外壁塗装を長持ちさせる為に知っておきたい注意点

外壁塗装では、その家に適した補修を行い、品質の高い塗料を正しく使用して工事を行わなければ塗装を長持ちさせることはできず、補修などが不十分であったり、質が悪い塗料を間違った施工方法で行った場合には、ひび割れや剥がれなどの施工不良が起き、工事のやり直しが必要となります。

この記事では、外壁塗装で使われる塗料の種類やそれらの塗料が何年ほど品質を保持できるのかという耐用年数の目安などを踏まえながら、外壁塗装工事前に知っておくべき「外壁塗装を長持ちさせるポイントや注意点」などについてご説明します。

■外壁を長持ちさせるなら塗料選びが最も重要

1.塗料がどれくらい長持ちするかは塗料の成分で変わる

外壁塗装に使用する塗料が長持ちするかどうかはその塗料を製造した塗料メーカーが発表している「耐用年数」から判断でき、この耐用年数とは「適切に施工した場合、塗装工事後に外壁を守り続けることができる年数」を予測したものです。

外壁塗装用の塗料はいくつも種類がありますが、大きく分けると長持ちする順で、フッ素塗料、ラジカル塗料、シリコン塗料、ウレタン塗料、アクリル塗料で、フッ素塗料が最も長く外壁を守ることができる塗料です。

●フッ素樹脂塗料(耐用年数:15年~20年)

最も耐久性が高く、信頼性も高いと言われるフッ素樹脂系塗料は、外壁塗装をできるだけ長持ちさせて外壁塗装工事を行う頻度を減らし、数十年単位でのコストを抑えたいという方におすすめの塗料です。

フッ素樹脂系塗料は、平方メートルあたりの単価が4,000~4,500円で、家全体を塗れば工事費用が100万円を超えることが多く、他の塗料に比べて非常に高価な塗料ですが、期待耐用年数が15年〜20年と長持ちするため、塗替えの頻度が減り、家の寿命を迎えるまでの総合的な工事費用を安く済ませることができます。

 

しかし、フッ素樹脂系塗料を塗った外壁では、非常に硬い塗膜を作られるため、木部やモルタルといった経年劣化で収縮が起きる素材に塗装すると、硬い塗膜が割れやすいというデメリットもあり、最高級の塗料だからといってすべての家に対して使用でき、長持ちするというわけではありません。

参考:フッ素塗料の価格相場やメリット、デメリットを確認しよう

●ラジカル塗料(耐用年数:12年~15年)

ラジカル塗料は、塗料を劣化させる因子(=ラジカル)を抑制する機能を持つことからその名がつけられており、正式名称は「ラジカル制御型塗料」といいます。

 

開発されて市場に出回ってからまだ数年しか経っていない塗料であるため、実際にラジカル塗料で塗装を行った家や建物などの施工例が少なく、ラジカル塗料を取り扱う店舗も少ないです。

このように、信頼性に関しては他のフッ素塗料やシリコン塗料などには劣りますが、シリコン樹脂塗料以上の費用対効果が期待できる塗料といえます。

参考:ラジカル塗料の特徴やメリット・デメリットとは?

●シリコン樹脂塗料(耐用年数:10年~13年)

シリコン樹脂塗料は、耐久性と費用対効果ともに優れ、今現在の外壁、屋根塗装で最もよく使われている塗料です。

外壁塗装工事の塗料選びで迷ったときは、約10年以上耐用年数が続き、価格も高すぎないシリコン樹脂塗料でまず見積もりを取り、他のフッ素樹脂塗料やウレタン塗料と耐久性や施工価格を比べて自宅の外壁塗装に相応しい種類を選ぶとよいでしょう。

参考:外壁塗装におけるシリコン塗料の特徴と他塗料との比較まとめ

●ウレタン樹脂塗料(耐用年数:7~10年)

ウレタン樹脂を主な成分とするウレタン樹脂塗料は、シリコン樹脂塗料やフッ素樹脂塗料よりも安く、アクリル樹脂塗料よりも耐久年数が長いというバランスのよい塗料です。

ウレタン樹脂塗料は10年前までは最も一般的に戸建ての塗装に使われる塗料でしたが、最近ではウレタン樹脂塗料よりも高性能であるシリコン樹脂塗料が安くなってきたのでそちらがよく使用されています。

現在でもウレタン樹脂塗料の伸びる性質を生かして、木部や防水塗装など、現場の状況に応じて使われる塗料です。

参考:外壁塗装でウレタン塗料を選ぶメリットはある?

