、塗り分けのポイントや自分たちの家で応用できるテクニックなどを教えてもらうとよいでしょう。
2.外壁以外のパーツの色に注意
家の外壁まわりにあるのは、外壁や屋根だけではありません。
窓サッシやカーポート、植木、門扉、フェンスなどのエクステリアパーツも忘れずに配色に加えて考えましょう。
●付帯部こそ慎重に色選びを
配色を考えるとき、特に忘れがちなのが、雨樋や軒天、鼻隠し、破風板などの外壁の付帯部分です。
せっかくきれいな配色と塗り分けを計画しても、付帯部を相性の悪い色で塗装してしまっては、全体の調和性が台無しになってしまいます。
付帯部が目立たないように外壁と同じ色で塗装するか、あえて目立たせるかによっても外壁の印象は大きく異なりますので、ツートンカラーにするときは、ぜひ付帯部の色選びもこだわりましょう。
■おわりに
ツートンカラーは、今の外壁デザインに物足りなさを感じている人であれば、ぜひ取り入れたい配色テクニックです。
一見難しそうに見えますが、
- 色同士の相性とそれによって生じるテーマ
- 塗り分けの位置
- 区切る方向
をしっかり押さえておきましょう。
さらに、失敗しないように大きな色見本を作ってくれる業者に依頼できれば、決して高度な専門知識がなくとも、おしゃれな外壁を手に入れることは可能です。
まずは、ツートンカラーで塗装された住宅の施工例をいくつか実際に見て、どのような雰囲気の家にしたいかを決めていきましょう。