トラブルや不満などの問題を起こさずに外壁塗装工事を最後まで終えることができればよいのですが、外壁塗装工事では、
- 何らかの理由により予定通りに工事の工程が進まない
- 思っていた色と違うなど、塗装後の家の仕上がりに満足できない
- 外壁塗装中の騒音や塗料の飛散によってご近所からクレームを受けてしまう
などの外壁塗装工事を担当した業者に不平不満をいいたくなる事案が発生することがあります。
高額な費用をかけて行う外壁塗装工事を上記のようなトラブルなく成功させるためにも、外壁塗装の時に発生しやすいクレームやトラブル事例と、その対処法を知っておきましょう。
■外壁や屋根の塗装の色に関するクレーム
様々な外壁塗装の色決め用のサンプルや色見本を見比べて、気に入った色を選んだはずなのに、外壁塗装工事が完了した後に改めて見てみると、色を選んだときに想像していた雰囲気と違う仕上がりになってしまうことがあります。
家の外壁に塗った色は、
- 塗った面積の大きさ
- 光が当たる角度
- 明るさや暗さ
- 周囲にある物の色との相性
など、様々な要素で見え方や感じ方が変わるため、大切な建物の見た目を理想のイメージに近づけるためにも、色の見え方の違いを理解しておきましょう。
1.「色見本と実際の塗装の色が違う」というクレームでは無償のやり直しはさせられない
外壁の色は塗料メーカーが作成したカラーサンプルという小さな塗料のサンプルを並べて印刷したカタログを使って考え始める場合が多いですが、この小さな塗料のサンプルは、面積効果により実際に外壁に塗った場合とは違う色のように見えます。
面積効果とは、カラーサンプルなどの小さな面積に塗った塗料は、外壁などの広い面積に塗ったときよりも濃く見えてしまう現象であり、サンプルだけで外壁の色を決めてしまうと、実際に外壁に塗ったときに色見本で見ていたときのイメージと違うため「カラーサンプルと違う色で塗られている」と顧客が勘違いしてクレームを出す、というトラブルになってしまうのです。
このようなクレームの場合、塗装業者はカラーサンプルの中から顧客が指定した通りの色で塗っているため、自分がイメージしていた色と違う雰囲気になってしまったからといって塗装のやり直しを業者に要求しても顧客は対応してもらえないでしょう。
外壁塗装とは、外壁と屋根を塗る約二週間の工事だけで顧客と業者の関係が終わりということではなく、アフターメンテナンスなどを行ってもらうため工事後10年以上施工してくれた業者と付き合っていく必要があり、業者にクレーマー扱いされるのは損でしかありません。
業者に色に関するクレームを出して、関係性を悪化させないことも重要ですが、そもそも「思った色と違う!」というようなことにならないような色の選び方をする必要があります。
最初の塗料の色選びではカラーサンプルを利用して雰囲気を掴み、その後、数センチしかないカラーサンプルではなく、A4などの大きく塗られたサンプルを用意してもらったり、実際に使う塗料を壁に塗ってもらうなどして事前のイメージを忠実に業者に伝える努力が必要なのです。
色選びのコツはこちらの外壁塗装の色選び方法の注意点と絶対に失敗しないコツと流れをご覧ください。
■塗装の品質に関するクレーム
1.施工品質が悪いというクレームは外壁塗装専門業者に依頼すれば防げる
- 頼んだ箇所が塗装されていない
- 塗りムラが遠目からでもわかる
など、塗装工事の仕上がりの状態があまりにひどいときは、業者側の不注意や手抜きであると考えることができます。
外壁塗装工事では、工事内容が素人にはわかりにくいため、施工ミスや手抜きが往々にして行われていますが、その業者が悪徳業者・手抜き業者であるという原因以外にも、元請け業者が外注の下請け業者に安い報酬しか払っておらず、下請け業者が少ない経費でやりくりしなければならないことが原因である場合もあります。
