外壁塗装用の塗料は含まれている樹脂成分の違いでグレードが分かれており、それぞれ特徴や機能、価格が違えば、耐用年数の長さにも違いがあります。
この記事では、豊富にある外壁塗装用塗料の種類と特徴を解説しながら、工事の費用対効果なども踏まえて、どんな塗料を選べば良いかについてもご紹介します。
外壁塗装用の塗料は含まれている樹脂成分の違いでグレードが分かれており、それぞれ特徴や機能、価格が違えば、耐用年数の長さにも違いがあります。
この記事では、豊富にある外壁塗装用塗料の種類と特徴を解説しながら、工事の費用対効果なども踏まえて、どんな塗料を選べば良いかについてもご紹介します。
外壁塗装用の塗料には、シリコン、フッ素などの樹脂それぞれがさらに細分化しています。
などです。
ここではどの塗料タイプが最も適切であるかをそれぞれのタイプの機能面から解説します。
どのような外壁であっても、保護をするために塗料を塗る必要があります。しかし、元々の外壁がどのようなものなのかによって、適切な塗料は変わってきます。
ここでは様々な外壁材の種類について簡単にまとめています。
外壁塗装リフォームに利用する塗料は大手塗料メーカーを選べば間違いありません。
塗料を選ぶ際は、ただ高品質が良いということで性能を選ぶだけではまだ不十分です。塗料を選ぶときには必ず信頼できる大手塗料メーカーの塗料を使用することを覚えておきましょう。
ここでは大手塗料メーカーが製造している塗料を具体的にまとめながら、どのような注意点があるかを解説しています。
私たちは外壁用の塗料に何を求めて居るのでしょうか。全てそろったオールマイティな塗料はありませんので、家の状況に合った塗料の選択が必要です。
性能が低い塗料を選んでしまうと、数年ではがれてしまったり、補修が必要になったりする場合もあります。通常、完全に自分で塗料を選んで、外壁塗装業者に塗ってもらうという事はありませんが、塗料にどのような機能があるのかということぐらいは、知っておいても良いでしょう。
「この塗料は○○性が高いので良いです」という意味の言葉を塗料のカタログや、外壁塗装業者の説明で聞くことがあります。ただ、○○性といわれても素人にわかる言葉は少ないです。
ここでは塗料の性能にある○○性に関して詳しく解説していきます。
外壁塗装というのは三回塗りが基本で、一回目を下塗り、二回目を中塗り、三回目上塗りと言います。この三回塗りは絶対に必要と考えてください。悪徳業者や手抜き業者がこの三回塗りを行わず、後からすぐに塗料がはがれてトラブルになるという事がよくあります。
「優れた機能なので、下塗りと上塗りの二回塗りで大丈夫です」や「下塗りをしなくても良い塗料」という外壁塗装会社は信用できないものと思った方が良いでしょう。
そしてただ三回塗るのではなく、それぞれにきちんと意味があって塗るものとなりますので、工賃を惜しまずにしっかりと三回塗ってもらうようにしましょう。中には三回塗ったふりをして二回しか塗らない悪徳業者もいるので注意してください。
ここでは下塗り、中塗り、上塗りのそれぞれの役割を確認しましょう。
外壁塗装はただ単に壁に塗料を塗ればよい訳ではなく、塗料が効果を最大限発揮するように正しい手順を踏まなければなりません。
その手順の中でも特に重要な意味を持つのが、今回ご紹介する「下塗り」という作業工程です。
この記事では、下塗りという工程の内容や使われる塗料の種類について解説します。
外壁塗装工事は
などの様々な要素によって費用が変動しますが、どのような家であっても一般家庭であれば約50万円〜約100万円以上の工事費用が発生します。
外壁塗装業者に外壁と屋根の塗装リフォーム工事の見積もりを依頼して、想定していた以上の高額な費用を提示された時に「値引き交渉をしてもう少し安くしたい」という希望を持つ人は少なくはありません。
数万円程度の値引きであれば問題ありませんが、安くしてほしいと願うばかりに必要以上の値引き交渉を強引に行ってしまうと、施主側が損をしてしまう可能性があります。
このページでは、どうして必要以上の値引き交渉を行うと施主側が損をしてしまうのかや、損をせずに値引きをしてもらうコツについて解説しています。
外壁塗装を行う際には、実にさまざまな道具・工具が必要です。
万能な道具は存在せず、プロの業者であっても、DIYであっても、工程ごとに適切な道具を使い分けることが重要になります。
例えば、塗料を塗る作業にはローラーや刷毛(はけ)、スプレーガンなどの塗装道具を使用しますし、古い塗膜を落とす下地処理には、皮スキやサンドペーパーといった下地処理用の道具が欠かせません。
また、塗装しない部分を保護する養生(ようじょう)には、マスキングテープやビニールシートといった養生用の道具を用います。
中には、業務用の高圧洗浄機や仮設足場など、高価で個人では入手しづらい専門機材もあります。
こうした道具を上手に活用することで、安全で効率的に高品質な外壁塗装を実現できるのです。
この記事では、外壁塗装で使用される代表的な道具の種類を工程別に詳しく解説します。
一般の施主様やDIY初心者の方にも分かるよう、専門用語は丁寧に説明しながら進めます。
塗料(ペンキ)そのものの種類や選び方については本記事では扱いませんので、興味のある方はこちらの塗料の種類に関する記事もご参照ください。
塗装の最初の工程は、外壁の洗浄作業です。
