本記事では、外壁塗装やリフォームに関する用語の内、「せ」から始まる用語を解説しています。
目次
脆弱部【ぜいじゃくぶ】
外壁塗装における脆弱部とは、塗装の膜が脆くなっていて、特に修復が必要な箇所のことをさします。
塗膜が脆弱な部分のことを
- 塗膜脆弱部
- 脆弱塗膜
などと表現する場合もあります。
制振塗料【せいしんとりょう】
制振塗料の制振とは、「振動を制御する」という意味であり、制振塗料は、音による振動の伝わりを抑えることができる塗料です。
制振塗料を塗装した物は、音による振動が減るため、その物の中の音が外に漏れにくくなります。
制振塗料は、
- 洗濯機や冷蔵庫などの家電
- 精密機械のケース
- 自動車
などに使用されます。
ちなみに、外壁や屋根塗装用の塗料の音に関する機能は、
- 防音性
- 遮音性
といわれることが多く、音の伝わりを防ぐという意味では同じような機能といえます。
静電塗装【せいでんとそう】
(画像引用:アネスト岩田株式会社)
静電塗装とは、塗装する対象物と塗料の両方に静電気を帯びさせ、静電気が引き合う力を利用して塗料を対象物に付着させる塗装方法のことです。
静電塗装では、専用の塗料吹き付け装置を使用し、塗料を帯電させた上で霧状にして噴射します。
(静電塗装用のスプレーガン。画像引用:アネスト岩田株式会社)
静電塗装は、外壁塗装などには使われない方法ですが、
- 噴出された塗料が対象物に吸い付くために無駄な塗料が出にくい
- 対象物の一面だけではなく、全体に吹き付けることができる
などのメリットがあります。
石州瓦【せきしゅうがわら】
(画像引用:株式会社シバオ)
石州瓦とは、島根県で生産されている粘土瓦で、
- 愛知県の三州瓦
- 兵庫県の淡路瓦
と並ぶ日本三大瓦の一つです。
焼成温度が
- 淡路瓦が1,000℃ほど
- 三州瓦が1,100℃ほど
であるのに対し、石州瓦は1,200℃ほどと非常に高温であることが特徴の一つで、高温で焼き上げられるために瓦が非常に締まっています。
石州瓦には、
- 塩害によって劣化しにくい
- 凍害を起こしにくい(瓦の吸水率が非常に低いため、含まれる水分が凍って瓦が割れるなどが起こりにくい。
などの特徴があります。
(石州瓦が使われた町並み)
施主【せしゅ】
施主とは、外壁塗装工事でいえば、 リフォーム工事を業者に依頼する人や会社のことです。
石膏パテ【せっこうぱて】
石膏パテとは、石膏ボードなどの目地部分、穴、凹みを埋めて、平滑にするための建築材料のことです。
石膏パテは、
- ペースト状
- 粉末状
のどちらかで販売されています。
(画像引用:吉野石膏株式会社)
ペースト状の石膏パテはそのまま使用することができ、粉末パテは使用前に水と混ぜ合わせることでペースト状にしてから使用します。
粉末状の石膏パテを水と混ぜた段階で石膏の硬化反応が始まり、1〜2時間ほどで硬化してしまうため、
- 硬化しきる前に使用する
- 余らせないように必要な分だけ混ぜ合わせる
などの使用上の注意があります。
このように混ぜ合わせた段階で硬化が始まる石膏パテを反応硬化型といい、その他にも乾燥しなければ固まらない乾燥硬化型の石膏パテも存在します。
石膏ボード【せっこうぼーど】
(画像引用:チヨダウーテ株式会社)
石膏ボード(プラスターボード、PBなどともいわれる)とは、石膏を主成分とした板を特殊な板紙で包んだ建材のことで、建物の内壁や天井などに使用されています。
石膏ボードは、
- 導入コストが安い
- 耐久性が高い
- 防火性が高い
- 遮音性が高い
などの多くのメリットがありますが、
- 水や湿気に弱い
- 暖炉などの繰り返し高温になることが前提である場所には使用できない(防火性は火にさらされるたびに減少するため)
- ネジなどが打てない
などのデメリットもあります。
ただ、石膏ボードには、上記のデメリットが解消された