工事を行うことができる「工事部門」を持たないリフォーム会社などは、外壁塗装や屋根塗装などの専門的な作業を行うために下請け業者に依頼することがありますが、適切な報酬を下請け業者に支払わずに、無理に安い報酬で外壁塗装工事を行わせようとする悪質な元受け業者もいます。
報酬がしっかり払われていなければ下請け業者は工事を行うための人件費や材料費を十分に確保できませんので、人件費を抑えて利益を確保するために、下塗り・中塗り・上塗りという三度塗りや、ひび割れ補修などの下地調整作業などの外壁塗装工事で本来必ずやらなければならない工程を省いてしまったり、材料費を抑えるために塗料を薄めたり雨戸や雨樋を塗らずに放置したりして、低品質な工事を行ってしまう場合があります。
下請け業者にしっかりと予算が行き渡らないために起こる手抜き工事を防ぐためには、全国展開している大手のハウスメーカーや工務店などの大きな会社は避け、地域に密着したリフォーム業者や外壁塗装専門業者に依頼するとよいでしょう(外壁塗装駆け込み寺でも無料でお探ししています)。
2.「わずか数カ月で塗膜に異変が生じた」というクレームなら保証を確認
どんな塗料にも耐久年数があり、だいたいは10年も経つと耐久力を落としてしまいますが、工事から数カ月や数年しか経っていないのにもかかわらず塗料が剥がれてひび割れやチョーキング現象が起こった場合は、業者の手抜き工事や技術力不足が考えられます。
もし、塗装工事の後、数ヶ月や数年といった短期間で何らかの異変が生じたときは、施工した外壁塗装業者にクレームを入れる前に施工業者が発行した工事保証書の内容を確認するようにしましょう。
外壁や屋根に起こった不具合と工事保証書に記載されている保証条件が一致していれば、施工した外壁塗装業者に無償で補修を依頼することができます。
保証条件に一致していない場合でも、良心的な業者であれば、保証の範囲外でも無償で補修したり、自分たちが施工していない箇所の不具合でも対応してくれたりすることがありますので、不具合が出た場合はまず工事を行った外壁塗装業者に相談しましょう。
しかし、外壁塗装業者の中には不具合の連絡をしても
- 不具合が起こった箇所が保証の対象外なので無償補修はできないといって断ってくる
- 工事完了後に保証書を発行してくれないため保証自体行ってくれない
- 電話がつながらない、会社が移動しているなどで連絡がつかない
というような対応をしてくる悪徳業者も紛れているので、そのような業者にはお願いしないようにしなければなりません。
外壁塗装業者は希望すれば工事保証書を発行してくれるところが多いですが、リフォーム工事における保証書は、法律で発行することを定められたものではないため必ず業者が発行しなければならないというものではありません。
そのため、悪質な業者や不親切な業者に外壁塗装工事を依頼してしまった場合、工事が終わり次第、お願いしたのにもかかわらず工事保証書を発行せず行方をくらましてしまう場合もあります。
●リフォーム瑕疵保険に加入できる業者か調べておく
きちんと工事保証書を発行してもらっていても、
- 施工した業者が倒産していて連絡がつかなくなっている場合
- 経営不振などで補修に対応してもらえない場合
などの「業者が不具合が起こった後の外壁や屋根の補修に対応できない状態」であっても、補修費用を施主が負担せずに済む「リフォーム瑕疵保険」という保険があります。
外壁塗装工事の際に、リフォーム瑕疵保険に加入していれば、上記のような業者が補修してくれない場合でも、リフォーム瑕疵保険の保険金が代わりの補修業者に支払われますので、他の外壁塗装業者に依頼して不具合箇所の補修が行えるのです。
ただし、リフォーム瑕疵保険は「瑕疵保険事業者」に登録している業者で塗装したときしか加入できませんので、事業者登録している業者かどうかという点も、塗装業者選びの基準として押さえておきましょう(瑕疵保険事業者はこちらからご案内します)。