塗装面の汚れや、古い塗膜をきれいに落とすことで、新しい塗料がしっかり密着し長持ちします。
そのために使われる代表的な道具を紹介します。
高圧洗浄機は、強力な水圧で壁面の汚れを洗い流すための道具です 。
プロの現場では、エンジン式などの業務用高圧洗浄機が使われます。
その水圧は、家庭用(電気式)の機種よりもはるかに高く、15MPa(メガパスカル)以上の圧力で洗浄できるものもあります。
この高圧水流により、頑固なホコリやコケ・カビ、古い塗膜の一部までも洗い落とすことができます。
しっかり洗浄することで、後から塗る塗料の密着が良くなり、仕上がりの耐久性も高まります。
ただし、業務用の高圧洗浄機は、購入費用が高額で、一般の方が一度のDIY塗装のためだけに揃えるのは現実的ではありません。
DIYの場合は、家庭用の電気式高圧洗浄機(比較的安価)を使用したり、必要に応じて業務用の機種をレンタルする方法もあります。
外壁と屋根の洗浄だけ業者に依頼するという選択肢も有効です。
また、高圧洗浄時には、水しぶきが飛び散るため、後述する養生シートやメッシュシートで周囲を覆っておくことも大切です。
洗浄箇所が手の届く範囲で、汚れが比較的軽度な場合や、高圧洗浄機が用意できない場合には、バケツとブラシによる手洗いで外壁を清掃することも可能です。
外壁用の洗浄剤(バイオ洗浄液など)をバケツの水に希釈し、ブラシで壁面をこすって汚れを落としていきます。
家庭用のデッキブラシやスポンジブラシでも代用できますが、外壁材を傷めない柔らかめのブラシを選ぶと良いでしょう。
高圧洗浄に比べると手間はかかりますが、水道と最低限の道具だけでできる手法です。
洗剤はホームセンターで「外壁洗浄用」「カビ取り用」などの製品が市販されています。
洗浄後は、洗剤成分が残らないよう十分にすすぎ、水分をしっかり乾燥させてから次の工程に進みます。
高圧洗浄機ほどの洗浄力はありませんが、小規模な塗装や部分補修程度であれば手作業洗いでも対応可能です。
洗浄後、塗装前に行うのが下地処理です。
既存の塗膜が剥がれかけている部分やサビ・汚れが残っている部分を取り除き、塗装面を滑らかに整える工程を一般にケレン作業と呼びます。
ケレンを丁寧に行うかどうかで塗装の持ちが大きく変わるため、「外壁塗装はケレン作業が命」と言われるほど重要です。
ケレン作業に使用される代表的な道具を紹介します(ケレンの目的や重要性については、ケレン作業の解説記事も参考にしてください)。
サンドペーパー(紙やすり)や研磨パッド類(工業用たわしのマジックロンなど)、金属製のワイヤーブラシは、細かな部分の古い塗膜やサビを手作業で落とすための基本的な道具です。
塗装面をゴシゴシと擦り、表面のザラつきや浮いた塗膜を除去したり、逆に表面をわずかに傷つけて(これを「目荒し」「足付け」と言います)塗料の食いつきを良くする目的でも使われます。
紙やすりには、目の粗さ(番手)があり、#60~#120程度の粗めを使って古い塗膜を削り落とし、#180~#400程度の細かいもので、表面を滑らかに仕上げるといった使い分けをします。
ワイヤーブラシは、金属部分のサビ落としに有効です。
ただし、手作業では広範囲を処理するのに限界があるため、大面積のケレンには後述する電動工具も併用します。
電動サンダー(電動研磨機)は、広い面積の塗膜を効率よく、研磨・剥離するのに用いられる電動工具です 。
手持ち式で、平らなヤスリ面が、高速振動または回転し、壁面に当てることで、古い塗料やサビを削り落とします。
大きな外壁面や、フェンス・鉄部など、手作業では大変なケレン作業も、電動サンダーがあれば、短時間で均一に処理できます。
DIYで一度きりの塗装作業のために、高価なサンダーを購入するのは負担ですが、必要に応じて工具レンタルを利用することも可能です。
電動サンダーを使用する際は、粉塵が大量に発生するため、防塵マスクや保護メガネを必ず着用してください。
また、周囲に粉塵が飛び散らないよう養生シートで覆うなどの配慮も必要です。
皮スキ(皮剥き)やスクレーパーと呼ばれるヘラ状の道具も、下地処理の現場で活躍します。
木べらや金属製ヘラの先端を使い、浮いてしまった古い塗膜や錆の塊などを削り取るために用います。
細かな部分や角ばった部分など、サンドペーパーだけでは落としきれない塗膜をこそげ落とすのに適しています。
皮スキは、特に金属部のサビ取りや、木部の古い塗膜剥がしに使われます。
先端が鋭利なので、塗装面を傷つけすぎないよう注意が必要ですが、大きくめくれている塗膜やペリペリと剥がれる塗料を効率よく除去できます。
スクレーパーにも、幅広タイプや先の尖ったタイプなど、様々な形状があり、状況に応じて使い分けます。
モルタル外壁のひび割れ補修や、サイディングボードの継ぎ目シーリング補充などには、コーキング材(シリコンシーラントなどの充填剤)とコーキングガンが必要です。
一般的なカートリッジ式のコーキング材を、コーキングガン(コーキング用の専用押出し工具)にセットし、トリガーを引くと、先端からペースト状のシーリング材が押し出されます。
外壁塗装のタイミングでは、経年で劣化した古いシーリング材を一度すべて剥がし、新しいコーキング材を充填し直すのが一般的です。
充填後は、ヘラで表面を平滑にならし(これも広義では下地処理の一環です)、乾燥硬化させてから塗装します。