- 防水石膏ボード…防水性に優れており水を侵入させないため、台所や洗面所など水を使用する場所で使用する
- 防火石膏ボード…防火性に優れており燃えにくいため、台所など火を使用する場所で使用する
- 防湿石膏ボード…防湿性に優れており湿気が建物内に入ることを防ぐため、湿気が多く結露が発生しやすい場所で使用する
など製品もあります。
ちなみに学校やビルなどの天井などでよく見られる模様のついた板も石膏ボードです。
(天井に使用される石膏ボード)
セットバック【せっとばっく】
建築業界でいうセットバックとは、上部を下部よりも後退させた形状の建物のことです。
(国会議事堂もセットバック形状の建物)
折板屋根【せっぱんやね】
折板屋根とは、ガルバリウム鋼板などの金属板を波型に成形した屋根のことです。
折板屋根は、梁の上に金属板を乗せるだけのシンプルな構造であり、
- 自転車置き場
- 工場
- 倉庫
などによく採用されています。
折板屋根は、
- 導入コストが安い
- 金属製であるため、火災が発生した時でも延焼しにくい
- 軽量であるため、建物に負担をかけにくく、大きな建物などにも使用できる
などのメリットがある一方で、
- 断熱性能が低く、建物内の気温が外の気温の影響を受けやすい
- 防音性能が低く、雨音などが室内に響きやすい
などのデメリットもあります。
ゼネコン【ぜねこん】
ゼネコンとは、ビルやマンションなどの建物を建設する総合建設業者のことであり、General Contractor(ゼネラル・コントラクター。総合請負業者という意味の英単語)という言葉に由来します。
ゼネコンは、ビルやマンションなどの建物を建設する時の元請け業者(発注者から注文を受ける業者)として、建設工事全体の管理を行い、
- 塗装工事
- 屋根工事
- 左官工事
- 大工工事
などの様々な工事をそれぞれの専門業者に依頼します。
また、ゼネコンには、
- 営業・・・発注者とやり取りを行う。注文を受ける、要望を聞くなど。
- 設計・・・発注者の要望を元に、建物の構造や設備の設計を行う
- 施工・・・現場の安全管理や設計の品質管理などを行う
- 研究・・・建物に使用する材料の品質や技術の研究を行う
などの役割があります。
セメント【せめんと】
セメントとは、
- 石灰石
- 粘土
- 珪石(けいせき)
- 酸化鉄
- 石膏(せっこう)
などから作られる粉状の物質です。
セメントは、水を混ぜると水和反応という化学反応によって固まる性質があり、この性質を利用して、
- セメントペースト(タイルなどを貼る接着剤など)・・・セメント、水を混ぜたもの
- モルタル(内壁、外壁などの建材など)・・・セメント、水、砂を混ぜたもの
- コンクリート(建物の建材など)・・・セメント、水、砂、砂利を混ぜたもの
などの様々な建築材料の原料として使用されます。
また、セメントは、
- ポルトランドセメント・・・国内生産されるセメントの多くを占める一般的なセメント
- 混合セメント・・・ポルトランドセメントにシリカやフライアッシュなどの原料を混ぜたセメント
- 特殊セメント・・・JISに規格されていないその他のセメント
に大別されます。
(日本コンクリート工業会、セメント協会の資料を元に作成したセメントの分類)
セメント瓦【せめんとかわら】
セメント瓦とは、モルタル(セメントや砂を混ぜたもの)を瓦型に成形し、表面に塗装を行った瓦です。
セメント瓦は、
- 初期費用が安い
- 様々な形、デザイン、色を選ぶことができる(日本瓦と似せることもできる)
というメリットがあるため、多くの家で採用されてきましたが、
- 割れやすい
- 表面の塗料の保護機能がなくなる約10年ごとに再塗装が必要(日本瓦は再塗装不要)
- セメント瓦自体の寿命が約20〜40年ほどであるため、葺き替え間隔が短い(日本瓦は40〜80年以上)
