外壁塗装費用を値引きしてもらうコツと強引な値引きの失敗例

外壁塗装工事は

  • 家の大きさや形
  • 塗装を行う範囲
  • 外壁材や屋根材の種類
  • 使用する塗料のグレード

などの様々な要素によって費用が変動しますが、どのような家であっても一般家庭であれば約50万円〜約100万円以上の工事費用が発生します。

 

外壁塗装業者に外壁と屋根の塗装リフォーム工事の見積もりを依頼して、想定していた以上の高額な費用を提示された時に「値引き交渉をしてもう少し安くしたい」という希望を持つ人は少なくはありません。

数万円程度の値引きであれば問題ありませんが、安くしてほしいと願うばかりに必要以上の値引き交渉を強引に行ってしまうと、施主側が損をしてしまう可能性があります。

 

このページでは、どうして必要以上の値引き交渉を行うと施主側が損をしてしまうのかや、損をせずに値引きをしてもらうコツについて解説しています。

■高額な値引き交渉は手抜き工事に繋がってしまう

顧客が外壁塗装業者に支払うリフォーム工事費用は業者によって若干の違いがありますが、

  • 約20%が材料費
  • 約30%が業者の運営費用や利益
  • 約30%が職人たちへの給与
  • 約20%が仮設足場設置費用

に使われます(大手ハウスメーカーや工務店などはここにさらに中間マージンが加算されます。詳しくはこちらの記事で解説しています。)。

 

優良な外壁塗装業者は無駄を省いた適正価格での見積書を施主に提出していますが、高額な工事費用を支払う施主側としては「少しでも工事費用を安くして欲しい」という考えから、値引きをお願いしたいという方は少なくありません。

優良な外壁塗装業者の場合、もし高額な値引きを施主からお願いをされたとしても、高品質な工事を行うために値引きに応じません。

 

ただ、外壁塗装業者の中には

  • 閑散期のため、少しでも契約数を多くしたい
  • 顧客の希望を少しでも叶えたい

と考えて値引きに応じるケースもあり、そのような無理な値引きを行うと工事にどのような影響が起こるのかを以下で確認しておきましょう。

1.塗料のグレードを下げて工事金額を安くする

外壁や屋根用の塗料にはフッ素樹脂塗料シリコン樹脂塗料などの多くのグレードがあり、塗料のグレードを下げて品質が低い塗料を使えばその分工事費用は安くなります。

また、例えば同じシリコン樹脂塗料であっても、塗料の中に含まれるシリコンの量によって価格が異なるため、安くすませるために低品質なシリコン塗料を使う可能性もあります。

 

グレードが低い塗料や、品質の悪い塗料を使って施工された場合、10年ではなく数年で劣化現象が始まり、次の塗装リフォームを早めに行う必要があるので、支払わなければならない工事費用がかえって高額になってしまうのです。

参考:外壁の劣化状態と種類を知って外壁塗装の効果を高めよう

2.人件費を削る

工事費用に占める人件費の割合は30%と大きく、工事に関わる職人の人数を少なくすれば経費を大きく減らせるため顧客の値引き希望に応じることはできますが、職人の人数を減らすということは職人一人当たりの負担が増え、作業にかかる時間も増えることを意味します。

 

職人が減った分工事期間を伸ばしてしまうと様々な経費がかかるため工事費用を安くするためには職人が減ったとしても工事期間はそのままである必要があります。

与えられた工事期間内ですべての外壁塗装工事の工程を終わらせるために、現場の職人たちは品質を無視してでもできるだけ急いで作業を行って工事を終わらせなければなりません。

  • 高圧洗浄の後に十分に乾燥させない
  • しっかりとした補修作業が必要な箇所を適当に済ませる
  • 塗装を3回行うべきところを2回で済ませる

などのずさんで簡略化された工事では塗装の質が悪くなり、塗装の寿命を短くしてしまいます。

●人件費を削ると工事前の挨拶も省かれる可能性がある

通常の外壁塗装工事の契約では、リフォーム工事前に行う近隣住人へのあいさつを施主の代わりに外壁塗装業者の担当者が行ってくれますので、近所の方々を安心させた上で工事が行われます。

しかし、値引きのために人件費をできるだけ削減させる場合、外壁塗装業者が近隣住民へのあいさつを省略する可能性があり、外壁塗装工事開始後、騒音や塗料の臭いなどでご近所の心象を損ねて今後の近所付き合いを悪化させてしまう可能性があります。

 

手抜きのリフォーム工事によるずさんな仕上がりで、さらにあいさつをしなかったために近隣住民にも悪い印象を与えてしまったとなれば、値引き後の外壁塗装工事費用を支払ったとしても満足できる結果にはなりません。

参考:外壁塗装のトラブルを避ける為に確認しておきたいこと

■外壁塗装業者から大幅値引きを提示されたときは悪徳業者の可能性が高い

悪徳な外壁塗装業者がよく使う手口で、最初に提示した外壁塗装費用から数十万円単位の大幅値引きを行い、契約を急がせようとしてくるというものがあります。

例えば「本日契約してくださるなら、この見積り価格から50万円お値引きさせていただきます」というような文言がよく使われ、その他にも

  • 「この地域の実績がほしいため地域のモニターになってほしい」
  • 「上司に確認したところあなたにだけ値引きしてもよいと許可をもらった」
  • 「ホームページに感想を掲載させてくださる方にだけ特別」