■追加費用に関するクレーム
1.「打ち合わせで聞かされていない費用を後から請求された」というクレーム
外壁塗装工事では、現地調査の段階ではわからなかった劣化が工事が進行するにつれて判明することがあり、
- 追加工事をしなければ塗装をしても品質が落ちてしまうようなケース
- 追加工事を行わなければ工程を先に進められないようなケース
では、施工業者の指示に従って追加費用を支払わなければなりません。
良心的な業者であれば、追加費用を客に請求するときには必ず追加分の見積書を別途作成し、依頼主が工事の内容に納得できてから追加工事に取り掛かってくれますので、もし施主が追加費用が必要な工事を許可していない段階で、勝手に追加工事を進めたり、後から追加工事分の支払いを強制したりすることはありません。
もし追加工事が必要と業者から言われた場合は、
- なぜその追加工事が必要なのか
- なぜ見積もりの時点でその工事が必要だとわからなかったのか
- 追加工事だけでいくら費用や工事全体の費用
- 追加工事を行うことでスケジュールに影響するのか
などの点を、施主自身が納得できるまで説明してもらった上で工事を許可しましょう。
2.「頼んでいない箇所まで勝手に工事された」というクレーム
打ち合わせのときに説明していない箇所を塗装したり、補修を頼んでいない箇所まで勝手に高額な新品と交換したりして、改修後に追加費用を請求してくる悪徳業者もいます。
ただ、このようなこちらが頼んでいない追加工事に関する追加請求を支払う必要はありませんので、追加費用の支払いに応じなくても問題はありません。
しかし、口頭で約束していた内容を施主が忘れていたけれど、業者は覚えていて指示通りやったというケースもありますので、支払いを無視せず、どのような経緯で追加工事を行うことになったのかをしっかり確認しておいた方が良いですし、口約束はせずに追加費用が発生する工事に関しては別途見積書と契約書を作成してもらうようにしましょう。
業者の中には、施主が追加工事費用の支払い拒否をした後に態度が豹変して、連日脅迫まがいの電話をかけてきたり、玄関に居座ったまま支払うまで動こうとしなかったりするなどで脅してくる悪質な業者もいますので、請求を無視し続けるのは得策ではありません。
追加費用を請求してくる施工業者との話し合いがうまく進まないときや、業者の態度に恐怖を感じたときには、住宅リフォーム・紛争処理支援センターなどの相談窓口に相談すれば、これらのスタッフが業者と施主の間に入って施主の代わりに業者との話し合いを進めてくれます。
相談窓口では弁護士など専門家の力も借りることができますので、リフォームの契約に慣れていなくても、問題解決までトラブルなく安全に進めることができるでしょう。
外壁塗装の相談ができる公的機関などはこちらの記事で確認できます
■業者の態度に関するクレーム
1.職人のマナーに関するクレームは優良業者に任せるなら起こりえない
外壁塗装の作業中の職人への不満点として、よく挙げられるのは、
- 仕事中の話し声が大きすぎて近隣に響く
- 仕事と関係のないプライベートの雑談ばかりしている
- 自宅の敷地内で道具を乱雑に扱う
- 挨拶をしても返事をしない
- 質問をしても答えてくれない
- 自宅のトイレや洗面台を職人に勝手に使われた
- 隣近所の人に威圧的に振る舞う
- 作業がどのくらい進んだか報告してくれない
- 敷地内でタバコを吸っている
などで、このような職人への不満は、社員教育が行き届いた会社や、施工管理者が現場を取りまとめてくれる業者であればほとんど起こらないものばかりであるため、優良外壁塗装業者に工事を依頼することができれば、完全に防ぐことができます。
2.スケジュールの遅れに関するクレームは早めに業者に確認
