外壁塗装リフォーム工事は工事期間が2週間程度と長く、その期間内にさまざまな付帯工事が行われるため、工期中に何が行われているかを理解していないと不安を感じてしまうかもしれません。
下記で紹介する外壁塗装の基本的な工程を施主自身が理解しておけば、外壁や屋根のリフォーム工事に対する不安が軽減するだけでなく、悪徳業者を見分けたり、工期中の過ごし方を計画したりする上で役立ちます。
目次
■工程を知れば外壁塗装全体がわかる
一言で「外壁塗装工事」といっても、その工事には塗装作業以外の様々な工程も含まれているため、外壁塗装工事の工程は複雑で素人が把握するのは難しいように思えるかもしれません。
しかし、外壁塗装工事に含まれる一つ一つの工程の意義を理解しておけば、専門家ではなくても工事の流れをしっかり把握することが可能です。
業者が信頼できるかどうかを判断したり、業者との工事の打ち合わせをスムーズに進めたりする上でも、外壁塗装工事の基本工程を理解しておくことには多くのメリットがあります。
1. 全ての工程に、外壁塗装を成功させるという共通の目的がある
外壁塗装工事に含まれる全ての工程は、美しくて長持ちする塗装を完成させるという目的のために行われ、一つ一つの工事に意義があり、前後の工程とも密接な関係があります。
例えば、
- 工事初日に行われる架設足場設置は、下地処理や塗装を安全かつ迅速に行うため
- 下地処理は屋根や外壁を塗装する際、下地と塗料の密着度を高め、耐久力のある塗膜を形成するため
など、工程ごとの意義や目的があるため、必要な工程を省いてしまうと
- 思わぬ事故の発生
- 施工不良の発生
などによって外壁塗装工事が失敗したり、完成後の塗装の品質が著しく低下したりする恐れがあります。
外壁塗装工事に含まれる各工程がどのような意味を持つかを理解しておけば、外壁塗装リフォームに関する専門的な知識のない人でも工事の流れを把握しやすくなるでしょう。
2. 工程の流れと所要日数にも意味がある
施主が外壁塗装工事の工程をしっかり把握しておくためには、工程内でどのような作業が行われるかだけではなく
- どのような順序で各工程が行われるか
- 各工程にどれくらいの日数がかかるか
を理解しておくことが重要です。
例えば、
- まず架設足場を設置しなければ、その他のどんな作業も行えない
- 屋根・外壁の高圧洗浄はただ洗浄すればよいということではなく、その後1日以上の乾燥期間が必要である
など、外壁塗装工事の各工程は目的に応じた順序や期間が定められていますので、前後したり意味なく短縮したりすることはできません。
■施主が工程を知っておくことの2つのメリット
外壁塗装を行う際に、施主は全てを専門的な知識や技術をもつ専門業者に任せておけばいいと思われるかもしれませんが、そのような考え方には思わぬ落とし穴が隠れており、危険です。
もし外壁や屋根のリフォーム工事を全て塗装業者に任せっきりにしてしまうと、契約時に悪徳業者であることを見抜けずに法外な料金を請求されてしまったり、塗装業者に施主の知識不足を見越され見えない部分で手抜き工事を行なわれたりしてしまうといった恐れがあるのです。
施主自身が外壁塗装の工程の手順や、それぞれの工程にどれほどの期間が必要かを把握しておくことによる2つのメリット
- 手抜き工事を未然に防ぎやすくなる
- 工期中もスケジュールを立てやすくなる
を下記でご説明します。
1. 手抜き工事を未然に防ぎやすくなる
見積もり時に外壁塗装業者が施主に提出する外壁塗装工事の工程の計画表から、契約しようとしている外壁塗装業者が信頼できる業者かどうかをある程度判断することが可能です。
施主自身で外壁塗装工事の工程を理解し、塗装業者がしっかりとした工程管理を行っているかどうかをチェックできるようにしておきましょう。
●手抜き工事は工事期間から見抜くことができる
手抜き工事を行う悪徳業者は短期間で利益を出そうとするため、
- 高圧洗浄後の乾燥期間を十分に設けずに塗装を行う
- 3回塗り工程でも塗料を乾燥させる前に次の塗装をする
- 2回塗装すべき仕上げ塗装を1回しか行わない
などの手抜きを行い、通常より短い工期で外壁塗装工事を終わらせようとすることがあります。