コーキング材は上から塗装可能な外壁用のものを選ぶ必要があります。
DIYでも市販のコーキングガンとシーリング材で小さな隙間程度なら補修できますが、大規模なシーリング打ち替えは技術を要するため、必要に応じてプロに依頼すると安心です。
コーキングに関しては、こちらの記事にも詳しく解説しています。
塗装作業に入る前に、塗料を塗らない部分を保護する養生(ようじょう)作業が欠かせません。
養生とは、塗料の飛散や塗りムラが他の箇所につかないように覆い隠すことです。
しっかり養生することで。「塗料が窓ガラスについてしまった」「隣家の車に塗料ミストが飛んでトラブルに…」といった事故も未然に防げます。
ここでは養生に使われる代表的な道具類を紹介します。
マスキングテープは、塗装しない部分との境目に貼って塗料のはみ出しを防ぐためのテープです。
幅や材質にいくつか種類がありますが、一般的には塗装用の和紙テープが使われます。
例えば、窓枠やドア枠と外壁の境界線、コンセントカバーや配管など細かな部分の縁取りに貼り付けて、刷毛やローラーの塗料が付着しないようにします。
マスキングテープは、手でまっすぐ簡単に切れること、剥がしたときに糊残りしにくいことが特長です。
一時的に貼って塗装後には綺麗に剥がせるので、塗装現場では欠かせないアイテムとなっています。
ホームセンターで安価に購入でき、色も目立つ黄色や青色などが多いため、作業箇所が分かりやすい利点もあります。
養生シートは、ビニール製の薄いシートで、塗装しない部分の広い範囲を覆うために使います。
建物の床や壁、植木、窓ガラス、玄関ドアなど、飛び散る塗料ミストやホコリから保護したい箇所をシートで覆っていきます。
シートの端を先述のマスキングテープで固定して密閉することで、隙間から塗料が入り込むのを防ぎます。
マスカーは、この養生シートとテープが一体化した便利な道具です。
ロール状になったテープにビニールシートが折りたたまれて付属しており、テープを貼ってからシートを広げるだけで簡単に覆うことができます。
窓や床面の養生をスピーディーに行えるため、プロの現場でも頻繁に使われます。
ブルーシートは青色の厚手のシートで、主に地面や庭先を広範囲に覆うのに使われます。
外壁塗装では、建物の外周に足場を組み、その下に地面養生としてブルーシートを敷きます。
これは、塗料が飛んで地面を汚したり、洗浄水や剥がれた塗片が散乱するのを防ぐためです。
ブルーシートは、防水性が高く丈夫なので、塗装期間中ずっと敷きっぱなしにしておいても破れにくく安心です。
敷地の広さに応じてサイズを選び、必要なら複数枚をガムテープなどで繋いで隙間なく覆います。
特に足場を立てる場合は、足場全体にメッシュの飛散防止ネット(下記参照)を張りますが、地面への養生としてもブルーシート併用が基本です。
移動が難しい物や塗料飛散で汚したくない大型物には専用の養生カバーを使います。
例えば、敷地内に駐車しているお車やオートバイには車両用の大型ビニールカバーをかぶせ、植木や植栽には植木用の専用カバーで覆います。
建物に隣接していて動かせない物ほど念入りにカバーリングしておくと安心です。
特に、近隣の住宅の車が近い場合などは、施工業者にお願いしてそちらにも養生カバーをかけてもらう配慮が必要でしょう。
万一、塗料ミストが飛んで他人の所有物を汚してしまうと大きなトラブルになりますので、塗装前の養生段階で防げるリスクは徹底的に対策します。
こうしたカバー類もホームセンター等で購入できますが、DIYの場合は使い捨てになることも多いため、安価な汎用ビニールシートで代用するケースもあります。
いよいよ塗料を塗る工程で活躍するのが塗装用の道具です。
外壁塗装の現場では、広い面積はローラーで塗り、ローラーで塗りにくい細部は刷毛で塗るという方法が一般的です。
また、模様付けや特殊な仕上げには、スプレーガンを用いた吹き付け塗装が行われることもあります。
それぞれの道具の特徴や種類を見ていきましょう。
塗装用ローラーは、毛のついた回転ローラーで、塗料を広範囲にムラなく塗れる道具です。
外壁塗装全体の作業の中でも、約8割を占める主力道具で、今や刷毛よりローラー塗りが主流になっています。
ローラーは、大きく分けてウールローラー(羊毛ローラー)と砂骨ローラーの2種類がよく使われます。
ウールローラーは、羊毛のように柔らかな繊維でできたローラーで、塗料含みが良く伸びも良いため、均一できれいな仕上がりになります。
毛足(毛の長さ)に短毛・中毛・長毛の種類があり、短毛は平滑な面を滑らかに塗るのに適し、長毛は壁の多少の凹凸も一度で塗れるため模様付き壁面に向いています。
中毛ローラーは、汎用性が高く、一般的な外壁で最もよく使われる標準サイズです。
砂骨ローラー(さこつローラー)は、内部がスポンジ状で多孔質になっており、一度に大量の塗料を含ませられるローラーです。
ドロッとした粘度の高い塗料や、厚塗り仕上げをする際に活躍し、塗料を厚く塗ることで独特のザラザラした模様(砂骨模様)を付けることもできます。
ウールローラーと砂骨ローラーは目的に応じて使い分けられており、最近では模様を付けるためのパターンローラーや、気泡を抜くための脱泡ローラーなど、特殊用途のローラーも存在します。
ローラーを使う際には、ローラーを差し込んで使う取っ手部分のローラーハンドルと、塗料を入れておくバケツである下げ缶(さげかん)も用意します。