●アクリル樹脂塗料(耐用年数:5〜8年)

アクリル樹脂塗料は、外壁塗装用の塗料の中で最も低価格ということもあり、20年前まではとても需要の多い塗料でしたが、ウレタン樹脂塗料やシリコン樹脂塗料などのアクリル塗料よりも高品質な塗料の価格が下がってきたことにより、アクリル樹脂系塗料は現在、外壁塗装リフォームではあまり使われなくなっています。

参考:アクリル塗料が使われない理由とシリコン、ウレタンとの比較

2.外壁塗装の塗料が長持ちするかは含まれる樹脂以外も影響する

1液型2液型

外壁塗装の塗料には、フッ素樹脂、シリコン樹脂という樹脂成分のグレードの違いだけではなく、「水性塗料」と「油性塗料(溶剤塗料)」という希釈する液体が水なのかシンナーなどの溶剤なのかという「希釈液体の違い」なども存在します。

塗料をより長持ちさせたい場合は、この希釈液体の違いや、2つの液体を塗装直前に混ぜ合わせる「2液型」など、樹脂以外の部分の違いによる耐久性の差も知っておかなければなりません。

 

例えば、同じシリコン樹脂塗料と呼ばれる塗料であっても、

  • 油性塗料の2液型タイプ
  • 油性塗料の1液型タイプ
  • 水性塗料の2液型タイプ
  • 水性塗料の1液型タイプ

などが存在し、価格、施工方法、耐久性に大きく違いがあります。

参考:水性・油性、1・2液型、ツヤ等の塗料タイプは何が良い?

●水性塗料は臭いが少ないが長持ちしづらい塗料

外壁塗装用の塗料は、塗料缶の中に入っている塗料をそのまま外壁や屋根に塗るのではなく、水やシンナーなどで適切な濃度まで薄めてから使用します。

水性塗料の場合、この薄める液体は昔使われていたシンナーではなく水なので、塗装中の不快なシンナー臭などの不快な臭いが非常に少なく、家の周囲に漂う塗料臭を大幅にカットできるというメリットがあります。

しかし、臭いが少ないからといって全く臭いがしないというわけではなく、塗料自体の臭いがありますし、油性塗料よりも密着しづらく耐久性が低く、油性塗料に比べて長持ちしないというデメリットがあります。

●油性塗料は臭いが強く、価格も高いが長持ちする塗料

油性塗料は、水性塗料を水で薄めるのに対し、非常に臭いの強い薬剤であるシンナーで薄めて使用する塗料なので、塗装の工程の間、強い臭いが周辺に漂います。

しかし、薬剤でないと溶かすことができないほどの塗料は、乾燥すると強い塗膜を形成するため、塗料の耐久性が高く、長持ちします。

●「一液型・二液型」では施工費用が高いが二液型のほうが長持ちする

水性塗料、油性塗料(溶剤、弱溶剤塗料)にはさらにそれぞれ「一液型・二液型」という種類の違いがあります。

一つの缶の塗料を水かシンナーなどの溶剤で薄めるだけで塗装できるようになる塗料が一液型塗料であり、二つの缶に入っている塗料(主材と硬化剤)を上手に混ぜ合わせ、撹拌させてから外壁に塗る塗料が二液型塗料です。

二液型塗料は現場で混ぜ合わせる手間があるため施工費用は高くなってしまいますが、適切に撹拌させて塗装することができれば、一液型の塗料で塗装するときよりも塗膜は上部になり、長持ちさせることができます。

■外壁以外の箇所も補修して家を長持ちさせる

外壁塗装工事の際に、屋根や外壁目地のシーリングなどの外壁以外の箇所も補修を行い、塗装工事後も10年に1回など、外壁と合わせて定期的にメンテナンスすることで、建物全体の耐久性が上がり、外壁や屋根だけでなく、家自体を長持ちさせられるようになります。

1.家を長持ちさせるために屋根には一つ上のランクの塗料を使うべき

家の最も高い位置にある屋根は、外壁よりも雨や風、直射日光などが強く当たる箇所であるため、外壁より早く劣化します。

屋根塗装に使う塗料としては、最もコストパフォーマンスが高い屋根用のシリコン樹脂塗料が人気ですが、上記のような劣化しやすいという弱点を補うために、より耐用年数が高いフッ素樹脂塗料を使用することで外壁と屋根の耐用年数を合わせるのがオススメです。

こうすることで、次回の外壁塗装工事では屋根塗装も合わせて行うことができるので、「屋根だけ先に劣化してしまう」「外壁だけ先に劣化してしまう」という状況を防ぐことができ、コストを抑えながら家を長持ちさせることができます。

参考:屋根塗装の知っておきたい基本事項と価格、費用相場について

2.目地のシーリングをきちんとリフォームして雨水から家を守る

外壁には、窓サッシの周りやサイディングボード同士の繋ぎ目に、シーリング材(コーキング材ともいう)というゴムのような部材が充填されており、このシーリング材が雨水の外壁内部へ入り込むのを防いでいることから、シーリング材は建物全体の防水性において重要な役割を果たしているといえます。

しかし、シーリングは紫外線や雨水で劣化しやすく、外壁の塗装に比べると長持ちしないため、外壁塗装工事の際にシーリング材の補修も合わせて済ませておかなければなりません。

 

シーリング材を定期的に補修することで劣化のない状態を保つことができれば、そこから雨水が外壁内部に入ることを防ぐことができるため、結果として家を長持ちさせることができます。

