ガルバリウム鋼板とは、外壁・屋根どちらにも使える金属系の外装材です。
外装材には、外壁材であれば窯業系サイディングやタイル、モルタル、屋根材であれば瓦やスレート材など様々な種類があり、リフォームの際、これらの外装材とガルバリウム鋼板の中からどれを選ぶか、お悩みの方も少なくはないでしょう。
この記事では、リフォームにぴったりのガルバリウム鋼板を選ぶために、各メーカーの商品の種類や、選ぶときのポイントについてご紹介します。
目次
■ガルバリウム鋼板を選ぶ前に知っておくこと
ガルバリウム鋼板にはメリット・デメリットがあり、これらをよく理解しておかなければ、ガルバリウム鋼板でリフォームしても理想の結果にならない恐れがあります。
ガルバリウム鋼板の特徴や、対策しておくべきデメリットについて把握しておきましょう。
1.ガルバリウム鋼板の特徴
ガルバリウム鋼板は単なる鉄の板ではなく、アルミと亜鉛の合金めっきの上からさらに樹脂塗料で塗装されています。
樹脂塗料の耐久性が低下しても、鋼板表面のメッキ層が錆びから原板を守るため、剥き出しの金属に比べて錆びにくい構造になっています。
また、万が一めっき層が腐食しそうになれば、めっきに含まれる亜鉛が犠牲防食作用を発揮し、鉄よりも先に溶けて、鉄の腐食を発生させないようにはたらきます。
このようなメカニズムによって、従来の金属系外装材よりも、ガルバリウム鋼板は耐用年数も長く、メンテナンス性にも優れた商品となっています。
また、軽くて扱いやすいため施工性も高く、金属特有のスタイリッシュな見た目を持つことから、スレート屋根材やサイディング外壁材に並ぶ外装材として、注目されるようになりました。
現在、ガルバリウム鋼板は、様々なメーカーから改良を重ねて製造・販売されています。
2.ガルバリウム鋼板の注意点
ガルバリウム鋼板は、トタンなどの従来の金属系外装材よりも錆びに強く、劣化しにくいというメリットがありますが、大切な住まいの外装材にする以上は、デメリットも把握しておかなければなりません。
また、各メーカーのガルバリウム鋼板を選ぶときに、そのデメリットに対してどのような工夫が施されているか確認しておくこともポイントです。
ガルバリウム鋼板の注意点としては、以下のようなものがあります。
●雨音が響きやすくなる
ガルバリウム鋼板で建物の周りを囲むと、家に当たる雨音が響きやすくなります。
程度の差はありますが、気になる人にとっては、非常にわずらわしさを感じることもあるでしょう。
●断面から錆びることもある
最新技術のめっきで強化されているとはいえ、ガルバリウム鋼板の本体は単なる鋼板ですので、水分や錆びに触れてしまえば、当然本体も錆びてしまいます。
外壁材は、家に張り付けるとき現場でカットされることがありますが、施工時にできた断面が長期間むき出しになっていたり、釘など他の金属系部材が錆びたりすれば、ガルバリウム鋼板といえども、早くに錆びが生じてしまうでしょう。
そのためガルバリウム鋼板の塗装では、錆びが発生していないか塗装前によく点検し、発生したサビに対しては、入念なケレン作業や防錆塗装が欠かせません。
また、海から潮風が届きやすい沿岸部は、塩害で金属が錆びやすくなるため、金属系のガルバリウム鋼板は、施工保証や、塗装の工事保証の対象外になることがあります。
●仕上げ方次第で外観デザインが大きく変わる
ガルバリウム鋼板で施工された家は、光沢のあるスタイリッシュな見た目になります。
そのため、外観をモダンなイメージに仕上げたいという方にとっては、ガルバリウム鋼板はぴったりの外装材です。
しかし、温かみのあるナチュラルな外観にしたいという方には、ガルバリウム鋼板のスタイリッシュさはおすすめできません。
また、カラーコーディネートを誤ると、せっかくのガルバリウム鋼板の質感が活かしきれず、意図せず「倉庫や工場のような見た目になってしまった」というケースもあります。
このような失敗を防ぐためには、サンプルを見ただけで決めてしまわず、実際のそのガルバリウム鋼板が外装に使われた施工事例などをよく見て検討しましょう。
■様々な種類のガルバリウム鋼板が販売されている
販売しているメーカーごとに、ガルバリウム鋼板の種類や特徴は異なります。
また、メーカー独自の保証が設定されているため、別のメーカーのガルバリウム鋼板に変更すると、工法が変わって補修工事が追加で必要になったり、保証内容が異なったりすることがあるため、できるだけ長く使い続けられるメーカーを最初に決めておくことが望ましいでしょう。
特に、ガルバリウム鋼板はメーカーの施工基準が厳しい外装材です。
メーカー指定の施工業者で施工しなければ、保証が発行されなくなり、また、塩害が発生しやすい沿岸部地域は補償の対象外となっているため、施工前に、お住まいの外装材として本当に相応しいか、施工業者とよく打ち合わせておきましょう。
■メーカー別・ガルバリウム鋼板の種類
以下からは、主なメーカーのガルバリウム鋼板の種類についてご紹介します。
1.ニチハ
画像引用:ニチハ「わが家の壁サイト」
http://kabesite.com/examples/view/319/srt:newer/gaihekizai_text:1CS1G01Q/gaihekizai_target:2
外装材メーカー大手のニチハからは、以下のガルバリウム鋼板が販売されています。
●外壁材『センターサイディング』
商品名 | 特徴 |
iシリーズ |
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プレミアムシリーズ |
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t-colorシリーズ |
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モノカラーシリーズ |
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ベーシックシリーズ |
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両面鋼板パネル |
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すべて保証期間は赤さびに対して10年間となっています。
●屋根材『センタールーフ(超高耐久横暖ルーフ)』
色あせやひび割れといった基本の屋根保証はもちろん、錆びの保証は20年、穴あきには25年の保証も追加され、より使いやすい屋根材に改良されました。