などの顧客に特別感を抱かせるようなセールストークもあります。

 

ただ、しっかりと現地調査を行い、時間をかけて算出したリフォーム工事の見積り金額が適正価格なのであれば、数十万円以上の大幅な値引きはできません。

 

外壁塗装駆け込み寺に寄せられたご相談などを元によくある悪徳な外壁塗装業者の契約までの流れをまとめると以下のようになります。

  1. 大幅値引きを行う業者は訪問販売の営業を行っている
  2. 「外壁や屋根の塗装が劣化しているようなので、今から無料で調査します」といって、家の周囲をぐるりと回ったり屋根に登ったりして、点検を始める
  3. そして「劣化が進んでいて放置すると大変」などと客の不安をあおり、簡易な見積書で料金を提示してくる
  4. 「今契約してくださるならキャンペーン価格を適用します」や、「地域で一軒だけの大特価の半額値引き」と言って一気に数十万円の大幅値引きをしてくる
  5. 契約後、必要な工程も省いた手抜き工事を行う
  6. 数カ月後、施工不良が起こって施主が連絡をとろうとしても連絡できない状態になっている

このような外壁塗装工事の契約でよくある失敗をしないためには、訪問販売の外壁塗装業者とはその場で契約せず、見積書だけもらって、外壁塗装駆け込み寺などの第三者機関や、公的機関などに相談するのをおすすめします。

参考:外壁塗装の悪徳業者を寄せ付けないために知っておくこと

■仮設足場費用に関する値引きに注意

数多くある外壁塗装業者の中には、仮設足場費用を無料にするという業者もあり、「仮設足場費用がかからない業者さんの方が良いので、足場代無料で出来る業者を紹介してくれないか」というご相談がよく外壁塗装駆け込み寺によせられます。

外壁塗装工事の費用の中でも仮設足場費用は10〜20%を占めており、「仮設足場費用無料」と強調されると、工事費用から仮設足場費用分まるまる値引きされると考えてしまう方が多いようです。

しかし、「仮設足場費用分を値引きします」という外壁塗装業者の見積もりでは、他の部分の費用を少しずつ高めにするなどの価格のトリックを使うことがあるため、他の業者の見積書とよく見比べて工事費用が相場内に収まっているかチェックする必要があります。

手元にある見積書をチェックしたい場合や地域の他の優良外壁塗装業者に見積もりを依頼したい場合は、こちらのページからお申し込みください。

1.仮設足場を使わない工事は品質が下がる傾向がある

仮設足場費用分の値引きを行うのではなく、そもそも仮設足場を使用せずに外壁塗装工事を行う(無足場工法)ために仮設足場費用分安く工事ができますとアピールする外壁塗装業者も存在します。

仮設足場を使わず工事をするということは、バランスが悪く不安定な状態で作業をすることになり、力の入れ具合が均等でないため塗りムラが発生しますし、全体的にしっかりと塗れないこともあるため、塗装の仕上がりが粗末なものとなってしまう可能性もあります。

近所の家との間のスペースが狭すぎて仮設足場が設置できないなどのケースを除き、基本的には仮設足場を設置してくれる外壁塗装業者に工事を依頼するようにしましょう。

参考:外壁塗装における足場の重要さを理解しよう

■外壁塗装リフォームで上手に値引きしてもらうには

外壁塗装工事において無理な値引きはここまで書いてきたように絶対に避けるべきですが、多少であれば値引きしてもらうことは可能です。

数千円程度の少額な値引きであれば、むしろ業者さんが見積もりを出してくれた時に

  • 端数調整
  • 出精値引き
  • 調整額

などという項目で値引きされている場合もあります。

 

もう少し値引きをお願いしたいという場合は、その地域の外壁塗装業務の閑散期を狙うか、「スケジュールを調整できるので他の現場が入っていない時にお願いしたい」と依頼するなど、外壁塗装業者の日程に余裕がある時期を見計らって依頼するのが良いでしょう。

 

外壁塗装工事を行うべき時期に関してはこちらの記事でまとめていますが、閑散期は地域によって異なるため、できるだけ安く工事を行いたい場合は外壁塗装駆け込み寺にご相談いただき、その旨をスタッフにお伝え下さい。

 

決して

  • 「○○まで値引きしてくれたら今すぐ貴社と契約します」
  • 「他の業者さんは○○まで安くしてくれたからできない?」

などのような強引な値引きのお願いはしないようにしましょう。

■まとめ

無理な「値引き」は支払いが安くなるのでメリットと思われがちですが、外壁塗装工事の質の低下を招き、塗装後の仕上がりが満足したものにならない可能性を含んでいるため、むしろデメリットになります。

 

値引きを行ってもらうコツはあくまで「値引きしてくれたら契約するから」などの文言で強引には行わず、外壁塗装業者側の立場に立って無理のない範囲で行ってもらうようにしましょう。

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