一般的な建築塗装では、持ちやすく小回りの利くスモールサイズのローラーとショートハンドルの組み合わせが使いやすいです。
柄の長いロングハンドルは、高所や奥行きのある部分を塗れる利点がありますが、初心者には均一に力をかけるのが難しいため、扱いに注意が必要です。
なお、ローラーのサイズ(太さ・長さ)はレギュラー、ミドル、スモール、ミニスモールといった種類に分かれ、日本の住宅塗装ではスモールローラーが主流です。
素材も羊毛以外にナイロン製ローラーなどがあり、水性塗料に適したものや、模様を出さない滑らかな仕上げが得意なものもあります。
塗装箇所や使用する塗料に応じて最適なローラーを選ぶことが、仕上がりに直結すると言えるでしょう。
刷毛(はけ)は、細かな部分の塗装に欠かせない昔ながらの塗装道具です。
ローラーでは塗りにくい隅や角、細部を塗るのに用います。
刷毛だけでも非常に多くの種類がありますが、代表的なものを挙げると以下のようになります。
この他にも、塗装以外に掃除用途で使うラスター(ダスター)刷毛や、鉄部塗装用の鉄骨刷毛、水性塗料専用の化学繊維刷毛など多種多様な刷毛があります。
職人はこれらの中から塗料や塗る場所に応じて最適な一本を選び取って使い分けています。
毛の素材にも注目すると、伝統的には馬毛・豚毛・ヤギ毛などの獣毛が多く使われますが、水性塗料を扱う際は固まりにくいナイロン等の化学繊維製の刷毛(「水性刷毛」)が便利です。
スプレーガンは、塗料を霧状に噴射して塗装面に吹き付けるための道具です。
ピストルのような形状をしており、引き金を引くと先端ノズルから塗料のミスト(霧)が勢いよく噴き出します。
広い面積を非常に短時間で塗装できるため、かつては外壁塗装でも広く用いられていました。
現在でも、モルタル外壁に凹凸模様をつける「リシン吹き付け」や、「スタッコ(ざらざら模様)」仕上げなど特殊な意匠には専用のスプレーガンが使われています。
スプレーガンには、方式の違いによりエアスプレーとエアレススプレーの2種類があります。
エアスプレーはコンプレッサーで圧縮した空気を使い、その空気の流れに塗料を乗せて霧化(ミスト状)させる方式です。
圧縮空気式とも呼ばれ、重力式・吸上げ式・圧送式など塗料カップの位置や供給方法によってさらに種類が分かれます。
一方、エアレススプレーは空気を使わずに、塗料そのものに高圧をかけてノズルから噴射する方式です。
空気を混ぜない分だけ一度に大量の塗料を噴出でき、粘度の高い塗料でも安定して噴射できるというメリットがあります。
また、エアレスの方が霧の拡散が少なく塗料の無駄が減る利点もあります。
ただし、スプレー塗装にはいくつかデメリットもあります。
塗料が微粒子になって周囲に飛散しやすいため、養生を非常に広範囲に厳重に行わなくてはなりません。
また、コンプレッサーの作動音や霧吹きの音が大きく、シンナー臭も発生しやすいため、住宅街ではご近所への配慮が必要です。
加えて、ムラなく吹き付けるには熟練した技術が求められるため、DIYでのスプレーガン使用はあまり推奨されません。
現在の一般的な戸建て塗装では、ローラーと刷毛による手塗りが主流であり、スプレーガンは特殊な場合に限られると言えるでしょう。
左官職人が用いるコテや、先端の平たいヘラも広義には塗装関連の道具に含まれます。
例えば、厚めに塗った塗材をコテで、拭き取るようにならして独特の模様を出す「こて押さえ仕上げ」や、砂壁調仕上げの際にコテでパターンを描くケースです。
DIYでコテを使う場面としては、ひび割れ補修に充填剤やモルタルをコテで埋め込んだり平らにならしたりする作業が考えられます。
ヘラについても、コーキング充填後のならし作業や、ペンキ缶のフタ開け・攪拌など細かな用途で出番があります。
ヘラ・コテ類は木製・金属製・樹脂製など素材も様々です。
なお「ケレン」という言葉は上述のように、下地調整全般を指しますが、狭義には皮スキやスクレーパーでの手作業剥離のことを指しますので、ヘラ・コテとは区別して考えてください。
前項までは、塗装作業の各工程ごとに使用する主な道具を紹介しましたが、それ以外にも安全作業や作業効率のために用意しておきたい道具・備品があります。
2階以上の高所の外壁を塗るには、足場の設置が基本です。
ただし、DIYで平屋部分を少し塗る程度であれば脚立でも作業自体は可能でしょう。
脚立は移動や設置が手軽ですが、高所での姿勢が不安定になりやすく、塗装できる範囲も狭いため効率が悪くなります。
一方、足場を組めば建物周囲に安定した作業スペースが確保され、手元・足元がぐらつかないので安全かつ丁寧な作業ができます。
さらに足場には塗料飛散防止用のメッシュシートを張ることができるため、周辺環境への影響も軽減できます。
一般の方が自力で足場を組むのは危険が伴うため現実的ではありません。
必要な場合は、足場専門業者に依頼して組んでもらうか、無足場工法(ブランコ作業など特殊高所作業)を検討することになります。
ただ、無足場工法も高度な安全対策が必要なため、基本的には戸建て塗装では足場設置が前提です。
足場のレンタル費用は、建物規模によりますが決して安くないため、DIYで高所全面を塗り替えるのはコスト面・安全面からもハードルが高いと言えます。
足場の重要性や費用感について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