上記のような手抜き工事を行った場合でもすぐに不正が発覚することは少なく、手抜きによる品質の低下や不具合は1〜2年後に塗装の剥がれや色むらが生じることで初めて発覚します。
それ故、悪徳業者や手抜き業者に工事を依頼せずに、優良業者に依頼することが重要であり、工程表をきちんと確認することで悪徳業者かそうでないかを見抜く必要があるのです。
工事予定の業者が悪徳業者であるかどうかを知りたい場合はこちらからご相談ください。
2. 工事期間中の過ごし方を計画しやすくなる
外壁塗装工事中は普段どおりの生活を送ることは難しいため、塗装リフォーム工事全体の工程を把握しておけば、
- 騒音や塗料の臭いで迷惑がかかるということを近隣住民にいつ説明しておくべきか
- 養生により換気やエアコンによる空調が難しくなるのはどのくらいの期間か
- 在宅して作業に立ち会うべき時は外壁塗装工事中の何日目か
などを知ることができますので、施主も工事期間中の生活スケジュールを立てやすくなるでしょう。
■基本的な外壁塗装の工程と期間
外壁塗装工事は下記のような工程で進められます。
1. 足場架設工事
- 所要日数:1日
屋根・外壁塗装は高所での作業を含んでおり、それらを安全に行うために、工程の1日目に家全体を覆う大きさの架設足場を家の周りに設置します。
仮設足場全体には、近隣への塗料の飛散を防ぐための「飛散防止シート」も設置されます。
足場設置後は風通しが悪くなり、日当たりも悪くなるため、
- ベランダで洗濯物を干す
- 換気扇や窓で換気をする
などが困難になる可能性があります。
参考:外壁塗装工事中に洗濯物を干したいときはどうする?
外壁塗装工事中は換気はできる?臭いや息苦しさ対策
●足場設置の騒音は1日だけ
金属製の足場を運搬し組み立てる作業には金属音が伴いますし、危険を伴う作業でもあるため安全確保のために作業員は大きな声で安全を確認しながら作業するため、これらが騒音となり、近隣の住民に迷惑がかかることが予測されるため、近隣住民には前もって挨拶し、その際に騒音が発生する旨を説明しておくとよいでしょう。
ただし、優良な外壁塗装業者は、施主の代わりに粗品を持って近隣の家に挨拶にいってくれます。
2. 高圧洗浄作業
- 所要日数:2日(洗浄1日、乾燥1日)
塗料の密着を阻害する外壁表面の汚れを高圧洗浄機で洗い流します。
高圧洗浄は架設足場の内側で行われるため、近隣に洗浄水が大量に飛散する恐れはありませんが多少、飛び散る可能性はあります。
また、業者がサービスとしてフェンスや玄関まわりなど外壁以外の塗装しない箇所の洗浄も行ってくれることがありますが、これらの洗浄でも近隣に洗浄水が飛散する恐れがあるため、追加の養生が必要となる場合もあります。
参考:高圧洗浄で知らないと損な作業時間、圧力、単価、水道代の話
3. 下地調整作業
- 所要日数:1〜2日
前工程の高圧洗浄で全ての汚れが完全に除去できるわけではないため、手作業で念入りに
- 取り切れなかった汚れ
- 古い塗膜
- 金属部分のサビ
などを落としていきます。
下地にひび割れや欠けなどの損傷がある場合にはその補修工事も行われるので、下地の劣化状況によってこの工程の所要日数はさらに増える場合があります。
4. 養生作業
- 所要日数:1日
窓・ドア・植栽など塗装しない箇所に塗料が付着しないようビニールシートや養生テープで覆います。
窓やエアコンの室外機も塗装終了まで覆われてしまうため、養生を行なった後は換気や空調が困難になります(業者や家の状況によってはエアコンが使えるように養生してくれる業者もいます)。
参考:外壁塗装工事中にエアコンは使える?業者や状況で異なります
養生に使用されるテープやビニールは剥がれやすい作りになっているため、窓・ドアを開閉する時や養生の上を歩行する時などはそれらを剥がさないように注意しましょう。
5. 塗装作業
- 所要日数:約6日(下塗り・中塗り・上塗りの塗装に各1日、乾燥に各1日)
塗装作業は2種類の塗料を3回に分けて塗装し、美しくて強い塗膜を完成させます。
まず、外壁に塗料をしっかりと密着させるため、接着剤のような役割を果たす下塗り材を塗装し、下塗り後は1日乾燥させます。