というデメリットがあるため、現在の新築住宅で採用されることは少ないようです。
今現在、すでにセメント瓦の屋根を採用している家に住んでいる場合、
- 再塗装によるメンテナンスで十分なのか
- 瓦ごと葺き替えた方が良いのか
は劣化状況によって異なるため、リフォーム業者などに調査を依頼しましょう。
セメントフィラー【せめんとふぃらー】
セメントフィラー(セメント系フィラー、セメント系下地調整材ともいう)とは、
- ひび割れや凸凹を埋める
- 上塗り塗料の密着性を高める
などの目的で塗装されるコンクリートやモルタルなどのための下地調整材のことです。
セメントフィラーには、
- 日本ペイントのフィラー200
- エスケー化研のカケンセメントフィラー
- 関西ペイントのアレスセメントフィラー
などがあります。
セラック樹脂【せらっくじゅし】
セラック樹脂(シェラック樹脂ともいう)は、ラックカイガラムシという虫の分泌物を精製して作り出す物質です。
セラック樹脂は
- 木製家具の塗料
- ヴァイオリンなどの楽器の塗料
- 食品添加物(光沢付与や保存期間の長期化)
- マニキュアやヘアスプレーなどの美容製品
など様々なものに使用されています。
セラックニス【せらっくにす】
セラックニス(セラックワニスともいう)とは、
- セラック樹脂
- アルコール
が主成分の塗料です。
セラックニスは、天然樹脂であるセラック樹脂からできているため、人体や環境への悪影響が少ないとされています。
セラミック塗料【せらみっくとりょう】
(画像引用:山本窯業株式会社)
セラミック塗料とは、セラミックビーズといわれる無機質の粒子などが混合された塗料です。
製造メーカーによって異なりますが、セラミック塗料には、
- 塗膜に石材調の見た目を持たせる
- 塗装面の断熱性を高める
- 塗膜に付いた汚れを雨水で流れ落とす
などの効果があるものがあります。
セラミック塗料の中のセラミックはあくまで少量含まれる添加物であり、耐久性や耐用年数は塗料の成分の大部分を占める
- シリコン樹脂塗料
- フッ素樹脂塗料
などの合成樹脂によって決められます。
そのため、一部の業者が営業トークとしている
- 「セラミック塗料であるため、耐久性が非常に高い」
- 「セラミック塗料であるため、メンテナンスの必要がない」
などは誤りです。
セラミック塗料についてさらに詳しくお知りになりたい方は、こちらの記事もご覧ください。
セルフクリーニング機能【せるふくりーにんぐきのう】
外壁塗装でいうセルフクリーニング機能とは、外壁に汚れがついても、外壁自身がその汚れを落とすことができる機能のことです。
セルフクリーニング機能は、親水性が高い塗料を塗装した外壁などに備わる機能で、外壁についた汚れよりもさらに下に水が入り込んで汚れを落としてくれるという仕組みです。
(画像引用:エスケー化研株式会社)
ただし、どんな汚れでもしっかりと落とすということではなく、
- ホコリ
- 排気ガス
- 砂
- 雨水に含まれる油分
などの一部の汚れが通常の塗料に比べて落ちやすい程度と考えておくとよいでしょう。
ゼロ・エミッション【ぜろえみっしょん】
ゼロ・エミッション(zero emission 排出ゼロという意味の英単語)とは、廃棄物や二酸化炭素などの環境汚染や気候を変えてしまうような物質を出さずにできるだけ環境負荷の少ない社会にしようという考え方のことです。
ゼロ・エミッションでは、
- 廃棄物をできるだけ出さないしくみを作る
- 廃棄物や副産物を捨てるのではなく、他の工程で再利用する
などが求められます。
建築業界におけるゼロ・エミッションでいえば、
- 新築物件を建てる時に使用した木の端材
- 古くなった家を解体した時に出た木
を粉々にして固めることでパーティクルボードなどの新たな建材を作ることなどが揚げられます。