外壁塗装作業では、安全対策も非常に重要です。
特に、脚立や足場を使った高所作業では、必ずヘルメットを着用しましょう。
高い所から万一転落した際に命を守る最後の砦になります。
また、塗料が飛び散ったりサンダーの粉塵が舞ったりしますので、保護メガネや防塵マスクで目や呼吸器を守ることも必要です。
塗料には、有機溶剤(シンナー)を含むものもあるため、防毒マスクを使うケースもあります。
服装は汚れても良い作業着を着用します。
袖口や裾がだぶつかない動きやすい服装が望ましいです。
塗料は、飛沫が衣服に付くとなかなか落ちないため、専用つなぎやポリ製の使い捨て防護服を着る職人もいます。
靴は、滑りにくくつま先の保護された安全靴か運動靴で、決してサンダルや踵の高い靴で作業しないでください。
長靴は一見良さそうですが、重く動きづらいため塗装作業には不向きです。
加えて、塗料缶を開封する缶切り(ペンキ缶オープナー)や、塗料をよく攪拌する撹拌棒(かくはんぼう)、塗料を入れるカラーバケツなど、小物類も用意しておくとスムーズに作業できます。
外壁塗装に必要な道具類を、洗浄・下地処理・養生・塗装・安全対策の各段階に分けて詳しく見てきました。
使用する道具の種類は多岐にわたりますが、それぞれに役割があり、適材適所に使い分けることで塗装作業の品質と効率が飛躍的に向上します。
ローラー・刷毛・スプレーガンといった塗装方法の違いによって、仕上がりの風合いも異なりますし、下地処理を丁寧にするかどうかで塗膜の寿命も大きく変わります。ど
の道具が優れているということではなく、外壁の状態や塗料の性質に合わせて最適な道具を選ぶことが重要だと言えるでしょう。
DIYで外壁塗装に挑戦する場合は、ここで挙げた道具の中から必要なものを揃える必要があります。
高圧洗浄機や足場など個人では用意しづらいものは、レンタルや部分的な業者依頼も検討しましょう。
道具を一通り買い揃える費用や労力を考えると、場合によっては最初からプロに任せた方が結果的に安く安全に済むこともあります。
DIYか業者依頼かを判断する際には、道具の準備や管理、作業の難易度もしっかり考慮してください。
外壁塗装に必要な道具の種類と特徴を理解することで、塗装工程への理解も深まったかと思います。
適切な道具を使い、正しい手順で施工すれば、美観を保ち建物を長持ちさせる高品質な塗装が可能です。
ぜひ本記事をお役立ていただき、安全第一で外壁塗装作業に取り組んでみてください。
外壁塗装では、色選びだけでなく「仕上げ」の模様(パターン)によって建物の印象は大きく変わります。
単に塗料を平坦に塗るだけではどの家も似たような外観になってしまいますが、仕上げ方にこだわることでお住まいに個性やデザイン性を持たせることが可能です。
特に日本家屋で使われてきたモルタル壁は、塗装時に様々な模様をつけられることが特徴であり、ぜひお好みの仕上げパターン(外壁の最終的な表面仕上げの模様や質感のこと)を検討したいところです。
壁に凹凸模様をつけたり、多色の塗料を使って石材風に仕上げたりと、その種類は多岐にわたります。
近年主流の外壁材であるサイディングボード(工場生産された板状の壁材)にはあらかじめ模様が付けられていますが、一方でモルタル壁など「塗り壁」の場合は、職人の手作業によって自由に模様を表現することができます。
モルタル壁ならではの味わい深い意匠性は、サイディングにはない魅力と言えるでしょう。
こうした仕上げ模様を実現するには、通常の塗料に加えて専用の仕上げ材(主材)を使用する必要があります。
一般的な外壁塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3工程で行いますが、特殊な模様仕上げを行う場合、下塗り後に主材を用いて模様を作り、さらに上塗りで保護・艶出しを行うなど合計4〜5工程になることもあります。
その分、使用する材料費や手間が増えるため費用は割高になりますが、独自のデザインを楽しみたい方には検討する価値があるでしょう。
本記事では、外壁塗装における代表的な仕上げパターンの種類を網羅し、モルタル外壁とサイディング外壁それぞれで可能な仕上げ方法について詳しく解説します。
一般の施主様向けに、専門用語もできるだけわかりやすく説明しますので、外壁の模様仕上げに興味のある方はぜひ参考にしてください。
なお、外壁に使用される素材(モルタル、サイディング、ALCパネルなど)によって適した塗装方法や仕上げが異なります。
外壁材の種類ごとの特徴については、詳しくは「モルタル、サイディングなどの壁の種類について」の記事も参照してください。
まずはモルタル外壁の仕上げパターンから見ていきましょう。
モルタル外壁とは、セメントに砂と水を混ぜたモルタルを下地に塗り付けて仕上げた壁のことです。
日本の戸建て住宅では1990年頃まで広く採用されており、左官職人が現場で壁にモルタルを塗り付けて造形する「塗り壁」です。
モルタル壁は職人の腕によって自由に模様をつけることができるため、外観デザインにこだわりたい方に適しています。
モルタル壁の仕上げ工法には、大きく分けて
の3種類があります。
それぞれの工法によって作れる模様が異なり、使用する材料や道具も違います。
以下で主な仕上げパターンの種類と特徴を順に解説します。