塗装工事は天候の影響を受けやすいため、どうしても工事工程が遅れてしまうことがありますが、もし天候などによってスケジュールに遅れが出そうなときは業者側から遅れがわかった段階で早めに連絡してくれますので、天候やその他の事情によって何度も工事予定が延期されるようなことはほとんどありません。
しかし、天候が悪いわけでもなく、業者から遅れる報告をもらってもいないのに、工事が当初の予定よりも遅れている場合は、何らかのトラブルも考えられますので、業者側に遅れの理由といつ工事が終わるのかを早めに確認した方がよいでしょう。
例えば、
- 現場に呼べる職人が集まらない
- 職人への作業内容の連絡がうまくいっていない
- 足場業者などの外注業者と連絡がうまくできておらず仮設足場の撤去などが進まない
など業者側で何かトラブルが発生しているにも関わらず、施主に連絡せずにいる可能性がありますが、こちらも前項のトラブルと同様で、地域に根ざして長年経営している優良外壁塗装業者に頼めばまず起こりえないクレームです。
■近隣からのクレームは柔軟にすばやく対処するべき
工事業者がスケジュールなどの問題なく施工を進めており、依頼主側も気持ちよく過ごしていても、まれに、近隣住民からクレームが入ってくることがあり、これがきっかけでご近所の方々との関係が悪くなって、工事後もその家に住みにくくなるという可能性も十分に考えられますので、工事前には、隣家や周辺住民への配慮もしっかり行っておきましょう。
1.足場設置、高圧洗浄などの騒音に関する近隣からのクレーム
塗装工事前の建物の周りに足場を組む時には、鋼材がぶつかる音や車両の移動音、職人同士の掛け声が一時的に周囲に響き渡りますし、足場をかけた後の高圧洗浄機のエンジン音も非常に大きな駆動音を伴います。
これらの足場の設置と高圧洗浄作業はどちらも1日で終わる作業ですが、工事を行うことや騒音が発生することを近隣の人に事前に知らせていないと、近隣の人からすれば突然、騒音が響き渡ってゆっくり休めなかったり、来客の用事が台無しになったりして、近隣の人に強いストレスを与えてしまう可能性があります。
それ故、外壁塗装工事の一週間前には、外壁塗装工事を行うことと、騒音が発生することをあいさつまわりをしながら近隣の方々に知らせておかなければなりません(優良業者なら挨拶は必ず事前に行ってくれます)。
2.臭いに関するクレームは水性塗料を使うことでで軽減させられる
外壁塗装中に起こる不快な臭いの原因は塗料であり、シンナーで薄めて使用する「有機溶剤系塗料(油性塗料)」は近隣の家にも届くぐらい強い刺激臭を発生させます。
ただ、近年ではご近所や家の中の人の健康に配慮して、有機溶剤系塗料の代わりに臭いが少ない弱溶剤塗料や水性塗料が使われるようになりました。
しかし、どんな塗料であっても多少の臭いは発生させてしまいますし、その少しの臭いでも体調を崩してしまう人もいますので、もし近隣から臭いに関するクレームが来たときは、近隣の方に謝罪を行い、工事作業員と今後の作業方法や工事の進め方について話し合いましょう。
■おわりに
外壁塗装には、さまざまなクレームが発生するリスクが潜んでおり、起こりうるクレームの内容やトラブル解決法を少しでも知っておくと、いざ起きたときにも気持ちの準備ができますので、素早い対応やトラブルの被害の軽減が可能です。
ご自身がクレームに気づいたときだけでなく、ご近所からクレームが出たときも、問題に気づいた時点でできるだけ速やかにトラブルの原因と対策を解明して、工事完了までに軌道修正するようにしましょう。
すべてのクレームは、優良業者に外壁塗装工事を依頼することでなくす、もしくは減らすことができますので、外壁塗装駆け込み寺などの優良業者紹介サービスを利用し、お住まいの地域の優良業者に工事を依頼するようにしましょう。