下塗りが十分に乾燥した後、仕上げ用塗料で中塗りを行い、中塗りが乾燥した後に上塗りとして同じ仕上げ用塗料で塗装を行います。
屋根も同時に塗装する場合は、屋根でも3回塗りを行うため、作業工程はさらに3日ほど長くなると考えましょう。
6. 施工の完了チェック
- 所要日数:半日
上塗りがしっかり乾燥した後にも塗装にミスがあれば塗り直しや手直しを行わなければならない場合もあるため、足場を解体する前に施主と業者による塗装全体の最終確認が行われます。
もし塗装リフォーム工事を依頼した業者が「かし保険」に加入している場合は、保険団体から派遣された第三者による確認作業もこの工程内で行われます。
7. 足場解体・片付け
- 所要日数:1日
最終日には足場の解体と現場全体の片付け、清掃などの撤収作業が行われます。
仮設足場解体作業では、設置の際と同様に騒音が伴いますが、解体作業は設置作業よりも短時間で終了します。
■イレギュラーな工程が発生し、工期が長引くこともある
外壁塗装工事の基本的な内容や工程は上記の通りですが、作業の状況によって予定以上の時間がかかったり、工事を計画通りに進めらないイレギュラーな状況が発生してしったりして、工期の延長を余儀なくされる可能性もあります。
工期の延長に関する判断は基本的に業者に任せておけば問題ありませんが、外壁塗装工事は当初の計画よりも多少延長してしまう可能性があると覚えておきましょう。
1. 悪天候による工事の中断
天候は場合によっては外壁塗装工事の進行に大きく遅らせる場合がありますが、年間を通して外壁塗装工事に影響を与えるのは雨です。
使用する塗料が油性・水性のどちらであっても、雨が降っているときに塗装作業を行うと硬化不良や色ムラなどの施工不良の原因になってしまうため、塗装作業は中断せざるをえません。
参考:外壁塗装は雨の日に出来る?湿度や気温、追加料金について
冬場の天候も外壁塗装工事の進行を遅らせることが多いですが、特に、
- 足場に凍結・積雪があるため安全に作業できない
- 気温が、塗装品質をメーカーが保証してくれな5℃未満まで下がっている
という場合には作業を中断するため、工事は大きく遅れます。
降雪量が多い地域の外壁塗装業者は冬場の塗装工事の受注自体を行わないところもあります。
●台風接近時の足場点検
台風が接近してかなりの強風が予想される時には、強風に煽られて足場が倒壊してしまうリスクを軽減するため、足場に張られた飛散防止ネットを全て回収しておかなければなりません。
また、台風通過後に足場を構成する部材が強風雨で飛ばされたり緩んだりしていないかを点検する必要があるため、工事が遅れてしまうことがあります。
9月〜11月ごろの台風の多いシーズンに行われる外壁塗装工事は台風による上記のようなスケジュールの遅れが予想されるので、台風の影響を受けやすい地域では、前もって外壁塗装の計画を立て、なるべく工期が台風シーズンと重ならないようにしましょう。
2. 破損箇所の補修
塗装は全て人間の手作業で行われるため、熟練の塗装職人が行う塗装工事でも、
- うっかり敷地内のものを傷つけてしまったり壊したりしてしまった
- 最初の現地調査の時に見落としていた外壁の損傷があった
などのミスが生じることもあり、当初の計画より工事期間が伸びててしまう可能性があります。
見落としていた損傷が大きいものであれば追加工事の見積もりを再計算する必要が生じ、見積もりの再計算が終わるまで工事が中断されるという事もありますが、優良業者であればイレギュラーな計画変更が発生してしまった時にも、施主と十分に相談の上で納得のいく修正案を出してくれるでしょう。
■おわりに
悪徳業者の多くは、ほとんどの消費者が外壁塗装の基本的な工程を知らないことを利用して、必要な工程を省いたり短縮したりして自社の利益を増やそうとします。
そのような悪徳業者の塗装工事は品質が著しく低く、依頼してしまった施主は大きな不利益を被ってしまうので、この記事でご紹介した外壁塗装の工程を理解し、自分の目で悪徳業者を見分けられるようにしましょう。
一括見積もりサービスを利用すれば、悪徳業者や手抜き業者に依頼してしまうリスクを減らし、地域の優良な外壁塗装業者の中から自分のニーズに合った業者を見つけられます。