吹き付け仕上げとは、スプレーガン(塗料噴射器)を使って塗料を霧状に噴き付ける工法です。
塗料に骨材(細砂や小石など)を混ぜ、コンプレッサーで壁面に吹き付けることで独特の凸凹模様を形成します。
ガンの種類や設定により模様の出方が変わり、比較的短時間で広い面積を施工できるという利点があります。
ただし、
などのデメリットもあります。。
モルタル外壁の吹き付け仕上げには、以下のような種類があります。
リシン仕上げは、最も一般的な吹き付け仕上げであり、砂壁状のざらざらとした質感が特徴です。
アクリル系やシリコン系の塗料に細かな砂利(骨材)を混ぜ、リシンガンと呼ばれるスプレーで壁一面に吹き付けます。
凹凸のある落ち着いたつや消し模様になり、昔から新築時の外壁仕上げによく採用されてきました。
骨材の粒の大きさによって仕上がりの雰囲気が変わり、大きな石を混ぜれば荒いパターン、小さければきめ細かいパターンになります。
リシン仕上げのメリットは、
などの点です。
一方、デメリットとして、塗膜が薄付きなため耐久性が低く、ヒビ割れ(クラック)が発生しやすい点が挙げられます。
一般にリシン仕上げの外壁の耐用年数は8年程度とされ、経年で細かなひびが入ってくることがあります。
こうした欠点を補うため、弾力性を持たせてひび割れしにくくした「弾性リシン」という改良タイプの仕上げ材もあります。
なお、リシン吹き付け後に表面の凸部を金属ブラシやヘラで削り落とす「リシン掻き落とし」という工法も存在します。
吹きっぱなしのリシンよりもザックリとした荒い質感になり、骨材の粒子が大きい場合はより力強いデザインになります。
掻き落とし加減によっても微妙な表情の違いを出すことができ、職人の技が光る仕上げ方です。
スタッコ仕上げは、リシンよりも厚く吹き付けることで重厚感のある凹凸模様に仕上げる工法です。
簡単に言えば「厚吹きリシン」で、リシン塗装の5〜10ミリ程度厚塗りバージョンと考えると分かりやすいでしょう。
セメント系や合成樹脂エマルション系の専用主材を用い、壁に厚みをもたせるため耐久性も向上します。
スタッコ仕上げのパターンは凹凸が大きく立体的で、高級感のある風合いになります。
仕上げた直後の印象が長持ちしやすく、20年以上経っても劣化を感じにくいという意見もあります。
ただし、表面が粗い分、埃や汚れが溜まりやすく再塗装の下地処理が大変になるというデメリットがあります。
スタッコ仕上げにも、吹き付けたまま仕上げる「スタッコ吹き放し」と、吹き付け後にコテやローラーで突出部分を軽く押さえ平滑に整える「スタッコ凸部処理(押さえ仕上げ)」があります。
後者は凸凹が若干抑えられるため、少しおとなしい印象になりますが汚れが付きにくいという利点があります。
「吹き付けタイル仕上げ」は、砂粒よりも大きめの骨材を含む練り状の材料を吹き付けて模様を作る工法です。
ボンタイルとも呼ばれ、リシンやスタッコと同様に壁面へ専用ガンで噴霧して施工します。
デザイン上の特徴は、凹凸模様でありながら表面にツヤがあり、陶器のようになめらかな質感になる点です。
従来のリシン仕上げがつや消しでザラザラした質感なのに対し、ボンタイル仕上げは光沢があるため、高級感があります。
吹き付けタイルにも、ゴム質で弾力性を持たせてひび割れを起こしにくくした「弾性ボンタイル仕上げ」が存在します。
下地の動きに追従しやすくなるため、モルタルのひび割れリスクを軽減できるメリットがあります。
多彩模様仕上げは、2色以上の塗料やカラー粒(チップ)を混ぜて吹き付けることで、天然石のような風合いを表現する塗装工法です。
単色で塗装した場合に比べ、色の奥行きや深みが生まれ、高いデザイン性を持たせることができます。
吹き付けた塗膜中に異なる色調の粒が散りばめられることで、見る角度や光の当たり方によって表情が変わる外壁に仕上がります。
多彩模様仕上げは、既存の外壁を石造り風やタイル風にイメージチェンジしたい場合に適しています。
モルタル外壁だけでなくサイディング外壁にも施工可能で、下地の模様を活かしつつ新たな質感を加えることができます。
その一方、使用する材料の種類が多く職人の手間もかかるため、施工コストは通常の塗装より高めになります。
また仕上がりが職人の技術に左右されやすい点にも注意が必要です。
代表的な多彩模様仕上げ用の塗料には、スズカファイン社の「WBアートSi」や日本ペイント社の「ダイナミックトップ(多彩模様塗料)」などがあります。
メーカーごとに表現できるパターンが異なるため、施工業者とカタログを見ながら好みの仕上がりを相談すると良いでしょう。
ローラー仕上げは、塗装用のローラーを使って模様をつける工法です。
ローラーで塗装すると、刷毛塗りに比べ作業効率が高く塗料の飛散も少ないため、現在の外壁塗装ではローラー塗りが主流になっています。
通常のローラー塗装では平滑に仕上げますが、特殊なローラーを用いて意図的に凹凸をつけることで模様仕上げにすることも可能です。
ローラーには表面の素材や毛の長さによってさまざまな種類があり、毛足が短いものは平滑面の塗装に適し、長いものは凹凸面にも塗料を行き渡らせやすいという特徴があります。
ローラー仕上げ用の専用ローラーにはスポンジ状の「マスチックローラー」などがあり、塗料をたっぷり含んで厚膜を作ることができます。
以下、代表的なローラー仕上げの種類を紹介します。
マスチックローラー仕上げは、スポンジ状のローラーで塗料を厚く塗りつけて凹凸模様を形成する仕上げです。