また、これまでは沿岸部から4km以上離れた地域しか施工できませんでしたが、500mまで補償対象となりました。
さらに、ガルバリウム鋼板は断熱性が低いため、断熱材と併用しなければならない北海道では施工できない傾向にありますが、センタールーフは断熱材一体型のため、北海道も含む日本全国で施工可能となっています。
2.旭トステム
旭硝子とトステムという、外装材メーカーの統合により誕生した旭トステムでは、新築からリフォームまで対応可能なガルバリウム鋼板が販売されています。
●金属Danサイディング
商品名 | 特徴 |
スチール超深絞り |
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スチール深絞り |
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スチールニュースタンダード |
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スチールスタンダード |
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アルミ深絞り |
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アルミスタンダード |
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3.ケイミュー
●金属サイディング『はる・一番』
「はる・一番」は、ガルバリウム鋼板に「遮熱性フッ素焼付塗装」を施した、高耐久・軽量の商品です。
外装材のリフォーム方法に、既存の壁に新しい外装材を貼りつけるカバー工法というものがあります。
カバー工法のデメリットとして、建物の躯体重量が増えてしまうという点がありますが、はる・一番はサイディング材よりも軽量なため、このカバー工法に向いています
また、カバー工法であれば、古い外壁材を撤去したときの産廃処分費用が発生しないため、リーズナブルに外装のリフォームが行えます。
●金属屋根材『スマートメタル』
ケイミューのスマートメタルは、ガルバリウムよりもさらに高い耐食性を持つ「エスジーエル(スーパーガルバリウム)」の商品です。
耐食性に加えて遮熱性も付与されたため、高温になりやすい屋根でも安心して使えるガルバリウム鋼板となっています。
千鳥葺き・階段葺き・乱葺きの3種類の葺き方と、ブラック・ブラウン・グリーンの3色の組み合わせが可能です。
4.アイジー工業
引用URL: https://www.igkogyo.co.jp/syohin/detail.html?id=20
金属外装材メーカーとして知られるアイジー工業では、外壁・屋根両方でガルバリウム鋼板商品が販売されています。
●金属サイディング『アイジーサイディング』
シリーズ名 | 特徴 |
シンプルモダンシリーズ |
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ナチュラルシリーズ |
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ベーシックシリーズ |
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●金属屋根材『アイジールーフ』
商品名 | 特徴 |
スーパーガルテクトフッ素 |
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スーパーガルテクト |
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スーパーガルテクトC |
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5.日鉄住金鋼板
引用URL: http://www.nisc-s.co.jp/products/plating/03/
日鉄住金鋼板のガルバリウム鋼板には、一般的なガルバリウム鋼板を原版にしたシリーズと、マグネシウムを含有し耐食性を向上させた「エスジーエル」をベースにしたシリーズがあります。
「テラコット」と「ネオシルキー」を除いて、屋根・外壁どちらにも使用可能です。
商品名 | 特徴 |
タイマフロンGL |
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テラコット
(屋根用のみ) |
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ネオタイマ |
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ネオシルキー
(屋根用のみ) |
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エスジーエル |
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ニスクカラーSGL |
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ニスクカラー |
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ニスクフロンSGL |
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耐磨カラーSGL |
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ハイレタンSGL |
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■おわりに
ガルバリウム鋼板の種類には、従来のベーシックな商品のほか、めっき層に改良を加えた、エスジーエル(スーパーガルバリウム)なども登場しています。
メーカーのシリーズによってはカラー展開が豊富なものもあるため、お住まいの外観イメージにぴったりの商品を見つけることができるでしょう。
ただし、どんなに優れたガルバリウム鋼板を材料に選んでも、施工業者の技術力が不安定では、その効果は長持ちしません。
デメリット面も指摘して、お住まいの劣化症状に最も相応しいガルバリウム鋼板を、安全に施工してくれる業者を探すことも、ガルバリウム鋼板の効果を活かすための大切なポイントです。