参考:目地のコーキング材補修は専門業者が存在するほど難しい作業

■外観の美しさも長持ちさせたいときには特殊な塗料をつかう

外壁の保護機能だけでなく、住居の美観も長持ちさせたい場合は、外壁に汚れがつきにくい低汚染タイプの機能性塗料や、塗料自体に色がなく、もともとの模様を見せることができるクリヤー塗料などが適しています。

1.低汚染タイプの塗料ならカビや排気ガス汚れがつきにくい

家の前に大きな道路がある、高速道路が隣接している、湿気が非常に高いエリアであるなど、立地条件が原因でカビの発生や排気ガスの汚れに悩まされている場合は、低汚染タイプの塗料を使うことで防ぐことができます。

低汚染タイプの塗料は水が浸透しやすい「親水性」という機能をもっており、雨が降ったときに外壁表面に膜を形成し、外壁に付着したほこり、カビの元、排気ガスなどの汚れを雨で洗い流してくれます。

参考:外壁塗装で汚れにくい家にするために気をつけるべき事

2.クリヤー塗料は外壁本来の模様の美観を長持ちさせる

模様や装飾が施されたサイディングボードや、独自の質感を持つコンクリートなどの外壁は、表面を色がついた塗料で塗りつぶしてしまうと模様が見えなくなってしまうため、外壁本来の模様や装飾を塗りつぶさずに表面を保護するクリヤー塗料という塗料を使った塗装が行われます。

 

クリヤー塗料は、外壁の模様をそのまま保護してしまうため、外壁自体に汚れや傷みが着いている場合でも、透明な塗料により汚れが透けて見えるため、外壁自体の模様が劣化する前に継続的に塗装を行う必要があります。

参考:クリヤー塗料を使った外壁塗装のメリット、デメリット

■信用できる塗装業者を選ぶことが外壁を最も長持ちさせられる

信頼性の高い大手メーカーのシリコン塗料やフッ素塗料を選んだとしても、その塗料を使って施工する業者が手抜きをしたり、適切な手順に沿って施工しなかったりすると塗られた塗料は長持ちしないため、手抜き工事や施工ミスを起こさない優良業者を選ぶことが外壁を長持ちさせる最も重要なポイントです。

1.外壁塗装工事の基本工程を必ず実施してくれる業者を選ぼう

外壁や屋根の塗装工事では、絶対に行わなければならない基本の工程というものがあり、どれか一つでも省くと、塗装した外壁が短期間で剥がれたり、ヒビが入ったりして長持ちしません。

工程 内容
建物診断 塗装を行う建物を調べて劣化箇所を分析し、使用する塗料や工法を考える
足場設置 建物の周りに作業場となる足場を作り、手元・足元を安定させる
高圧洗浄 表面の汚れを高圧洗浄機で徹底的に落として、その後乾燥させ、塗料が密着しやすい状態にする
下地処理
  • ひび割れ、傷、剥がれなどを補修して塗装しやすいようにする
  • シーリングを打ち替える
  • 鉄部をケレン清掃して錆びを除去する
養生 塗料がはみ出しり、塗らなくてもいいところに塗料がつかないように建物の周りを養生シートで保護する
塗装
  • 下地用塗料を下塗りし、仕上げ用塗料が密着しやすい状態を作る
  • 仕上げ用塗料を使って、中塗りと上塗りを行う(塗布回数は合計3回以上)

これらの基本工程の作業をひとつでも省いてしまうと、耐用年数よりも早く塗膜が劣化して、ヒビ、剥がれなどの施工不良の原因になってしまいます。

参考:外壁塗装の工程を依頼する前に知っておこう

2.外壁塗装後のアフターサービスが充実している業者を選ぼう

保証書の発行

外壁塗装工事が終わっても、その後1カ月~1年間は、塗装を行った家を定期的に確認し、外壁や屋根に施工不良やトラブルがないか確認し続けなける必要があります。

塗装を行った住居の近くで長年営業している地元密着の外壁塗装業者であれば、施工後に近くを通りかかった際などにも定期的に外壁を見てくれていますし、もしなにか塗装の不具合や劣化が起きて施主から連絡があったとしても、すぐに補修などの対応に駆けつけてくれるでしょう。

 

外壁塗装工事を依頼した業者には、その時に行う外壁塗装工事だけでなく、工事後のアフターフォローも任せる必要があるため、塗装後も末永く自宅の外壁や屋根の点検や補修を行ってくれる業者を選ぶことが重要です。

外壁塗装後の保証や点検があるかどうかや、外壁塗装業者の営業拠点が住居から車で30分〜1時間以内などの距離にあることにも留意して塗装業者を選ぶようにしましょう。

■まとめ

塗装した外壁や屋根をメーカーが定める耐用年数まで長持ちさせるためには、費用対効果に見合った塗料を選び、その塗料を正しい施工方法で塗装できる業者を選ぶことが最も重要です。

 

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