「砂骨ローラー仕上げ」とも呼ばれ、マスチック(砂骨)ローラーという特殊なローラーを使用します。
スポンジ状の多孔質ローラーが塗料を大量に含み、壁面に押し当てることで塗膜に厚みを持たせつつ粗い凹凸を作ります。
モルタル壁でひび割れが多い場合に下塗りとしてマスチック仕上げを施すと、膜厚でクラックの進行を抑え雨水浸入を防ぐ効果も期待できます。
マスチック仕上げによって作られる模様の一例に「ゆず肌仕上げ」があります。
ゆずの皮のように細かな凹凸が一面に均一に現れる仕上げ方で、ローラーを丁寧に転がすことで規則的なさざ波模様が形成されます。
一方で、施工が雑になると意図しないムラ模様が出てしまうこともあるため、職人の熟練度が重要です。
コテ仕上げ(左官仕上げ)とは、熟練の左官職人がコテ(鏝)を使ってモルタルや意匠性塗材を塗り付け、自由自在な模様を描き出す仕上げ方法です。
コテや櫛(くし)、ブラシ、ローラー、吹き付けガンなど様々な道具を組み合わせてテクスチャを表現することも可能で、デザインの幅が非常に広いのが特徴です。
カタログに載っているパターンサンプルを参考に選ぶこともできますが、職人の技術力によって対応できる仕上げとできない仕上げがあります。
高度な意匠性と高い技術力を要するため、施工費用は他の工法よりも高価になる傾向があります。
コテ仕上げに用いられる代表的な材料に「ジョリパット」があります。
ジョリパットとはアイカ工業株式会社が販売する意匠性塗材の商品名で、近年人気が高まっている仕上げ材です。
次項でジョリパット仕上げについて詳しく説明します。
ジョリパット仕上げは、カラーや質感のバリエーションが豊富な高意匠仕上げです。
ジョリパット(Jolypate)とは、近年外壁の塗り替えにも用いられるようになってきた塗り壁材で、元々は1970年代に発売され約15年前から新築住宅で広く使われ始めた比較的新しい仕上げ材です。
国内ではアイカ工業の製品が有名で、モルタル下地に直接コテで塗り付けて模様を作ります。(参考:アイカ工業)
現場ごとに自由なデザインで仕上げられる点が魅力で、一般的なパネル系外壁材にはない独自の風合いと温かみがあります。
ジョリパット仕上げのメリットは、デザイン性と耐久性の高さです。
多数のカラーバリエーションや質感から好みのパターンを選べ、唯一無二の外観を演出できます。
耐用年数も長く、一般的な塗装仕上げが10〜15年程度なのに対し、ジョリパット仕上げは15〜20年とされます。
一方デメリットとして、左官職人の手作業ゆえに施工コストが高くなること、表面に細かな凹凸ができるため汚れが付きやすいことが挙げられます。
ジョリパット外壁の塗り替えに関する詳しい情報は、「外壁塗装のジョリパットに関する基礎知識」も参照してください。
ジョリパット以外にも、伝統的な「漆喰(しっくい)塗り壁仕上げ」や、珪藻土(けいそうど)を使った塗り壁、欧風の「プラスター仕上げ」など、左官材を用いた様々な塗り壁仕上げがあります。
仕上げのバリエーションは非常に多いため、気になる模様があれば事前に施工業者に相談し、対応可能か確認しましょう。
前項で述べた通り、左官仕上げにはジョリパット以外にも数多くのパターンがあります。
例えば、コテで横筋模様を描く「トラバーチン仕上げ」、櫛(くし)で引っかいて連続模様をつける「櫛引き仕上げ」、スタンプ型を押し当ててタイル状模様を転写する「スタンプ仕上げ」など、多彩なバリエーションが存在します。
塗料メーカー各社も意匠性仕上げ材のシリーズを展開しており、エスケー化研の「ベルアートシリーズ」などは豊富な模様を実現可能です。
これらの仕上げはモルタルならではの凝ったデザインを追求できる反面、高度な技術が必要となるため、施工できる業者が限られる場合もあります。
興味がある仕上げ模様があれば、事前に施工会社に相談してみるとよいでしょう。
次に、現在主流となっているサイディング外壁の仕上げ方法について解説します。
サイディングボードは工場で製造されたボード状の外壁材で、レンガ調や石積み調、木目調など様々な模様が表面に刻まれています。
新築時にサイディングを使用する場合、現場ではボードを張り付けるだけで模様が完成する「乾式工法」といわれる工法で仕上げられます。
サイディング外壁を塗り替える際、一般的には単色の塗料で塗りつぶす塗装工法が行われます。
しかし塗りつぶす塗装工法の場合、塗料でせっかくのサイディング表面の凹凸模様や色分けが覆われて単調な印象になってしまうという難点があります。
そこで、サイディングのデザインを活かしたまま美観を維持・向上させるために、以下のような仕上げ方法が用いられます。
クリア塗装仕上げは、無色透明の塗料(クリヤー塗料)を外壁に塗る方法です。
現在のサイディング外壁の色柄を気に入っており、「模様をそのまま残したい」という場合に適しています。
透明な塗膜で覆うことで外壁を保護しつつ、既存の意匠(デザイン)をそのまま生かすことができます。
施工後は外壁に光沢が出て、新築時のような美しさが蘇ります。
ただし、クリア塗装ができるのは、既存外壁の状態が良好な場合に限られます。
経年劣化で色あせが進んでいたり、チョーキング(塗膜の粉吹き)やクラックが生じていたりする外壁には透明塗料は密着しにくいため不向きです。
築10年以上経過し劣化が見られるサイディングには、クリア塗装ではなく通常の塗り替えが選択されます。
また、外壁に光触媒コーティングや撥水処理がされている場合も、クリア塗料が弾かれてしまうため施工できません。
クリア塗装に使用される塗料には、紫外線から色柄を守るUVカット機能を持つものがあります。
代表例として、日本ペイントの「UVプロテクトクリヤー」や菊水化学工業の「ロイヤルセラクリアー」などがあり、透明ながら外壁の耐久性を高める効果が期待できます。
多色塗り仕上げ(ダブルトーン仕上げ)とは、凹凸のあるサイディング外壁に 2 色以上の塗料を重ね塗りして、陰影のある模様を表現する方法です。
まずベースカラーとなる色を外壁全体に塗装した後、乾燥してから凸部のみ別の色で上塗りします。
凹部と凸部で色を塗り分けることで、単色塗りでは平坦に見えていた外壁に立体感と奥行きを与えることができます。
この手法は「2色仕上げ」とも呼ばれ、単調な外壁をおしゃれに変える人気の工法です。
使用する色の組み合わせによって仕上がりの印象は大きく変わります。
ベースと差し色を同系統の落ち着いた色調でまとめれば穏やかな陰影が生まれますし、あえて対照的な色を選べば個性的な外観になります。
既存のサイディングデザインを生かしつつガラリとイメージチェンジしたい場合におすすめの方法です。
多色塗り仕上げは、通常の単色塗装に比べて材料と手間が余分にかかるため費用は割高になります。
また、2回以上の重ね塗り作業が必要なため施工期間も長くなります。
それでも「せっかく塗り替えるならおしゃれにしたい」という方にはおすすめの仕上げです。
多色仕上げ用の塗料には、日本ペイントの「ドレスアップコート」やスズカファインの「WBアートSi」などがあります。
特殊な塗料を使わずに職人の手作業で 2 色に塗り分けることも可能ですが、専用塗料を用いることでより美しい仕上がりと作業効率の向上が期待できます。
サイディング外壁にも、前述の多彩模様吹き付け塗装を施すことが可能です。
単色塗りではのっぺりしてしまう外壁でも、多彩模様にすることで疑似石材調の高級感ある仕上がりになります。
特に無地調のサイディングや、元のデザインを変えたい場合に有効な工法です。
下地のサイディングの形状はそのまま活かされますが、表面に散りばめられた色粒によって全く異なる表情の壁面に生まれ変わります。
モルタル外壁の場合と同様に、サイディングへの多彩模様仕上げも高い技術と手間を要します。
材料費・施工費が割高になる点に加え、仕上がり品質が職人の腕に大きく左右されます。
施工例の豊富な業者を選ぶとともに、施工前にカタログやサンプル板でイメージを確認しておくことをおすすめします。
最後に、外壁塗装の仕上げ模様を選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説します。
■デザインとコストのバランス: 凝った仕上げほど材料費・施工費が高くなります。
予算と相談しつつ、「多少費用がかかっても独自のデザインにしたい」のか「できるだけ安価に標準的な塗装で済ませたい」のか、優先順位を明確にしましょう。
模様を付ける場合、標準塗装に比べて費用はおおむね1.2〜1.5倍程度になると考えられます(模様の種類や施工法により変動)。
■仕上がりイメージの確認: 模様仕上げの場合、完成後のイメージがつきにくいことがあります。
事前に施工業者からカタログやサンプルを取り寄せ、実際の模様の大きさ・質感・色味を確認しておきましょう。
特にジョリパットなどパターンが多岐にわたる材料では、業者と十分打ち合わせを行うことが大切です。
■施工業者の技術力: 意匠性の高い仕上げは職人の腕によって仕上がり品質に差が出ます。
施工実績が豊富で、希望する仕上げに対応できる業者を選びましょう。
高度な左官模様の場合、熟練の職人自体が少なくなってきているため、対応可能な業者探しに時間を要することもあります。
■機能性との両立: 外壁の仕上げ模様に気を取られがちですが、外壁塗装本来の目的は建物の保護にあります。
耐久性・防汚性などの機能も考慮し、使用する塗料のグレードを選ぶことも重要です。
どんな塗料を選べば良いかについては、「外壁塗装で使われる塗料の種類と選び方」も参考にしてください。
モルタル外壁は、吹き付け・ローラー・コテの各工法で多彩な模様仕上げが可能です。
既存の意匠を活かした再塗装もでき、イメージを変えたい場合はジョリパットや多彩模様などの意匠材で表情を大きく変えることができます。
サイディング外壁は、単色で塗り替える場合、元の凹凸や色柄が埋もれやすい点に注意が必要です。
意匠を保ちたいときはクリア塗装を、陰影や立体感を強めたいときは多色塗りや多彩模様塗装を検討すると良いでしょう。
意匠性の高い仕上げは標準塗装に比べて材料費・手間が増えやすく、総費用は上がる傾向にあります。
ただし、周囲と差別化したデザインや塗り替えの満足度を重視する場合には、投資効果が高い選択肢です。
関連知識の整理には、こちらの記事も参照してください。
仕上げごとに適合する下地処理や塗料グレードが異なるため、事前の打ち合わせで仕様と期待する見た目を外壁塗装業者と十分に共有してください。
施工実績が豊富で、希望するパターンに対応できる業者を選定し、見本板や過去事例で最終イメージを確認することが仕上がりの満足度を高めることができるでしょう。